カテゴリー「◆接客しない店が売れる店」の6件の記事

2013年9月29日 (日)

「ガトーフェスタ・ハラダ」の店員はなぜ感じがいいか?

◆ガトーフェスタ・ハラダの最新記事はこちら

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フランスパンからつくったガトーラスク「グーテ・デ・ロワ」(王様のおやつ)が大人気で、行列ができることでも大変有名な「ガトーフェスタ・ハラダ」の東京・東武百貨店のお店です。

この店は客の行列が絶えず、店員の接客も非常に感じがいいといわれています。それではなぜこの店の店員の接客方法は、感じがいいのかについて、「人の動き」という観点から観察分析してみましょう。

この店は、ちょっと見ると、他の店と変わらないケース販売の店に見えますが、実は、セルフ販売方式を採用した「一見接客」を行っています。

(1)「ガトーフェスタ・ハラダ」の店舗構造

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この店の店舗構造は「店員空間が広い接触型店」です。
この構造は、「店員空間が狭い接触型店」と基本的には同じ構造ですが、店の規模が大きく、特に店員空間が広く取られていることが特徴です。
両方ともに「戸板一枚の店」を基本としており、店の原点ともいうべき構造です。

(2)「ガトーフェスタ・ハラダ」の三空間平面図と店員と客のアクション

この店では、セルフ販売の商品を買う客は右側のセルフ販売のコーナーで選んだ商品を手に持ち、ケース内の商品を買う客はそのままケース沿いに行列をつくります。店員は順番に接客を行います。

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①空色は、店員空間
②ピンクは、商品空間(緑はセルフ用商品空間)
③白は、客空間の通路
④赤は、接客中や作業中の店員
⑤青は、買い物中や行列をしている客



(3)「ガトーフェスタ・ハラダ」の接客方法

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この店は、「店員空間が広い接触型店」の構造の店で、セルフ販売方式を採用した、「一見接客」が行われています。
したがって、店員が客に接客を開始するタイミングは、コンビニエンスストア等の接客のタイミングと同じで、購入が決定した客がレジの前にやってきたときです。

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百貨店などで客が行き交う通路に直接面した「接触型店」では、店の前に客が来ると直ぐに接客を開始する「常連接客」が行われがちです。

それに対して、この店の場合は通路にベルトパーテーションを設置して、購入が決定した客に対してだけ接客を行うことを明確にしています。

まだ買うか買わないかが決まっていない通行客はベルトパーテーションの外から商品空間を眺めることになるので、その客に対して店員から接客が開始されることはありません。
つまりこの店では注文前の一次接客はまったく行われていないのです。

買うことが決定した客は、ケース沿いに行列をつくります。
レジカウンターはケースの左側に6台並んでいて、客はレジが空いた順に接客を受けます。

接客が終わった店員は、精算を待って行列をしている客に対して、すぐにわかりやすい案内をして、客の気持ちを満足させてくれます。

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※手が空くと、次の客にわかりやすい「案内のアクション」を行う店員の姿


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6台のレジスターで大勢の店員が精算接客に追われる姿は、店全体のなわばりを解除するとともに、大きな賑わいと活気を生み出しています。

(4)「ガトーフェスタ・ハラダ」の店員はなぜ感じがいいのか?

この店の接客は「一見接客」に徹しています。
したがって、店員が接客を開始するのは、すでに購入が決まっている客が目の前にやってきたときです。

実は、この店の接客が感じがいいといわれる最大の理由は、この店にはすでに購入が決まった客に対する店員のアクションしか存在しないということなのです。

購入が決定した客に対して行う様々な接客(二次接客)には、必ず、「お辞儀」と「うなずき」と「案内」の動き(アクション)がたくさん含まれています。

①あいさつや、お礼や、お願いや、お詫びを表現する「お辞儀」のアクション
②承諾や、あいづちや、注意喚起を表現する「うなずき」のアクション
③場所や方向を明らかに表現する「案内」のアクション

