人の動きでわかる店舗診断 第8回 店頭がオープンになっているのにお客様が通り過ぎてしまう店とは?
人の動きでわかる店舗診断
第8回 店頭がオープンになっているのにお客様が通り過ぎてしまう店とは?
●店頭がオープンになった広い店なのに、お客様がなかなか入って来ないファッション店
星座の場所を
応援クリック
お願いいたします。
人気ブログランキングへ
前回は、店の周囲を壁で囲んだ店で、出入り口の場所と構造が失敗したために、存在がわかりにくくなってしまったファッション店を観察しました。
今回ご紹介するのは、店の大部分がオープンになっているのになかなかお客様が入らない店です。
この店は主要駅にある駅ビルの出入り口のすぐ近くに広い面積で出店している、レディス、メンズ、ファッション雑貨などをそろえた有力ブランドの店です。
おしゃれで値ごろ感のあるおトクな商品から、ちょっと高級な商品までを幅広く取り揃えており、立地、店舗面積、知名度、商品力など、総合的に見ても決して他店に負けるとは思えないのに、思うように業績が伸びていきません。
このような時、問題の多くは店(現場)にあります。
この店はイラストのように、通路に沿ってほとんどの部分がオープンになっているのに、なぜ、なかなかお客様が入らないのか?
それはお客様にとって「わかりやすい入り口」が設計されていないからなのです。
多くの販売関係者が考える入りにくい店とは、出入り口が狭い、戸が開きにくい、通路が狭い、中が暗いなどですが、これらはあくまでも建物の構造上のことにすぎません。
一般の住宅や施設なら、こうした構造を修正すれば解決するのですが、「店」はそうした建物とはまったく違う性質をもっているため、たとえ店の前面がオープンになっていても、入りにくい店になってしまうことがあるのです。
すでにご説明してきましたように、店は店員のなわばりです。
従って、お客様に入ってもらうためには「この店はなわばりが解除されていて安全な空間である」という情報を発信することが重要になります。
そのためには、店頭に戸板一枚(180×90)程度のお客様にわかりやすい情報量の商品をできるだけ低い位置から陳列した「戸板一枚の店」をつくることが必要になります。
なぜなら、そのような商品空間はお客様を店頭に立ち止まらせ、その脇に「わかりやすい入り口」を生みだすからです。
この店の場合、大部分がオープンになっていますが、目に入りやすい肝心の部分が壁やショーウインドーになっていて、お客様が入ることができません。
そして、その他の部分にも「戸板一枚の店」が設置されていないために、多くのお客様がこの店に関心を示すことなく目の前を通り過ぎてしまうのです。
さらに、店内で店員が待ち構えている姿は「なわばり」主張の情報になるため、ますますお客様を遠ざけてしまいます。
入りやすい店をつくるためには何よりも「入り口」づくりに細心の注意を払う必要があるのです。
(この本文とイラストは月刊誌「企業診断」〈同友館〉に2017年に連載したものです)
星座の場所を
応援クリック
お願いいたします。
人気ブログランキングへ
【関連記事】
1.人の動きでわかる店舗診断 第1回 大勢の客を引きつけるデパ地下洋菓子店の秘密
2.人の動きでわかる店舗診断 第2回 全面オープンなのに入りにくいおしゃれ雑貨の店
3.人の動きでわかる店舗診断 第3回 思わずお客様が立ち止まる人気靴店の店づくりとは?
4.人の動きでわかる店舗診断 第4回 簡易な店のつくりが魅力のアクセサリー店
5.人の動きでわかる店舗診断 第5回 おしゃれなのになぜかお客様が入らない店
6.人の動きでわかる店舗診断 第6回 フロアで独り勝ちする人気のファッション店とは?
7.人の動きでわかる店舗診断 第7回 大型店なのにお客様がその存在に気づかない店とは?
| 固定リンク
« 46.「お辞儀」と「うなずき」と「案内」のアクションから相手を見抜く方法(16) | トップページ | 47.あなたの注文を何度でも快く聞き入れて、素早く対応してくれる人は、いったいどこに存在しているのでしょうか? »
「◆人の動きでわかる店舗診断」カテゴリの記事
- 人の動きでわかる店舗診断 第12回 繁盛店を生み出すための5つのポイント(2018.12.10)
- 人の動きでわかる店舗診断 第11回 「戸板一枚の店」の店員と客の法則(2018.11.26)
- 人の動きでわかる店舗診断 第10回 繁盛店をつくるための店舗構造の選び方(2018.11.12)
- 人の動きでわかる店舗診断 第9回 閉め切っているのにどんどんお客様が入るファッション店(2018.11.05)
- 人の動きでわかる店舗診断 第8回 店頭がオープンになっているのにお客様が通り過ぎてしまう店とは?(2018.10.25)
コメント