カテゴリー「◆東京駅の店」の3件の記事

2013年5月30日 (木)

KITTE(キッテ)・東京駅新名所

東京駅の新しい商業施設「KITTE(キッテ)」は、東京駅丸の内南口を出て目の前の、旧東京中央郵便局跡に完成した「JPタワー」内に、3月21日オープンしました。
5階までの吹き抜けで、天井はガラス張りになっています。(東京中央郵便局は1階入り口そば)
地下1階は食品、1階~4階はファッション&雑貨、5階~6階はレストランフロアという構成です。

それでは、この「KITTE」を、「人の動き」という観点から「三空間店舗構造」と「店員と客のアクション」を観察してみましょう。

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●KITTE(キッテ)の三空間店舗構造

1階~4階のファッション店と雑貨店の「三空間店舗構造」は、「店員空間がない、引き込み・回遊型店舗」が主体で、一部「店員空間がある、引き込み・回遊型店舗」で構成されています。

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(店員空間がない、引き込み・回遊型店舗)

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(店員空間がある、引き込み・回遊型店舗)


●サクラパワーが生じている店、生じていない店

「店員空間がない、引き込み・回遊型店」の場合は、店内に「サクラパワー」が生じたときは、店員のなわばりが解除され、通行客にとって非常に入りやすい店となります。しかし、他の客が一人もいない場合は、店員のなわばり主張が生じ、非常に入りにくい店となります。

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サクラパワーが生じている状況では、店員の存在が気にならない)


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(サクラパワーが生じていない状況では、客は落ち着いて店内を回遊できない)

●吹き抜けを取り入れたビルに出店した店舗の特徴

1階から5階までが吹き抜けで、天井がガラス張りになっている、この個性的な建築物の特徴によって、客は来店すると同時に1階から5階までの各フロアーを一望することができ、非日常性の高い空間を体験することになります。

吹き抜けの構造をした建築物の場合は、各フロアの通路の片側にだけ店舗がレイアウトされるのが一般的です。
この「KITTE」の場合も、各フロアを回遊する客は、片方は店舗ですが、その反対側は吹き抜けの風景を眺めることになります。

このように、片側にしか店がない通路の場合は、両サイドに店舗が連なった一般的な通路に比べると、あまり多くの客を引きつけられません。それは、他の店で買い物をしたり冷やかしたりする客のアクションや、それに対応した店員のアクションが見えないため、にぎやかさと興奮度が大きく欠けるためだと考えられます。

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(5階まで一望できる吹き抜けの構造)

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(通路の片側にレイアウトされたテナントショップで買い物をしたりを回遊したりする客の姿)

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(片方だけが店舗の通路は賑わいには欠ける面がある)


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●広すぎる通路に分断された地下1階の食品フロア

一般に、このような商業施設の一番の集客フロアは、食品フロアです。
しかし、「KITTE」の地下1階食品フロアは、非常に広い通路に分断されているため、構成している店舗数の割には、売り場としての迫力に欠けています。

客はわざわざ回遊して買い物をするわけではありません。
移動する通路のすぐそばにある店で買い物をするのです。

東京駅の中にある駅ナカショップや百貨店の食品コーナーは、客が移動する通路に沿って店をつくっていますが、「KITTE」はそのような構造になっていないため、残念ながら食品フロアとしての賑わいと魅力に欠けています。


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(広い通路に分断され、左右の店の魅力が半減されています)

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(なかなか回遊してこない客を呼び込む店員の努力にも限界があります)

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(店頭で試食をすすめる店員に、客は気軽に近づくことができません)

