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2021年9月

2021年9月27日 (月)

「人の動き」という観点から「リアルショップ」を観察する私たちの基本的な考え方(その1)

こんにちは。

このブログでは、新型コロナウイルスの感染が流行する前の「リアルショップ」を「人の動き」という観点から店員と客のアクションを観察し、報告してまいりました。

残念ながらコロナ禍の「リアルショップ」が十分には観察分析できない現在、過去の「リアルショップ」の観察報告や、私たちの基本的な考え方についてご紹介しています。

入場制限や営業時間制限、そしてマスクやソーシャルディスタンスからも解放された「リアルショップ」の観察ができる日を願いつつ…。

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1.見知らぬ客を対象に、接客をしなかった「戸板一枚の店」

私達は全国の様々な多くの店舗を「人の動き」という新しい観点から分析しています。
そして、「店」というものの本質を理解することによって、今まで解明されなかった店が繁盛したり衰退したりする隠された要因を探っています。

(1)店は見知らぬ人との交換の場

異なる2つの共同体が接するところには「道」が存在し、多くの人々が行き交うその道に「店」が生まれたと言われています。

「道」に生まれた店では、見知らぬ同士が売り買いをする関係だったので、接客は行われていませんでした。

そこには「戸板一枚の店(後述)」における人間関係を基本とした売買が行われていたのです。

 

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異なる共同体が接するところ(境界)に道が存在し市(店)が立つ。


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「市(店)」は見知らぬ人が行きかう「道」に生まれる。


(2)店には、群れ・なわばり・狩猟採集の感覚が生きている

動物になわばりがあるように、人間にもなわばりの感覚があります。
私たちは様々な人間関係の中で、お互いになわばりを侵さないようにすることで、争いを避け、お互いのプライバシーを上手に守っています。

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海鳥のなわばり


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人間のなわばり


そのような観点で見ると、店は店員が長時間滞在し管理している店員のなわばりです。
客は危険を侵して店員のなわばりに入っていかなければならない侵入者です。
そのため、店員が自分のなわばりを主張するアクションをすると、客は遠ざかります。
反対に、店員がなわばり解除のアクションをすると、客が引きつけられます。
このように、店では店員が客のなわばり感覚を十分に理解して行動することが非常に重要なのです。

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さらに、人間には、はるか昔から繰り返してきた狩猟採集の感覚が色濃く残っています、現代社会では、狩猟採集ではなく買い物によって食料や衣料などを手に入れるのですが、この時に、無意識のうちに安全で獲物が取りやすい場所(店)が好まれるのは当然のことです。

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大昔の狩猟採集感覚

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現代の店の狩猟採集感覚


また、動物が移動する目的は主に狩猟となわばり活動の時なので、移動をすると無意識のうちに狩猟・採集やなわばり感覚が働きます。

現代人が「道」を移動する行為は、はるか昔、狩猟採集のために移動した行為を彷彿とさせます。近年、人々が激しく行きかう移動空間に多くの店が登場し、そうした場所でモノがよく売れるのは、移動するという行為そのものが狩猟・採集行為と深いつながりを持っているためです。

 

(3)接客しない「戸板一枚の店」

もっとも簡単な店の構造は、商品を並べて、その後ろに座るものです。
昔の「市の店」はこのような構造をしていました。

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「戸板一枚の店」の構造

 

日本の場合、店の基本は「戸板一枚の店」です。
戸板とは日本家屋の雨戸のことで、サイズは高さ約180cm、幅約90cmです。
通行量の多い道路に、商品を並べた戸板を一枚置き、その後に売り手が座ると「店」になります。


このような店の店員と客はお互いに見知らぬ関係なので、日常の人間関係は生じません。すなわち、「戸板一枚の店」は、基本的に「接客しない」構造の店なのです。

なわばり感覚や狩猟採集感覚の強い客にとって、見知らぬ店員との間で行われるスリリングな駆け引きは大変大きな魅力です。

それでは、「戸板一枚の店」において生じる、客を引きつけたり遠ざけたりする店員のアクションを見てみましょう。

●戸板一枚の店における
  「客を引きつけたり遠ざけたりするアクション」の法則


①「いらっしゃいませ」というと客が遠ざかる
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②前に立っていると近づいてこない
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③他の客に接客中だと近づいてくる

