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2021年2月15日 (月)

「東横のれん街」の店が客を引きつけるために発信している「六つのメッセージ」とは?----東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析(その3)

こんにちは。

1951年(昭和26年)に老舗を集めた日本初の「名店街」として東横店・東館に開業した「東横のれん街」は、2013年(平成25年)に渋谷マークシティの地下1階に移転し、再び2020年(令和2年)4月に渋谷ヒカリエに移転しました。

その「東横のれん街」は、移転を繰り返しながら何をどのように変化させていったのかを探るために、まずは渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の三空間店舗分析を行っています。 

前回までは、東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」の「店」を構造別に分類し、
①「店員空間が狭い、接触型店」
②「店員空間が広い、接触型店」
③「店員空間がある、接触・引き込み・回遊型店」
の構造をした店における、客を引きつけたり遠ざけたりする店員と客のアクションについて説明してきました。

さて今回は、「東横のれん街」の全体の店が客を引きつけるために発信している、「六つのメッセージ」について説明いたします。

「店」は店の前を行き交う大勢の通行客に対して、来店や購入を促進するために様々な「誘惑のメッセージ」を必ず発信しています。


そして客にとっては、この「誘惑のメッセージ」こそがリアルショップの大きな魅力となっているのです。

↓渋谷ヒカリエB3出入口の様子
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↓「東横のれん街」店内(B2)の様子
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(1)見知らぬ人歓迎のメッセージ(誘惑のメッセージ①)

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様々な大勢の通行客が行き交う通りに接した「店」からは、「初めての方ほどどうぞいらっしゃいま!」という「見知らぬ人歓迎のメッセージ」が発信されています。
そして、そのメッセージにひきつけられた大勢の見知らぬ客自身からもまた「見知らぬ人歓迎のメッセージ」が発信されることになるのです。

(2)浪費は美徳のメッセージ(誘惑のメッセージ②)

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「商品空間」に設置された「プライスカード」は、ただ単に商品の価格を表示しているだけでなく、購入目的の客に対してはもちろんのこと、購入の予定がないひやかし客に対しても、「思い切って買っちゃいましょう!」「ついでにこれもどうぞ!」等の「浪費は美徳のメッセージ」を発信しています。客は必ずしも必要としない商品を買って散財することによって心が癒されたりするのです。

(3)返礼不要のメッセージ(誘惑のメッセージ③)

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道路にせり出した「商品空間」や店内の「商品空間」からは、「どうぞ自由にご覧ください!」「見るだけでもどうぞお気軽に!」等の「返礼不要のメッセージ」が発信されています。
礼を欠くことが禁じられている日常生活の中では無礼とされていることが、この通りにおいては許されるのです。

(4)狩猟解禁のメッセージ(誘惑のメッセージ④)

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店頭から店内に引き続いて大量に陳列された「商品空間」からは、「狩猟解禁のメッセージ」が発信されています。
客は自由なハンターの気分になって通りや店を回遊できるのです。

(5)もっともらしい理由のメッセージ(誘惑のメッセージ⑤)

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「期間限定ショップ」や「対象者限定商品」等を訴求した店舗や商品からは、「今だけの商品ですよ!」「非常に信頼のおける商品ですよ!」等という「もっともらしい理由のメッセージ」が発信されています。
多少の「いい加減なこと」「適当なこと」が許されるのが「店」なのです。

(6)性をほのめかすメッセージ(誘惑のメッセージ⑥)

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大勢の若い男女の店員や行き交う見知らぬ若い男女の客や様々なディスプレイや商品そのものからも、「性をほのめかすメッセージ」が発信されています。

以上、東京・渋谷ヒカリエの「東横のれん街」全体の店が発信している、客を誘惑する「六つのメッセージ」についてご説明しました。
(1)見知らぬ人歓迎のメッセージ
(2)浪費は美徳のメッセージ

(3)返礼不要のメッセージ
(4)狩猟採集のメッセージ
(5)もっともらしい理由のメッセージ
(6)性をほのめかすメッセージ

「店」(リアルショップ)には、日常のタブーに縛られた生活から解放された自由な時間と空間(つまり非日常)を求めた大勢の客がやって来ます。
そして大勢の客はそこで、他人が「劣位」で自分こそが「優位」であることを認識し、大きな安定を獲得しているのです。

そのことを、よく心得ている「店」は、「なわばり」を解除した空間を提供すると共に「六つの誘惑のメッセージ」を発信することによって、店員と店を「劣位」な立場にして、少しでも客が「優位」に感じるような情報や状況を提供しようとしているのです。

残念ながら三密の回避やソーシャルディスタンスを採用したコロナ禍によって、日本中の店における「なわばり」の解除や「誘惑のメッセージ」の発信はやや自嘲気味となっていますが、ここ「東横のれん街」においては、十分に「なわばり」を解除した空間の提供や、魅力的な「誘惑のメッセージ」がたくさん発信され、多くの客が引きつけられていることが観察できます。

続きは次回に…。

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