●「KITTE」(キッテ)が、今後、客を引きつけるとき、客を遠ざけるとき

東京駅の丸の内南口を出て、すぐ目の前という最高の立地にあるために、東京駅の新しい観光スポットととして、大勢の旅行客を引きつけることが予測できます。
そのために、吹き抜けのある商業施設が持つハンデを、来店客の多さでカバーしてゆくことが考えられます。
しかし、吹き抜けを取り囲むようにレイアウトされた店舗の成功事例が無いだけに、店によっては今後、苦戦を強いられるような状況が起きることが予測できます。
また、地下1階の食品フロアは、広い通路で分断され、食品フロアとしてのまとまった魅力を欠いていますが、今後どのようなテコ入れがなされるのか注目してゆきたいと思います。

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2013年5月 5日 (日)

駅弁屋 祭(えきべんや まつり)

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日本一の「移動空間」・JR東京駅のセントラルストリートにある駅ナカショップ「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」の、「三空間店舗構造」と「店員と客のアクション」について、「人の動き」という観点から分析したいと思います。

「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」は、全国各地からの「移動客」が行き交う最高の「移動空間」に立地した店で、全国各地の名物駅弁を約150種類以上取り揃え、実演厨房で調理した「出来たて駅弁」も大好評の駅弁専門店です。

(1)「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」の平面図

①緑が商品空間
②空色が店員空間
③ピンクが
客空間
④赤が店員
⑤青が客

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(2)「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」の店舗構造

この店は、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」の構造の店です。
店頭には対面販売と厨房実演のコーナー、店内には厨房実演のコーナーを併設していますが、規模の大きい「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」としてとらえます。

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(店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店)

(3)「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」の店員空間と店員のアクション

8台のレジスターが並んだレジカウンター(店員空間)では、大勢の店員が、行列をつくって精算を待つ客に対応しています。
精算の作業に追われる店員のアクションは、強力な「客を引きつける店員のアクション」となって、店全体に賑わいを生み出しています。
店頭の対面販売を行う店員のアクション、また「客空間」に出て商品の補充や整理・整頓を行う店員の作業中のアクションも「客を引きつける店員のアクション」です。


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(レジカウンターで、客に対応する大勢の店員のアクションは「客を引きつける店員のアクション」にとどまらず、エキサイティングな空間を生み出しています)

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(商品の補充作業をする店員)

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(店頭で、呼び込みながら対面販売を行う店員のアクションも、「客を引きつける店員のアクション」です)

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(実演厨房で調理中の店員のアクションは、「客を引きつける店員のアクション」であると同時に、「出来たて駅弁」の魅力を訴求しています



(4)「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」の商品空間

セルフ販売方式の「商品空間」は、常になわばりが解除されていて、客が自由に選べる「商品空間」となっています。
また、たくさんの駅弁が陳列されていることによって、商品自体からも「冷やかし安全信号」が発信されています。


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(たくさんの種類の駅弁が陳列されているから客が引きつけられるのではなく、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」の構造と、セルフ販売方式だからこそ、多くの客が「商品空間」に引きつけられているのです)



(5)「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」の客空間


多くの種類の駅弁を選びながら、客空間を回遊する大勢の客の姿は、非常に強力な「サクラパワー」となって、通行客を次々と引きつけています。


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(店内の客が生み出す「サクラパワー」が通行客を引きつけます)


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(たくさんの客がつくる行列の様子は、商品が購入できた客の喜びを倍加させます)

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(大勢の客が商品を選ぶ姿が、他の客を興奮させています)

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(歩けない程の客が回遊する「客空間」が、駅弁を買いたくさせています)


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●「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」は「第四世代の店」の条件を備えた店

第四世代の店は、見知らぬ客が大勢行き交う「移動空間」に立地して、「第四世代の店の構造」をして、「一見接客」を行うことによって多くの客を引きつけています。
「駅弁屋 祭(えきべんや まつり)」も、「移動中に買い物がしたくなる」という人間の基本的な性質を背景にした、「移動客」を対象にした店なのです。

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2013年5月 3日 (金)

ブランジェ浅野屋(東京・グランスタ)

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(店内の様子)

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(外の通路からの様子)

JR東京駅の駅ナカショップ・「グランスタ」にある「ブランジェ浅野屋」
の、「三空間店舗構造」と「店員と客のアクション」について、「人の動き」という観点から分析したいと思います。

