カテゴリー「◆入りやすい店売れる店の基本的な考え方」の7件の記事

2013年4月21日 (日)

店舗分析に関する基本的な考え方

●繁盛店と衰退店を分析する際の私達の基本的な考え方。

1.店は「道に生まれた」
2.群れ・なわばり・狩猟採集感覚

3.戸板一枚の店をつくる
4.販売現場における「モノ」と「コト」

 

1.店は「道」に生まれた

二つの共同体と共同体が接するところには「道」が生まれます。「道」は多くの人が行き交う場所で、そこには「市」が立ちます。
「店」は「道」に生まれたために、本来は見知らぬ人々が様々な品物を交換し、特殊なコミュニケーションを行うという「道」の性質を持っています。その性質を上手く生かすことができる現代の店は繁盛店になります。

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2.群れ・なわばり・狩猟採集感覚

動物になわばりがあるように、人間にもなわばりの感覚があります。
私たちは様々な人間関係の中で、お互いになわばりを侵さないようにすることで、争いを避け、お互いのプライバシーを上手に守っています。

そのような観点で見ると、店は店員が長時間滞在し管理している店員のなわばりです。
客は危険を侵して店員のなわばりに入っていかなければならない侵入者です。
そのため、店員が自分のなわばりを主張するアクションをすると、客は遠ざかります。
反対に、店員がなわばり解除のアクションをすると、客が引きつけられます。
このように、店では店員が客のなわばり感覚を十分に理解して行動することが非常に重要なのです。

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さらに、人間には、はるか昔から繰り返してきた狩猟採集の感覚が色濃く残っています、現代社会では、狩猟採集ではなく買い物によって食料や衣料などを手に入れるのですが、この時に、無意識のうちに安全で獲物が取りやすい場所(店)が好まれるのは当然のことです。
また、動物が移動する目的は主に狩猟となわばり活動の時なので、移動をすると無意識のうちに狩猟・採集やなわばり感覚が働きます。人間が「道」を移動している時にモノを買いたくなるのは、移動すると行動と移動が狩猟や採集の感覚と結びつきやすいからです。




3.戸板一枚の店をつくる

店舗構造は、店員のアクションに大きな影響を与えるために、非常に重要です。

店の基本は「戸板一枚の店」です。
戸板とは日本家屋の雨戸のことで、サイズは高さ約180cm、幅約90cmです。
通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座ると「店」になります。なわばり感覚や狩猟採集感覚の強い客にとって、見知らぬ店員との間で行われるスリリングな駆け引きは大変大きな魅力です。

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●戸板一枚の店における
  「客を引きつけたり遠ざけたりするアクション」


(1)「いらっしゃいませ」というと客が遠ざかる
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(2)前に立っていると近づいてこない
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(3)他の客に接客中だと近づいてくる
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(4)作業をしていると近づいてくる
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(5)サクラパワーが生じると近づいてくる
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4.販売現場における「モノ」と「コト」

「モノ」とは、商品のことです。
「コト」とは、見知らぬ店員や他の客との間で交わされるコミュニケーションのことです。
客がリアル店舗に期待する最大のものは、店員と他の客から得られるコミュニケーションなのです。

以上の4つの基準を満たした店は繁盛店になり、満たしていない店は衰退店になります。私たちはこの基準で、様々な店における客と店員のコミュニケーションとそれを生み出す店舗構造を観察しています。


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2013年2月18日 (月)

6.客を遠ざけるアクション、引きつけるアクション

販売現場における「人の動き」を観察すると、そこには、「客を遠ざける店員のアクション」と「客を引きつける店員のアクション」が存在していることがわかります。

■客を遠ざける店員のアクション(客追い踊り)

1.店頭や店内でじっと立つアクション

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2.早すぎる「いらっしゃいませ」

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店はもともと店員(販売員)のなわばりです。

店員(販売員)が店頭や店
内にじっと立っていると、店員が自分のなわばりであることを主張(なわばり主張)しているように感じられるため、侵入者である客は無意識のうちに遠ざかってしまいます。

