カテゴリー「◆過去のブログより」の52件の記事

2022年6月27日 (月)

33.こういう店が引き込み型店①店員空間が狭い場合(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

繰り返しご説明してきましたとおり、「店」の構造は「戸板一枚の店」が基本になっています。

「戸板一枚の店」とは、大勢の見知らぬ人々が行き交う路面に、「戸板一枚」の上に商品を並べて、その後ろに店員が座ることによって生まれる「店」のことです。

現在でも、「市」や「まつり」にだけ登場する露店商の「店」に、そのなごりを垣間見ることができます。

「戸板一枚の店」の構造と売り方をほとんどそのままに引き継いでいるのが、デパ地下によくある「店員空間の狭い接触型店」と「店員空間の広い接触型店」の店で、いずれも「商品空間」が通路に接しています。

その「商品空間」を通路から店内に引き込んで、「客空間」を店内に設けた店が「引き込み型店」です。

この構造は、かつての駅ビルや地下街などに多く見られましたが、商店街の店の大部分は、この構造となっています。

なぜならば、商店街の店では、お客様が店内の「客空間」に入ってゆっくりと買い物をしたり、商品が風雨にさらされて劣化するのを防いだりするために、この店舗構造が主流となったのです。

今回、ご説明する「引き込み型店」も、すでにご説明した「接触型店」と同様に、店員とお客様の人間関係に「戸板一枚の店の法則」が強く影響していることには、全く変わりはありません。

それでは、今回の「こういう店が引き込み型店①店員空間の狭い場合」を、お読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。 

33.こういう店が引き込み型店 

店頭には商品を陳列せず、店内にはいってはじめて商品が見られるようなタイプの店を引き込み型店といいます。 

つまり客を店の中に引き込んで販売をしようとする店のことです。

引き込み型店はその構造からいって、じっくり見て選ぶ種類の商品、たとえば贈答品や高額商品の販売に適しています。 

むかないのは衝動買いをされるような商品、たとえば持ち帰り品や日用品などです。 

引き込み型店は店内の店員空間の大きさによって店の性格が変わります。

①店員空間が狭い場合


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このタイプの店は駅ビルや地下街によく見られます。

つまり、比較的狭い面積の中に、なんとか引き込み型店を作ろうとすると、どうしても店員空間にしわよせがきてしまうからです。

実際には客空間が多少小さくなっても店員空間を十分にとったつくりにするほうが客を集めやすいのですが、店員空間の大切さがまだあまり理解されていないため、店員空間が犠牲になることが多いようです。

業種で多いのが和菓子店や洋菓子店、のりやお茶の店などです。

こうした店の中には、ケースの一部が通路に面するような、ちょうど接触型店と引き込み型店の中間のような店づくりをしているものもあります。

けれどもこの方法は扱い商品とうまくあわなかったり、商品空間の設計が中途半端で魅力の乏しいものになりやすく、成功例は少ないようです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。 

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2022年6月13日 (月)

32.客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

「店員空間が狭い接触型店」も「店員空間が広い接触型店」も共に、買わない客(ひやかし客)をいかに多く、いかに長く「商品空間)(店)引き留められることができるかが、売り上げを大きく左右するということについては、前回ご説明いたしました。

そのためには、「なわばり」主張の店員のアクションをできるだけ抑えて、「なわばり」解除の店員のアクションを行うことが非常に大切であることもご説明いたしました。

しかし、お客様を長く店頭や店内に引き留めるためには、「商品空間」そのものからも、「なわばり」解除のメッセージを伝える必要があります。

「商品空間」そのものから「なわばり」解除のメッセージを伝えるためには、「ひやかし安全信号」が発信されなくてはなりません。

それには、買うか買わないかに関係なく、お客様がしばらく眺めていたいと感じられる、商品の陳列の仕方やパッケージや商品を盛り立てるためのディスプレイを行う必要があります。

つまり、「商品空間」づくりは、お客様に買いたいと思わせる「商品空間」ではなく、お客様が眺めていても接客を開始されないから安心だと思わせる「商品空間」を目指すことが重要なのです。

いかに魅力的な商品であったとしても、先ずは大勢のお客様に見られなくては、何も始まらないからです。

それでは今日の、「客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ」をお読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

