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2021年10月

2021年10月25日 (月)

「人の動き」という観点から「リアルショップ」を観察する私たちの基本的な考え方(その5)

こんにちは。

前回に引き続き、「リアルショップ」を観察する際の私たちの基本的な考え方についてご説明しています。

5.移動空間に登場してきた第四世代の店

(1)ネットショップが掘り起こした戸板一枚の店

見知らぬ客を対象にして「道」に生まれた店(戸板一枚の店)は、戦後の「常連接客」を行う商店街や百貨店の隆盛によって、「戸板一枚の店」の性質を失ってしまいました。

その後、「一見接客」を行うスーパーマーケットやコンビニエンスストアの普及によって、「戸板一枚の店」(道に生まれた店)の性質の一部がよみがえりました。

しかし、1990年前後に登場した全国各地の郊外型のSCや大型店は、「一見接客」は行ったものの、見知らぬ客が通行する「道」からはずれた立地に出店していたために、競争が厳しくなるとともに、店本来の性質(「戸板一枚の店」の性質)を失ってしまいました。

やがて、ネットショップの登場によって、店員がまったく接客しないネットショップと、店員が接客するリアルショップの性質の違いが浮き彫りになりました。

客は、モノを手に入れるにはネットショップ、コト(戸板一枚の店のコミュニケーション)を享受するにはリアルショップという使い分けをするようになり、リアルショップ対しては、店本来の性質(「戸板一枚の店」の性質)を求めるようになってきました。

PCやスマートフォンなどが急激に普及した現代人の新しいライフスタイルと、リアルショップに対する客のニーズを背景にして、従来までには見かけなかった立地に新しい店が登場してきています。


このような新しい店を「第四世代の店」と呼ぶことにします。
その構造は以下の4種類です

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(2)移動空間に登場した「第四世代の店」の特徴 

2000年前後より、空港や駅ビルや駅ナカなどの移動空間を中心に、移動客を対象にした、新しい店が登場してきました。

客(ヒト)は本来、移動中にモノを買うという性質を持っていたのですが、このような店が登場してくるまでは、客には移動中にモノを買いたいというニーズがあるということに誰も気づきませんでした。

近年、大勢の客が移動する空港や駅ビルや駅ナカの移動空間に、たくさんのリアルショップが登場し、多くの客を引きつけています。

条件1:
見知らぬ客が行き交う移動空間を店内に取り込んでいること

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条件2:
移動空間を行き交う客に対して、一見接客で、必要に応じてわかりやすい説明や案内を提供できること

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(3)「移動空間を持つ店」は繁盛し、「移動空間を持たない店」は衰退する

戦後、日本の流通の中心となった商店街は、様々な保護政策を受けてきたにもかかわらず、衰退を余儀なくされていきました。また、一時は商業の頂点に立った百貨店も、次第に店の構造と接客方法を変化させています。
その最大の原因は、様々な理由によって移動空間(道)を失ってしまったことです。

これまでも「立地」の大切さは言われてきましたが、「移動空間」の重要性はそれほど理解されてはいませんでした。

現在でもまだ、その土地に店主や家族が居住している商店街ばかりではなく、百貨店やショッピングセンターですら、不利な立地のまま、何とか客を引きつける方法はないものかと模索を続けています。

ネットショップのインフラの改善や充実によって、あらゆるモノがネットショップで購入される時代を迎え、一方で、「モノとコト」を一緒に提供するリアルショップの必要性も高まっています。

そして、「モノとコト」を一緒に売る店として、かつての「戸板一枚の店」がいよいよ本格的に復活してきたのです。

戸板一枚の店の条件は、見知らぬ人を対象にした、行き交う「道」(移動空間)を持った店であることです。

今後はますます、空港や駅ビルや駅ナカや高速道路などのサービスエリアの店や様々な業種のドライブスルーの店など、人が行き来する移動空間に新しい店(第四世代の店)が登場してくるでしょう。

一方、移動空間(道)を持たない店は、たとえ百貨店・SC・コンビニ、また現在も繁盛している一部の商店街であっても、第四世代の店の増加とともに、急速に衰退していくことが予測されます。

繁盛店を目指すなら、移動空間のある第四世代の店をつくり、ネット店舗と融合したリアル店舗の接客を提供することがこれからの課題です。

続きは次回に…

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2021年10月18日 (月)

「人の動き」という観点から「リアルショップ」を観察する私たちの基本的な考え方(その4)