「お辞儀」と「うなずき」と「案内」の動き(アクション)は、相手に対して下手に出て、相手を立てるアクションです。

つまり、この店の店員は全員が「客に対して下手に出て」、「客を立てる」アクションを繰り返す「一見接客」=「二次接客」を行っていることによって、「感じがいい!」というイメージを生み出しているのです。

◆関連記事
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2013年9月27日 (金)

5.役割を終えたアムラックス東京

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東京・池袋にある大規模ショールーム「トヨタオートサロン アムラックス東京」は今年12月23日に、閉店します。

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1990年に、約70台の車を展示して、誰でも気軽に見たり、触ったり、乗ったり、相談したりできるショールームとしてオープンし、当時は非常にたくさんの客を引きつけました。(2011年度末までに約3600万人集客)


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その「アムラックス東京」も、現在、平日は非常に客が少ない状況となり、大型自動車ショールームとしての二十数年間の役割を終えようとしています。

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「アムラックス東京」が、当時、大勢の客を引きつけた要因について、また現在の状況を迎えるにいたった背景について、「人の動き」という観点から改めて分析してみましょう。



(1)従来までの自動車ショールーム(店)の店舗構造と接客方法


従来までの自動車ショールーム(店)の店舗構造は、規模の小さい「店員空間がない、引き込み・回遊型店」が主流でした。
商品(自動車)が非常に大きいために、1~2台の車しかディスプレイできない狭いショールーム(店)が多く、客が店に来るや否やすぐに接客を開始する「常連接客」が行われていました。

そのために、客は当時の自動車ショールームを気軽に冷やかすことなどできませんでした。


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※店員空間がない、引き込み・回遊型店



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※当時は、客が店に入るや否や、すぐに接客を開始する「常連接客」が、入りにくく冷やかしにくいショールームにしていたことを誰も気づきませんでした。


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※注文前の「一次接客」から接客を開始する「常連接客」が、多くの客を遠ざけていました。


(2)「アムラックス東京」の店舗構造と接客方法

一方、この店(ショールーム)の店舗構造は、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」です。
1990年に、この「アムラックス東京」が登場するまで、日本には「店員空間がある、引き込み・回遊型店」の自動車のショールームは存在していませんでした。


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※「店員空間がある、引き込み・回遊型店」



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※東京アムラックスは、客が自由に商品を見たり触れたり乗ったりすることができる、当時としては非常に画期的なショールームでした。


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※注文後の「二次接客」から接客を開始する「一見接客」が、多くの客を引き付けていました。

客は、従来までの「常連接客」を行うショールームから遠ざかり、「一見接客」を行う「アムラックス東京」にどんどん引きつけられていったのです。


(3)多くの客を引き付けた「アムラックス東京」から客が遠ざかって行った背景

やがて、「アムラックス東京」の成功を受けて、全国に「一見接客」を行う中規模のショールームがたくさん登場してきました。
また、ネットによって誰でも豊富な車の情報を得られるようになったことや、「ウェブショップ」の登場などによって、わざわざ「東京アムラックス」まで来て、体験をしたり情報を収集したりする必要がなくなりました。
 

さらに、少子化や若者の車離れの影響もあり、「アムラックス東京」は、次第に自動車の情報を発信するという当時の役割を終えていったのです。 

「アムラックス東京」が終わりを迎えるということは、それだけ自動車が買いやすくなったとも考えられます。私達は1990年当時にも、この店をご紹介しましたが、店の変化を観察してきた者として、非常に感慨深いものがあります。

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2013年9月14日 (土)

4.移動客が多い伊勢丹化粧品売り場、少ないヒカリエ化粧品売り場

●現代の客は「移動中」にモノを買う

売れる店をつくるために、最も必要なものは「道」です。

「道」とは、交通の要所と要所をつなぐ通路で、そこに大勢の移動客が通行していることが条件です。
たとえ広くて立派な通路をつくったとしても、そこを通行客が通らなければ「道」とはいえません。
 

