カテゴリー「◆2021三空間店舗分析」の6件の記事

2021年3月 9日 (火)

再び移転した「東横のれん街」は、どう変わったのか?-----東京・渋谷「東横のれん街」の三空間店舗分析(その6)

こんにちは。

このシリーズは、再び移転した現在の渋谷ヒカリエの「東横のれん街」が、かつての「東横のれん街」に比べて何がどのように変化してきているのかについて探っています。

因みに「東横のれん街」は、1951年(昭和26年10月)に老舗を集めた日本初の「名店街」として東京・渋谷の東横店に開業し、長年にわたって多くの客を引きつけてきましたが、2013年(平成25年4月)に渋谷マークシティの地下1階に移転し、そして再び2020年(令和2年4月)に渋谷ヒカリエのB2&B3に移転しました。

↓渋谷ヒカリエ全景
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さて、ここまで現在のヒカリエにある「東横のれん街」と、渋谷マークシティにあった「東横のれん街」と、東横店にあった「東横のれん街」それぞれの三空間店舗分析を順次行ってきましたが、三つの「東横のれん街」は共に、(1)同様の店舗構造を持ち、(2)同様の店員と客のアクションが行われ、(3)同様のメッセージを発信し続けてきていることがお分かり頂けたと思います。

(1)同様の店舗構造とは次の二つの店舗構造です。
①店員空間の狭い接触型店
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②店員空間の広い接触型店
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(2)同様の店員と客のアクションとは次のアクションです。
①客を引きつけるアクション
(A)接客中の店員のアクション

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(B)作業中の店員のアクション

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(C)サクラパワー現象が生み出す店員のアクション

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②客を遠ざけるアクション
(A)店員空間の中でじっと立つ店員のアクション
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(B)店頭に出てじっと立つ店員のアクション

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(C)早すぎる「いらっしゃいませ!」という店員のアクション

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(3)同様のメッセージとは次の六つのメッセージです。
①見知らぬ人歓迎のメッセージ
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②浪費は美徳のメッセージ
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③返礼不要のメッセージ
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④狩猟解禁のメッセージ
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⑤もっともらしい理由のメッセージ
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⑥性をほのめかすメッセージ
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そして同時に、かつて東横店にあった「東横のれん街」の出入口が、JR・私鉄・地下鉄・バスの改札口に直結した、他に類を見ない強力な移動空間に立地していた ことによって、客に対して発信した「六つのメッセージ」が、現在の渋谷ヒカリエの「東横のれん街」とマークシティ時代の「東横のれん街」に比べてはるかに強烈なものであったかについてもお分かり頂けたと思います。

つまり、現在の渋谷ヒカリエにある「東横のれん街」が客に対して発信している「六つのメッセージ」、なかでも「見知らぬ人歓迎のメッセージ」は、かつての東横店の「東横のれん街」が発信した「見知らぬ人歓迎のメッセージ」に比べて大変弱くなっているのです。

以上が、再び移転した現在の渋谷ヒカリエの「東横のれん街」が、かつての「東横のれん街」に比べて何がどのように変化してきているのかについての答えなのです。

続きは次回に…。


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2021年3月 1日 (月)

1991年当時、2013年当時、そして現在の「東横のれん街」は、何がどう変わったのか?----東京・渋谷「東横のれん街」の三空間店舗分析(その5)

こんにちは。

前々回までは、2020年4月に渋谷ヒカリエに移転した現在の「東横のれん街」の三空間店舗分析を行ってきました。

そして前回は、2013年6月10日のブログ----「道」を失った「東横のれん街」の現状-----をご紹介しました。

今回は、2016年7月3日のブログ----1991年当時の東横のれん街の「一見接客」と、移転後の東横のれん街の違いとは?----をご紹介します。

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このシリーズでは、約25年前(1991年当時)、お客様を「一見客・いちげんきゃく」(見知らぬ客)として迎え、「一見接客・いちげんせっきゃく」を提供することによって、大勢のお客様を引きつけた店をご紹介します。

