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2018年6月 6日 (水)

40.商店街はなぜさびれたのか?②「味が伝わらない和菓子店」(1988年当時)

こんにちは。

「店」は、人がまだ歩いて旅をしていた時代の交通の要衝や観光地の「道」に発生し、その「道」の人通りがさびれ始めると、新たな要衝や観光地の「道」を求めて移動したのです。

祭りや縁日に登場してくる「よしず張りの店」は、いかにも「店」が移動性や仮設性の強い建築物であったかということを物語っています。

さて、いわゆる戦後の日本経済の著しい発展に伴って、各地に登場して来た「商店街」の店は、移動性や仮設性の雰囲気を保ちつつも、店主一家が生活する住居と一体となった「店」へと変化していきました。

見知らぬ大勢の人が行き交う「道」に面したかつての「店」でさえ、店員の「なわばり」が強く主張された空間でしたが、住居と一体となった商店街の「店」は、いっそう店員の「なわばり」が主張された空間となったのです。

ところが、当時の大多数の客は、日に日に登場してくる目新しい新製品の物凄い魅力によって、「店」が「なわばり」主張の強い「商品空間」であることをしばし忘れることとなったのです。

やがて、商店街の店を取り巻く環境に様々な変化が生じたことによって、ほとんどの商店街の店は、競合する商業集積の店に比べて「なわばり」主張の強い店であることがどんどん目立ってきたのです。

客を遠ざける「なわばり」主張の店員のアクションが生じやすい店舗構造ばかりの店で構成された日本の大部分の商店街の店は、日本経済の発展と共に繁栄し、時代とともにその役割を終えていった商業集積なのです。

今回も、すでに客を遠ざける「なわばり」主張の店員のアクションが目立っていた、30年前の商店街の店を一店ご紹介いたします。


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40.商店街はなぜさびれたのか?②「味が伝わらない和菓子店」(1988年当時)

次のイラストは、1988年当時の各地の商店街でよく見られた和菓子専門店です。

店舗構造は、「店員空間の狭い引き込み型店」です。

この店の「商品空間」には、贈答品と持ち帰り品の両方が陳列されていますが、買わない客にとっては、ひやかしにくい「商品空間」となっています。

通行客数が多く、近くに競合店が進出して来なかった時代には、まだまだ商品そのものも魅力的であったことや、買い物中の客の姿が「サクラパワー」を生み出して「なわばり」が解除される機会が多かったために、和菓子店としての存在感を十分に発揮することができました。

 

P163

 

Photo
※店員空間の狭い引き込み型店

 

「店員空間の狭い引き込み型店」は、かつての商店街では食品関係の店の構造としてよく見かけられた店舗構造です。

しかし、贈答品の店としては適したこの店舗構造も、持ち帰り品を販売するには不利な店舗構造でした。

つまり、常連客や贈答品を購入することが決まっている客にとっては、店員のアクションは気になりませんが、持ち帰り品を気軽に眺めたい「ひやかし客」にとっては、「なわばり」を主張する店員のアクションが気になって、自由に出入りすることができない店舗構造だったのです。

「じっと立って客を待つ」店員のアクションや、すぐに「いらっしゃいませ!」を言う店員のアクションは、「なわばり」を主張して客を遠ざけたのです。


(なお、イラストは1988年の拙著「続・入りやすい店売れる店・日本経済新聞社」からの抜粋です)

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