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④作業をしていると近づいてくる
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⑤サクラパワーが生じると近づいてくる


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「戸板一枚の店」では、客と店員は見知らぬ関係なので、お互いが動き(アクション)によってコミュニケーションを行っていました。
このような動きのコミュニケーションは、現代の店にも大きな影響を与えています。

続きは次回に…。

 

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2021年9月20日 (月)

大勢のお客様を引きつける「ねんりん家」の「接客コミュニケーション」(コロナ前の店員の接客アクション観察より)

こんにちは。

このブログでは、新型コロナウイルスの感染が流行する前の「リアルショップ」を「人の動き」という観点から店員と客のアクションを観察し、報告してまいりました。
残念ながらコロナ禍の「リアルショップ」が十分には観察分析できない現在、過去の「リアルショップ」の観察ブログをご紹介しています。今回は、2014年5月10日(土)のブログです。

「ねんりん家・東京大丸百貨店」

「ねんりん家・東京大丸百貨店」は、すでに、「人の動き」という観点から、この店がなわばりを解除した「店舗構造」と「店員と客のアクション」によって、大勢の客を引きつけているという状況をご紹介しました。

今回はさらに詳しく、店員の「接客のアクション」が多くの客を引き付ける様子を分析したいと思います。

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これからご紹介する、店員がお客様に対して行う様々な「接客」を「接客コミュニケーション」と呼ぶことにします。

お店における接客風景はあまりにも見慣れた光景なので、ごく当たり前の現象のように受け取られていますが、実はそこで行われている様々な店員の「接客アクション」は、お客様をこの店に引き付ける大きな要因になっているのです。

なぜならば、家庭や地域や学校や職場で、急速に失われていったコミュニケーションに対する多くの現代人の潜在的なニーズが、無意識に「リアル店舗」の「接客コミュニケーション」を受け入れてしまうからです。

●「ねんりん家・東京大丸百貨店」平面図

※「赤」は店員、「青」はお客様

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この店の構造は「店員空間が狭い接触型店」と「店員空間が広い引き込み型店」の折衷型店舗です。

商品空間は向かって左側の対面販売の商品ケースと、右側の対面販売の商品ケースに分かれています。右側の商品ケースは、ひやかし客が商品を見たり、予約と配送のみの客が伝票を記入したり精算をしたりするのに使われています。

そして、左側の陳列ケースでは、行列をして順番待ちをしていたお客様の注文を聞き取って包装し、精算をします。さらに、店の奥には商品を製造するバームクーヘンのミニ工場があります。

●お客様を引き付ける「接客コミュニケーション」

この店は、「店員空間の狭い接触型店コーナー」と「店員空間が広い引き込み型店コーナー」で構成された店なので、本来は、お客様が注文をする前から接客が開始される「常連接客」が行われる店舗構造になっています。

しかし、この店の場合は、店頭に長い行列が生じる(買うことが決定した客が順番を待っている)ことによって、お客様から注文を受けた後から接客が開始される「一見接客」が行われています。

本来の「一見接客」の店では、精算カウンターにおける「接客コミュニケーション」が主体ですが、行列ができるこの店では、それ以外にも多くの「接客コミュニケーション」を見ることができます。

そして、それらの多くの「接客コミュニケーション」を行う店員のアクションが、さらに次の客を引き付けるパワーを発揮しているのです。

この店全体の店員の主な「接客コミュニケーション」を見てみましょう。


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この店の場合、通常は店頭に順番を待つ長い行列が出来ます。
このような順番を待って並ぶお客様の姿やアクションは、強力な「サクラパワー」となって通行客を引き付けます。

そして、商品を案内したり、行列の場所を案内したり、商品を説明したり、注文に応じて包装や精算したりする、店員の「接客コミュニケーション」が店の内外に提供され、多くの通行客を引き付けています。

それぞれの「接客コミュニケーション」を分析していきましょう。

(1)通路に出て呼び込みや行列の案内をする店員の「説明&案内アクション」「手渡しアクション」「挨拶アクション」

この店で一番目立つ店員のアクションは、通路に出て、呼び込んだり行列の案内をしたりする店員の「説明&案内アクション」です。そして他に「手渡しアクション」や「挨拶アクション」も行われています。

