カテゴリー「◆人の動きでわかる店舗診断」の5件の記事

2018年10月15日 (月)

人の動きでわかる店舗診断 第5回 おしゃれなのになぜかお客様が入らない店

人の動きでわかる店舗診断

第5回 おしゃれなのになぜかお客様が入らない店


●おしゃれなファッション店が陥りやすい店づくりの失敗とは?

 

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これまで繰り返しご説明してきましたが、「店」には基本的な構造があり、その構造を無視するとなかなか売れる店をつくることはできません。

なぜなら、「店の構造」は、長い時間をかけて生み出された「見知らぬ人間同士がコミュニケーションするための知恵」の集大成だからです。

私たちは現存する全国の様々な店の構造を観察・分析し、8種類に分類して、それぞれの特徴や扱い商品との関連を説明しています。(詳しくは
こちら

しかし、一方で、オーナーや店舗設計家や建築家が、「店」で今まで誰もしなかったような目新しいことがしたい、独自の世界観を表現したいなどと考えることは決して珍しいことではありません。

お客様の好みや流行が激しく変化する中で、ひときわ目立つ斬新な店をつくりたいと思うのも当然のことだと思われます。

けれども、残念ながら、そのような店が売れた例は極めてまれです。

なぜなら、そうした店は一般に目新しさを追求するあまり、人間(日本人)の身体の「サイズ感覚」や「なわばり感覚」や「安全性の感覚」を軽視してしまうことが多いからです。

やはり多くのお客様が生理的に受け入れることができない店は、本来の目的を達成することができません。

なぜ、往々にして、鳴り物入りでつくられたショッピングセンターや有名ブランドの店や有名な建築家が設計した店が「売れない」のか。

その理由を「人の動き」から探っていきましょう。

さて、この店は「店員空間がない、引き込み・回遊型店」で、店員が接客して販売するセレクトショップです。

イラストを見る限り、それほど変わっていない、いわゆるおしゃれなファッション店で、有名な駅ビルのレディスファッションのフロアに出店しているにもかかわらず、業績は低迷しています。

最大の問題点は、店頭をスッキリさせようとして、店頭にほとんど商品を置いていないことです。

実際に店の前を歩いてみると、向かって右側から歩いてくるお客様の目にはまったく商品が見えないため、店の存在そのものがほとんど認識されないことがわかります。

また、左から来るお客様には店員が声を掛けやすくなり「なわばり主張」のアクションとなるため、お客様は思わずこの店を離れて他店に行ってしまうのです。

駅ナカ・駅ソトなどの好立地の店ほど、周辺には数多くの競合店が魅力的な商品空間を用意してお客様を待ち構えていることをお忘れなく。

次回は、今回と同じ構造の「店員空間がない、引き込み・回遊型店」の成功例を観察したいと思います。

(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)


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1.人の動きでわかる店舗診断 第1回 大勢の客を引きつけるデパ地下洋菓子店の秘密

2.人の動きでわかる店舗診断 第2回 全面オープンなのに入りにくいおしゃれ雑貨の店

3.人の動きでわかる店舗診断 第3回 思わずお客様が立ち止まる人気靴店の店づくりとは?

4.人の動きでわかる店舗診断 第4回 簡易な店のつくりが魅力のアクセサリー店

 

 

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2018年10月12日 (金)

人の動きでわかる店舗診断 第4回 簡易な店のつくりが魅力のアクセサリー店

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第4回 簡易な店のつくりが魅力のアクセサリー店

 

●小さい商品を売る店がなわばりを解除するためのヒントとは?


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今や、店は「駅ナカ・駅ソト」のような大勢の人が行き交う立地に出店することが重要ですが、せっかくそうした場所に出店できても、目の前を通り過ぎる通行客を引き止めることができなければ何の意味もありません。