今日の社会で、繁盛店をつくるためには、移動客がたくさん通る道に面していることが重要です。

なぜかというと、現代の客は移動中にモノを買うからです。
 

忙しい現代の客は、休日にわざわざ目的の店に買い物に出かけるという行為から、普段の日に、仕事や用事などで移動する間に買い物をするという行為に変化しています。

そうした背景を踏まえて、駅ナカや空港や高速道路のサービスエリアなどに、新しい店が続々登場して、多くの移動客を引き付けています。
ファーストフードのドライブスルーはもちろんのこと、クリーニングや預金口座の開設などのドライブスルーなども、移動客を対象にした店なのです。

さて、このような観点から、伊勢丹新宿本店の化粧品売り場と、渋谷にできたヒカリエの化粧品売り場を比べてみましょう。
 

●伊勢丹新宿本店・化粧品売り場
伊勢丹新宿本店と言えば、百貨店売上NO.1を誇っています。
その1Fにある化粧品フロアはまさに伊勢丹の顔ともいうべき存在ですが、そこが多くの客を集める本当の理由は、実はそこに「道」が存在し、多くの「移動客」が移動していることにあるのです。
 

伊勢丹本店の化粧品売り場は、1階の正面玄関から向かって左半分に位置しています。
伊勢丹は、店の中ほどにエスカレーターがあり、百貨店に入ってきた客の多くはエスカレーターに向かって移動します。
 

下の図を見てください。
化粧品売り場(紫色の部分)の近くには、本館パーキング側の入り口と、メンズ館との通路があり、多くの客が出入りしています。
緑色の線は、エスカレーター、エレベーター、正面玄関などに向かう移動客の動きを書いたものです。
 

伊勢丹の化粧品売り場が多くの客を引き付ける理由は、化粧品売り場の中を、化粧品を買いに来る女性客以外の多くの様々な移動客が通っているということなのです。 

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※駐車場からエスカレーター方面への通路

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※地下鉄入り口そばからエスカレーター方面への通路

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※エスカレーター近くの通路

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※エスカレーター近くから地下鉄入り口方面


●渋谷ヒカリエ化粧品売り場

 一方、渋谷のヒカリエの化粧品売り場を見てみましょう。

こちらの化粧品売り場は、ヒカリエのB1フロア全体を占めています。
ヒカリエ全体の面積が小さいこともあり、このフロアには他の業種の店はほとんどありません。

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このフロアには、主な移動通路がないために、化粧品売り場を利用しない客は、単にエスカレーターの周りを回って他のフロアに移動しています。(緑の線の部分)。

つまり、このフロアは、化粧品を買いに来る女性客以外の客は歩いていないため、非常に通行量が少なくなっています。

移動客がいないことにより、それぞれの店の前の通行量も極端に少なっています。そのために、店員のなわばり主張のアクションが強くなり、客が近づきにくい状況が続いてしまいます。

伊勢丹新宿本店の化粧品売り場のように、化粧品を買ったり冷やかしたりする客以外の「移動客」が全くと言っていいほど存在しないために、それぞれの店はなかなか客を獲得することができないのです。


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※エスカレーター以外に移動通路がない

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※移動客がいない化粧品売り場の通路(1)

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※移動客がいない化粧品売り場の通路(2)

●伊勢丹新宿本店・化粧品売り場のような、単なる「移動客」が移動する通路を持たない限り、たとえ同じような店で構成された化粧品売り場であっても、多くの客を引き付けることは難しいのです。

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2013年9月11日 (水)

接客されるセルフの化粧品店

●「ミリオン・ドアーズ・タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」

9月2日の日経流通新聞(MJ)の一面に、百貨店各社が駅ビルおよび駅ナカに、相次ぎ出店している「セミセルフ式」の化粧品専門店、
「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」
「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」
「ミリオン・ドアーズ タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」

の三店が、①入りやすさ  ②比較検討のしやすさ  ③接客のされかた
という、三つの角度から紹介されました。

「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」は、9月6日のブログで
「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」は9月9日のブログで分析しましたので、
今回は「ミリオン・ドアーズ タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」を、「人の動き」という観点から観察分析してみましょう。

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*ミリオンドアーズはJR川崎駅「アトレ川崎」の3階にあります。



(1)「ミリオン・ドアーズ タカシマヤコスメティックス・アトレ川崎店」が入りにくい雰囲気を感じさせるわけ

日経流通新聞の取材(女性記者8人が実際に店舗を訪れ、使い勝手を調査)、によると、この店は「入りやすい雰囲気55点」となっています。(イセタンミラー45点、阪急フルーツギャザリング90点)
この店も他の二店と同様に「セルフ販売方式」を採用した「接客をしない店」であるにもかかわらず、何となく入りにくいと感じさせるのはいったいなぜなのでしょうか?