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※通路に出て呼び込みをする「接客コミュニケーション」

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※行列を案内する「接客コミュニケーション」

 

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※案内アクション(一点注意の動き)あるいは(全体注意の動き)

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※案内アクション(一点注意の動き)

 

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※お客様の質問に答える「接客コミュニケーション」

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※説明&案内アクション(一点注意の動き)

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※行列のお客様にメニューなどを手渡す「接客コミュニケーション」

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※手渡しアクション(接近の動き)

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※挨拶アクション(接近の動き+協調の動き)

(2)配送承りケース(カウンター)での店員の「あいづちアクション」「説明&案内アクション」「お礼アクション」

配送承りケース(前面にある商品ケース)では、配送を希望するお客様の注文に対応する「あいづちアクション」や、「説明&案内アクション」「お礼アクション」が行われています。
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※配送注文を受ける「接客コミュニケーション」

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※挨拶やお礼を言う「接客コミュニケーション」


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※あいづちアクション(攻撃の動き)

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※あいづちアクション(協調の動き)


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※説明&案内アクション(一点注意の動き)

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※挨拶&お礼アクション(接近の動き+協調の動き)

 

(3)注文承りケースでの店員の「あいづちアクション」「説明&案内アクション」「手渡しアクション」「挨拶&お礼アクション」

店内の注文承りケースでは、順番が来たお客様の注文を聞き取り、包装・精算作業を行うための、「あいづちアクション」や「説明&案内アクション」「手渡しアクション」「挨拶&お礼アクション」を行っています。
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※注文を聞き取り、包装して手渡す「接客コミュニケーション」

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※挨拶やお礼を言う「接客コミュニケーション

 

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※あいづちアクション(攻撃の動き)


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※あいづちアクション(協調の動き)


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※説明&案内アクション(一点注意の動き)

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※手渡しアクション(接近の動き+一点注意の動き)

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※挨拶&お礼アクション(接近の動き+協調の動き)

●以上が、「ねんりん家・東京大丸百貨店」が、多くのお客様を引き付ける、店員の「接客コミュニケーション」です。

(4)「接客コミュニケーション」を発信するリアル店舗

「店」は単なる設備ではありません。
それは、乗組員が力を合わせて動かす宇宙船のようなものです。

多くの客が通行する「道」に、客を引きつけやすい構造の店をつくり、さらに、店員が力を合わせて「接客コミュニケーション」を発信することで、初めて多くのお客様を引きつけることができます。

リアル店舗の「店員」は決して単にモノを売るだけの機械ではありません。
商品を販売するとともに、生身の身体のアクションを通じて、現代のお客様が求めている「接客コミュニケーション」を提供するという重要な役割を果たしているのです。

続きは次回に…。

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2021年9月13日 (月)

早くから行列を計画してきた「仙太郎」の「接客コミュニケーション」(コロナ前の店員の接客アクション観察より)

こんにちは。
このブログは、新型コロナウイルスの感染が流行する前の「リアルショップ」を「人の動き」という観点から店員と客のアクションを観察し、報告してまいりました。
残念ながらコロナ禍の「リアルショップ」は本来の役割や機能を十分には発揮できない日々が続いています。

やがてコロナが収束したり、ウイズコロナの暮らし方に舵が切られたりして、「リアルショップ」の観察が日常に戻ることを心待ちにしながら、過去の「リアルショップ」の観察ブログをご紹介しています。今回は、2014年6月5日(木)のブログです。

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この店は、東京の「伊勢丹新宿本店」の地下1階食品フロアにある、和菓子の「仙太郎」です。
京都に本店があり、全国の有名百貨店などに十数店の店舗を出店しています。

この店が多くの客を引きつける理由については、過去に『行列ができる和菓子店「仙太郎」の店舗と接客の秘密』で報告いたしました。

さて今回は、その後もずっと、同じ店舗構造と販売方法のまま、行列が途絶えない人気の要因について、この店が早くから採用してきた「ベルトパーテーション」と「行列」と「接客コミュニケーション」」に絞って、報告していきます。

