75の(1).接客アプローチのない自由なショッピング空間(コンビニエンスストア・セブンイレブン※1986年当時
こんにちは。
1971年~1974年に、コンビエンスストアという新しい店が登場してきました。
しかし、コンビニエンスストアは、登場して来るや否や、一気に全国各地に普及していったわけではありません。
しばらくは小康状態が続き、その後一気に全国各地に普及していったのです。
コンビニエンスストアが直に全国に広がらなかったのは、全国の客が「コンビニエンスストア」の店に一瞬たじろいだことが最大の要因なのです。
「コンビニエンスストア」の一番の特徴であるセルフサービス方式という販売方法に対して、誰もが良くも悪くも大きな衝撃を感じた理由は、その後もなかなかわからないままに、店は大きな変化を見せていきました。
そしてその後、あっという間に全国に普及していったネットショップの登場によって初めて、コンビニエンスストアに対する客の抵抗感がいったい何であったのかが明らかになってきました。
それは、コンビニストアの登場によって、身の丈サイズの商品空間を挟んで、見知らぬ店員と客が「なわばり」の攻防とコミュニケーションを伴いながら売り買いをしてきた従来の「店」を無くしていくことに対する無意識の戸惑いだったのです。
スーパーもコンビニもネットショップも、やはり「店」ではなかったのです。
そして、時代が代わって、現在では、従来の商店街でも百貨店でもなく、セルフやネットの店でもない新たな商業集積がすでに多くの客を引きつけています。
そこに登場している店こそが「店」なのです。
さて、以上のことを考慮しつつ、「75の(1).接客アプローチのない自由なショッピング空間(コンビニエンスストア・セブンイレブン)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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75の(1).接客アプローチのない自由なショッピング空間(コンビニエンスストア・セブンイレブン)※1986年当時
この店は、東京・世田谷区上北沢にあるコンビニエンスストアのセブンイレブンです。
この店は、私鉄京王線の八幡山駅から歩いて五分ほどのところにあります。
国道二十号線(甲州街道)に面した恵まれた立地で、コンビニエンスストアとしては大型の店です。
この店は二十四時間営業をしています。
近年、急速な発展をとげたコンビニエンスストアですが、ここでは、セブンイレブン内の業績順位や他のコンビニエンスストアとの比較等については触れずに、この店の三空間の分析を通じてその売れる秘密を探ってみることにしましょう。
平面図を見ると、この店が店員空間のある引き込み・回遊型の店であることがわかります。
この店の商品空間は、他のセブンイレブンと同じように、すべて店内に配置されています。
人通りの多い道路に面しているにもかかわらず、店の外には一切商品を陳列していません。
この店の近くにも何軒かの路面店がありますが、それらの店のほとんどが店の外にも商品を並べています。
この店の外にあるのは、コピーサービスと宅配便のスタンド看板、公衆電話とくずかごぐらいです。
店内の商品空間は、周囲の壁面部分とカウンターの一部、そして店の中央にある五ブロックの陳列棚から成り立っています。
この商品空間は、客が店内を自由に回遊できるように一定の通路をとったかたちで配置されています。
客空間にあたるのがこの通路です。
客空間は入り口の自動ドアをはいったところから、店内に引き込まれて広がっています。
この店の店員空間は、レジのあるカウンターの内側になっています。
店員はほとんどの時間をこの中ですごし、商品の補充やチェック以外は客空間にはいってきません。
そのためこの店の客空間は客にとっては非常にオープンなイメージになっています。
以上がこの店の三空間設計です。
この三空間は二十四時間、いつでもこの状態で保たれており、この店の販売パワーを生みだす基本的な要素になっています。
次回、「76の(2).接客アプローチのない自由なショッピング空間(コンビニエンスストア・セブンイレブン※1986年当時」に続く
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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