「ブランジェ浅野屋」は、昭和8年(1933年)に東京で創業。昭和15年に避暑地の客を対象にした軽井沢夏季出張店を開設し、現在は軽井沢に本店を構える、パンの専門店です。

(1)「ブランジェ浅野屋」の平面図

①緑が商品空間
②空色が店員空間
③客空間は通路上
④赤が店員
⑤青が客


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(2)「ブランジェ浅野屋」の店舗構造

この店は、一見、「店員空間がある接触・引き込み・回遊型店」のように見えますが、ここでは「店員空間が広い接触型店」の構造の店だとします。

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(店員空間が広い接触型店)

(3)「ブランジェ浅野屋」の店員空間と店員のアクション

「店員空間が広い接触型店」は、従来は対面販売を行うための店の構造でしたが、近年では「店員空間が広い接触型店」の構造をして、セルフ販売を採用した店がたくさん登場してきています。
この店も、セルフでパンが買える店となっています。
この店の特徴は、商品空間の後方の広い店員空間で作業を行う店員の姿がほとんど見えないことです。
店員の姿は、右後方にあるレジカウンターのところで見かけることになります。従って、この店は「客を遠ざける店員のアクション」は全く生じない店舗構造と店員のアクションになっています。
そして、この店の店員が行う、精算と包装作業のアクションと、商品の補充や整理・整頓の作業を行うアクションは、いずれも「客を引きつける店員のアクション」となっています。

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(レジカウンターで、客に対応する三人の店員のアクションは「客を引きつける店員のアクション」です)

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(客空間に出て、商品の補充や陳列の整理を行う店員のアクションは、「客を引きつける店員のアクション」です)

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(店員空間で作業をする店員の姿は、商品空間が高いために、客側からはほと
んど見えない設計になっています)

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(外から見える店員空間での作業中の店員のアクションも客を引きつけます)


(4)「ブランジェ浅野屋」の商品空間

セルフ販売方式のこの店の「商品空間」は、なわばりが解除されているために、客が自由に選べる「商品空間」となっています。
また、豊富なオリジナル商品が陳列されていることによって、商品自体から「冷やかし安全信号」が発信されています。


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(セルフ販売方式の「商品空間」は、なわばりが解除され、豊富な種類の商品からは、冷やかし安全信号が発信されています)



(5)「ブランジェ浅野屋」の客空間


「店員空間が広い接触型店」には「客空間」はありません。
しかし「セルフ販売」を採用しているために、「商品空間」に沿った通路上に、客は自由に「客空間」をつくって、商品を冷やかしたり選んだりすることができます。
そして、
その商品をひやかしたり選んだりする客の姿は、「サクラパワー」となって、この店全体のなわばりを解除して、通行客を引きつけます。

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(冷やかしたり選んだりしやすい通路上の「客空間」)

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(商品を冷やかしたり選んだりする客の姿は「サクラパワー」を生み出し、大勢の客を引きつけます)


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(6)この店が客を引きつけるとき、客を遠ざけるとき

(1)この店は、「店員空間が広い接触型店」であることに加えて、完全なセルフ販売を採用していることによって、多くの通行客を引きつけます。

(2)レジカウンターでの店員のアクションは、典型的な「客を引きつける店員のアクション」となって、通行客を引きつけます。

(3)店員の姿がほとんど見えないほど、高く陳列された「商品空間」は、なわばりが解除された「商品空間」となって、客を引きつけています。


(4)セルフ販売を採用したこの店の通路は、なわばりが解除された「客空間」となり、通行客を気軽に引きつけています。そして、その客の姿が「サクラパワー」を生み出してさらに通行客を引きつけています。

(5)店員の姿がほとんど見えないために、「客を引きつける店員のアクション」を利用することはできませんが、その分、「客を遠ざける店員のアクション」が全く生じないという大きな利点もあります。

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