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1.この店の立地・・・・・・二つの通路に面した好立地
地下一階・食品フロアの二つの通路に面した角店で、好立地です。
2013年3月16日、「東急東横線」と「東京メトロ副都心線」が相互直通運転を開始し、埼玉方面~横浜が乗り換えなしで結ばれたことにより、「丸の内線」、「副都心線」、「都営新宿線」連絡口から伊勢丹地下1階への来店客が急増したために、この店の立地も、ますますよくなっています。

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副都心線側から、地下1階の食品フロアへの客の流れ

2.この店の扱い商品・・・・・・・・朝生和菓子、上生菓子、贈答用品

この店は、朝つくって、その日のうちに食べる朝生(あさなま)和菓子が中心です。ぼたもち、最中、豆大福などの定番商品に加えて、水ようかんや栗の大福など季節の和菓子がケースに並びます。また、日持ちのする贈答用の和菓子類も用意されています。

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3.この店の店舗構造・・・・・セルフ販売方式の、店員空間が狭い接触型店


この店は、店の奥にミニ工場を併設していることから、その空間を含めると、「店員空間が広い接触型店」だととらえることもできますが、お客様の目線からは、「店員空間が狭い接触型店」に見えています。
ミニ工場の存在は、商品をこの場でつくっているというできたて感や、手づくり感を高めています。

■「店員空間が狭い接触型店」

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■この店の平面図

①青はお客様 ②赤は店員 ③ピンクは商品空間

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4.この店の接客方法の特徴は 「セルフ販売方式」

一般に、「店員空間が狭い接触型店」では、お客様が店に来るや否や、買うか買わないかに関係なく、店員が直ぐに接客を開始する「常連接客」が行われます。
そのために、このタイプの店は、買うことが決まっていない客にとっては店全体の「なわばり主張」が強く感じられ、気軽にはひやかすことができない店です。

ところが、この店は、「常連接客」を行うための「店員空間が狭い接触型店」の構造をしていながら、「セルフ販売方式」を採用しており、お客様から注文を受けた後に接客を開始する「一見接客」を行っています。

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お客様が少ない時間帯は、お客様を並ばせずに、声がかかった場所で、各店員が接客を開始します。
写真を見ると、この店の左側では数人のお客様が順番を待っていて、注文・包装・精算を行っていますが、同時に右側のコーナーでも、お客様からの注文を受けて接客を行っていることがわかります。

この店の店員は、お客様から声がかからない限り接客をしないので、この店の商品空間は常になわばりが解除されており、店員からの早すぎる接客アプローチを受けることなく、自由に商品を眺めることができます。

5.行列が生み出す「サクラパワー現象」と、強力な「広告効果」

この店ではショーケースの左側にある、ミニ工場の出入り口前に設置されている1台のレジスターで精算作業を行うために、お客様が多い時間帯になると、お客様は左端を先頭にして、ショーケースに沿って行列を作り、順番を待って商品を買います。この時、ショーケースに沿って置かれた「ベルトパーテーション」が、行列を生み出すのに役立っています。
お客様がつくる「行列」は、この店が多くのお客様を引き付ける二つのパワーを発揮します。

(1)サクラパワー現象
一人目のお客様は二人目のお客様を引き付ける「サクラ」となり、さらに多くのお客様を引き付ける強力なパワーを発揮して、「サクラパワー現象」を引き起こします。
(2)広告効果
大勢の通行客が行き交う場所にできた「行列」には、大勢の通行客に対して、「その店が大勢の人気を獲得している店であること」を、強力に訴求する「広告効果」があります。
その「広告効果」は、お客様にその店を強く印象付け、次の機会の購入をうながす大きな力になるのです。

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かつての店には存在しなかった「ベルトパーテーション」があるだけで、お客様はこの店が行列をして順番を待って買う店であることを理解します。

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一台だけのレジスターで精算するシステムも、この店が行列を生み出すための要因となっています。


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順番を待つお客様がつくる行列は、「サクラパワー」を発揮して多くの通行客を引き付けます。
また、それと同時に、大勢の通行客に対して、この店が大勢のお客様に人気があるということを訴求する「広告効果」も獲得します。

6.リアル店舗の店員が提供する「接客コミュニケーション」

 

