1.見知らぬ客を対象に、接客をしなかった「戸板一枚の店」

私達は全国の様々な多くの店舗を「人の動き」という新しい観点から分析しています。
そして、「店」というものの本質を理解することによって、今まで解明されなかった店が繁盛したり衰退したりする隠された要因を探っています。

(1)店は見知らぬ人との交換の場

異なる2つの共同体が接するところには「道」が存在し、多くの人々が行き交うその道に「店」が生まれたと言われています。

「道」に生まれた店では、見知らぬ同士が売り買いをする関係だったので、接客は行われていませんでした。

そこには「戸板一枚の店(後述)」における人間関係を基本とした売買が行われていたのです。

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異なる共同体が接するところ(境界)に道が存在し市(店)が立つ。


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「市(店)」は見知らぬ人が行きかう「道」に生まれる。


(2)店には、群れ・なわばり・狩猟採集の感覚が生きている

動物になわばりがあるように、人間にもなわばりの感覚があります。
私たちは様々な人間関係の中で、お互いになわばりを侵さないようにすることで、争いを避け、お互いのプライバシーを上手に守っています。

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海鳥のなわばり


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人間のなわばり


そのような観点で見ると、店は店員が長時間滞在し管理している店員のなわばりです。
客は危険を侵して店員のなわばりに入っていかなければならない侵入者です。
そのため、店員が自分のなわばりを主張するアクションをすると、客は遠ざかります。
反対に、店員がなわばり解除のアクションをすると、客が引きつけられます。
このように、店では店員が客のなわばり感覚を十分に理解して行動することが非常に重要なのです。

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さらに、人間には、はるか昔から繰り返してきた狩猟採集の感覚が色濃く残っています、現代社会では、狩猟採集ではなく買い物によって食料や衣料などを手に入れるのですが、この時に、無意識のうちに安全で獲物が取りやすい場所(店)が好まれるのは当然のことです。

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大昔の狩猟採集感覚

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現代の店の狩猟採集感覚


また、動物が移動する目的は主に狩猟となわばり活動の時なので、移動をすると無意識のうちに狩猟・採集やなわばり感覚が働きます。

現代人が「道」を移動する行為は、はるか昔、狩猟採集のために移動した行為を彷彿とさせます。近年、人々が激しく行きかう移動空間に多くの店が登場し、そうした場所でモノがよく売れるのは、移動するという行為そのものが狩猟・採集行為と深いつながりを持っているためです。

(3)接客しない「戸板一枚の店」

もっとも簡単な店の構造は、商品を並べて、その後ろに座るものです。
昔の「市の店」はこのような構造をしていました。

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「戸板一枚の店」の構造

日本の場合、店の基本は「戸板一枚の店」です。
戸板とは日本家屋の雨戸のことで、サイズは高さ約180cm、幅約90cmです。
通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座ると「店」になります。


このような店の店員と客はお互いに見知らぬ関係なので、日常の人間関係は生じません。すなわち、「戸板一枚の店」は、基本的に「接客しない」構造の店なのです。

なわばり感覚や狩猟採集感覚の強い客にとって、見知らぬ店員との間で行われるスリリングな駆け引きは大変大きな魅力です。

それでは、「戸板一枚の店」において生じる、客を引きつけたり遠ざけたりする店員のアクションを見てみましょう。

●戸板一枚の店における
  「客を引きつけたり遠ざけたりするアクション」の法則


①「いらっしゃいませ」というと客が遠ざかる
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②前に立っていると近づいてこない
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③他の客に接客中だと近づいてくる

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④作業をしていると近づいてくる
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⑤サクラパワーが生じると近づいてくる


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「戸板一枚の店」では、客と店員は見知らぬ関係なので、お互いが動き(アクション)によってコミュニケーションを行っていました。
このような動きのコミュニケーションは、現代の店にも大きな影響を与えています。

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2.第一世代の店「商店街と百貨店」の登場と衰退 

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4.店内にだけ「道」を作った第三世代の店の行きづまり

5.「移動空間」で繁盛している第四世代の店

6.リアル店舗を繁盛させる「新しい接客」

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