現在、「移動空間」に立地して、大勢のお客様に人気の「駅ナカ・駅ソト」ショップにおいても「一見接客」が提供されています。

つまり、25年前も、現在も、お客様には「一見客」(見知らぬ客)となって買い物がしたいという強い願望があるのです。

さて今日は、25年前(1991年当時)の東京・渋谷の「東横のれん街」が大勢のお客様で賑わっていた様子についてご紹介いたします。

1951年に登場して以来61年間、食品フロアとしては珍しく地上1階にあった「東横のれん街」は連日大勢のお客様で賑わい、2013年4月に近くの渋谷マークシティに移転しました。

1991年当時の「東横のれん街」は、いったい現在の「東横のれん街」と何が違っているのでしょうか?

当時の店の「一見接客」が吹かせた「市の風」は、現在も健在なのでしょうか?

(以下のイラストは、「新しい客がどんどん来る店」・日本経済新聞社・1991年より抜粋したものです。)

(1)典型的な「駅ソト」ショップであった「東横のれん街」は、JR、私鉄、地下鉄、バスの改札口に直結した、強力な「移動空間」に立地した店だったのです。

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↑1991年当時の東横のれん街の様子


(2)ほとんどの店が、「店員空間の狭い接触型店」で構成され、「見知らぬ客」に対して「一見接客」が提供されていました。

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↑「店員空間が狭い接触型店」

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   ↑ お客様の注文を受けた後から接客を開始する「一見接客」


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↑1991年当時の東横のれん街の様子

(3)交通機関を利用した大勢の「移動客」が行き交う店内通路は、順番を待って並ぶ客の姿によって、次々と他の客を引きつける「サクラパワー現象」が引き起こされやすい環境でした。

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↑1991年当時の東横のれん街の様子

(以上のイラストは、「新しい客がどんどん来る店」・日本経済新聞・1991年より抜粋したものです)

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2013年4月に近くの渋谷マークシティに移転するまでの「東横のれん街」が、大勢のお客様を引きつけた最大の要因は、この店の出入り口が、JR・私鉄・地下鉄・バスの改札口に直結した、他に類を見ない強力な移動空間に立地していたことでした。

「東横のれん街」は、ここを目指して来る「従来顧客」(リピート客)に合わせて、移動客として店内通路や店内通路のすぐそばを移動する「新規顧客」によって、連日大勢のお客様で賑わっていたのです。

リアルショップは一にも二にも「立地」であることを、近年の「駅ナカ・駅ソト」ショップが証明しています。

行き交う大勢の「見知らぬ客」と「見知らぬ店員」、そして、通行客がとどまることのない「移動空間」こそが、売れる「リアルショップ」になるために不可欠な条件なのです。

移転後の「東横のれん街」が、かつての「東横のれん街」になれない要因は、間違いなくここにあるのです。

続きは次回に…。

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2021年2月22日 (月)

2013年、渋谷マークシティに移転した「東横のれん街」は、何がどう変わったのか?-------東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析(その4)

こんにちは。

東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」は、1951年(昭和26年)に老舗を集めた日本初の「名店街」として東横店・東館に開業し、2013年(平成25年)に渋谷マークシティの地下1階に移転し、再び2020年4月に渋谷ヒカリエに移転しました。

その「東横のれん街」は移転を繰り返しながら何をどのように変化させていったのでしょうか?

