人の動きでわかる店舗診断 第2回 全面オープンなのに入りにくいおしゃれ雑貨の店
人の動きでわかる店舗診断
第2回 全面オープンなのに入りにくいおしゃれ雑貨の店
●商品空間と店員のアクションの「なわばり主張」が強い店はお客様を遠ざける
「人の動き」という観点で店を観察するときには、すべての店は、「店員空間」、「商品空間」、「客空間」から成り立っていると考え、まず、この三つの空間がどのようにレイアウトされているかを分析します。
現存する店は8種類に分類できますが、それらの特徴などについては、その都度ご説明いたします。
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さて、今回ご紹介する店は駅のすぐ近くのショッピングセンターにあるおしゃれなファッションと雑貨の店です。
店頭は全面オープンになっており、流行の商品がすっきりと陳列されているので、一見、とても入りやすそうに見えると思います。
店舗設計家も設計することが多いタイプの店なのですが、果たしてお客様からはどのように感じられるのでしょうか?
イラストでは、店員は向かって右奥のレジカウンターの後ろに立っていますが、この店はセルフサービス方式ではないので、お客様が来ると、店員はカウンターの外に出てお客様のすぐ近くで接客をします。
この店はお客様が店内を回遊する構造ですが、「店員空間」と「客空間」が共有されているために、「店員空間がない」店だと考えることができます。
また、床の黒い部分がこの店のスペースですが、通路に接する部分には商品空間がなく、什器が店の中に引き込まれているため、「店員空間がない、引き込み・回遊型店」に分類されます。
このタイプの店は、店頭に商品がない上に店員がお客様のそばで接客するため、8種類の店舗構造の中でもっとも「なわばり解除」がむずかしい店となります。
もちろん、この構造でも成功する方法はありますが、この店の場合、商品空間のつくり方に大きな問題があるために、なかなかお客様が店に来てくれません。
駅ナカ・駅ソトなどの通行客数が多い立地に出店している店は確かに有利ですが、それだけ他店との競争が熾烈になるため、店の前を通り過ぎるほんの数秒の間にお客様を店頭に立ち止まらせなければなりません。
とりあえず、お客様が立ち止まらなければ、店内に誘導することも、回遊して商品を検討してもらうことも、ましてや購入してもらうこともできないからです。
店頭でお客様に立ち止まってもらうために必要なのが、前回もご説明した「戸板一枚の店」です。
なぜなら、戸板一枚(180cm×90cm)ほどの商品空間がお客様にとってわかりやすい情報量になり、それをできるだけ低い位置から陳列することによって店員の「なわばり」が解除され、お客様を強く引きつけることができるからです。
この店の場合、店の中央に配置された2台の個性的な什器は、陳列位置が高い上に商品量が非常に少ないために、店の前を通り過ぎるお客様に商品の存在や魅力を伝えることができていません。
(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)
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