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2013年1月 8日 (火)

6.虚脱の動き

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「虚脱の動き」とは、力を抜いて下に落ち込む動きです。首や肩の力を抜いてガクッとうなだれたり、全身の力が抜けて座り込んだり、よろめいてその場に倒れこんだり、また、力なくうなずいたり、手などの力を抜いてパタッとおろしたりするのがこの動きに当たります。
動画は「虚脱の動き」を使ったうなずきの例です。

前に説明した「攻撃の動き」が相手に対して攻撃的であることを伝えるのに対して、「虚脱の動き」は攻撃する意志がないことをわかりやすく表現します。例えばそれまでファイティングポーズをとっていたボクサーが力なくこぶしを下ろして首を垂れたら、もはや戦う意欲がないということを相手に伝えることになるのです。

このように、私たちは、がっかりしたり疲れたりやる気を失ったりすると思わず身体の力が抜けてしまいます。「虚脱の動き」は、自分の敗北を認め、戦意喪失を表す「劣位アクション」であり、それを使うことによって、相手の攻撃を止めたり警戒心を解いたりすることができる非常に重要なアクションなのです。

また、私たちは笑うときには身体の力が抜けます。よほど余裕がない限り、笑いながら相手と戦うことは不可能です。そこで、一般的な笑いは「虚脱の動き」の一種と考えることにします。

「虚脱の動き」はテレビのお笑いの世界ではなくてはならないアクションです。お笑い芸人ならば例外なくこのアクションを使っています。
例えば、ビートたけしとタモリと明石家さんまは、それぞれがまったく違う個性を持っているように見えますが、「虚脱の動き」は全員が共通して使っています。たけしがギャグでよく使う「コケる」アクションも、タモリがおもしろいことを言って上体を倒すアクションも、さんまが大笑いして床に倒れこむアクションも、すべてが「虚脱の動き」なのです。

お笑いにおける「虚脱の動き」の典型的な使い方は、何といっても相手に対するリアクションです。さんまは「一点注意の動き」と「突進の動き(後述)」をあわせた動きを使って、ゲストや素人を相手に激しいツッコミを見せます。
すると突っ込まれた相手は驚くか反発するか、必ず何らかの反応をします。すると、その反応に対して、さんまは大笑いして床に倒れこむ「虚脱の動き」を見せます。

つまりさんまは、攻撃的につっこみながら、相手の反撃に対してすぐに白旗をあげてしまうダメ男を演じることで、お茶の間の共感を獲得しているのです。もしも、彼がいつまでも「攻撃の動き」をやり続けていたら、相手をいじめるだけのいやなヤツになってしまい、決して大衆に愛されることはないでしょう。
相手をやっつけたつもりが、やり返されて落ち込むという「劣位アクション」を生かした動きのパターンこそが、お笑いの大きなポイントになっているのです。

このように、「虚脱の動き」をうまく使えば相手に好かれることができるのです。
人は、必ずしも、しっかりしていてきちんとした有能な人間にだけ好意を抱くわけではありません。むしろ、ちょっと情けない面があったり、ダメなところがあったりした方がずっと好感を持たれるのです。

私たちは残念ながら、自分よりも優秀な相手にはなかなか心を許すことができませんが、自分よりも少し劣っていると感じる相手には心を開きやすいものです。お笑いの世界で成功している人たちはこのことを熟知しているのですが、店員(販売員)や営業マンにとっても「虚脱の動き」の使い方は大いに参考になるはずです。

「虚脱の動き」が一番活躍するのは、何と言っても相手に怒られたときです。
お客様から怒られたら、力を入れて言い訳をしないで、とりあえず「虚脱の動き」を使って謝ってしまう方がうまくいくことが多いのです。まずはお客様の怒りを鎮めて、相手が話を聞いてくれる状態にまで事態を収拾することが大切です。

このように、人間関係を良くするには欠かせない「虚脱の動き」ですが、その問題点は、やる気がないように見えることなので、真剣な話をしているときにはコントロールすることが必要になります。

■役に立つとき
1.反省を示す
2.お詫びをする
3.降参を表す
4.警戒心を解く
5.笑わせる


■注意が必要なとき
1.目上の人の話を聞く
2.説明・案内
3.緊張の場



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