言いかえれば、店員(販売員)が店頭や店内でじっと客を待っている様子を見ると、客はすぐに接客され自由に商品を見ることができないと感じます。

そのため、まだ、買うか買わないかがはっきりしていない客は、警戒して遠ざかってしまうのです。


■客を引きつける店員のアクション(客寄せ踊り)

1.作業中のアクション

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2.他の客に接客中のアクション

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店員(販売員)が何らかの作業をしていたり、他の客に接客をしていると、店員のなわばり主張は手薄になり、店のなわばりは解除された状態(なわばり解除)になるため、客が近づきやすくなります。

言いかえれば、客は店員(販売員)が自分以外のものに注意を集中していることがわかると、すぐには接客されないと感じられるため、安心して商品に近づくことができるのです

■サクラパワー現象

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店に客が何人かつくと、すぐには接客されない状況、すなわち客にとって安全な状況になります。
このように、先客の姿は次の客を引きつける大きな力になります。このような客を引きつける客の力を「サクラパワー現象」と呼びます。

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2012年9月 7日 (金)

5.外部の人(客)が入りやすい店舗と接客

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1
3.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2

4.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その3
の続きです。

(1)現代の店に蘇った「戸板一枚の店の法則」

前回は「なわばり感覚がはたらく『戸板一枚の店』の法則」をご紹介しました。
いつの時代にも、「戸板一枚の店の法則」は客を引き付ける基本原理です。
ただし、この「戸板一枚の店の法則」は、戦後の商店街全盛の時代には、しばらくその姿を消していました。商店街全盛時代には、地元の常連客と地域に密着した店主(店員)が濃密な人間関係を背景にした商売を行っていたために、人間が本来持っているなわばり感覚を生かした「戸板一枚の店の法則」は残念ながら無視されていたのです。

やがて、日本経済の著しい発展に伴い、都市開発が進み駅や道路が整備され、一方で、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの新しい店が登場すると、それまで商店街を利用していた客は、こぞってそれらの店に移動してしまいました。
スーパーやコンビニは確かに便利ですが、それまで濃密な人間関係を持っていたはずの客が、急激に商店街を離れて新しい店に行ってしまったのはいったいなぜなのでしょうか?
それは、実は多くの客が従来の商店街の人間関係に息苦しさを感じていて、もっと自由に買い物をしたいという強い欲求を持っていたからだと考えられます。
人の動きという観点からみると、濃密な人間関係が存在しない新しい店には「戸板一枚の店の法則」が生きていて、本来、客が望んでいた見知らぬ者同士のコミュニケーションが行われたために、多くの客を引き付けたのです。
現代においても、繁盛店を観察・分析すると、「戸板一枚の店の法則」をうまく生かしていることがわかります。つまり、客を引き付ける店員のアクションと客を引き付ける客のアクションが生じやすい店舗構造の店が、現実に多くの客を引き付けて、繁盛店になっているのです。

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2.三空間による店の4分類

ところで、客を引き付ける店員のアクションと客を引き付ける客のアクションが生じやすい店舗構造の店を持った店が繁盛店になると言いましたが、みなさんは、店の構造には違いがあるということにお気づきでしょうか?
販売関係者の方なら、対面販売の店、側面販売の店、セルフ販売方式の店などのように、店には販売商品によって様々な違いがあることをご存じだと思います。
しかし、ここでは、すでに説明した「戸板一枚の店」を原点に、「商品空間」、「店員空間」、「客空間」という三空間による店の分類を考えていきたいと思います。
この分類は、扱い商品や店の規模によって分けるのではなく、
そこで店員と客がどのように動くか、すなわち「人の動き」を基準にしています。
念のため、三空間をおさらいしておきましょう。


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1.商品空間
商品を陳列してあるところです。店の構造や販売方法によって陳列方法は様々ですが、単なるディスプレイではなく、商品を販売していることが客にきちんと認識される必要があります。

2.店員空間
店員(販売員)がいるところで、接客したり作業をしたりします。店の構造によって、店員(販売員)の居場所がはっきりしている場合と、客空間と重複している場合があります。店員空間をどのようにつくるかということは、人の動きを左右する大変重要な要素です。