地域や家庭や学校や職場でも、対人コミュニケーションを失った現代人は、リアル店舗における店員とのリアルなコミュニケーションを求めています。

現在、大勢のお客様を引き付けているリアル店舗では、お客様に対して必ず店員が様々な「接客コミュニケーション(リアルコミュニケーション)」を提供しています。

本来、「店員空間が狭い接触型店」では、お客様を遠ざけやすい「常連接客」が行われています。
しかし、この店は、「店員空間が狭い接触型店」に、「ベルトパーテーションで仕切った客空間」をつくり、併せて「セルフ販売方式」を採用することによって、従来の接客方法とは全く異なる「一見接客」を行っています。

そして、「一見接客」を行う店員は、「お辞儀」や「案内」や「うなずき」などのリアルなアクションを行うことによって多くのお客様が求める「接客コミュニケーション(リアルコミュニケーション)」を提供しているのです。

(1)行列を誘導する店員のアクション
ベルトパーテーションを用いて、お客様をきちんと案内する店員のアクションは、わかりやすさや安心感を感じさせます。

※案内のアクション(一点注意の動き)
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(2)セルフ販売方式が作業中の店員のアクションを生み出す

お客様から注文の声がかかるまでは接客を開始しない「セルフ販売方式」の採用によって、店員は作業に専念することができます。そして、この作業中の店員のアクションは、店全体の「なわばり」を解除して、活気を感じさせます。

※作業中のアクション(機敏の動き)
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(3)精算コーナーで精算をする店員のアクション

ていねいにモノの受け渡しをしたり、お辞儀や案内やうなずきをする店員のアクションは、親切さ、ていねいさ、礼儀正しさ、好意などを感じさせます。

※受け取り&手渡しアクション(接近の動き)
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※お礼のアクション(接近の動き+協調の動き)
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※うなづきアクション(攻撃の動き)
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以上のような、リアル店舗の店員が提供する「接客コミュニケーション(リアルコミュニケーション)」こそが、この店の行列を途絶えさせない一番の要因なのです。

なぜならば、現代の多くのお客様は、店員とのリアルなコミュニケーションを求めてリアル店舗にやって来るからです。

続きは次回に…。

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2021年9月 6日 (月)

行列を作って売る「ガトーフェスタハラダ・京王百貨店・新宿店」の「接客コミュニケーション」(コロナ前の店員の接客アクション観察より)

こんにちは。

コロナ禍のテレワーク等による人流抑制のために駅ナカの「リアルショップ」さえも売り方の改善を迫られ、「リアルショップ」は本来の役割や機能を十分には発揮できない日々が続いています。

やがてコロナが収束したり、ウイズコロナの暮らし方に舵が切られたりして、「リアルショップ」の観察が日常に戻ることを心待ちにしながら、過去の「リアルショップ」の観察ブログをご紹介しています。2014年5月16日 (金)のブログです。

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●「ガトーフェスタハラダ・京王百貨店・新宿店

「ガトーフェスタハラダ・京王百貨店新宿店」については、すでに、「人の動き」という観点から、この店がなわばりを解除した「店舗構造」と「店員と客のアクション」によって大勢の客を引きつけている状況をご紹介しました。
今回はさらに詳しく、店員の「接客のアクション」が多くの客を引き付ける様子を分析したいと思います。

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これからご紹介する、店員がお客様に対して行う様々な「接客」を「接客コミュニケーション」と呼ぶことにします。

お店における接客風景はあまりにも見慣れた光景なので、ごく当たり前の現象のように受け取られていますが、実はそこで行われている様々な店員の「接客アクション」は、お客様をこの店に引き付ける大きな要因になっているのです。

なぜならば、家庭や地域や学校や職場で、急速に失われていったコミュニケーションに対する多くの現代人の潜在的なニーズが、無意識に「リアル店舗」の「接客コミュニケーション」を受け入れてしまうからです。

●「ガトーフェスタハラダ・京王百貨店・新宿店「平面図」

※「赤」は店員、「青」はお客様

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この店の構造は「店員空間が狭い接触型店」です。

商品空間は、前面のショーケースと、向かって右側にある持ち帰り用のバラ売りの商品を並べた陳列台で構成されています。

従来の「店員空間が狭い接触型店」は、ショーケースを挟んで、対面販売を行うための店舗構造ですが、この店は「セルフ販売方式」を採用しているために、通路にベルトパーテーションを使って「客空間」をつくった、新しいタイプの店舗構造となっています。(「第四世代の店舗構造」です。)