32.客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ

自分の店に客を集めようと思ったら、客を集めるための「しかけ」を用意しなければなりません。

このしかけはふつう商品空間の中にあって、客に対してあるメッセージを送り続けます。

このメッセージを受けた客はそれに反応して、ゆっくりと商品をながめていきます。

どうしたらそのようなしかけがつくれるのでしょうか。


P57
商品空間の中に置かれるものはふつうは商品だけです。商品だけが置かれた商品空間はこんなメッセージを客に送ります。

「お客さん、アナタはじっと商品を見てますね。それは商品に興味があるということですね。つまり買うということですよね!」

こういう店では店員も素早く声をかけてきます。

客はこうした信号には敏感なので、なかなか商品のそばによってきません。

もしも商品空間に商品以外のものがたくさん組みこまれていて、見るだけでも楽しそうに作られていたらどうでしょう。

その商品空間はこんなメッセージを送ります。

「お客さん、面白いでしょう。商品を買わなくてもいいんですよ。ゆっくり見ていってくださいね」

こういうメッセージを発する小物や道具を「ひやかし安全信号」といいます。

こういう店の店員は「商品空間を見る」=「商品を買う」とは思わないので、急には声をかけてきません。

そこで客はますます安心して商品を検討します。

商品を見る客がふえればふえるほど、当然、買う客もふえます。

すると店員は自然と接客作業に追われて、店員のなわばりが解除され、ますます客をひきつけます。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


続きは次回に…。

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2022年6月 6日 (月)

31.客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

「店員空間の広い接触型店」の「商品空間」も、「店員空間の狭い接触型店」の「商品空間」も、両方ともお客様が行き交う通路に面した位置にあります。


Photo  ←店員空間の狭い接触型店
Photo_2←店員空間の広い接触型店

同じ条件に位置する「商品空間」(上のイラストのブルーの部分)であるのに、「店員空間の広い接触型店」の「商品空間」の方が「なわばり」が解除されやすいのは、「店員空間が広い」分だけ店員の「なわばり」主張が弱まるためです。

しかし、「店員空間の狭い接触型店」であっても、「店員空間の広い接触型店」に負けずに「なわばり」を解除する方法があります。

それは、ひやかし客をできるだけ長く引きとめておくということです。

買う客も、買うか買わないかわからない客も、買う気が全くない客も、全ての客が両方の店にとっては、非常に大切な「サクラパワー」となります。

なぜならば、買うか買わないかに関係なく、「商品空間」(この場合は店)の前に立ち止まる客は、必ず「サクラパワー」となって通行客を引きつける役割を果たしてくれるからです。

したがって、お客様が「商品空間」に近づいて来たリ、「商品空間」を眺めはじめたりしても、決してすぐには接客を開始してはいけないのです。

商品を眺めたり、検討したりするお客様の姿は、「サクラパワー」となって、通行客を引きつけてくれるからです。

こうして、「店員空間の狭い接触型店」も「店員空間の広い接触型店」に負けずに「なわばり」を解除することができます。

このように、「接触型店」の店に限らず、全てのリアルショップの競争においては、買わない客(冷やかし客)をどれだけたくさん「商品空間」の前(店内)に立ち止まらせることができるかどうかが、勝負を大きく左右します。

それでは今回の、「客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除」をお読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

31.客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除

どんな店でも、客に商品を見てもらえない限りそれを売ることはできません。

そこで大切になってくるのは、どれだけ客が見やすい商品空間を創造することができるかということです。


Photo
最も簡単で、しかも最も重要なのは、商品空間のなわばりを解除して客が自由に見たり迷ったり選んだりできる状況を作ることです。

これは店員空間が狭い店でも広い店でも同じことです。

そのためには、まず店員が商品のすぐうしろや前にじっと立つこと(客追い踊り)をやめるようにします。

同時に、近づいてきた客にすぐに声をかけること(客追い音頭)もやめます。

そのかわりにしていても不自然でない仕事(たとえばケースをふく、商品を補充するなど)をいくつか考えて、常にアクションを続けられるようにします。

客が近づいてきても、いよいよ声をかけられるまではアクションを続けます。

店員空間が広い場合はできるだけ移動するようにします。

時々、百貨店内の贈答用菓子売り場などで店員がケースの前に出て客待ちをしている店があります。

これでは商品空間が店員のなわばりに侵されてしまうので、ひやかし客が近づけません。

たとえひやかしであっても客がケースの前に立ってくれることは大変ありがたいことなのです。

客が一人でもつけばその場のなわばりが解除され、二人目の客はますますつきやすくなります。

近づいてくる大切な客を追い払うようなことをしてはいけないのです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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2022年5月30日 (月)