3.客空間
客が商品を見たり検討したりするところです。店の構造によって、店内につくられている場合と、店の外の通路を利用する場合があります。先客の姿は次の客を引き付ける強い刺激になるので、客空間をどのようにするかも繁盛店を生み出すための大きなポイントになります。

この三空間がどのように配置されているかによって、店は次のような4つのタイプ(詳しくは8つ)に分類することができます。

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1.接触型店(店員空間が狭い)


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まずは、もっともシンプルな「店員空間が狭い接触型店」を見てみましょう。
デパートの地下食品売り場などでよく見られる、ケース販売を中心とした店がこれにあたります。「接触型店」はすでに説明した「戸板一枚の店」を色濃く継承している店で、店の原点ともいえる構造です。

2.接触型店(店員空間が広い)


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次に「店員空間が広い接触型店」を紹介します。
これは、先ほどの接触型店が大型になったもので、店の間口が広く奥行が深い場合や、柱を取り巻いてぐるりとケースを配置したものなど様々なレイアウトがあります。
このタイプの店は、「店員空間」が広いために店員(販売員)が客から離れることができるので、客が「商品空間」に近づいても店員(販売員)からのプレッシャーを感じにくく、客を引き付けやすい構造と言えます。
1985年ころには、この構造の店が非常に高い売り上げを上げていました。しかし、このような店は百貨店や駅ビルのワンフロアに1店か2店しか展開できず、また、この構造で成功するためは多くの商品アイテムが必要で、人気に陰りが出ると坪効率が下がりやすいなど多くの問題点があり、現代では次第に少なくなってきています。

3.引き込み型店(店員空間が狭い)


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次に「店員空間が狭い引き込み型店」をご紹介します。
これは、「商品空間」を店の中に引き込んで、店内に「客空間」をつくった構造です。
かつての商店街の肉屋、時計店、薬局・薬店などによく見られた店で、店内に商品空間として陳列ケースを置いているのが普通です。商品の劣化を防ぎ、店員の居住性を高めるために入り口を閉めている店が多く、目的買いの客でなければ入りにくい店でした。
かつての駅ビルや百貨店の贈答用和洋菓子店や、有名ブランドの宝飾店などにこのような店(入り口は開いている)がありましたが、冷やかし客を引き付けることはむずかしい店でした。

4.引き込み型店(店員空間が広い)


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次に、「店員空間が広い引き込み型店」をご紹介します。
これは、先ほどの「店員空間が狭い引き込み型店」が大型になったもので、店の間口が広く、奥行も深くなり、店内のケースなどは様々なレイアウトがあります。
このタイプの店は、外から見ると入りにくいイメージがしますが、いったん入ってしまうと、店員空間が広いためにあまり店員(販売員)が気にならず、ゆっくり商品を選ぶことができる店もたくさんあり、路面店で比較的大型の和洋菓子店などに見られるタイプです。
ただし、店員(販売員)があまり積極的に接客すると、客が落ち着いて商品を見ることができなくなるので、接客に注意が必要です。

5.引き込み・回遊型店(店員空間がない)


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次に、「店員空間がない、引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「引き込み・回遊型店」とは、店頭に商品空間を置かず、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「引き込み・回遊型店」の場合、店員空間があるかないかで、その店の性格はまったく異なります。「店員空間がない」タイプの店は、「店員空間」と「客空間」が重なっているために、店員はいわゆる「側面販売」を行います。

「店員空間がない、引き込み・回遊型店」は、かつての商店街の雑貨店、ファッション店などによく見られた構造で、入り口を締め切った店がたくさん存在していました。このような店は、店内の構造や商品をあらかじめ知らない客にとっては非常に入りにくいイメージがします。
近年でも、このようなタイプの店は地下街などでたくさん見ることができます。
このタイプの店は、店員(販売員)の存在が良く目立つため、接客アクションがむずかしい店です。

6.引き込み・回遊型店(店員空間がある)


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次に、「店員空間がある、引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「引き込み・回遊型店」とは、店頭に「商品空間」を置かず、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「店員空間がある」タイプの店は、店内に明確なレジカウンター(店員空間)がつくられていることが多く、いわゆる「セルフ販売方式」を行います。

