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2022年6月

2022年6月27日 (月)

33.こういう店が引き込み型店①店員空間が狭い場合(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

繰り返しご説明してきましたとおり、「店」の構造は「戸板一枚の店」が基本になっています。

「戸板一枚の店」とは、大勢の見知らぬ人々が行き交う路面に、「戸板一枚」の上に商品を並べて、その後ろに店員が座ることによって生まれる「店」のことです。

現在でも、「市」や「まつり」にだけ登場する露店商の「店」に、そのなごりを垣間見ることができます。

「戸板一枚の店」の構造と売り方をほとんどそのままに引き継いでいるのが、デパ地下によくある「店員空間の狭い接触型店」と「店員空間の広い接触型店」の店で、いずれも「商品空間」が通路に接しています。

その「商品空間」を通路から店内に引き込んで、「客空間」を店内に設けた店が「引き込み型店」です。

この構造は、かつての駅ビルや地下街などに多く見られましたが、商店街の店の大部分は、この構造となっています。

なぜならば、商店街の店では、お客様が店内の「客空間」に入ってゆっくりと買い物をしたり、商品が風雨にさらされて劣化するのを防いだりするために、この店舗構造が主流となったのです。

今回、ご説明する「引き込み型店」も、すでにご説明した「接触型店」と同様に、店員とお客様の人間関係に「戸板一枚の店の法則」が強く影響していることには、全く変わりはありません。

それでは、今回の「こういう店が引き込み型店①店員空間の狭い場合」を、お読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。 

33.こういう店が引き込み型店 

店頭には商品を陳列せず、店内にはいってはじめて商品が見られるようなタイプの店を引き込み型店といいます。 

つまり客を店の中に引き込んで販売をしようとする店のことです。

引き込み型店はその構造からいって、じっくり見て選ぶ種類の商品、たとえば贈答品や高額商品の販売に適しています。 

むかないのは衝動買いをされるような商品、たとえば持ち帰り品や日用品などです。 

引き込み型店は店内の店員空間の大きさによって店の性格が変わります。

①店員空間が狭い場合


58-1

このタイプの店は駅ビルや地下街によく見られます。

つまり、比較的狭い面積の中に、なんとか引き込み型店を作ろうとすると、どうしても店員空間にしわよせがきてしまうからです。

実際には客空間が多少小さくなっても店員空間を十分にとったつくりにするほうが客を集めやすいのですが、店員空間の大切さがまだあまり理解されていないため、店員空間が犠牲になることが多いようです。

業種で多いのが和菓子店や洋菓子店、のりやお茶の店などです。

こうした店の中には、ケースの一部が通路に面するような、ちょうど接触型店と引き込み型店の中間のような店づくりをしているものもあります。

けれどもこの方法は扱い商品とうまくあわなかったり、商品空間の設計が中途半端で魅力の乏しいものになりやすく、成功例は少ないようです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。 

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2022年6月13日 (月)

32.客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

「店員空間が狭い接触型店」も「店員空間が広い接触型店」も共に、買わない客(ひやかし客)をいかに多く、いかに長く「商品空間)(店)引き留められることができるかが、売り上げを大きく左右するということについては、前回ご説明いたしました。

そのためには、「なわばり」主張の店員のアクションをできるだけ抑えて、「なわばり」解除の店員のアクションを行うことが非常に大切であることもご説明いたしました。

しかし、お客様を長く店頭や店内に引き留めるためには、「商品空間」そのものからも、「なわばり」解除のメッセージを伝える必要があります。

「商品空間」そのものから「なわばり」解除のメッセージを伝えるためには、「ひやかし安全信号」が発信されなくてはなりません。

それには、買うか買わないかに関係なく、お客様がしばらく眺めていたいと感じられる、商品の陳列の仕方やパッケージや商品を盛り立てるためのディスプレイを行う必要があります。

つまり、「商品空間」づくりは、お客様に買いたいと思わせる「商品空間」ではなく、お客様が眺めていても接客を開始されないから安心だと思わせる「商品空間」を目指すことが重要なのです。

いかに魅力的な商品であったとしても、先ずは大勢のお客様に見られなくては、何も始まらないからです。

それでは今日の、「客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ」をお読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

