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2022年4月

2022年4月25日 (月)

25.店員空間が狭い場合のアクション術(その1)(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

デパ地下などの食品フロアの店の構造は、現在もそのほとんどが「店員空間の狭い接触型店」で、ごく限られた店だけが「店員空間の広い接触型店」であることを、前回までにご説明しました。

なぜ、この状況が変化して来なかったかは、店本来の性質に深い関係があります。

店本来の性質とは、店は店員の「なわばり」であるために、「戸板一枚の店」の「商品空間」を挟んで、店員と客とが「なわばり」の攻防を交わしつつ、売買が行われるということです。

したがって、店員が「なわばり」を主張するアクションを行えば客は遠ざかりますが、反対に「なわばり」を解除するアクションを行えば客を引きつけることができるのです。

一部の「達人店員」は、意識的に「なわばり」を解除するアクションを行って客を引きつけていますが、大部分の店員はその理解がないために、ついつい「なわばり」を主張するアクションを行っては客を遠ざけてしまいます。

しかし、「なわばり」を主張する店員の店にも、「なわばり」を解除する店員のアクションが生じたり、客が客を呼ぶ「サクラパワー」現象が起きたりなどして、必ず客を引きつける状況が生じます。

そしてまた客自身も、店員との「なわばり」の攻防が全く無い店ばかりの所で買い物がしたいとは望んでいません。

なぜならば、見知らぬ店員との「なわばり」の攻防を行いつつ、少しでも有利に商品を手に入れようとする行為こそが、買い物の醍醐味だからです。

以上のような理由で、ごく一部の店を除いた大部分のデパ地下の店は、「店員空間の狭い接触型店」のまま、現在に至っているのです。

どうぞ、実際にデパ地下の現場行って、「店員空間の広い接触型店」は、ごく限られた店だけであることを確認してください。

そして、もしも全ての店が、「店員空間の広い接触型店」の構造ばかりになった場合の、魅力の無いデパ地下の様子をも想像してみてください。

さて今回は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その1)」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

 25.店員空間が狭い場合のアクション術(その1)

①店員がじっと立っている店は客を遠ざける 

店員が立っているのが精一杯という店は数多くあります。

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こういう店での店員の動きを調べてみると、商品や陳列ケースにはりつくようにしてじっと立っていることが多いのです。

この「じっと立っている」という店員のアクションは、客に「客が来るのを今か今かと待っている」というなわばり主張のメッセージを伝えてしまいます。

実際、店員が前方を向いてじっとしている状態の店には、あまり客が近づいてきません。

店員がこのようにじっとしているのは、必ずしもなまけているわけではなくて、次のような理由が考えられます。

①店の規模が小さいので作業がすぐ終わってしまう。

②「客待ち態勢」を教育されており、それを実行している。

①のほうは、作業がないのでじっとしている→客が来ない→接客作業がない→客が来ないという悪循環をつくりだします。

また②のほうは、客が来ない状況をわざわざ自分からつくっているようなものです。

もちろん、店頭に店員がじっとしているからといって、全く客が来ないわけではありません。

通行量がふえる時間帯にはよく売れる状況になることもあります。

このことが、長い間、店員のアクションのまちがいを見のがす結果になったのです。

より売り伸ばそうと思うなら、じっと立っていることはやめなければなりません。 

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

続きは次回に…。 

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2022年4月18日 (月)

24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

ネットショップの普及に加えて、なお続くコロナ禍によって、「リアルショップ」(「店」)の本来の性質や役割について、多くの人たちがなんとなく気づきはじめてきています。

このシリーズでは、敢えて昔の「店」(リアルショップ)の情報を提供することによって、「リアルショップ」の本来の性質や役割について、できるだけ多くの方々に知って頂くための一助となることを期待しています。

さて、デパ地下の店は、「接触型店」(店舗構造)で構成されています。

しかも、ほとんどの「接触型店」は店員空間に店員が立っているのがやっとという程度の、「店員空間の狭い接触型店」となっています。

デパ地下は、「戸板一枚の店」に近い「店員空間の狭い接触型店」が主流であるからこそ、多くの客を引きつける売り場なのです。

「戸板一枚の店」の構造を引き継いでいる「店員空間の狭い接触型店」は、実は、「客を引きつけたり遠ざけたりする性質」をも引き継いだ店なのです。

かつて、ほとんどの百貨店の販売関係者はそのこと気づいていませんでしたが、ごく一部の「達人店員」だけはそのことに気づいていて、狭い店員空間の中で、できるだけ客を遠ざけるアクションをしないで、できるだけ客を引きつけるアクションを行うことによって、高い売り上げをあげていました。