典型的な例はコンビニエンスストアです。コンビニエンスストアの場合、店頭は閉め切られていることが多いのですが、「セルフ販売方式」なので、店内に入っても接客されないので、客にとっては入りやすい構造と言えます。
一般の店の場合に、この構造で成功するためには、商品空間の広さとつくり方が非常に重要です。商品が少なすぎたり商品空間が狭すぎたりすると、客が「セルフ販売方式」であることを認識できないことがあるので、注意が必要です。

7.接触・引き込み・回遊型店(店員空間がない)


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次に、「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「接触・引き込み・回遊型店」とは、店頭に「商品空間」を置き、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「接触・引き込み・回遊型店」の場合も、「店員空間」があるかないかで、その店の性格はまったく異なります。「店員空間がない」タイプの店は、「店員空間」と「客空間」が重なっているために、店員(販売員)はいわゆる「側面販売」を行います。
「店員空間がない、接触・引き込み・回遊型店」は、かつての商店街の雑貨店、ファッション店などによく見られた構造で、店頭にたくさんの商品を陳列して客を引き付けることを目的としています。
このような構造の店の場合、店員(販売員)が店頭の商品空間の近くに立って客を待ちかまえると、客が商品空間に近づきにくくなることが多いので注意が必要です。

8.接触・引き込み・回遊型店(店員空間がある)

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次に、「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」をご紹介します。
「接触・引き込み・回遊型店」とは、店頭に「商品空間」を置き、店内に回遊型の「商品空間」と「客空間」を用意している店です。
「店員空間がある」タイプの店は、店内に明確なレジカウンター(店員空間)がつくられていることが多く、いわゆる「セルフ販売方式」を行います。

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2012年9月 6日 (木)

4.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その3

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1
3.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2
の続きです。

(1)店舗の基本となる3空間 

リアル店舗を観察すると、どんな店であっても、必ず次の三つの空間から成り立っていることがわかります。それは、
1.商品空間(商品を置いてある場所。「戸板1枚の店」の場合は「戸板」がこれにあたる)
2.店員空間(店員がいる場所。「戸板1枚の店」の場合は「戸板の後」がこれにあたる)
3.客空間(客が商品を見たり買ったりする場所。「戸板1枚の店」の場合は「戸板の前」がこれにあたる)
という3つの空間です。
この3つの空間をどのようにレイアウトするかによって、客を引き付けやすい店にすることもできれば、客を遠ざけやすい店にしてしまうこともあるのです。

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(2)戸板一枚の店の店員(販売員)と客のアクションの法則

 

次に、戸板1枚の店で起きる店員(販売員)と客の様々なアクションの法則を説明します。
ここでみなさんに問題です。イラスト①を見てください。
この店に近づいてきた客に対して、店員(販売員)が何か言ったら、客が遠ざかってしまいました。
さて、店員(販売員)はいったい何と言ったのでしょうか?


    イラスト①↓
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せっかく店に近づいてきた客が遠ざかるのだから、何か失礼なことを言ったに違いない。
そう思った人も多いはずです。例えば、
「買う気がないなら触らないでくださいよ!」
「お客さん、お金あるの?」とか…。

 

残念! 違っています。

 

この時、店員(販売員)が言ったことばは、実は、「いらっしゃいませ」だったのです。
セルフ販売の店が一般的になった現在では、客はあまり接客を望んでいないと考えられるようになりましたが、それでも、店員(販売員)が客に「いらっしゃいませ」を言うと客が遠ざかるということをきちんと理解している人はごくわずかです。
もちろん、初めから商品を買うつもりの客は店員(販売員)から「いらっしゃいませ」と言われても逃げたりしません。早く接客してくれることが、良い結果をもたらすこともあります。
しかし、大多数の「買うか買わないかわからないが、ちょっと商品を見てみたい」と感じている客は、店員(販売員)の「いらっしゃいませ」に反応して、その場を立ち去ってしまいます。
これは、すでにご説明した人間が動物として持っているなわばりの感覚と深く関係しており、無意識のうちに、「店員(先住者)」のなわばり(店)に侵入しようとしている「客」が、「店員(販売員)」から警告を受けたように感じてしまうためです。
つまり、このような、早すぎる「いらっしゃいませ」は「なわばり主張」のアクションなのです。

