5.移動空間に登場してきた第四世代の店

(1)ネットショップが掘り起こした戸板一枚の店

見知らぬ客を対象にして「道」に生まれた店(戸板一枚の店)は、戦後の「常連接客」を行う商店街や百貨店の隆盛によって、「戸板一枚の店」の性質を失ってしまいました。

その後、「一見接客」を行うスーパーマーケットやコンビニエンスストアの普及によって、「戸板一枚の店」(道に生まれた店)の性質の一部がよみがえりました。

しかし、1990年前後に登場した全国各地の郊外型のSCや大型店は、「一見接客」は行ったものの、見知らぬ客が通行する「道」からはずれた立地に出店していたために、競争が厳しくなるとともに、店本来の性質(「戸板一枚の店」の性質)を失ってしまいました。

やがて、ネットショップの登場によって、店員がまったく接客しないネットショップと、店員が接客するリアルショップの性質の違いが浮き彫りになりました。

客は、モノを手に入れるにはネットショップ、コト(戸板一枚の店のコミュニケーション)を享受するにはリアルショップという使い分けをするようになり、リアルショップ対しては、店本来の性質(「戸板一枚の店」の性質)を求めるようになってきました。

PCやスマートフォンなどが急激に普及した現代人の新しいライフスタイルと、リアルショップに対する客のニーズを背景にして、従来までには見かけなかった立地に新しい店が登場してきています。


このような新しい店を「第四世代の店」と呼ぶことにします。
その構造は以下の4種類です

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(2)移動空間に登場した「第四世代の店」の特徴 

2000年前後より、空港や駅ビルや駅ナカなどの移動空間を中心に、移動客を対象にした、新しい店が登場してきました。

客(ヒト)は本来、移動中にモノを買うという性質を持っていたのですが、このような店が登場してくるまでは、客には移動中にモノを買いたいというニーズがあるということに誰も気づきませんでした。

近年、大勢の客が移動する空港や駅ビルや駅ナカの移動空間に、たくさんのリアルショップが登場し、多くの客を引きつけています。

条件1:
見知らぬ客が行き交う移動空間を店内に取り込んでいること

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条件2:
移動空間を行き交う客に対して、一見接客で、必要に応じてわかりやすい説明や案内を提供できること

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(3)「移動空間を持つ店」は繁盛し、「移動空間を持たない店」は衰退する

戦後、日本の流通の中心となった商店街は、様々な保護政策を受けてきたにもかかわらず、衰退を余儀なくされていきました。また、一時は商業の頂点に立った百貨店も、次第に店の構造と接客方法を変化させています。
その最大の原因は、様々な理由によって移動空間(道)を失ってしまったことです。

これまでも「立地」の大切さは言われてきましたが、「移動空間」の重要性はそれほど理解されてはいませんでした。

現在でもまだ、その土地に店主や家族が居住している商店街ばかりではなく、百貨店やショッピングセンターですら、不利な立地のまま、何とか客を引きつける方法はないものかと模索を続けています。

ネットショップのインフラの改善や充実によって、あらゆるモノがネットショップで購入される時代を迎え、一方で、「モノとコト」を一緒に提供するリアルショップの必要性も高まっています。

そして、「モノとコト」を一緒に売る店として、かつての「戸板一枚の店」がいよいよ本格的に復活してきたのです。

戸板一枚の店の条件は、見知らぬ人を対象にした、行き交う「道」(移動空間)を持った店であることです。

今後はますます、空港や駅ビルや駅ナカや高速道路などのサービスエリアの店や様々な業種のドライブスルーの店など、人が行き来する移動空間に新しい店(第四世代の店)が登場してくるでしょう。

一方、移動空間(道)を持たない店は、たとえ百貨店・SC・コンビニ、また現在も繁盛している一部の商店街であっても、第四世代の店の増加とともに、急速に衰退していくことが予測されます。

繁盛店を目指すなら、移動空間のある第四世代の店をつくり、ネット店舗と融合したリアル店舗の接客を提供することがこれからの課題です。

1.見知らぬ客を対象に、接客をしなかった「戸板一枚の店」

2.第一世代の店「商店街と百貨店」の登場と衰退

3.「接客しない店」が主流になった第二世代の店~第三世代の店

4.店内にだけ「道」を作った第三世代の店の行きづまり


5.「移動空間」で繁盛している第四世代の店・・・・・・・・現在のページ

6.リアル店舗を繁盛させる「新しい接客」

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