そんなデパ地下に、初めて「店員空間の広い接触型店」をオープンさせたのは、梅田の阪急百貨店の「叶匠寿庵(かのうしょうじゅあん)」でした(1970年代)。

デパ地下において、「店員空間の広い接触型店」は、従来からの「店員空間の狭い接触型店」に対して、圧倒的に有利でした。

なぜならば、「店員空間の狭い接触型店」では、「なわばり」主張の店員のアクションが生じやすいのに対して、「店員空間の広い接触型店」では、「なわばり」解除の店員のアクションが生じやすいからです。

その後次第に、デパ地下の店は、店員空間が広く作られるようになってきたのです。

しかし、現在でも、多くの販売関係者の方々は、店員空間の狭い店は、店員空間の広い店に比べて、非常に不利な構造であるという理解はありません。

したがって、百貨店側は、ごく一部の店にだけ広い店員空間をつくれるスペースを提供して、大部分の店には、店員空間を広くつくれないスペースを割り振っているのが現状です。

よって、大富豪(大貧民)ゲームのように、店員空間の広い店は極めて有利で、店員空間の狭い店は極めて不利な条件が課せられたまま、商売を続けることになるのです。

このように、リアルショップの「店」は、店員が「なわばり」を主張するか解除するかによって、大きな業績差が生じているのです。

さて今回は、「こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)

②店員空間が広い場合 

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 一般に接触型店は、その特性上、通行客が非常に多い立地に作られます。

通行客の多い場所ほど地価が高いために、広い販売スペースを持った大きな店を出すことは難しく、自然と店の規模が小さくなります。

店が小さくなるほど店員空間を十分にとる余裕がないので、どうしても店員がなわばり主張をしてしまいがちな、不利なレイアウトをとることになってしまいます。

それでも、通行客が多いということは、売り上げをあげるために非常に有利な条件なのです。

このように、接触型の店では店員空間が狭いのが普通です。

けれども、中には、通行客が多い通路に面した接触型店で、店員空間の広い店も存在しています。

百貨店内の非常に通行客の多い通路に面していて、なおかつ広い店員空間を持っている店では、たいへん有利な販売方法が展開できます。

店員が広い店員空間を使ってアクションをすることによって、店全体のなわばりが解除され、客が非常に近づきやすい状況をつくり出すことができるからです。

そのため、このタイプの店はたいてい繁盛しています。

同じ条件の店でも、通行客が少ない立地では成功は難しいでしょう。

接触型店で売る商品そのものの特性からいって、どうしても通行客数が多いことが必要です。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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2022年4月11日 (月)

23.こういう店が接触型店(店員空間が狭い場合)(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

このブログは、『リアルショップ』(『店』)の本来の性質と役割についてご報告しています。

駅ナカ・駅ソトショップや百貨店などの現在の店は、単純な「戸板一枚の店」の構造から規模が大きくなり、構造が複雑に変化していますが、「商品空間」と「客空間」と「店員空間」の三空間で構成されていることには全く変わりはありません。

そして、三空間がどのように構成された店であるかを基本にして、店は大きくは四分類され、さらに細かくは八分類されることに関しては、前回でご説明いたしました。

これから、8回に渡って、それぞれの店の構造と、その構造の店での店員のアクション術についてご説明してまいります。

最初に説明する「接触型店(店員空間が狭い場合)」は、デパ地下で見られる、果てしなく「戸板一枚の店」に近い構造をした店のことです。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。

23.こういう店が接触型店(店員空間が狭い場合)

接触型店とは、通行客が往来する通路に面して、商品を陳列している店をいいます。

たいていの場合、少しでも通行客に近づけようとして、通路まではみ出して商品が陳列されています。

そこでこのタイプの店は、いわゆる持ち帰り品を売るのに適しています。

時間をかけて選ぶ必要のない値段の安い商品は、客の目にはいるかはいらないかで勝負が決まるのです。

また、接触型店は、店員空間の広さによって二種類に分けることができます。

それぞれの特徴を見てみましょう。

①店員空間が狭い場合 

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店員空間が狭い接触型店の典型的な例は、デパートの食品売り場にいけば簡単に見ることができます。