戸板一枚の店の法則1
早すぎる「いらっしゃいませ」は客を遠ざける

 

それではイラスト②はいかがでしょうか?
店員(販売員)が店頭でじっと立って客待ちをしています。
店員(販売員)のセリフは「いらっしゃいませ」です。

    イラスト②↓
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この店員(販売員)は店の前に陣取って、まるで商品を守るように立っているのですから、イラスト①の店員(販売員)のアクションと比べても、なお一層、客が店に近づきにくくなっているのがわかります。
戸板一枚の店の法則2
店頭にじっと立って「いらっしゃいませ」を言うアクションは客を遠ざける。

 

続いてイラスト③を見てください。
店にはすでに先客がいて、店員(販売員)は接客アクションをしています。

    イラスト③↓

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みなさんは、「先客がいる店は待たされるからイヤだ」と思いますか?
もしも、今すぐ注文したいと思っていたら、待たされるのはイヤかもしれませんが、まだ、買うか買わないかはっきりしていない場合には、実は、先客の存在は客にとって大変有利なのです。
なぜ、先客の存在が有利なのか?
まず、先客がいるおかげで、すぐに接客されることがありません。
店員(販売員)が先客に関わり合っている間は、自由に商品を見たり検討したりすることができますし、また、検討した結果、買う気がなければ、そのまま買わずに帰ることもできるのです。
次に、先客の存在は、次のような情報を伝えます。
その店には何かいいものがある。
その店は安全である。
接客中の店員(販売員)と買い物をしている客の姿は、このような情報を提供しているので、このようなアクションが行われている店は、次の客を引き付けやすい状態になっています。

戸板一枚の店の法則3
接客中の店員(販売員)と客のアクションは客を引き付ける。

 

続いて、イラスト④を見てください。
客が店に近づいてきたにもかかわらず、店員(販売員)は何か作業をしています。


    イラスト④↓
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みなさんはこんなふうに思いませんか?
「何をぐずぐずしているんだ! 早く接客しないと、お客が逃げてしまう!」
残念でした。
まだ、買うか買わないかがはっきりしていない大部分の客にとって、店員(販売員)が何らかのアクションをしている店は非常に近づきやすい店なのです。
なぜなら、店員(販売員)が作業に気を取られている間は接客されないので、自由に商品を見たり検討したりすることができるからです。

戸板一枚の店の法則4
作業中の店員(販売員)のアクションは客を引き付ける。


続いて、イラスト⑤をご覧ください。
店員(販売員)は接客に追われて忙しく作業しており、そのまわりに大勢の客が集まっています。

    イラスト⑤↓

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このように、店にたくさんの客が集まっている状態を「サクラパワー現象」と呼びます。店に何人か客がつくと、それは「サクラパワー現象」を引き起こし、さらに強い力で次々と客を引き付けていきます。
こうなると、店員(販売員)はひたすら接客と作業を繰り返すので、客を遠ざける店員のアクションをすることがなくなり、客を引き付けるよい循環が続きます。

戸板一枚の店の法則5
サクラパワーは客を引き付ける。

 

このように、客ができるだけ店にいる時間を長くし、「サクラパワー現象」を生じさせておくことが、繁盛店をつくるための大切なポイントなのです。
実は、こうした店員(販売員)と客のアクションは店舗構造と非常に深い関係があります。

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外部の人(客)が入りやすい店舗と接客

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2012年9月 5日 (水)

3.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1

の続きです。

(1)「戸板1枚」の店とは何か? 