30.店員空間が広い場合のアクション術②みんなで動けば活気が溢れる(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

「店員空間が狭い接触型店」の店員のアクション術に引き続き、「店員空間が広い接触型店」のアクション術についてご説明しています。

「店員空間の広い接触型店」とは下のような構造の店のことです。

Photo

この店舗構造が生み出す、「客を遠ざける店員のアクション」については前回にご説明しましたが、今回は「客を引きつける店員のアクション」をご説明します。

「店員空間の広い接触型店」で、多くの店員が「なわばり」解除のアクションを行うと、より強力な「なわばり」解除の店員のアクションとなって、大勢の客を引きつけます。

それでは今回の、「店員空間が広い場合のアクション術②みんなで動けば活気が溢れる」をお読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

30.店員空間が広い場合のアクション術②みんなで動けば活気が溢れる

◆客寄せ踊りと客寄せ音頭

せっかくの広い店員空間を利用しないという方法はありません。

数人の店員が「仕事中」のアクションをすれば店員のなわばりは解除され、そのアクションが多くの客をひきつけます。

店員が忙しそうに働いている店には活気があります。

活気があって店員がよく働いている店と、活気がなくてまるで死んだような店を比較して考えると、どちらに魅力があるかは明らかです。

客をひきつけるアクションのポイントは、たとえ客が一人もいないときでも(むしろいないときこそ)、全員が元気よく動き続けるということです。

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そんなときに店頭のほうをむいてじっと立ち止まっていては、近づくはずの客まで追い払うことになってしまいます。

アクションを続けている限り、ある程度の通行量さえあれば必ず客がつきます。

客がつけば注文された店員は本物の接客アクションをすることができます。

客が店頭に立ち止まってもあせって声をかける必要はありません。

客のほうから声をかけてきたときに、すみやかに対応すればいいのです。

店頭の客数がふえてきたら、アクションはますますキビキビするようにします。

店員が一生懸命に働いている様子がわかれば、客は怒らずに待っています。

こうした一連の客を呼ぶアクションを「客寄せ踊り」といいます。

また、接客終了時の「ありがとうございました」という店員の声につなげて、全員が口々に「ありがとうございました」と言ったり、店長などの音頭に従って、時々、「いらっしゃいませ」、「お待たせいたしております」といったかけ声をかけることも、店内の活気を盛りあげるのに役立ちます。

このように客をひきつける店員の声を「客寄せ音頭」といいます。

◇個性よりも集団イメージが大切

こういうタイプの店では、店員の個性はなんの役にもたちません。

大切なのは全員がきちんと同じユニホームをつけて、まるで全体が一つの生きもののように動くことです。

一人だけ目立つような突飛なスタイルは全体の調和をこわして浮いてしまうだけですから、やめておかなければなりません。

ユニホームは店の雰囲気を盛りあげるうえで非常に大きな役割を果たすので、慎重に選ばなければなりません。

店員の存在そのものがあまり気にならないような、落ち着いたユニホームを選ぶことが効果的です。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

続きは次回に…。

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2022年5月23日 (月)

29.店員空間が広い場合のアクション術①店員が並んでいては客がこない(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

百貨店の食品フロア(デパ地下)は、現在でもほとんどが「店員空間の狭い接触型店」で構成されていますが、ごく限られた店だけは「店員空間の広い接触型店」になっていることにお気づきでしょうか?