店頭に立ち止まってもらうためには、お客様が通り過ぎるまでの数秒間に、

①そこには価値のある商品があること

②そこは安全であること

の2点をわかりやすく表現しなければなりません。

そこで重要なのが「戸板1枚」の商品空間(約90㎝×180㎝)と店員の「なわばり解除」であることはすでにご説明してきました。

店頭に魅力的な「戸板1枚」の商品空間をつくることは、店にとって非常に重要なテーマであり、同時に販売関係者の腕の見せどころでもあります。

今回は、非常に小さい商品を扱っている店の工夫を観察してみましょう。

この店は若手デザイナーがつくったオリジナルのアクセサリーを販売するアクセサリー店ですが、店づくりには非常に特徴があります。

イラストでもわかるように、この店の什器は、まるで臨時店舗のような簡易なイメージです。

中央の2台の平台には、この店の中心商品であるアクセサリー類が陳列されています。

1つ1つの商品は簡単にパッケージされており、お客様が気軽に手に取って眺めたり検討したりすることができるようになっています。

この店の最大のポイントは、これらの中央の平台がまさに「戸板1枚」の商品空間になっているということなのです。

商品のサイズが小さいために、そこには非常にたくさんの商品が並べられており、お客様が時間をかけて検討することができると感じられる豊富な情報量が提供されています。

また、この簡易で廉価そうな什器が、いっそう「戸板1枚」の店のイメージを感じさせます。

什器そのものに存在感がないことで、こうした店にありがちな、陳列商品が少なく什器ばかりが目立って、「なわばり主張」を感じさせるということもありません。

さらに、この店は、店の奥にレジカウンターを設けた「店員空間がある、引き込み・回遊型店」になっていて、店員はお客様から声がかからない限り接客を行わないセルフサービス方式を採用しています。

そのため、この店を冷やかすお客様にとって、店員の存在はほとんど気になりません。

この店は、一見、非常に簡易な、なんでもない店に見えますが、実は、店の構造やディスプレイの仕方、販売方法などに、多くの「なわばり解除」のための工夫がなされた店だったのです。


(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)

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2018年10月10日 (水)

人の動きでわかる店舗診断 第3回 思わずお客様が立ち止まる人気靴店の店づくりとは?

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第3回 思わずお客様が立ち止まる人気靴店の店づくりとは?

 

●店頭の「戸板一枚の商品空間」が店の「入り口」を開くカギになる


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今回、観察する店は女性用の靴を中心としたファッション雑貨を販売しているセレクトショップです。

駅ビルのメイン通路に面した恵まれた立地にあり、平日の昼でもお客様の姿が絶えない人気店で、ファッション・雑貨フロアの中でも大変業績が良い店なのですがその理由はいったいどこにあるのでしょうか?

この店を三空間で分析すると、店員が接客して販売する方式で、店頭にたくさんの商品を置き、お客様が店内を回遊する構造なので、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」であることがわかります。

この店は一見すると特に変わったところはないように見えます。商品が豊富なのはわかりますが、大きな店名看板や特別なディスプレイ物もありません。

しかし、この店は典型的な「売れる仕掛け」をつくっている店なのです。

このイラストの中央にあるひとかたまりの商品空間がそれにあたります。

すでにご説明したように、約90㎝×180㎝の「戸板一枚」程度の商品空間はお客様にとってわかりやすい情報量で、店をつくるときの基本的な単位となります。

ひとかたまりの商品量があまりにも多すぎるとお客様が把握しきれなくなり、かといって少なすぎると短時間で商品を見終わってしまうため、店員がすぐに接客を開始してくる危険性が高まり、落ち着いて商品を検討することができません。

お客様が自由に商品を見ることができる、すなわち「なわばり解除」された商品空間をつくるためには、

①店の外から何を売っているのかがよくわかること

②店頭の商品空間に「戸板一枚」の情報量があること

③できるだけ低い位置から商品を陳列すること(店員と視線が合うのを防ぐため)

が不可欠になります。

以上の条件さえ守れば、商品の置き方や什器に決まりはありません。

流行の先取りをした、お客様の興味と関心を引きつける魅力的な商品空間をつくることは店員さんの重要な仕事です。

それではなぜ店頭にこのような「戸板一枚の商品空間」が必要なのでしょうか?

それは、お客様が店に入るためには必ず次のようなプロセスを通るからです。

①お客様は店の前を通りすぎるまでの数秒間で、その店には魅力的な商品があるか、「なわばり解除」されているかを判断し、立ち止まるかどうかを決定する。

②店頭の商品空間で安全が確認でき、店内にさらに魅力的な商品がありそうだと感じると店内に入る。すなわち「入り口」が開く。

③回遊通路の安全が確認され、魅力的な商品があると感じると店内を回遊する。

そのために一番効果的なのが「なわばり」が解除された「戸板一枚の商品空間」をつくることなのです。

(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)


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2018年10月 6日 (土)

人の動きでわかる店舗診断 第2回 全面オープンなのに入りにくいおしゃれ雑貨の店

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第2回 全面オープンなのに入りにくいおしゃれ雑貨の店


●商品空間と店員のアクションの「なわばり主張」が強い店はお客様を遠ざける

「人の動き」という観点で店を観察するときには、すべての店は、「店員空間」、「商品空間」、「客空間」から成り立っていると考え、まず、この三つの空間がどのようにレイアウトされているかを分析します。

現存する店は8種類に分類できますが、それらの特徴などについては、その都度ご説明いたします。

 

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さて、今回ご紹介する店は駅のすぐ近くのショッピングセンターにあるおしゃれなファッションと雑貨の店です。

店頭は全面オープンになっており、流行の商品がすっきりと陳列されているので、一見、とても入りやすそうに見えると思います。

店舗設計家も設計することが多いタイプの店なのですが、果たしてお客様からはどのように感じられるのでしょうか?