前回までは、そのことを探るために、現在の渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析を行ってきました。

そして、現在の「東横のれん街」を構成する①「店員空間が狭い、接触型店」、②「店員空間が広い、接触型店」、③「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」の店が客を引きつけるために提供している「なわばり解除の店員のアクション」と、客を引きつけるために発信している「六つの誘惑のメッセージ」についてご説明してまいりました。

さて今回は、2013年の渋谷マークシティの地下1階に移転した「東横のれん街」の様子を報告しましたかつてのブログ(2013年)をお読みいただき、現在の渋谷ヒカリエの「東横のれん街」との違いについて研究したいと思います。

●「道」を失った「東横のれん街」の現状(2013年6月10日のブログより)

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↑マークシティービル1階の玄関付近(2013年)

老舗を集めた日本初の食品名店街として、1951年(昭和26年)に開業した「東横のれん街」は、渋谷駅に隣接する渋谷マークシティの地下1階に、移設オープン(4月4日)して、二か月以上が経過しました。

「東横のれん街」は、従来は、渋谷駅の各交通機関の中心にあり、特に東横線改札口前という最高立地に位置していました。


ところが今年の4月に、「京王井の頭線渋谷駅に直結した複合施設「渋谷マークシティ」地下1階は、立地条件としてはかなり後退した位置に移設しました。

私たちはそのことによって生じる、「来店客の導線の変化」及び「吸引力の変化」について観察を続けています。

●「東横のれん街」は、「東急フード-ショー」を通り抜けた奥にあります。

日本初の「デパ地下」と言われながら、その実、食品フロアとしては異例ともいえる「地上一階」の立地にあった「東横のれん街」は、「地下一階」に移設し、しかも「東急フード-ショー」を通り抜けた奥にあります。

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(グリーンゾーンの「東急フードショー」の奥に、レッドゾーンの「東横のれん街」が位置しています)

●多くの交通機関に接続した「東急フードショー」

「東急フードショー」は、①JR線、②東京メトロ半蔵門線、③東京メトロ副都心線、④東急田園都市線 ⑤東急東横線の、渋谷駅への連絡通路に面しています。大勢の通行客が行き交う通路に面した店は、大勢の客を吸引することができます。

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(各交通機関につながる東急フードショーの出入り口)

●「東急フードショー」の店員のアクションと客のアクション

大勢の客で賑わう「東急フードショー」では、

①接客中の店員のアクション
②作業中の店員のアクション
が展開されていて、いずれも「客を引きつける店員のアクション」です。
また
買い物客や冷やかし客によって生じる「サクラパワー」が、回遊通路に賑わいを生み出し、多くの通行客を引きつけています。

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(「サクラパワー」が通行客を引きつけています)


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(接客中や作業中の店員のアクションが客を引きつけています)


●「東横のれん街」と、「東急フードショー」の連絡通路

地下1階「東横のれん街」のメインの入り口は、「東急フードショー」からの連絡通路を通り抜けて来る客と、地上からエスカレーターでおりて来る客を迎え入れる構造になっています。


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(「東横のれん街」側から見た「東急フードショー」の出入り口の風景)

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(「東急フードショー」側から見た「東横のれん街」の風景。右側は地上からおりてくるエスカレーター)

●「東横のれん街」の店員と客のアクション

「左右二本の主要通路によって細長くレイアウトされた「東横のれん街」は、「東急フードショー」にくらべて、ゆったりと買い物ができる雰囲気がしますが、ごった返す賑わいは少なくなっています。

そのために、同じ時間の「東急フードショー」に比べて、
①接客中の店員のアクション
②作業中の店員のアクション
が、途切れる状況が起きやすく、
その場合は、
①じっと立って客を待つ店員のアクション
②早すぎる「いらっしゃいませ!」
という、「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすくなっています。

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(「東急フードショー」に比べて通行客が少ない)

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(通行客が少ないために、「客を遠ざける店員のアクション」が生じやすい)

 

●京王井の頭線を下車した客の導線

京王井の頭線渋谷駅の改札を出た客は、①JR線、②東京メトロ半蔵門線、③東京メトロ副都心線、④東急田園都市線、⑤東急東横線の渋谷駅方面の連絡通路と、左側の渋谷駅前スクランブル交差点方面へと進みます。

