2.第一世代の店「商店街と百貨店」の登場と衰退

(1)店主中心につくられた商店街(第一世代の店)の店舗構造

戦後日本の復興とともに、全国各地に商店街が発達しました。
商店街は道に沿って小さな専門店が軒を連ねた形で、地域住民に生活必需品を提供するためにつくられました。

商店街の店の特徴は店と住居が一体になっていることで、個人の家の一部に商品を並べた構造になっており、これは、本来の「店」とはまったく異なるものでした。

また、商店街の客は、ほぼ全員がすでに買うことが決定してから店に来るので、何も買わずに帰る客はほとんどいませんでした。

こうした状況を背景に、商店街を構成している店の大部分は次のような構造と接客方法をしています。

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(2)商店街時代に生まれた「常連接客」

商店街の店はもともとは個人の家なので、客は個人の家を訪れるように店を訪れます。つまり客は、店に入るときには、店員(店主とその家族)に対して挨拶して入り、店員に断って商品を見せてもらい、購入が終わったら挨拶して店を出ます。

一業種、一店舗が基本だったかつての商店街においては、客にとっては、店員とよい人間関係を保つことが有利な買い物ができる方法だったのです。

一方、店員にとってもと客の人間関係は非常に重要です。
店員(店主とその家族)は客が店に来るとすぐに接客を開始し、時候の挨拶や様々な世間話をしながら商品を売るのが普通で、客の名前や住所はもちろん、家族構成や様々な事情に精通し、客と濃密な人間関係を結ぶことで売り上げを上げようとしました。

いわゆる日本の「接客」の概念はこの商店街時代に生まれたと考えられます。

地域社会の濃密な人間関係を背景にした接客を「常連接客」と呼ぶことにします。しかし、この「常連接客」によって、「店」本来の魅力は大幅に失われることになりました。

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(3)店員中心につくられた百貨店(第一世代の店)の店舗構造

 一方、都市部では、戦後、百貨店が急速に出店と店舗拡大を行い、高級品から一般大衆向けの商品までを幅広く扱う小売業の中心的な存在となりました。

百貨店の店(テナント)と商店街の店の最大の違いは、店舗と住居が隣接していないことです。百貨店にあるのは店の部分だけで、販売に携わるのは雇われている店員なので、店員の居住性はほとんど配慮されてきませんでした。

そのため、店員が立っているのがやっとなくらい「店員空間が狭い店」や「店員空間がない店」が一般的でした。

百貨店の店(テナント)に多く見られる構造と接客を見てみましょう。

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(4)百貨店でも展開された「常連接客」

百貨店では、店員は勤務時間中はきちんとした姿勢で客を待ち、客が来るや否や「いらっしゃいませ」という接客を開始することを要求されました。

これは、百貨店が当時の日本の代表的な商業施設であったことから、接客教育に一般的な人間関係の礼儀作法や道徳を織り込んでしまったためです。

そのために、百貨店は大勢の見知らぬ客を対象としているにもかかわらず、「常連接客」を行うことになりました。この結果、百貨店は客にとっては非常に買いにくい販売現場となってしまいました。

そのことは、後に、百貨店がセルフ販売方式のスーパーや様々な大型店に客を奪われる大きな原因となりました。

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1.見知らぬ客を対象に、接客をしなかった「戸板一枚の店」

2.第一世代の店「商店街と百貨店」の登場と衰退・・・・・・・・・・・・現在のページ

3.「接客しない店」が主流になった第二世代の店~第三世代の店

4.店内にだけ「道」を作った第三世代の店の行きづまり

5.「移動空間」で繁盛している第四世代の店
 

6.リアル店舗を繁盛させる「新しい接客」

 

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