Photo_3※店員空間の広い接触型店

「店員空間の広い接触型店」であっても、店員のアクション次第では、客を遠ざけてしまいます。

東京の百貨店に「店員空間の広い接触型店」が初めて登場したのは、1983年に池袋の西武百貨店に出店した「叶庄寿庵」の店でした。
「叶庄寿庵」は、その10年前に大阪の「阪急百貨店うめだ本店」に出店すると同時に爆発的な売り上げを上げて大変な人気になっていました。

「店員空間の広い接触型店」は、「店員空間の狭い接触型店」よりも、「なわばり」解除の店員のアクションが生じやすい分、大変有利な店舗構造ですが、上のイラストのように店員が間違ったアクションを行うと、やはり客を遠ざけてしまいます。

さて今回は、「店員空間が広い場合のアクション術①店員が並んでいては客がこない」のご説明です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。 

29.店員空間が広い場合のアクション術

①店員が並んでいては客がこない

店員空間が広い店は、店員空間が狭い店に比べてはるかに有利な環境を持っています。

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店員空間が広ければ店員は商品から離れたところに立っていられるので、たとえアクションが下手でもあまり気になりません。

客は店員を意識せずに商品を見ることができます。

ところがこんなに有利な店員空間も、使い方をまちがえると最悪の結果を招くことになります。

たとえば数人の店員が商品のうしろにズラリと並んで客待ち態勢をとったとすると、その店員のなわばり主張の強さは大変なものです。

そのうえ積極的なアプローチをかけてきたとしたら、気の弱い客はとても立ち止まれません。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。 

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2022年5月16日 (月)

28.店員空間が狭い場合のアクション術④そ知らぬふりが成功の秘訣(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

「店員空間が狭い接触型店のアクション術」として、三回に渡って①店員がじっと立っていると客を遠ざける②積極的なアプローチは客を遠ざける③店員の動きが客を呼ぶ

以上についてご説明してきました。

なお、「店員空間が狭い接触型店」とは次のイラストのような構造をした店のことです。

Photo_20220513124501
さて今回は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その4) そしらぬふりが成功の秘訣」というご説明です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください

28.店員空間が狭い場合のアクション術④そしらぬふりが成功の秘訣

一人も客がいないときこそ、店員は「仕事中」のアクションを続けなければなりません。

そうしているとやがて客が商品にひきつけられてやってきます。

「来た来た、お客さんがやって来たぞ!」

このとき思わず客の方を見たくなるのは、ごく自然な反応です。

けれども「売れる店員」になろうと思ったらここはぐっと我慢しなければなりません。53

なぜなら客はびっくりするほど店員の動きに敏感で、ちょっとでも売る気を見せるとすぐに逃げていってしまうからです。

特に「まだ買うかどうかはわからないけれど、興味があるからもう少し見ていたい」という段階の客はなおさら、店員と目があっただけで、スーツといなくなってしまいます。

こういう人たちは店員に「商品に興味があることを見抜かれた」だけでも自分の安全をおぴやかされたように感じるのです。

「売れる店員」はそしらぬふりをしてタイミングをはかるのがとても上手です。

そして一度客から声をかけられたら、キビキビと対応するので客に怒られることも少ないのです。

このように、「売れる店員」たちは、明らかに客をひきつける方法を知っています。

ところが従来いわれてきた販売方法のほとんどが非常に論理的なものだったために、このような感覚的な方法は受けいれられませんでした。

また、客をひきつける方法を知っていた店員のほうも「そしらぬふりをする」などという失礼なことが売れるノウハウになるということに確信がもてなかったのです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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2022年5月 9日 (月)

27.店員空間が狭い場合のアクション術③店員の動きが客を呼ぶ(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

コロナ禍とはいえ、大勢の客で賑わう「デパ地下」のほとんどの店は、現在でも「店」の原型とも言える「店員空間が狭い接触型店」で構成されています。

ネットショップが普及して、買い物と言えば「ネットショップで気軽に」という現在にもかかわらず、「デパ地下」に大勢の客が引きつけられる要因は、実は「デパ地下」全体が昔ながらの店舗構造と販売方法を採用した、「店員空間が狭い接触型店」で構成されているためです。

それでは、なぜ人は「デパ地下」の店が好きなのでしょうか?

なぜ人は、「デパ地下」の店に無意識にひきつけられるのでしょうか?