それは、この店の店舗構造と接客方法に関係があります。


この店は、セルフ販売方式を行うための、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」の構造で店舗設計されています。

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※店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店の構造
  (店頭にも商品空間があり、セルフ販売をする店)

しかし、ちょっと見ると、この店は、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」のように感じられます。

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※店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店の構造
  (店員空間と客空間が重なった構造で、常連接客をする店)
 
 



その最大の理由は、店の中央奥にレイアウトされているレジカウンターが、通行客からはほとんど見えないために、この店がセルフ販売方式の店であるということがわかりにくいことです。

また、店内で作業をしたり接客をしたり待機したりしている店員の姿がよく目に入るために、あたかも、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」で、店員が側面販売をしてくるように感じてしまいます。

つまり、この店の店舗構造と店員のアクションのために、入りやすさを感じさせないイメ
ージの店となっているのです。

(2)この店の店舗構造から連想される接客方法

一般に、通行客は店の前に来ただけで、その店の接客方法がどのようなものであるかを、一瞬で直感的に理解します。

「常連接客」(接客する店)なのか「一見接客」(接客しない店)なのか?
「常連接客」の場合は、すぐに接客されそうな店かそうでないか?等です。

この店は、セルフ販売方式の店であるにもかかわらず、セルフ販売の店であることが分かりにくいために、この店の回遊客には、「常連接客」の店だと感じている客と、「一見接客」の店だと感じている客が混ざっています。Photo_21_2

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「常連接客」の店だと感じている客は、店員から接客されることを、さほど驚きはしませんが、「一見接客」の店だと感じている客は、店員から「いらっしゃいませ!」の声をかけられるだけでも、違和感やプレッシャーを感じてしまいます。

実際に、この店では、客が商品を見ていると、店員が「何かお探しですか?」などと声をかけてきます。決してしつこく進めるようなことはありませんが、側面販売に近い接客方法が行われています。

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(3)この店の店員と客のアクションの様子

この店はセルフ販売方式を採用した店として、ブランドごとに、テスターや商品説明を記載したボードなどを用意していいます。
そして、客がブランドを超えて自由に商品を試すことができるようにアイテム別のテイスティングカウンターを中央に設置しているほかに、コンサルティング販売を希望する客のための専用カウンターも店の奥に設置していいます。


しかし、客は実際にはなかなか、一般のセルフ販売方式の店のようには行動してくれてはいません。
この店の様子を観察してみましょう。

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※コスメブランドコーナー(1)店員は客空間に出て、客に声をかけてきます。

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※コスメブランドコーナー(2)

アウェイク、ベアミネラルズ、ボビイブラウン、クラランス、クリニーク、ヘレナルビンスタイン、ランコム、ニールズヤード、オリジンズ、シュウウエムラ、スリーなどのコスメブランド。

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※ファッションブランド「ダブルスタンダードクロージング」のデザイナーの滝野雅久氏とのコラボレーションによるオリジナルポーチも並べられています。

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※通行客からはよくわからない、店の中央奥にあるレジカウンター。店員が説明などを行うために待機しています。


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※週間ランキングが紹介されていますが、どこで販売されているのかが分かりにくく、客がセルフで商品を選ぶときの情報としては不完全な面があります。

(4)すぐそばにある従来の化粧品店との違いがわかりにくい 

この店のすぐそばには、従来からの化粧品店があり、周辺一帯が化粧品コーナーとなっています。そのため、この店も周囲の店と同じような販売方法や接客方法が行われているのだと感じられやすい状況です。