●お客様を引き付ける「接客コミュニケーション」

この店は「店員空間が狭い接触型店」の構造をしているので、本来は「常連接客」が行われるはずです。
しかし、この店ではセルフ販売方式を採用しているために、「一見接客」を行っています。
※常連接客
  =お客様が注文をする前から接客を開始する接客方法。
※一見接客
  =お客様から注文を受けた後から接客を開始する接客方法。

したがって、この店の接客方法は、
①来店したお客様には、案内専門の店員が、ベルトパーテーションで仕切られた客空間に順番に並ぶように案内する。
②順番に並んで長い行列をつくっているお客様に、パンフレットを手渡して説明や案内をする。
③順番が来たお客様を、接客専門の店員の位置まで案内する。
④持ち帰り用、進物用、配送用など、お客様の要望に応じて接客をする。
⑤精算して、商品を手渡して、お礼をする。
以上の手順で接客が行われています。

以上の、「接客コミュニケーション」を行う店員のアクションが、さらに次の客を引き付ける大きなパワーを発揮しています。
この店全体の店員の主な「接客コミュニケーション」を見てみましょう。
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この店の場合、通常は店頭に順番を待つお客様の長い行列が出来ます。
このようなお客様の姿やアクションは、強力な「サクラパワー」となって通行客を引き付けます。

そして、商品を案内したり、行列の場所を案内したり、商品を説明したり、注文に応じた包装や梱包をしたり、精算したりする、店員の「接客コミュニケーション」が、多くの通行客を引き付けています。

それぞれの「接客コミュニケーション」を分析していきましょう。

(1)通路での店員の「接客コミュニケーション」

セルフ販売方式を採用しているために、必ず店員が通路に出て、商品のパンフレットを手渡したり、説明をしたり、行列の案内をしたり、順番の案内をしたりしています。
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※通路に出て商品の説明や案内をする店員の「接客コミュニケーション」

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※注文の商品を持って順番を案内する店員の「接客コミュニケーション」

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※精算の案内をする店員の「接客コミュニケーション」

正しいアクションで、きちんとした案内や説明をする店員の「接客コミュニケーション」は、通行客を引き付けます。

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※案内アクション(一点注意の動き)あるいは(全体注意の動き)

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※案内アクション(一点注意の動き)

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※説明アクション(一点注意の動き)


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※パンフレットを手渡したり説明したりする店員の「接客コミュニケーション」

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※手渡しアクション(接近の動き)

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※挨拶、お礼、お願い、お詫びをするお辞儀アクション
 (接近の動き+協調の動き)

※13種類の人の動き
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(2)店員空間での店員の「接客コミュニケーション」

この店の特徴は、セルフ販売方式であるのもかかわらず、持ち帰り用、進物用、配送用など、お客様の様々な用途に合わせた包装や梱包や配送手配が、正しいアクションを用いた接客方法で行われていることです。

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※お客様を迎えるための挨拶をする店員の「接客コミュニケーション」

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※様々な注文を受ける店員の「接客コミュニケーション」

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※あいづちを打ったり、了承したりする店員の「接客コミュニケーション」

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※商品を手渡す店員の「接客コミュニケーション」

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※お礼をする店員の「接客コミュニケーション」


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※あいづちアクション(攻撃の動き)

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※あいづちアクション(協調の動き)


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※説明&案内アクション(一点注意の動き)

Photo_13
※手渡しアクション(接近の動き+一点注意の動き)

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※お礼&見送りアクション(接近の動き+協調の動き)

●以上が、ガトーフェスタハラダ・京王百貨店・新宿店が、多くのお客様を引き付ける、店員の「接客コミュニケーション」です。

この店が、常に多くのお客様を引き付け、長い行列ができる最大の要因は、この店の店員の「接客コミュニケーション」にあります。

この店は、食品のフロアのほとんどの店と同じ構造(店員空間が狭い接触型店)をしていながら、セルフ販売方式の採用に成功した数少ない店の一つです。

このタイプの店では、「店員空間が狭い接触型店」で、セルフ販売方式を採用することを目的とした「商品開発」が行われています。

この店は、百貨店の出入り口などの「移動空間」に立地し、セルフ販売方式を採用した「一見接客」を行う、「第四世代の店」です。

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続きは次回に…。

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