このことを少しでも多くの方々に知って頂くことを期待しつつ、このブログを続けています…。

さて今回は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その3) 店員の動きが客を呼ぶ」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

27.店員空間が狭い場合のアクション術(その3) 店員の動きが客を呼ぶ 

◆客寄せ踊りと客寄せ音頭 

店員のなわばりをできるだけ小さくすること、これが店員が果たすべき役割なのです。

そのためには店員が動くことが大切です。

店員が何かの仕事をしているというアクションは「店員が客以外のものに気をとられているので、商品に近づいても安全である」というメッセージを伝えます。

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それではここで「売れる店員」の行動を観察してみましょう。

彼らの動きを見たら一般の人は「ヤル気」がないのではないかと思うはずです。

客が近よってきてもちっとも「いらっしゃいませ」といわないし、それどころかあまり客のほうを見ようともせず、ケースをふいたり、商品を並べかえたり、伝票の整理をしたりという仕事をしています。

他の店員からただよってくる「売ってやろう!」という気配が、この人からは全然感じられないのです。

もちろん、注文を受ければキビキビと対応し、笑顔を見せて接客しています。

「売れる店員」がしている、客をひきつける店員のアクションを「客寄せ踊り」といいます。

またこの店員が接客中の客にかける声を「客寄せ音頭」といいます。

客寄せ踊りや客寄せ音頭は店員のなわばりを解除し、客が商品に近づくチャンスを増やします。

ところで「売れる店員」を見ていると、驚くべきことに気がつきます。

この店員の仕事は一日中「決して終わらない」のです。

つまりこの人は、本当にしなければならない作業が終わってしまった後でも、なんらかのアクションを続けることによって客をひきつけることを知っているのです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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2022年5月 2日 (月)

26.店員空間が狭い場合のアクション術(その2)(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

約35年前の1986年に、拙著「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)で、「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」だということをご報告をして、全国の様々な多くの販売関係者の方々から、大きな反響を頂く結果となりました。

「いらっしゃいませ!」を言うとなぜ客が遠ざかるのか?

客が来たのになぜ「いらっしゃいませ!」と言ってはいけないのか?

以上の二つが、一番多く関心を持たれたテーマでした。

その二つの疑問に対する答えは、買わないで冷やかすだけの客や、買うか買わないかが決まっていない客にとっては、早過ぎる「いらっしゃいませ!」は、「なわばり」を主張する店員のアクションになり、客が店から遠ざかってしまうから、というものでした。

このことは、当時の販売関係者の皆様には、大変新鮮な報告として受け入れられました。

しかし、スーパーマーケットが日本の各地に普及し、コンビニエンスストアがその後を追いかけるようにして普及してきたことによって、「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」だという考え方は、急速に忘れられていきました。

なぜならば、スーパーやコンビニは「セルフサービス方式」であるため、「いらっしゃいませ!」を言っても客を遠ざけない店だったからです。

それに加えて、ネットショップの時代を迎え、いよいよ、「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」だという考え方は、埋もれて行ってしまったのです。

ところが、電車や地下鉄などの交通機関の改札口の内外の移動空間(駅ナカ、駅ソト、駅チカ)に新しい商業集積が登場してくるにつれて、再び、「いらっしゃいませ!」は、客を遠ざける店員のアクションであることが、やや注目されたことも事実でした。

なぜならば、大勢の見知らぬ人が行き交う移動空間に登場してきた店の大部分は、「セルフサービス方式」ではない店の構造と接客方法の店だったからです。

しかし、誰もが想像さえしなかった世界的なコロナ禍と、急速に進化を繰り返す「スマホ」のますますの普及によって、いよいよ「店」と言えば「ネットショップ」というイメージが定着化しつつある現在、「店」(リアルショップ)本来の役割や機能が見失われてゆこうとしています。

さて今回は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その2) ②積極的なアプローチは 客を追い払う」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

26.店員空間が狭い場合のアクション術(その2)

  ②積極的なアプローチは 客を追い払う 

◆客追い踊りと客追い音頭

 このような狭い店で、特にしてはならないことは積極的なアプローチです。

普通、熱心でヤル気のある店員ほど「こんなに狭い店で売り上げを伸ばそうとするなら、とにかく積極的に売るしかない」と考えがちです。

けれども、それこそこんなに狭い店で、店員がなわばりを広げたら、客がよってくるスキがありません。


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まだその商品を買うかどうか決めていない客はたいへんに憶病で店員の様子に非常に敏感です。