ところで、みなさんは「戸板一枚」ということばをご存知でしょうか?
戸板とは日本家屋の雨戸のことで、サイズは高さ約180cm、幅約90cmです。
通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座ると「店」になります。江戸から明治にかけての市では、一店分のスペースとして戸板一枚(またはむしろ一枚)が使われるようになりました。店を作るのもたたむのも簡単な戸板一枚の店は、今日の店の原型だったのです。
そして大勢の客で賑わった、いわゆる戦後の闇市も、戸板一枚分のブースで割り振られた店で構成されていました。その後の日本の経済の目を見張る復興は、焼け跡に生まれた、戸板一枚の店からスタートしたと言っても決して過言ではないはずです。 実はこの戸板一枚の構造の店と戸板一枚を挟んで行われた様々なやり取りの中に、今日の繁盛店の構造
の秘密や有効な接客のヒントがたくさん隠されているのです。

 

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(2)戸板一枚の店と対人距離の関係

 

「戸板一枚」(180cm~90cm)をはさんでの売り買いでは、売り手と買い手が戸板の距離をうまく使ってコミュニケーションをしたのです。90cm幅の戸板にお互いが身を乗り出せば、二人の間の距離は約45cm。また、お互いが戸板をはさんで自然に立つとその幅は約120cm。それ以上の距離を買い手が保とうと思えば、戸板の端(120~360cm)に移動します。また売り手が通り過ぎる人に声をかける場合は、戸板2枚の距離(360~720cm)になります。
このように戸板一枚は、見知らぬ同士の売り手と買い手が、それぞれの目的を達成するために、お互いが戸板の距離をうまく使ってやり取りした、大変便利なコミュニケーションの道具だったのです。


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この「戸板一枚」の店の距離感は、アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールが分類した人間同士の四つの距離に見事に符合しています。
1.密接距離(0~45cm)
2.固体距離(45~120cm)
3.社会距離(120~360cm)
4.公衆距離(360~720cm)

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なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その3

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2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1

この記事は
1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
の続きです。

(1)現代人にもある「なわばり感覚」

 

動物になわばりがあるように、人間にもなわばりが存在しています。
現代人にもこの「なわばり感覚」は生きていて、例えば、新幹線の座席の真ん中の手すりをどちらが使うかが非常に気になったり、隣の席の同僚が自分の机の方にまで書類を押し出してくると不快に感じたりするのは「なわばり感覚」の影響です。

ところで、この「なわばり感覚」は「店」にとって非常に重要なものです。
なぜなら、客が店に入りにくい最大の原因は、店員が自分のなわばりを守ろうとするところから生じているからなのです。
販売関係者の多くは、「店の主役はお客様」だと思い込んでいるため、なかなかそのことに気づきませんが、実際にその構造を眺めてみると、
店は店員(販売員)のなわばり以外の何ものでもありません。
なわばりの先住者である店員(販売員)は、店を見回り、管理し、守っています。

その店(なわばり)に侵入してくるのが、外部から来た客なのですから、
客の立場は非常に弱いということがわかります。
客はそっと様子をうかがい、店員(販売員)が攻撃してこないことがわかれば、店(店員のなわばり)に近づいていきますが、店員(販売員)が攻撃態勢をとっていたり、攻撃をしかけてきたりするとなかなか近づくことができません。

みなさん、もう、おわかりでしょうか?
もしも、あなたの店の店員(販売員)が、客が店(店員のなわばり)に入って来ないようにしっかりとガードを固めていたら、当然、業績はあがりません。
店員(販売員)が「この店は自分のなわばりだから入って来るな!」
と客にアピールする行為を「なわばり主張」と呼ぶことにします。

一方、店員(販売員)が「この店は自分のなわばりではありません。どうぞ自由に入って下さい」と客にアピールする行為を「なわばり解除」と呼ぶことにします。

つまり、売れる店をつくるためには、店員(販売員)が常に「なわばり解除」していることが非常に大切なのです。
どうすれば、「なわばり主張」になり、どうすれば「なわばり解除」をすることができるのかについては後述します。



(2)店は「外部」と「内部」を結ぶ特別な空間

さて、もう一つ、見方を変えてみると、店は「外部」と「内部」を結ぶ特別な空間、すなわち、境界であると考えることができます。
「店」の起源は「市」ですが、「市」とはもともと、山と里、陸と海などの異なる共同体同士が接するところで生じ、様々な品物が交換されてきました。
初期の市は、生活必需品を手に入れる場所ではなく、余剰品を交換しながら見知らぬ人とのコミュニケーションを楽しむ場だったと言われています。


