74の(1).はいりやすく出やすいレイアウトが客を呼ぶ(ファッション・メルローズ)※1986年当時
こんにちは。
スーパーマーケットが各地に普及し、コンビニエンスストアが各地に普及を開始し始めた約32年前の1986年当時は、まだ誰も「セルフサービス方式」の店が将来のリアルショップを凌駕していくとは確信していませんでした。
そのために、「セルフサービス方式」のファッション店が数多く登場してくることは、もっと予測できないことでした。
当時の百貨店や駅ビルや商店街などにおけるファッション店は、「店員空間のない、引き込み・回遊型店」と、「店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店」しか存在していませんでした。※店員空間のない、引き込み・回遊型店
※店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店
二つの店で店員が客を引きつける時は、①接客中のアクションと②作業中のアクションをしている時です。
そして、二つの店で、客が店に引きつけられる時は、「サクラパワー」が生じた時です。
しかし、当時の二つの店では、店員がじっと立って客を待ったり、早過ぎる接客を開始したりして、多くの客を遠ざける様子がたくさん観察できました。
店員も販売関係者も、「店」が店員の「なわばり」であることに、まだまだ気づけなかった時代です。
さて、以上のことを考慮しつつ、「74の(1).はいりやすく出やすいレイアウトが客を呼ぶ(ファッション・メルローズ)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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74の(1).はいりやすく出やすいレイアウトが客を呼ぶ(ファッション・メルローズ)※1986年当時
この店は、東京・新宿の伊勢丹百貨店の一階正面玄関をはいったすぐ左側にあるファッション店です。
人気のDC(デザイナー・キャラクター)ブランドの中の一つで、レディースファッションを扱っています。
近年のDCブランド店の活躍には目を見張るものがありますが、ここでは商品の知名度やファッション界の動向はひとまずおいて、三空間設計の観点から、この店を分析していくことにします。
まず、平面図を見てみましょう。
この店を見て一番驚くのはその広さです。
百貨店一階正面玄関すぐ横という非常に恵まれた立地にありながら、なおかつ、これだけの面積をもつということは、商売上きわめて有利です。
さて、この店のレイアウトを見ると、客空間を店内に引き込んで客に店内を回遊させながら商品を見せる、引き込み・回遊型店であることがわかります。
ただしこの店は間口が広い割には奥行きが浅いので、このタイプの店としてはやや変則的な形をしています。
けれどもこの形は、かえってこの店に有利な結果をもたらすことになりました。
このことについては後で詳しく説明していくことにしましょう。
この店の商品空間を見ると、店舗面積に比べてきわめて小さいことがわかります。
しかも商品は店の奥のほうにあるので、百貨店の通路を通りながら行きずりにひやかしていくというわけにはいきません。
一度は店の中にはいらないと商品に触れられない構造になっています。
この店の左側にレジカウンターがありますが、店員空間はこの中に限定されているわけではありません。
もちろんカウンターの中にも常に店員がはいってはいますが、それ以外の店員は右側の客空間に出てきています。
この店はDCブランドの店なので、百貨店の店員とは別に、いわゆるハウスマヌカンと呼ばれるタイプの店員がいるのです。
彼女たちの仕事は客に対するファッションアドバイスですから、どうしても客の近くにいなければなりません。
そのため店員空間は客空間と重なることになります。
そこでこの店は、店員空間のない引き込み・回避型店に分類されることになります。
以上、三つの空間の設計について簡単に説明しました。
それではこれから、この店の中で起こる出来事を具体的に見ていくことにしましょう。
次回、「74の(2).はいりやすく出やすいレイアウトが客を呼ぶ◆変則的なレイアウトがつくるはいりやすく出やすい店(ファッション・メルローズ)」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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