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(左半分がエスカレーターへ向かう客、右半分が各交通機関へ向かう客)

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京王井の頭線渋谷駅を下車した大勢の客は、駅前スクランブル交差点方面にエスカレーターで向かいます。この地上真下に「東横のれん街」が位置しています。

 

●通行客の導線からはずれた「東横のれん街」 

従来の「東横のれん街」は、JR、私鉄、地下鉄を利用する通行客が非常に多い連絡通路に面していましたが、現在の「東横のれん街」は、それらの連絡通路には面しない地下1階に立地しています。

そのために各交通機関へ向かう通行客が移動中に立ち寄る導線からは、はずれているのです。

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●「戸板一枚の店」の魅力を提供してきた「東横のれん街」は、今後何を提供するのか?

「東横のれん街は」、日本初の「デパ地下」と言われながら、その実、食品フロアとしては異例の「地上1階」の立地にあったことが、かえって大きな人気を呼ぶ食品街になっていったという背景があります。
多くの交通機関の利用客が行き交う「道」に面することによって、「東横のれん街」は、東急百貨店・東横店からは独立したイメージの店として受け入れられてきました。

また、食品フロアの店舗構造が、六尺ケース(ショーケース)一本を基本とした、「店員空間が狭い接触型店」の構造の店で構成されることによって、見知らぬ大勢の客が行き交う「市」の店というイメージが確立されてきたのです。


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戸板一枚の店」とは、通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座って売る店のことです。

かつての「東横のれん街」は、見知らぬ相手と戸板一枚の距離を隔ててスリリングなコミュニケーションや駆け引きを行うことも、大きな魅力の一つだったのです。

ところが、現在の「東横のれん街」は移設に伴って、大勢の見知らぬ客が行き交う「道」を失い、同時にその「道」に存在する魅力的な「戸板一枚の店」をも失い、かつての強力な「吸引力」を失いつつあります。

今後、「東横のれん街」が以前のにぎわいを取り戻すためには、繁盛店にとって不可欠な「道」と「戸板一枚の店」をいかにしてつくりだすかということが大きなカギとなってくることが予測できます。

以上、2013年6月10日のブログーーー「道」を失った「東横のれん街」の現状---です。

続きは次回に…。

 

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2021年2月15日 (月)

「東横のれん街」の店が客を引きつけるために発信している「六つのメッセージ」とは?----東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析(その3)

こんにちは。

1951年(昭和26年)に老舗を集めた日本初の「名店街」として東横店・東館に開業した「東横のれん街」は、2013年(平成25年)に渋谷マークシティの地下1階に移転し、再び2020年(令和2年)4月に渋谷ヒカリエに移転しました。

その「東横のれん街」は、移転を繰り返しながら何をどのように変化させていったのかを探るために、まずは渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析を行っています。 

前回までは、東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の「店」を構造別に分類し、
①「店員空間が狭い、接触型店」
②「店員空間が広い、接触型店」
③「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」
の構造をした店における、客を引きつけたり遠ざけたりする店員と客のアクションについて説明してきました。

さて今回は、「東横のれん街」の全体の店が客を引きつけるために発信している、「六つのメッセージ」について説明いたします。

「店」は店の前を行き交う大勢の通行客に対して、来店や購入を促進するために様々な「誘惑のメッセージ」を必ず発信しています。


そして客にとっては、この「誘惑のメッセージ」こそがリアルショップの大きな魅力となっているのです。

↓渋谷ヒカリエB3出入口の様子
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↓「東横のれん街」店内(B2)の様子
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(1)見知らぬ人歓迎のメッセージ(誘惑のメッセージ①)

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様々な大勢の通行客が行き交う通りに接した「店」からは、「初めての方ほどどうぞいらっしゃいま!」という「見知らぬ人歓迎のメッセージ」が発信されています。
そして、そのメッセージにひきつけられた大勢の見知らぬ客自身からもまた「見知らぬ人歓迎のメッセージ」が発信されることになるのです。

