コミュニケーションにおける「優位アクション」と「劣位アクション」

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コミュニケーションにおける、
「劣位アクション」と「優位アクション」

人間の基本的な動きは十三種類ある。これらの動きは大きく二つのグループに分けられる。

一つは自分を大きく強く見せる「優位アクション」のグループで、これらのアクションは自己主張や自分の地位を高めるために役立つ。もう一つは自分を小さく弱く見せる「劣位アクション」のグループで、これらのアクションはへりくだったり、相手の地位を高めたりするために役立つ。

●劣位アクションとは?
かつての日本は、「劣位アクション」を中心とした文化をもった社会だった。劣位アクションは、人々の価値観や礼儀作法の中に織り込まれ、日本的な考え方や行動の仕方の基本になっていたとも考えられる。

はっきり指摘しない、相手を指ささない、頭を下げる、身体を低くする、控えめに後ろにさがる、といった動きはすべて劣位アクションであり、自分よりも目上の人に対しては当然しなければならないし、また、一般の人間関係でもこのような動きを使うことで、コミュニケーションが円滑になると考えられていた。

相手が劣位アクションをしてくれると自分の地位が上がったように感じられるので、たいていの人は気分がよくなり相手に対して好感を持つようになる。かつては目上の人を中心に行われていた劣位アクションだが、現代では、客は誰でも、店員(営業マン)がこのようなアクションをしてくれることを期待している。

●優位アクションとは?
劣位アクションを大事にしていたかつての日本社会では、はっきりと口に出したり態度に表したりしなくても、お互いに理解しあえる「阿吽の呼吸」や「以心伝心」や、意見を戦わせることなく大勢の意見に従う「和」が尊ばれてきた。

しかし本格的な国際社会の到来とともに、このような日本人の常識は通用しなくなった。従来のような劣位アクションをしていたのでは、外国人と対等にやりあっていくことはできなくなったのである。

今日では、プレゼンテーションに成功する動きや、ビジネスの相手にパワーをかけるための動きなど、成功と勝利のためのアクションが盛んに紹介され教育されている。すなわち、欧米文化を中心とした「優位アクション」全盛の時代になったのである。

その結果、わかりにくい動き、はっきりしない動き、積極的でない動き、やる気や主体性のない動き、自己主張しない動き、控えめな動き、地味で目立たない動き、ダラダラした動きなどに対する評価は著しく低下してしまった。

しかし、人には十三種類のアクションがあり、本来、どれが正しくてどれがまちがっているとは言えないものである。

どんなに時代が変わっても、人は優位アクションだけをして生きていくことはできないし、また、優位アクションばかりをしようとすると非常に苦しい生き方になる。