こういう店はたいてい商品空間も狭く、ケース一本か二本がせいぜいです。

店員空間はケースの向こう側ですが、そこには包装台やらレジ台やら商品ストックが所狭しと並んでおり、店員は立っているのがやっとという状況です。

また、お祭りに欠かせないのが縁日ですが、この縁日も店員空間の狭い接触型店に分類されます。

金魚すくい、わた菓子屋、風船屋、おでん屋、たこ焼き屋など、どれも、商品空間が通路に面しており、お客さんはあっちへ押されこっちへ押されしながら、目についた商品を買っていきます。

さらに、競馬や競輪の予想屋やデパートなどで行われる実演販売もこのタイプです。

予想屋や実演屋は通路に面したところで呼びかけるから人が集まってくるのです。

もし彼らが店の奥のほうから呼びかけたとしたら、客は警戒してなかなか中にはいってこないでしょう。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです) 

続きは次回に…。

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2022年4月 4日 (月)

22.商品空間と店員空間と客空間の三空間からなる「店の四分類」(入りやすい店売れる店1986年版)

こんにちは。

店は店員の「なわばり」であり、客は店員の「なわばり」の中に入って買い物をしています。

したがって、店員が「なわばり」を解除するアクションを行う店ほど客を引きつけ、逆に店員が「なわばり」を主張するアクションを行う店ほど客を遠ざけてしまいます。

そして、店員が「なわばり」を解除したり主張したりするアクションは、商品空間と店員空間と客空間の三空間の設計(レイアウト)つまり「店舗構造」によって生み出されています。

残念ながら、このことを念頭に置いてつくられている店は、非常に少ないのが現状です。

その結果、関係者が頑張って作ったと思われる店ほど、博物館や個展会場における芸術品の陳列空間のような店になっているのです。

当然、商品を販売する商品空間には程遠く、苦戦を強いられる結果となります。

店という空間は、前回ご説明しました通り、「戸板一枚の店」を構造の基本形にして、店員ができるだけ「なわばり」を解除しやすい構造を設計する必要があるのです。

店は、一見しただけで、販売している商品特性に合った三空間が設計されているか否かが分かります。

また、同時に、店員が「なわばり」を解除しやすい店か否かも、直ぐに判断することができます。

そして、実際には、商品に合わない三空間設計の店や、店員が「なわばり」を解除しにくい店がたくさん見受けられるのが現状です。

さて今日は、「商品空間と店員空間と客空間の三空間からなる『店の四分類』」というお話です。

なお、このシリーズは約35年前の書籍の抜粋であるということを改めて念頭に入れて頂いた上で、どうぞお読みください。   

22.商品空間と店員空間と客空間の三空間からなる「店の四分類」

店は大きく分けると次の四種類(細かくは8種類)になります。

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(Ⅰ)接触型店

商品空間が通路に面したところにあり、客は通路で買い物をします。店員はたいてい店の中にいて、商品空間によって客とへだてられています。

店員空間の大小によってきらに二つに分けられます。

(Ⅱ)引き込み型店

商品空間が店内にあり、客は店内の客空間で買い物をします。

店員はたいてい商品空間によって客とへだてられ、店内の奥の方にいます。店員空間の大小によってさらに二つに分けられます。

(Ⅲ)引き込み・回避型店

客が自由に商品を見ることができる回避型の商品空間が店内にあり、客は店内の客空間で商品を選びます。

店員空間が決まっているものと決まっていないものの二つに分けられます。

(Ⅳ)接触・引き込み・回避型店

引き込み・回避型店に接触型の商品空間を加えたものです。

店員空間が決まっているものと決まっていないものの二つに分けられます。

私たちが日常見る店はすべてこの四つの分類の中のどこかにはいります。

そして、この店のタイプこそが売れる店と売れない店の秘密を解くカギなのです。

業種や扱い商品によって、それに合う店のタイプと合わない店のタイプがあります。

さらに、店員のアクションは店のタイプによって変えなければなりません。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


続きは次回に…。

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