1.一点注意の動き
「一点注意の動き」とは、対象になるものを見ながら指をさす動きのことです。
このアクションは、自分や相手の注意を一点に集中させるためには非常に役に立ちます。ポイントは、指し示す方向をきちんと見ること。そうすると、身体は自然に内側に閉じるようになり、ちょうど拳銃で的を狙うようなかっこうになります。その動きが注意を一点に集中させることになるのです。
■一点注意の動き
「一点注意の動き」は、相手を動かす力が強い「優位アクション」の一つで、この動きを使うと効果があるのは、ものごとをはっきりさせる必要があるときです。
例えば、プレゼンテーションのときには、図や表などをきちんと指さすことが大切です。このとき、聞き手の方を向いたまま、目的のものを見ないで指をさす動きをすると身体が開いてしまい、うまく相手の注意を一点に誘導することができなくなります。
まず、見せたいものの方に身体を向けて、自分自身もそのものを見て、きちんと指さすことがわかりやすい説明をするコツでなのです。相手がそのものを見るまで、手をふらふらさせずにしっかりと指し示し続けることで、相手の注意を喚起し、理解力をアップさせることができます。
この動きは、説明がわかりやすいニュースキャスターや司会者がよく使っています。例えば、ニュースステーションの古舘伊知朗は、こと細かく指をさして説明することで、正確で信頼できるニュースキャスターのイメージを確立しています。
また、この動きは会議の席上で問題点を整理したり内容を詰めたりするために非常に有効です。「まず、今回の問題のポイントは」などと言いながら、指さす動きをすると、問題点をきちんと把握している人だという印象を与えることができます。
さらに、この動きは、相手との論争に勝つためには不可欠な動きです。この動きを使って相手を指さすと、ちょうど拳銃で相手を狙うような形になり、非常に威嚇的なイメージになります。それだけに、不用意な使い方をすると相手を怒らせてけんかになることもあるので注意が必要です。
しかし、この動きをうまく使うと、自信を持って相手の論点をするどく指摘し、自分の正しさを主張しているというイメージを与えることができます。
「一点注意の動き」はまた、相手にわかりやすい指示をするためになくてはならない動きです。
「あの避難口を目指して進んでください!」
と言いながら、身体全体を使って目標を指し示すことによって、初めて大勢の人間を誘導することができるのです。
従って、このような動きを多くする人は強いリーダーシップを感じさせます。
小泉元首相に対して、かつて私たちが非常に強いリーダーシップを感じたのは、彼が「一点注意の動き」(それ以外にも「突進の動き」や「独断の動き」などが加わっている)を頻繁に行っていたからなのです。
このアクションの形を少し変えると、わかりやすい案内をすることができます。
案内の場合は指でさすのではなく、手のひらで指し示すことが多いのですが、このときも、自分がきちんと身体を目標物に向けて指し示すことでわかりやすさが増します。
さらに、「一点注意の動き」は、ものを確認したりチェックしたりするときに役立ちます。鉄道や工事現場などで行われている「指さし確認」の行為は、まさしく「一点注意の動き」なのです。
これは何かを確認するときに、きちんと指さすという動作を伴うことで正確さが増すという経験則からきています。強制的にこのような動きを取り入れることにより、普段、あまりチェックが得意でない人でも確実なチェックができるようになるのです。
一方、「一点注意の動き」の問題点は、この動きがあまりにも正確で強いイメージがすることです。仕事のときやリーダーシップを発揮するべきときには有効であり、またこの動きをする人を有能に見せるのですが、プライベートで使いすぎると、嫌味になったり神経質に感じたりすることがあります。
男性の場合、デートのときにあまりにも細かく仕切ったり、彼女に注文をつけたりすると、嫌われやすいので気をつけた方がいいでしょう。
■この動きが役に立つとき
1.プレゼンテーション
2.問題点の指摘
3.相手を攻撃する
4.目標を示す
5.説明・案内
6.指さし確認
■この動きに注意が必要なとき
1.プライベートな会話
2.上司に対する指摘
3.お客様に対する指摘
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