(2)浪費は美徳のメッセージ(誘惑のメッセージ②)

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「商品空間」に設置された「プライスカード」は、ただ単に商品の価格を表示しているだけでなく、購入目的の客に対してはもちろんのこと、購入の予定がないひやかし客に対しても、「思い切って買っちゃいましょう!」「ついでにこれもどうぞ!」等の「浪費は美徳のメッセージ」を発信しています。客は必ずしも必要としない商品を買って散財することによって心が癒されたりするのです。

(3)返礼不要のメッセージ(誘惑のメッセージ③)

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道路にせり出した「商品空間」や店内の「商品空間」からは、「どうぞ自由にご覧ください!」「見るだけでもどうぞお気軽に!」等の「返礼不要のメッセージ」が発信されています。
礼を欠くことが禁じられている日常生活の中では無礼とされていることが、この通りにおいては許されるのです。

(4)狩猟解禁のメッセージ(誘惑のメッセージ④)

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店頭から店内に引き続いて大量に陳列された「商品空間」からは、「狩猟解禁のメッセージ」が発信されています。
客は自由なハンターの気分になって通りや店を回遊できるのです。

(5)もっともらしい理由のメッセージ(誘惑のメッセージ⑤)

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「期間限定ショップ」や「対象者限定商品」等を訴求した店舗や商品からは、「今だけの商品ですよ!」「非常に信頼のおける商品ですよ!」等という「もっともらしい理由のメッセージ」が発信されています。
多少の「いい加減なこと」「適当なこと」が許されるのが「店」なのです。

(6)性をほのめかすメッセージ(誘惑のメッセージ⑥)

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大勢の若い男女の店員や行き交う見知らぬ若い男女の客や様々なディスプレイや商品そのものからも、「性をほのめかすメッセージ」が発信されています。

以上、東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」全体の店が発信している、客を誘惑する「六つのメッセージ」についてご説明しました。
(1)見知らぬ人歓迎のメッセージ
(2)浪費は美徳のメッセージ

(3)返礼不要のメッセージ
(4)狩猟採集のメッセージ
(5)もっともらしい理由のメッセージ
(6)性をほのめかすメッセージ

「店」(リアルショップ)には、日常のタブーに縛られた生活から解放された自由な時間と空間(つまり非日常)を求めた大勢の客がやって来ます。
そして大勢の客はそこで、他人が「劣位」で自分こそが「優位」であることを認識し、大きな安定を獲得しているのです。

そのことを、よく心得ている「店」は、「なわばり」を解除した空間を提供すると共に「六つの誘惑のメッセージ」を発信することによって、店員と店を「劣位」な立場にして、少しでも客が「優位」に感じるような情報や状況を提供しようとしているのです。

残念ながら三密の回避やソーシャルディスタンスを採用したコロナ禍によって、日本中の店における「なわばり」の解除や「誘惑のメッセージ」の発信はやや自嘲気味となっていますが、ここ「東横のれん街」においては、十分に「なわばり」を解除した空間の提供や、魅力的な「誘惑のメッセージ」がたくさん発信され、多くの客が引きつけられていることが観察できます。

続きは次回に…。

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2021年2月 8日 (月)

「東横のれん街」の客を引きつけたり遠ざけたりする店員と客のアクションとは?------東京・渋谷「東横のれん街」の三空間店舗分析(その2)

こんにちは。

東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」は、1951年(昭和26年)に老舗を集めた日本初の「名店街」として東横店・東館に開業し、2013年(平成25年)に渋谷マークシティの地下1階に移転し、再び2020年4月に渋谷ヒカリエに移転しました。

その「東横のれん街」は移転を繰り返しながら何をどのように変化させていったのでしょうか?