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※向かい側にある従来の化粧品(1)

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※向かい側にある従来の化粧品店(2)



(5)模索し始めたばかりのセルフのブランド化粧品店

戦後、日本に初めて食品スーパーがセルフ販売を行う店として登場し、たちまちのうちに、全国の客がセルフ販売のスーパーを受け入れていきました。

その後、コンビニエンスストアの登場によって、様々な業種がセルフ販売方式の店の研究を行い、次々とセルフ販売方式を採用した店となってきました。

しかし、常に流行の先端を走っているはずの化粧品業界においては、セルフ販売方式の採用はなかなか見られませんでした。

商店街や百貨店の業績悪化に伴い、有名ブランド化粧品店もいよいよセルフ販売方式を採用した店となって、駅ビルや駅ナカに新天地を求めて進出しようとしています。


しかし、有名ブランド化粧品店のセルフ販売方式の店は、まだまだ開発の緒についたばかりで、解決していかなければならない様々な問題をかかえているようです。

今後は、現在のセルフ販売方式の化粧品店からさらに進化した、まったく新しい販売方法の化粧品店が登場してくることが予測されます。


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2013年9月 9日 (月)

2.接客しない「化粧品店」への舵切り…イセタンミラー

●「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」

9月2日の日経流通新聞(MJ)の一面に、百貨店各社が駅ビルおよび駅ナカに、相次ぎ出店している「セミセルフ式」の化粧品専門店、
「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」
「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」
「ミリオン・ドアーズ・アトレ川崎店」

が、①入りやすさ  ②比較検討のしやすさ  ③接客のされかた
という、三つの角度から紹介されました。

「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」については、9月6日のブログで紹介しましたので、今回は「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」を、「人の動き」という観点から観察分析してみましょう。

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*イセタンミラー・ルミネ新宿2の店内。JR新宿駅「ルミネ新宿2」の2階にある。



(1)「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」が入りにくい雰囲気を感じさせるわけ。

日経流通新聞の取材(女性記者8人が実際に店舗を訪れ、使い勝手を調査)、によると、この店は「入りやすい雰囲気45点」となっています。
この店も他の2店と同様に「セミセルフ方式」を採用した「接客をしない店」であるにもかかわらず、何となく入りにくいと感じさせるのはいったいなぜなのでしょうか?

それは、この店の店舗構造に関係があります。


この店の構造は、通路に面した部分がオープンになっていますので、ちょっと見ると、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」に見えます。
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※店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店の構造
  (店頭に商品空間があり、セルフ販売をする店)

しかし、よく見ると、店頭に接触部分の商品空間がほとんどないことから、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」に分類されます。
この構造は、コンビニエンスストアと同じ構造ですが、客にとってあまりなじみのない商品を販売する場合、客が入りにくいと感じることがあります。

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*店員空間がある、引き込み・回遊型店の構造
  (店頭に商品空間がないタイプで、セルフ販売をする店)
 
 



さて、店頭はオープンになっていて、本来はどこからでも入れるはずのこの店が入りにくい理由を探ってみましょう。

この店の場合、向かって右側に入り口の門があり、そこに買い物かごが用意されています。
また、店の中央部分に太い柱があり、店の外と内を明確にしています。

さらに、レジカウンター(店員空間)は向かって左側にあり、そこに店員が待機しています。

そのためにこの店は、レジカウンターと柱と門によって、店内と通路の境界線が明確に作られているために、気軽に出入りできないというイメージを与えているのです。

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*向かって左側に店員空間があり、店員の「なわばり主張」が感じられます。また、中央に柱、右に門があり、通路から自由に入りにくいイメージになっています。

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*門のディスプレイが、店の外と中を明確に分離し、入りにくいイメージを作っています。また、店の奥行きが非常に深く感じられるために、客が奥まで入ることにプレッシャーを感じやすくなります。


この店の場合、客の流れは、客が右側の門から入ってカゴを取り、店内を回遊し、買い物をカゴに入れた客が左側のレジカウンターで精算して店を出て行く、という風に想定されていると思われます。