こんにちは。

全国の新型コロナ感染者数の急減に伴って、多くの人々が全国の商業集積に繰り出しています。

「ネットショップ」では味わえない、「リアルショップ」の大きな魅力を求めて大勢の客が街を回遊しているのです。

前回に引き続き、「リアルショップ」を観察する際の私たちの基本的な考え方についてご説明しています。

4.店内にだけ「道」を作った第三世代の店の行きづまり

(1)店内に「道」のある大型セルフ販売の店(第三世代の店)の登場

1991年大規模小売店舗法の改正に伴い、全国各地に大規模なショッピングセンターや大型ディスカウント店がたくさん登場してきました。

これらの店は、衰退を続ける商店街にさらに大きなダメージを与えましたが、多くの競合店の進出によって、生き残りをかけた激しい販売競争が繰り広げられ、やがては共倒れの状況をも生み出していきました。

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(2)結果的には「戸板一枚の店」を埋め込んでしまった第三世代の店 

店内に多くの「道」を作りながらも、見知らぬ客が行き交う外の「道」を持たなかった第三世代の店は、客数の減少とともに衰退を余儀なくされました。

また、これらの店は、接客をしない「一見接客の店」だったにもかかわらず、「戸板一枚の店」が持つ店員と客のやり取りをあまりにも省略してしまったために、店本来の魅力を失う結果となりました。

つまり、このような「道」を持たない大型店は、客がリアルショップに求める「戸板一枚の店」の性質を埋め込んでしまったために、衰退の道を歩むことになったのです。
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(3)見知らぬ人が行き交う「道」を持った第三世代の店だけが生き残った

大型のショッピングセンターや大型専門店は、開店当初は、広い商圏から多くの客を引きつけましたが、競合店が増えるとともに、見知らぬ客が行き交う「道」を持っていない店から順番に、客足が遠のいていきました。

客は自分が通常移動している「道」に新しい店ができると、わざわざ遠回りしなければいけない店に行くことはなくなり、その結果、多くの大型店が客を失い、撤退せざるを得なくなりました。


一方で、ネットショップが急激に普及し、客はまったく店員の接客を受けることなく様々な商品を買うことができるようになりました。

モノがネットで買えるようになると、客はリアルショップにコト(コミュニケーション)を求めるようになりましたが、「道」を失い、接客をできるだけ省略した大型店は、このような客のニーズの変化に応えることができませんでした。

こうして、第三世代の店の中で、「道」を持っていたごく一部の店だけが、店本来の性質を保って生き残ることになったのです。

続きは次回に…。
 

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2021年10月11日 (月)

「人の動き」という観点から「リアルショップ」を観察する私たちの基本的な考え方(その3)

こんにちは。

緊急事態宣言が解除されると同時に、多くの人々が全国の商業集積に繰り出しています。

「ネットショップ」がこれだけ普及しているにもかかわらず、「リアルショップ」にこれほど大勢の客が引きつけられるのは、「リアルショップ」における見知らぬ客や店員とのコミュニケーションが、現代人の大きな癒しになっているに違いありません。。

入場制限や営業時間制限、そしてマスクやソーシャルディスタンスからも解放された「リアルショップ」の観察ができる日を願いつつ、前回、前々回に引き続き、「リアルショップ」を観察する際の私たちの基本的な考え方についてご紹介しています。

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3.「接客しない店」が主流になった第二世代の店~第三世代の店


(1)セルフ販売の店=「接客しない店」の登場

やがて、スーパーやコンビニのような「セルフ販売」の店が登場しました。

このような店は、店側の効率化や低コスト化を目的につくられたものですが、最も重要なことは大多数の客がそのような店を受け入れたということです。

すなわち、客は「接客しない店」を喜んで受け入れ、従来の「接客を行う」商店街や百貨店から急激に遠ざかるようになりました。

スーパーやコンビニの店は次のような構造と接客をしています。
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(2)セルフ販売とともによみがえった「一見接客」 

このような「接客をしない店」で行われる接客を「一見接客」といいます。
店員と客はお互いに見知らぬ関係なので、購入が決まるまでは接客をしません。 

このような接客方法は、実は「戸板一枚の店」の人間関係に非常に近いもので、客はこのような店の登場によって、再び店本来の魅力を体験できるようになりました。
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(3)「接客する店」は衰退し、「接客しない店」が繁盛する

戦後、日本の流通の中心となった商店街は、様々な保護政策を受けてきたにもかかわらず、衰退を余儀なくされていきました。また、一時は商業の頂点に立った百貨店も、次第に店の構造と接客方法を変化させています。

