80.大人の街をつくる三空間設計(原宿・表参道)※1986年当時
こんにちは。
前回は、JR原宿駅「竹下口」近くにある、約32年前の「竹下通り」をご紹介しました。
今回は、JR原宿駅「表参道口」及び地下鉄千代田線・明治神宮前駅「JR口」近くにある、同じ時代の「表参道」をご紹介します。
これら二つの有名な商業集積は、同じ原宿駅から連なる商業集積ですが、「表参道」は「竹下通り」に比べて、移動空間としてははるかに勝った立地となっています。
それは、「表参道」が地下鉄千代田線に沿った通りで、明治神宮前駅と表参道駅の出入り口を有していることが大きな要因ですが、それ以外にも移動空間として好立地に位置しているからです。
屋内屋外を問わず、商業集積は移動空間に立地しているか否かによって盛衰が大きく左右されてしまいますが、特に屋外の場合は、より大きな影響を受けることになります。
ところが、この二つの商業集積は、いずれも半世紀の長き渡って、今もなお全国各地から大勢の客を引きつけ続けています。
移動空間としては、「表参道」に劣る「竹下通り」の集客パワーは、この通りに面したほとんどの店が「なわばり」を解除した店であることから生じています。
具体的には、「店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店」と「店員空間のある、接触・引き込み・回遊型店」(セルフサービス方式)と「店員空間のある、引き込み・回遊型」(セルサービス方式)の構造をしています。
一方、「表参道」は、ほとんどの店が「なわばり」を主張した店(店員空間のない、引き込み・回遊型店)です。
それにもかかわらず、「表参道」が多くの客を引きつける要因は、はるかに強力な移動空間を立地にした通りであることです。
以上のように、「竹下通り」は、「なわばり」を解除した店を構成することによって、全国的にも有名な観光スポットとしての地位を築き、一方ブランドショップが立ち並ぶ「表参道」は、通りのインフラを含む好立地を背景にして今日の人気を博しているのだと分析することができます。
さて、以上のことを考慮しつつ、「80.大人の街をつくる三空間設計(原宿・表参道)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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80.大人の街をつくる三空間設計(原宿・表参道)※1986年当時
この通りは、東京・原宿の表参道です。
国電原宿駅から、明治通りをつきぬけ、青山通りに至るこの通りが、原宿のメインストリートです。
日曜日の歩行者天国のときにはヤングがどっと溢れだしますが、普段は緑の木立ちが美しく、落ち着いたムードが漂っています。
同じ原宿でも竹下通りとはだいぶイメージが違いますが、それではこの通りにはいったいどんな店が集まっているのでしょうか。
この通りの店は、引き込み・回遊型が大勢を占めています。
これらの店は、店頭にはほとんど商品を出さず、店内に引き込んだ客空間と商品空間を用意して、静かに客がくるのを待っています。
客が店内にはいると、店員が客空間に出てきて丁重にあいさつし、あれこれと接客してくれます。
ここにくる客は、これくらいのことでは動揺しない、お金のあるシニア・ヤングから中年の人々です。
さきほどの竹下通りにも、ポッリポツリと引き込み・回遊型の店が開店しはじめています。
この傾向がどんどん進めば、竹下通りは次第に大人の街になっていくかわりに、ジュニア・ヤング層を追放して、今のにぎわいを失っていくでしょう。
街が接触型店と接触・引き込み・回避型店で構成されているときは、気軽で若々しく活気に溢れた空間が創造されます。
やがて引き込み型店や引き込み・回遊型店が登場してくると、街は落ち着き、大人になっていくのです。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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