しかし、残念ながら、実際にはなかなかそのようにはなりません。

実際の店員と客のアクションを観察してみましょう。

(2)「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」の店員と客のアクションの様子


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*通路に面した左側のレジカウンターの前は、店員の「なわばり主張」のアクションが生じやすいために、気軽に入りにくい空間となっています。


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*店内は、百貨店と同様の豪華な雰囲気になっていますが、商品空間の商品が少なく、非常に見通しがいいことから、従来の百貨店の化粧品売り場のように接客されそうな雰囲気を感じます。

*この店の扱い商品
「アウェイク」「アディクション」「アナスイ」「RMK」「イヴ・サンローラン」「エスティローダー」「エスト」「クラランス」「クリニーク」「グローバルSHISEIDO」「ゲラン」「KOBAKO」「ジバンシイ」「シュウウエムラ」「THREE」「NARS」「ヘレナ ルビンスタイン」「ボビイブラウン」「ランコム」等。

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*店内で待機している店員は、客が声をかけない限りは接客をしません。
従来の百貨店の化粧品店とは全く違う接客方法で、本来は客に好まれるはずです。

この店には客が「メイクの仕方を教わりたい」とか「スキンケアカウンセリングを受けたい」等
とかの声がかかってからは、十分に対応できる店員が待機しています。
客に対してこの店が「声をかけない限りは接客しない」セルフ販売方式の店であるということを、もっと訴求することができれば、現在よりもはるかに多くの客が利用しやすい店になると考えられます。

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*セルフ販売方式の店であっても、店内に何人かの客が回遊すると、「サクラパワー」が生じて店内のなわばりを解除します。
この店の場合も「サクラパワー」が生じたときが、もっとも入りやすい状況の店となります。


(3)「接客しない店」に客が求める接客とは?

20代~30代の若い女性が、百貨店の化粧品店を好まない理由は、「常連接客」という接客方法にあります。

しかし、それらの客が化粧品店での接客を全く望んでいないかと言えばそうではありません。まだ買うか買わないかが決まっていない状況から接客を開始される「常連接客」に煩わしさを感じているのです。
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多くの客は、自由に商品を検討しているうちに、買うことが決まったり、あるいは詳しい相談にのって欲しいと感じた時からは、十分に対応してくれる「一見接客」を望んでいるのです。
この際の接客には、「常連接客」の場合と同じように充実した内容の接客を望んでいることを理解することが大切です。
客は、決して簡単な接客を期待しているわけではありません。
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(4)現代の「移動客」が求める「接客をしない化粧品店」

「移動中にモノを買う」というニーズの高まりに合わせて、駅ナカショップを中心に、移動客に対応した立地に新しい店(パーキングエリアの店、ドライブスルーの店等)が次々に登場して多くの客を引き付けています。

若い女性を中心に、通勤などの途中の時間を有効活用しながら、ブランド物の化粧品を買いたいというニーズに合わせた「セルフ販売方式」の化粧品店は、これからますます改善を繰り返して、続々と登場してくることが予測されます。

これからの新しい化粧品売り場が客に対して競うサービスのポイントは、

●購入が決まる前の客が入りやすく、自由に見やすい店をつくる
●買うことが決定した客や聞きたいことがある客に対して、きめ細かなレベルの高い接客を行う

ということなのです。


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2013年9月 6日 (金)

1.阪急フルーツギャザリング(エキュート品川店)

●接客しない化粧品店「阪急フルーツギャザリング」

9月2日の日経流通新聞(MJ)の一面に、「セミセルフの店の実力は」のタイトルで百貨店各社が相次ぎ出店しているセミセルフ式の化粧品専門店が紹介されました。
三越伊勢丹ホールディングスの「イセタンミラー・ルミネ新宿2店」、エイチ・ツー・オーリテイリングの「阪急フルーツギャザリング・エキュート品川店」、高島屋の「ミリオン・ドアーズ・アトレ川崎店」の3店が取材されていますが、今回は「阪急フルーツギャザリング」エキュート品川店を、「人の動き」という観点から観察分析しました。

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*JR品川駅内「エキュート品川」の2階


(1)「阪急フルーツギャザリング」は、
「接客をしない」セルフ販売方式の店です!