イラストでは、店員は向かって右奥のレジカウンターの後ろに立っていますが、この店はセルフサービス方式ではないので、お客様が来ると、店員はカウンターの外に出てお客様のすぐ近くで接客をします。

この店はお客様が店内を回遊する構造ですが、「店員空間」と「客空間」が共有されているために、「店員空間がない」店だと考えることができます。

また、床の黒い部分がこの店のスペースですが、通路に接する部分には商品空間がなく、什器が店の中に引き込まれているため、「
店員空間がない、引き込み・回遊型店」に分類されます。

このタイプの店は、店頭に商品がない上に店員がお客様のそばで接客するため、8種類の店舗構造の中でもっとも「なわばり解除」がむずかしい店となります。

もちろん、この構造でも成功する方法はありますが、この店の場合、商品空間のつくり方に大きな問題があるために、なかなかお客様が店に来てくれません。

駅ナカ・駅ソトなどの通行客数が多い立地に出店している店は確かに有利ですが、それだけ他店との競争が熾烈になるため、店の前を通り過ぎるほんの数秒の間にお客様を店頭に立ち止まらせなければなりません。

とりあえず、お客様が立ち止まらなければ、店内に誘導することも、回遊して商品を検討してもらうことも、ましてや購入してもらうこともできないからです。

店頭でお客様に立ち止まってもらうために必要なのが、前回もご説明した「戸板一枚の店」です。

なぜなら、戸板一枚(180cm×90cm)ほどの商品空間がお客様にとってわかりやすい情報量になり、それをできるだけ低い位置から陳列することによって店員の「なわばり」が解除され、お客様を強く引きつけることができるからです。

この店の場合、店の中央に配置された2台の個性的な什器は、陳列位置が高い上に商品量が非常に少ないために、店の前を通り過ぎるお客様に商品の存在や魅力を伝えることができていません。


(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)

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1.人の動きでわかる店舗診断 第1回 大勢の客を引きつけるデパ地下洋菓子店の秘密

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2018年10月 4日 (木)

人の動きでわかる店舗診断 第1回 大勢の客を引きつけるデパ地下洋菓子店の秘密

人の動きでわかる店舗診断

第1回 大勢の客を引きつけるデパ地下洋菓子の秘密

●店を「人の動き」で分析すると、これまで見えなかったモノが見えてくる

全国の繁盛店や衰退店を「人の動き」という観点から観察・分析すると,これまで見えなかったさまざまなお客様の行動の謎が見えてきます。

商品はそんなに変わらないはずなのに,なぜ,あの店だけが売れるのか?なぜ,あの店は失敗したのか?

さまざまな疑問をご一緒に観察・分析していきましょう。

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さて,この店は都心のデパ地下にある洋菓子店です。

毎日行列ができる人気店で,店の構造は「店員空間が狭い接触型店」(対面販売の店)です。

ところで,リアルショップにおける最大の問題は,「店」がそもそも「店員のなわばり」であるために,侵入者であるお客様が警戒して,なかなか近づいてくれないことです。

多くのお客様を引きつけるためには,店の構造と店員のアクションによって,「ここは店員のなわばりではありません。近づいても安全です」という「なわばり解除」のメッセージを発信することが必要です。

「なわばり解除」のための店づくりの基本は,「戸板一枚の店」をつくることです。

戸板一枚(180cmx90cm)ほどの商品空間が,お客様にとってわかりやすい情報量になります。

この広さを一単位とし,それらを組み合わせて売り場をつくると,お客様にとってわかりやすい空間の店になり,冷やかしてもよいというメッセージが発信されやすくなります。

また,商品の陳列位置が低い店は,お客様が商品を検討するときに店員と視線が合いにくく,「なわばり解除」がしやすい構造になります。

この店の場合,低いケースと,向かって右側のセルフのコーナーが「戸板一枚の店」の構造を生み出しています。

また,この店では接客する場所を固定しており,行列しているお客様を次々と担当の店員が誘導するため,お客様は買い物をするための時間や空間(なわばり)をきちんと確保することができます。

さらに,この店には「パーテーション」が設置され,その外側にいる限り接客されることがないため,買うことが決まっていない多くのお客様は,店員を気にすることなく自由に商品を見たり検討したりできます。

このことは店にとって重要で,店頭に立ち止まったり行列に並んだりしているお客様の姿は,「なわばり」を解除するためにもっとも強力な「サクラパワー(お客様が他のお客様を呼ぶ力)」を生み出すのです。

そして,常に「接客中」や「作業中」のアクションを繰り返す店員の姿も「なわばり」を解除するため,この店は,お客様が近づきやすい状態が非常に長い時間持続しているということになるのです。

次回は反対に,「なわばり主張」をしやすい店のつくりと店員のアクションによって,なかなか繁盛できない店をご紹介いたします。


(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)

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