32.客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ

自分の店に客を集めようと思ったら、客を集めるための「しかけ」を用意しなければなりません。

このしかけはふつう商品空間の中にあって、客に対してあるメッセージを送り続けます。

このメッセージを受けた客はそれに反応して、ゆっくりと商品をながめていきます。

どうしたらそのようなしかけがつくれるのでしょうか。


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商品空間の中に置かれるものはふつうは商品だけです。商品だけが置かれた商品空間はこんなメッセージを客に送ります。

「お客さん、アナタはじっと商品を見てますね。それは商品に興味があるということですね。つまり買うということですよね!」

こういう店では店員も素早く声をかけてきます。

客はこうした信号には敏感なので、なかなか商品のそばによってきません。

もしも商品空間に商品以外のものがたくさん組みこまれていて、見るだけでも楽しそうに作られていたらどうでしょう。

その商品空間はこんなメッセージを送ります。

「お客さん、面白いでしょう。商品を買わなくてもいいんですよ。ゆっくり見ていってくださいね」

こういうメッセージを発する小物や道具を「ひやかし安全信号」といいます。

こういう店の店員は「商品空間を見る」=「商品を買う」とは思わないので、急には声をかけてきません。

そこで客はますます安心して商品を検討します。

商品を見る客がふえればふえるほど、当然、買う客もふえます。

すると店員は自然と接客作業に追われて、店員のなわばりが解除され、ますます客をひきつけます。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


続きは次回に…。

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2022年6月 6日 (月)

31.客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

「店員空間の広い接触型店」の「商品空間」も、「店員空間の狭い接触型店」の「商品空間」も、両方ともお客様が行き交う通路に面した位置にあります。


Photo  ←店員空間の狭い接触型店
Photo_2←店員空間の広い接触型店

同じ条件に位置する「商品空間」(上のイラストのブルーの部分)であるのに、「店員空間の広い接触型店」の「商品空間」の方が「なわばり」が解除されやすいのは、「店員空間が広い」分だけ店員の「なわばり」主張が弱まるためです。

しかし、「店員空間の狭い接触型店」であっても、「店員空間の広い接触型店」に負けずに「なわばり」を解除する方法があります。

それは、ひやかし客をできるだけ長く引きとめておくということです。

買う客も、買うか買わないかわからない客も、買う気が全くない客も、全ての客が両方の店にとっては、非常に大切な「サクラパワー」となります。

なぜならば、買うか買わないかに関係なく、「商品空間」(この場合は店)の前に立ち止まる客は、必ず「サクラパワー」となって通行客を引きつける役割を果たしてくれるからです。

したがって、お客様が「商品空間」に近づいて来たリ、「商品空間」を眺めはじめたりしても、決してすぐには接客を開始してはいけないのです。

商品を眺めたり、検討したりするお客様の姿は、「サクラパワー」となって、通行客を引きつけてくれるからです。

こうして、「店員空間の狭い接触型店」も「店員空間の広い接触型店」に負けずに「なわばり」を解除することができます。

このように、「接触型店」の店に限らず、全てのリアルショップの競争においては、買わない客(冷やかし客)をどれだけたくさん「商品空間」の前(店内)に立ち止まらせることができるかどうかが、勝負を大きく左右します。

それでは今回の、「客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除」をお読みください。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

31.客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除

どんな店でも、客に商品を見てもらえない限りそれを売ることはできません。

そこで大切になってくるのは、どれだけ客が見やすい商品空間を創造することができるかということです。


Photo
最も簡単で、しかも最も重要なのは、商品空間のなわばりを解除して客が自由に見たり迷ったり選んだりできる状況を作ることです。

これは店員空間が狭い店でも広い店でも同じことです。

そのためには、まず店員が商品のすぐうしろや前にじっと立つこと(客追い踊り)をやめるようにします。

同時に、近づいてきた客にすぐに声をかけること(客追い音頭)もやめます。

そのかわりにしていても不自然でない仕事(たとえばケースをふく、商品を補充するなど)をいくつか考えて、常にアクションを続けられるようにします。

客が近づいてきても、いよいよ声をかけられるまではアクションを続けます。

店員空間が広い場合はできるだけ移動するようにします。

時々、百貨店内の贈答用菓子売り場などで店員がケースの前に出て客待ちをしている店があります。

これでは商品空間が店員のなわばりに侵されてしまうので、ひやかし客が近づけません。

たとえひやかしであっても客がケースの前に立ってくれることは大変ありがたいことなのです。

客が一人でもつけばその場のなわばりが解除され、二人目の客はますますつきやすくなります。

近づいてくる大切な客を追い払うようなことをしてはいけないのです。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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