そのことを探るために、まずは渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析を行っています。

↓渋谷ヒカリエB2出入口の様子
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そして前回は、現在の「東横のれん街」がいわゆる「デパ地下」と同様にほとんどの店が
①「店員空間が狭い接触型店」
②「店員空間が広い接触型店」
の構造で、一部の店が
③「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」
の構造をした店となっていることについてご説明しました。

さて今回は、渋谷ヒカリエの「東横のれん街」のそれぞれの店において観察できる、客をひきつけたり遠ざけたりしている店員のアクションについてご紹介したいと思います。

(1)「店員空間が狭い、接触型店」、「店員空間が広い、接触型店」における、客を引きつけたり遠ざけたりする店員のアクション。

↓「店員空間が狭い、接触型店」と、「店員空間が広い、接触型店」は、共に「商品空間」と「店員空間」の二空間だけで作られた店のことです。そしてどちらの店の場合も客自らが通路に「客空間」を作って買い物をするのが特徴です。

↓店員空間が狭い接触型店

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↓店員空間が広い接触型店
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①客を遠ざける店員のアクション
※「店員空間が狭い、接触型店」のイラストになっていますが、「店員空間が広い、接触型店」でも同じ状況が観察できます。

(A)↓ 店内でじっと立って客を待つ店員のアクションは、「なわばり」を主張するアクションとなって客を遠ざけてしまいます。

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(B)↓ 店頭でじっと立って客を待つ店員のアクションは、より「なわばり」を主張するアクションとなって客を遠ざけてしまいます。
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(C) ↓ 店に近づいて来た客に対して、直ぐに「いらっしゃいませ!」と声を掛けて接客を開始すると、「なわばり」を主張するアクションとなって客を遠ざけてしまいます。
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②客を引きつける店員のアクション

(A) ↓ 接客中の店員のアクションは、「なわばり」を解除するアクションとなって客を引きつけます。
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(B) ↓ 作業中の店員のアクションは、「なわばり」を解除するアクションとなって客を引きつけます。
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(C) ↓ 「サクラパワー」が生じた場合には、いっそう「なわばり」が解除されるために客はより引きつけられます。
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コロナ禍の「マスク」と「ソーシャルディスタンス」の導入によって、「サクラパワー」が生じないようにしているのが現状ですが、それでも店内に客が一人でも存在すればその客は「サクラ」となって他の客を引きつけます。

※「サクラパワー」とは?
店に客がつくと、その客の姿が次の客をひきつける。その時の状況を「サクラパワー」が起きているとと言う。
「サクラパワー」は次々と客を引きつけながらますます買いやすい状況をつくりだすために、店にとっては重要な販売機会となる。

 

(2)「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」での、客を引きつけたり遠ざけたりする店員のアクション。

↓「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」とは下のイラストのように、店内に加えて通路に面した部分にも「商品空間」を配置し、「セルフサービス方式」を採用した「店員空間」を設けた店のことです。つまり客が店内を回遊する「客空間」と、店員が清算を行う「店員空間」が明確に分けられているのが特徴です。

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①客を遠ざける店員のアクション

(A)  ↓ 店内でじっと立って客を待つ店員のアクションは、「なわばり」を主張するアクションとなって客を遠ざけてしまいます。
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(B)↓ 店頭でじっと立って客を待つ店員のアクションは、より「なわばり」を主張するアクションとなって客を遠ざけてしまいます。
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(C) ↓ 店に近づいて来たリ入って来たリした客に対して、直ぐに「いらっしゃいませ!」と声を掛けて接客を開始すると、「なわばり」を主張するアクションとなって客を遠ざけてしまいます。
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②客を引きつける店員のアクション

(A) ↓ 接客中の店員のアクションは、「なわばり」を解除するアクションとなって客を引きつけます。
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(B) ↓ 作業中の店員のアクションは、「なわばり」を解除するアクションとなって客を引きつけます。
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(C) ↓ 「サクラパワー」が生じた場合には、いっそう「なわばり」が解除されるために客はより引きつけられます。