セルフ販売方式の店が一般化し、さらにネット社会が浸透した今日、客はウェブショップでモノを買うことに慣れ、ますます従来の「接客」から遠ざかろうとしています。

しかし、そうした社会環境の中でも、「店(リアルショップ)」が本来の「戸板一枚の店」の魅力を取り戻せば、いまよりもっと多くの客を引きつけることができます。

見知らぬ店員と客が、なわばり感覚や狩猟採集感覚でスリリングなコミュニケーションを展開する「店(リアルショップ)」こそが、現代人の心を魅了するのです。

続きは次回に…。

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2021年10月 4日 (月)

「人の動き」という観点から「リアルショップ」を観察する私たちの基本的な考え方(その2)

こんにちは。

このブログでは、新型コロナウイルスの感染が流行する前の「リアルショップ」を「人の動き」という観点から店員と客のアクションを観察し、報告しています。

現在は、過去の「リアルショップ」の観察報告や、私たちの基本的な考え方についてご紹介しています。

入場制限や営業時間制限、そしてマスクやソーシャルディスタンスからも解放された「リアルショップ」の観察ができる日を願いつつ…。

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2.第一世代の店「商店街と百貨店」の登場と衰退

(1)店主中心につくられた商店街(第一世代の店)の店舗構造

戦後日本の復興とともに、全国各地に商店街が発達しました。
商店街は道に沿って小さな専門店が軒を連ねた形で、地域住民に生活必需品を提供するためにつくられました。

商店街の店の特徴は店と住居が一体になっていることで、個人の家の一部に商品を並べた構造になっており、これは、本来の「店」とはまったく異なるものでした。

また、商店街の客は、ほぼ全員がすでに買うことが決定してから店に来るので、何も買わずに帰る客はほとんどいませんでした。

こうした状況を背景に、商店街を構成している店の大部分は次のような構造と接客方法をしています。Photo_20211004080801

(2)商店街時代に生まれた「常連接客」

商店街の店はもともとは個人の家なので、客は個人の家を訪れるように店を訪れます。つまり客は、店に入るときには、店員(店主とその家族)に対して挨拶して入り、店員に断って商品を見せてもらい、購入が終わったら挨拶して店を出ます。

一業種、一店舗が基本だったかつての商店街においては、客にとっては、店員とよい人間関係を保つことが有利な買い物ができる方法だったのです。

一方、店員にとってもと客の人間関係は非常に重要です。
店員(店主とその家族)は客が店に来るとすぐに接客を開始し、時候の挨拶や様々な世間話をしながら商品を売るのが普通で、客の名前や住所はもちろん、家族構成や様々な事情に精通し、客と濃密な人間関係を結ぶことで売り上げを上げようとしました。

いわゆる日本の「接客」の概念はこの商店街時代に生まれたと考えられます。

地域社会の濃密な人間関係を背景にした接客を「常連接客」と呼ぶことにします。しかし、この「常連接客」によって、「店」本来の魅力は大幅に失われることになりました。

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(3)店員中心につくられた百貨店(第一世代の店)の店舗構造

 一方、都市部では、戦後、百貨店が急速に出店と店舗拡大を行い、高級品から一般大衆向けの商品までを幅広く扱う小売業の中心的な存在となりました。

百貨店の店(テナント)と商店街の店の最大の違いは、店舗と住居が隣接していないことです。百貨店にあるのは店の部分だけで、販売に携わるのは雇われている店員なので、店員の居住性はほとんど配慮されてきませんでした。

そのため、店員が立っているのがやっとなくらい「店員空間が狭い店」や「店員空間がない店」が一般的でした。

百貨店の店(テナント)に多く見られる構造と接客を見てみましょう。

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(4)百貨店でも展開された「常連接客」

百貨店では、店員は勤務時間中はきちんとした姿勢で客を待ち、客が来るや否や「いらっしゃいませ」という接客を開始することを要求されました。

これは、百貨店が当時の日本の代表的な商業施設であったことから、接客教育に一般的な人間関係の礼儀作法や道徳を織り込んでしまったためです。

そのために、百貨店は大勢の見知らぬ客を対象としているにもかかわらず、「常連接客」を行うことになりました。この結果、百貨店は客にとっては非常に買いにくい販売現場となってしまいました。

そのことは、後に、百貨店がセルフ販売方式のスーパーや様々な大型店に客を奪われる大きな原因となりました。

Photo_20211004080902

続きは次回に…。

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