この店は、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型」の店舗構造をした、セルフ販売方式の店です。

セルフ販売方式の店は、「接客をしない」店ですので、この店では一切接客は行われておりません。

「接客をする店」とは、客から注文を受ける前に、店員が客に声をかける店のことです。

この店には、レジカウンターの中以外にもカウンセリング等をする店員が店内の回遊通路にいますが、客が求めない限り声をかけてくることはありません。

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*店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店

(2)「阪急フルーツギャザリング」は、
セミセルフ式ではなく、セルフ(販売)式だととらえることが大切です!


日経流通新聞によりますと、「セミセルフ式の化粧品専門店」とありますが、セルフ+接客方式の店ではなく、「セルフ式の化粧品専門店」だととらえることが大切です。

なぜならば、従来の百貨店の化粧品店で行われているのは、客が注文する前から接客が開始される「常連接客」です。
それに対して、この店では、客から注文を受けたり、声をかけられたりしてから接客を開始する「一見接客」だからです。

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(3)「接客をしてモノを売る店の時代」から「接客をしないでモノを売る店の時代」へ

店は元来、「接客をしないでモノを売る店」でした。
ところが、特に、戦後~1970年の間に隆盛を見せた「日本の商店街」と「百貨店」において、「接客をしてモノを売る店」が確立されてきました。

しかし、その後「接客をしないでモノを売る店」の登場によって、店本来の性質がよみがえり、多くの客がたちまちのうちに「接客をしないでモノを売る店」を受け入れていったのです。

「阪急フルーツギャザリング」の店は、従来からの「接客をしてモノを売る店」として代表的な化粧品店を、「接客をしないでモノを売る店」として一大転換した店なのです。


(4)「阪急フルーツギャザリング」は、接客をしない店だから、多くの客を引き付ける!

「接客をしないでモノを売る店」が多くの客を引き付けることを理解した店舗関係者たちは、「接客をしないでモノを売る店」を構築するための商品開発を急速に進めています。
接客しないでモノを
売るためには、接客をしなくても売ることができる「商品」の開発が不可欠だからです。

そのような新たな視点で、セルフ販売方式の「阪急フルーツギャザリング(エキュート品川店)を観察してみてください。

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*左半分の化粧品コーナー
【メイクアップ&スキンケアブランド】
アディクション/RMK/エスティ ローダー/エスト/クラランス/クリニーク/コバコ(化粧雑貨)/シャネル/シュウウエムラ/THREE/デコラ(アイラッシュ)/ナーズ/ベアミネラル/ボビイブラウン/ポール&ジョー/ランコムなど


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*右半分の雑貨コーナー
【バス&ボディケアブランド】
アウェイク/エルバビーバ/クヴォン・デ・ミニム/サボン/シー・オー・ビゲロウ/シン/ジョンマスターオーガニック/ジルスチュアート/ロクシタンなど


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*レジカウンターが、客のメイン通路を背にした設計になっているために、レジカウンター(店員空間)で、精算作業を待機する店員の「なわばり主張」のアクションが生じにくくなっています。したがって、客は気軽に店内に入りやすい店となっています。

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*客が声をかければ対応してくれる店員の姿
客が声をかければ、店員がカウンセリングをしてくれますが、その場合もブランドに縛られず、扱っている商品全てを対象にした相談にのってくれます。


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*客の回遊通路で作業中の店員の姿は、「なわばり解除のアクション」となって、客の「サクラパワー」を生み出しています。
そして、「サクラパワー」はさらに店内のなわばりを解除して多くの通行客を引きつけています。

(5)「阪急フルーツギャザリング」は、移動客が好む店

新幹線が止まり、空港へのアクセスがよく、ビジネスマンが行き交うJR品川駅は、大勢の客でにぎわう人気の駅ナカショップです。
そして、通りすがりに時間を有効活用しながら買い物ができる店は、現代人がいま最も好むリアルショップなのです。

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