6.なぜ客はアクションに反応するのか(入りやすい店売れる店1986年版)
こんにちは。
店員にとって店は、自分の「なわばり」に大切な商品を陳列して、少しでも多くの売り上げを目指している、非常に重要な現場です。
客の側もまた、少しでも良い商品をより安く入手したいと願っているために、店員と客の利害は、はっきりと対立しています。
店員は常に客の動向に注意を払って、商品を求めていそうな客をいち早く発見して、購入を促進しようと待ち構えています。
そのことをよく知っている客もまた、店員の積極的な接客の影響を受けて、ついつい妥協した購入をしないように、注意を払っています。
したがって客は、店に近づくと、店員が何をしているかについて敏感に察知します。
そのため、店頭や店内でじっと立って客を待ち構えている店員のアクションを見かけた場合には、客は直ぐにその店から遠ざかります。
しかし、店員が他の客に接客をしたり、あるいは作業に専念したりするアクションを行っている場合には、直ぐには接客を受けないことが予測できるために、その店に入りやすくなります。
つまり、客は店員のアクションを見て、安全な店(直ぐに接客されない店)であるか、危険な店(直ぐに接客される店)であるかを判断しているのです。
さて今日は、「客が、店員のアクションに、遠ざけられたり引きつけられたりする」理由についてのお話です。
どうか、35年前の書籍の抜粋であるということを念頭に入れてお読みくださいませ。
6.なぜ客はアクションに反応するのか
客と店員が販売の現場で行ういろいろな行動をよく知るために、大昔の人間の生活をふり返ってみましょう。
はるか昔、人間は狩猟や採集によって、食物や衣料を手にいれていました。
獲物を手にいれる場所が安全で快適であれば、人は安心して獲物を探したり選んだりすることができます。
けれどもその獲物のそばに恐しい敵がいたら、なかなか近づ〈ことができません。
現代の社会では、人間は「買い物」によって、食物や衣料を手にいれています。
もしも商品を手にいれる場所が安全で快適であれば、人は安心して商品を探したり選んだりすることができます。
けれどもその商品のそばに恐しい敵がいたら、なかなか近づくことができません。
大昔、その敵は卵を守るくちばしのするどい親鳥であったり、水をくもうとすると顔を見せるワニだったりしました。
現代の敵はなんと店員なのです。
店員は「店」という自分のなわばりの中にいて「客」から商品を守っています。
ところが、商品をたくさん売ろうと思ったら「客」がどんどん店の中にはいってくるようにしなければならないのです。
この矛盾が多くの店員を苦しめています。
すでにお話した「客寄せ踊り」や「客よせ音頭」は、店員が店にいながら他のことに気をとられている状況をつくりだすことによって、店員のなわばりをゆるめるという効果があります。
そのスキに客が近よってくるのです。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社より抜粋したものです)
続きは次回に…。
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