そのため客がまだ商品をひやかしている間に強いアプローチを受けると、さっさとよその店に行ってしまいます。

このようなアプローチをかける店員のアクションや店内を占領している様子を「客追い踊り」といいます。

さらにこのときに客にかける「いらっしゃいませ」、「何をお探しですか」等の声を「客追い音頭」といいます。

客にとっても感じが悪く、売り上げにも悪影響を及ぼすにもかかわらず、どうしてこの積極的アプローチが影をひそめないのでしょうか。

考えられる理由の第一は、そうして声をかけると中には買う人がいるということでしょう。

客はすでに何かを買おうと決心しているときには店員のアプローチにもたじろぎません。

あるいは一人の客にアプローチをしているすきに他の客が注文することもあるからです。

第二の理由はおそらくモラル上の問題でしょう。

客が近くに寄って来ているのに、店員があいさつもしないのは失礼だという考え方が、今日の店員教育の中にも根強く残っているのです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


続きは次回に…。

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2022年4月25日 (月)

25.店員空間が狭い場合のアクション術(その1)(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

デパ地下などの食品フロアの店の構造は、現在もそのほとんどが「店員空間の狭い接触型店」で、ごく限られた店だけが「店員空間の広い接触型店」であることを、前回までにご説明しました。

なぜ、この状況が変化して来なかったかは、店本来の性質に深い関係があります。

店本来の性質とは、店は店員の「なわばり」であるために、「戸板一枚の店」の「商品空間」を挟んで、店員と客とが「なわばり」の攻防を交わしつつ、売買が行われるということです。

したがって、店員が「なわばり」を主張するアクションを行えば客は遠ざかりますが、反対に「なわばり」を解除するアクションを行えば客を引きつけることができるのです。

一部の「達人店員」は、意識的に「なわばり」を解除するアクションを行って客を引きつけていますが、大部分の店員はその理解がないために、ついつい「なわばり」を主張するアクションを行っては客を遠ざけてしまいます。

しかし、「なわばり」を主張する店員の店にも、「なわばり」を解除する店員のアクションが生じたり、客が客を呼ぶ「サクラパワー」現象が起きたりなどして、必ず客を引きつける状況が生じます。

そしてまた客自身も、店員との「なわばり」の攻防が全く無い店ばかりの所で買い物がしたいとは望んでいません。

なぜならば、見知らぬ店員との「なわばり」の攻防を行いつつ、少しでも有利に商品を手に入れようとする行為こそが、買い物の醍醐味だからです。

以上のような理由で、ごく一部の店を除いた大部分のデパ地下の店は、「店員空間の狭い接触型店」のまま、現在に至っているのです。

どうぞ、実際にデパ地下の現場行って、「店員空間の広い接触型店」は、ごく限られた店だけであることを確認してください。

そして、もしも全ての店が、「店員空間の広い接触型店」の構造ばかりになった場合の、魅力の無いデパ地下の様子をも想像してみてください。

さて今回は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その1)」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

 25.店員空間が狭い場合のアクション術(その1)

①店員がじっと立っている店は客を遠ざける 

店員が立っているのが精一杯という店は数多くあります。

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こういう店での店員の動きを調べてみると、商品や陳列ケースにはりつくようにしてじっと立っていることが多いのです。

この「じっと立っている」という店員のアクションは、客に「客が来るのを今か今かと待っている」というなわばり主張のメッセージを伝えてしまいます。

実際、店員が前方を向いてじっとしている状態の店には、あまり客が近づいてきません。

店員がこのようにじっとしているのは、必ずしもなまけているわけではなくて、次のような理由が考えられます。

①店の規模が小さいので作業がすぐ終わってしまう。

②「客待ち態勢」を教育されており、それを実行している。

①のほうは、作業がないのでじっとしている→客が来ない→接客作業がない→客が来ないという悪循環をつくりだします。

また②のほうは、客が来ない状況をわざわざ自分からつくっているようなものです。

もちろん、店頭に店員がじっとしているからといって、全く客が来ないわけではありません。

通行量がふえる時間帯にはよく売れる状況になることもあります。

このことが、長い間、店員のアクションのまちがいを見のがす結果になったのです。

より売り伸ばそうと思うなら、じっと立っていることはやめなければなりません。 

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

続きは次回に…。 

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2022年4月18日 (月)

