11.矢状面(前後)の動作とは?(入りやすい店売れる店1986年版)
こんにちは。
前回に引き続いて、10個のコミュニケーション信号の内の①動作信号について詳しく説明しています。
①動作信号は、
(1)水平面の動作(※回転の動き)
(2)垂直面の動作(※上下の動き)
(3)矢状面の動作(※前後の動き)
以上の三つの動作に分類され、(1)水平面の動作と(2)垂直面の動作については前回と前々回でご説明しました。
今回は残り一つの(3)矢状面の動作(前後の動き)についてご説明します。
そして、(3)矢状面の動作(前後の動き)には、
(A)前進・加速の動作(※突進の動き)
(B)前進・減速の動作(※接近の動き)
(C)後退・加速の動作(※機敏の動き)
(D)後退・減速の動作(※退避の動き)
の四つの動作があります。(※後に改名しました)
さて、今回は、「(2)矢状面(前後)の動作の(A)~(D)」について詳しくご説明いたします。
どうかこのシリーズは、約35年前の書籍の抜粋であるということを念頭に入れてお読みください。
11.矢上面(前後)の動作とは?
今、立ったまま、身体を前のほうへどんどん傾けていくとします。
すると、やがて、これ以上傾くと前へばったりと倒れてしまうという限界に到達します。
こんどは逆に、身体を後ろのほうに傾けていくと、やはりこれ以上いくと後ろにばったり倒れてしまうという限界に達するでしょう。
この最も前傾した状態から、最も後傾した状態までの間の動きの変化を「矢状面」の動作(前後の動き)といいます。
この時、前に出る動作を「前進」、後ろにさがる動作を「後退」と呼びます。
ところで、この「前進」と「後退」の動作は、それぞれが相性のいいもうーつの動作と結びついた時はじめて、自然でよく意味のわかる動作になります。
もしもまちがった相手と結びつくと、その動作は不自然で、よく意味がわからなくなってしまいます。
矢状面の動作(前後の動き)が結びつくべき相手は「減速」と「加速」です。
(A)前進・減速の動作(図9)
「前進」の動作は、速度をゆるめる「減速」の動作と結びついた時に最も自然に見えます。
図9の店員(右側の女性)は客(左側の男性) のサイズを測るために、客のほうに近づいていくところです。
彼女は客を驚かせないようにゆっくりと前進しています。
その動作はごく自然で落ち着いて見えます。
客のほうも、店員がなんのために近づいてくるのかがよくわかっているので、安心して店員を待っています。
(B)前進・加速の動作(図10)
図10は「前進」の動作の失敗例です。
この店員(左側の女性)もまた、客(右側の男性)のサイズを測ろうとしてやってきたのです。
ところがその時、客の方に「前進」しながら思わず「加速」してしまいました。
客は店員が突然目の前にすごい勢いで飛びだしてきたので驚いています。
客は、店員が自分に向かって突進してくる理由がよく理解できないので「この店員はまだ接客に慣れていないために一大決心をかためて近づいてきたのだろうか」、あるいは「強引に商品を売りつけるつもりなのだろうか」と不安を感じています。
(C)後退・加速の動作(図11)
「後退」の動作は、速度を速める「加速」の動作と結びついた時に最も自然に見えます。
図11の店員(右側の男性)は客(左側の女性)に注文された商品を探そうとしています。
彼は注文をうけるとすぐに、きっと後ろにさがって商品のほうへ行きました。
その動作はキビキビとしていて、いかにも商品を探すための準備という感じがしたので、客は期待して店員を待っています。
(D)後退・減速の動作(図12)
「後退」の動作が「減速」と結びつくと、どうしても敗北とか逃げ出すというイメージになります。
図12の客(左側の女性)には、自分の注文を受けた店員(右側の男性)がじりじりと後ずさりをする理由が理解できません。
「何か悪いことを頼んだのではないか」と不信に思っています。
このように、前後面の動きと速度との間には密接な関係があります。
「前進・減速」すれば落ち着いていて熱心な感じがし、「前進・加速」すればおっちょこちょいに、「後退・加速」すればキビキビと、「後退・減速」すれば憶病に感じられるのです。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
続きは次回に…。
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