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現代でも、リアルショップ(店)での買い物は私達の気分を高揚させてくれます。
それは私達が店に行くと擬似的な「境界」を感じ、そこで、スリルのある見知らぬ人とのコミュニケーションを楽しむことができるからだと考えられます。
このように、リアルショップ(店)の楽しみは、単に商品を手に入れるだけでなく、見知らぬ人(店員)と客とのコミュニケーションにあるので、今後、ますますウェッブサイトなどが発展しても、なくなることはないと思われます。

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なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その2

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2012年9月 4日 (火)

1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店

みなさんは、繁盛店をつくるポイントは何だと思いますか?
「人気商品・品揃え」「立地・規模」「接客・オペレーション」など様々な要素が考えられると思います。しかし、ここには決定的な要素が欠けているのです。
それは、「人の動き」を基本にした店づくりの考え方です。
リアルショップ(店)は人間(店員)と人間(客)がコミュニケーションをするための装置なので、その性能の良し悪しによって業績が大きく左右されます。

それでは、

「店」の性能とは何か?
「入りやすい店」とはどういうものなのか?

この問題を解決するためには、とりあえず「人の動き」を基本にした3つの考え方を理解する必要があります。初めての方はぜひ、「入りやすい店をつくる3つのポイント」をご覧ください。
ポイント1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店
ポイント2.なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」の法則
ポイント3.外部の人(客)が入りやすい店の構造

今回は、ポイント1.「人の動き」の観点から見た売れる店と売れない店についてご説明いたします。
ここに2店の店があります。
片方の店を「まるとらショップ」、もう一方の店を「まるねこショップ」とします。
「まるとらショップ」の店長は、自分の店と隣の「まるねこショップ」の業績差に頭を抱えていました。ほとんど同じ立地に、同じくらいの店を出し、よく似た商品を販売しているにもかかわらず、隣の店は行列が絶えないのに、自分の店にはたまにしか客がやって来ないのです。

店長としては何とか手を打たなければならないところですが、商品や店舗設計は本部の意向が強いのでどうすることもできず、仕方なく、最近モチベーションが下がり気味の店員(販売員)たちに、「きちんと立ってお客様を待つこと」「もっと笑顔で、積極的にお客様に声をかけること」を厳しく教育しました。ところがこれといった結果は出ず、ますます2店の業績差は広がるばかりなのです。

         まるとらショップ↓

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          まるねこショップ↓

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この差はいったいどこにあるのでしょうか?
私達は、それは「店員と客のアクション」にあると考えています。
なぜなら、リアルショップで客を引き付ける最大の要因は「人の動き」だからです。
あなたは、行列ができている店を見たら興味をひかれませんか?
まず、人がたくさん集まっていること自体が大きな情報になるはずです。

大勢の人が並んでいると、
1.そこには何かいいものがある。そこは安全である。
2.何を売っているか気になりチェックしたくなる。
3.自分も並ぶ(または、人気店として情報をインプットする)


一方、客がだれもいない店の場合はどうでしょう。

店員(販売員)だけで客は誰もいないと、
1.そこには特にいいものはない。そこは安全かどうかわからない。
2.何を売っているか気にならず、特にチェックしいと思わない。
3.店に近づかない(または、特に店の情報をインプットしない)

このように、客は他の客がどのような行動をとっているかによって、大きく行動を変化させます。従って、客のアクションをどのようにコントロールするかが繁盛店を生み出す大きなカギになっているのです。

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それでは、客のアクションをコントロールするにはどうすればいいのでしょうか?
そのために必要なのは、
①客を引き付ける店員のアクション(接客)

②それを生み出しやすい店舗構造

この二つです。
この、客のアクションをコントロールする二つのノウハウ理解し実践すれば、売れるリアルショップをつくることができます。

続きはこちら
なわばり感覚がはたらく「戸板一枚の店」 その1

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