24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

ネットショップの普及に加えて、なお続くコロナ禍によって、「リアルショップ」(「店」)の本来の性質や役割について、多くの人たちがなんとなく気づきはじめてきています。

このシリーズでは、敢えて昔の「店」(リアルショップ)の情報を提供することによって、「リアルショップ」の本来の性質や役割について、できるだけ多くの方々に知って頂くための一助となることを期待しています。

さて、デパ地下の店は、「接触型店」(店舗構造)で構成されています。

しかも、ほとんどの「接触型店」は店員空間に店員が立っているのがやっとという程度の、「店員空間の狭い接触型店」となっています。

デパ地下は、「戸板一枚の店」に近い「店員空間の狭い接触型店」が主流であるからこそ、多くの客を引きつける売り場なのです。

「戸板一枚の店」の構造を引き継いでいる「店員空間の狭い接触型店」は、実は、「客を引きつけたり遠ざけたりする性質」をも引き継いだ店なのです。

かつて、ほとんどの百貨店の販売関係者はそのこと気づいていませんでしたが、ごく一部の「達人店員」だけはそのことに気づいていて、狭い店員空間の中で、できるだけ客を遠ざけるアクションをしないで、できるだけ客を引きつけるアクションを行うことによって、高い売り上げをあげていました。

そんなデパ地下に、初めて「店員空間の広い接触型店」をオープンさせたのは、梅田の阪急百貨店の「叶匠寿庵(かのうしょうじゅあん)」でした(1970年代)。

デパ地下において、「店員空間の広い接触型店」は、従来からの「店員空間の狭い接触型店」に対して、圧倒的に有利でした。

なぜならば、「店員空間の狭い接触型店」では、「なわばり」主張の店員のアクションが生じやすいのに対して、「店員空間の広い接触型店」では、「なわばり」解除の店員のアクションが生じやすいからです。

その後次第に、デパ地下の店は、店員空間が広く作られるようになってきたのです。

しかし、現在でも、多くの販売関係者の方々は、店員空間の狭い店は、店員空間の広い店に比べて、非常に不利な構造であるという理解はありません。

したがって、百貨店側は、ごく一部の店にだけ広い店員空間をつくれるスペースを提供して、大部分の店には、店員空間を広くつくれないスペースを割り振っているのが現状です。

よって、大富豪(大貧民)ゲームのように、店員空間の広い店は極めて有利で、店員空間の狭い店は極めて不利な条件が課せられたまま、商売を続けることになるのです。

このように、リアルショップの「店」は、店員が「なわばり」を主張するか解除するかによって、大きな業績差が生じているのです。

さて今回は、「こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)

②店員空間が広い場合 

49

 一般に接触型店は、その特性上、通行客が非常に多い立地に作られます。

通行客の多い場所ほど地価が高いために、広い販売スペースを持った大きな店を出すことは難しく、自然と店の規模が小さくなります。

店が小さくなるほど店員空間を十分にとる余裕がないので、どうしても店員がなわばり主張をしてしまいがちな、不利なレイアウトをとることになってしまいます。

それでも、通行客が多いということは、売り上げをあげるために非常に有利な条件なのです。

このように、接触型の店では店員空間が狭いのが普通です。

けれども、中には、通行客が多い通路に面した接触型店で、店員空間の広い店も存在しています。

百貨店内の非常に通行客の多い通路に面していて、なおかつ広い店員空間を持っている店では、たいへん有利な販売方法が展開できます。

店員が広い店員空間を使ってアクションをすることによって、店全体のなわばりが解除され、客が非常に近づきやすい状況をつくり出すことができるからです。

そのため、このタイプの店はたいてい繁盛しています。

同じ条件の店でも、通行客が少ない立地では成功は難しいでしょう。

接触型店で売る商品そのものの特性からいって、どうしても通行客数が多いことが必要です。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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