9.水平面の動作とは?(入りやすい店売れる店1986年版)
明けましておめでとうございます。
令和四年元旦。
長年に渡ってこのブログでは、人が「店」(リアルショップ)にひきつけられる隠された本当の要因についてレポートいたしております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今日は、「(1)水平面の動作(A)~(D)」について詳しくご説明いたします。
どうか、35年前の書籍の抜粋であるということを念頭に入れてお読みくださいませ。
9.(1)水平面の動作とは?
それではまず、水平面の動作をみてみましょう。
今、両手をま横にむけてどんどん広げていくとします。
するとやがてもうこれ以上は手を広げられない限界に達するでしょう。
こんどはそこから手を身体の前のほうに持ってきて、自分で自分の身体を抱えるようにします。
するとやはり、もうこれ以上はいけないという限界に達するでしょう。
この最も開いた状態から、最も閉じた状態までの間の動きの変化を「水平面」の動作といいます。
この時、外側に向かって開いていく動作を「展開」、反対に内側に向かって閉じていく動作を「囲い込み」と呼びます。
ところで、この「展開」と「囲い込み」の動作は、それぞれが相性のいいもう一つの動作と結びついた時はじめて、自然でよく意味のわかる動作になります。
このとき結びつく相手をまちがえると、その動作は不自然でわざとらしく、よく意味のわからないものになってしまうのです。
(A)開い込み・指示の動作(図1)
「囲い込み」の動作は、方向をさし示す「指示」の動作と結びついたとき、最も自然に見えます。
図1の店員(右側の女性)の動作がこれにあたります。
彼女は、左手にもった商品と品質表示を右手で「囲い込み」ながら「指示」しています。
彼女の身体の向きや視線の方向もみな一貫して一つの方向を示しています。
客(左側の女性)は店員が何を説明しようとしているのかがよくわかります。
(B)囲い込み・旋回の動作(図2)
同じ「囲い込み」の動作も「旋回」の動作と結びついてしまうとよく意味がわからなくなります。
図2の店員で右側の女性)は左右の手で「囲い込み」の動作をしているのですが、はっきり何かを指示しないまま、ぐるぐると「旋回」してしまっています。
このため客(左側の女性)には店員の言おうとしていることがさっばり伝わりません。
客は店員のはっきりしない動作が不可解で、最後には腹を立ててしまいます。
(C)展開・旋回の動作(図3)
「展開」の動作は、方向性を示きない「旋回」の動作と結びついた時、最も自然に見えます。
図3の店月がショーウインドーをふいているこの動作が、「展開・旋回」にあたります。
また、自分の身体のまわりにぐるりと輪を描いたり、スターが観客に向かってあいさつをするように両手をひろげてみせる動作もこれにあたります。
(D)展開・指示の動作(図4)
「展開」の動作がとんちんかんに見えるのは「指示」と結びついた時です。
図4の店員(左側の男性)は客(右側の男性)の質問に答えて商品のある場所を教えようとしているのですが「展開」しながら方向を「指示」してしまったために失敗しています。
客は、店員が客の顔を見つめたまま商品の方向を指さすので、いったいどちらを見たらいいのかわからず混乱しています。
このように、たとえ同じ人でも動作を変えることによってイメージが大きく変わってしまいます。
「囲い込み・指示」をする店員は誠実に、「展開・旋回」をする店員はおおらかに、また「囲い込み・旋回」をすると優柔不断に、そして「展開・指示」をすると横柄に感じられるのです。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
続きは次回に…。
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