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以上のように、渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の
①「店員空間が狭い、接触型店」
②「店員空間が広い、接触型店」
③「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型」
の構造のいずれの店においても、店員が「なわばり」を主張するアクションを行って客を遠ざけ、あるいは「なわばり」を解除するアクションを行って客を引きつけている様子を観察することができます。

続きは、次回に…。

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2021年2月 1日 (月)

再び移転した「東横のれん街」は、どう変わったのか?-----東京・渋谷「東横のれん街」の三空間店舗分析(その1)

こんにちは。

現在、東京・渋谷ヒカリエのB2&B3にある「東横のれん街」は、1951年(昭和26年)10月、老舗を集めた日本初の「名店街」として東横店・東館に開業しました。

そして東館の閉館に伴い、2013年(平成25年)4月、渋谷マークシティの地下1階に移転しました。

そして再び、2020年4月に渋谷ヒカリエのB2&B3に移転しました。

↓渋谷ヒカリエ全景
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現在、渋谷ヒカリエに移転した「東横のれん街」は、かつての東横店・東館の「東横のれん街」とどのような違いがあるのでしょうか?

また6年前のマークシティの「東横のれん街」とはどのような違いがあるのでしょうか?

それぞれの時代の「東横のれん街」の三空間店舗分析を行うことによって、それぞれの違いについて研究してみたいと思います。

渋谷ヒカリエにある「東横のれん街」は、B2「スイーツ、ベーカリー、ワイン」と、B3「惣菜、生鮮食品、イートスペース」の二つのフロワーで構成されています。

そして、いわゆる「デパ地下」の店と同様に、ほとんどの店が
①「店員空間が狭い接触型店」
②「店員空間が広い接触型店」
の構造で、一部の店が
③「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」
の構造をした店となっています。

それでは、店舗構造別に渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の店をご紹介していきたいと思います。

(1)「店員空間が狭い接触型店」
店員空間が狭い接触型店とは、狭い「店員空間」と「商品空間」の二空間だけで構成された店のことです。客自身が通路に「客空間」を作って買い物をする構造になっています。
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(2)「店員空間が広い接触型店」

店員空間が広い接触型店とは、広い「店員空間」と「商品空間」の二空間だけで構成された店のことです。客自身が通路に「客空間」を作って買い物をする構造になっています。

 

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↓店員空間が広い店
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↓手前の左右の店は「店員空間」が狭い店で、奥が店員空間が広い店
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↓店員空間が広い店の側面
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↓左右は店員空間が狭い店、奥は広い店
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↓店員空間がやや広い店
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↓店員空間がやや広い店
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(3)「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」

店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店とは、「商品空間」と「客空間」と清算を行う「店員空間」の三空間で構成された店で、いわゆる「セルサービス方式」を採用した店のことです。
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全国の様々な商業集積に存在する全ての「店」は、「商品空間」と「客空間」と「店員空間」の三空間のレイアウトの仕方(店舗設計)によって、大まかには次のように四分類されます。
①接触型店

②引き込み型店
③引き込み・回遊型店
④接触・引き込み・回遊型店
更に「店員空間」の状況によって細かくは八分類することができます。

つまり、私たちが毎日利用したり見かけたりしているあらゆる「店」は、一見大変複雑な構造をしているように思えますが、実際には次のいずれかの構造の「店」に当てはまるのです。

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そして、ここ渋谷ヒカリエの「東横のれん街」においては、

(1)「店員空間が狭い、接触型店」
(2)「店員空間が広い、接触型店」
(3)「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」

以上の構造の店で構成されていることが観察できます。

さて、それぞれの店では、客を引きつけたり遠ざけたりする店員のアクションや、客を引きつけるための「誘惑のメッセージ」の発信が行われております。
それらにつきまして順次ご説明していきます。

続きは次回に…。

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