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2017年11月 7日 (火)

69の(1).接触型店から引き込み型店へ 贈答品店の改善(和菓子・とらや)※1986年当時

こんにちは。

いわゆる「デパ地下」として人気の百貨店の地下の食品フロアを構成するほとんどの店舗構造が、なぜ「店員空間の狭い接触型店」であるかについては前回説明しました。

その「店員空間の狭い接触型店」に、一見、よく似た店が「店員空間の狭い引き込み型店」です。


 Photo Photo_2
 
※店員空間が狭い接触型店   ※店員空間が狭い引き込み型店

 

しかし、この二つの店の三空間には非常に大きな違いがあります。

(1)「客空間」の違い

前者は「客空間」がないが、後者は店内に「客空間」があります。

(2)「商品空間」の違い

前者の「商品空間」は、道路に面しているために風雨にさらされて劣化しやすいが、店員の「なわばり」主張は弱い。

後者の「商品空間」は、店内に引き込まれているために劣化しにくいが、店員の「なわばり」主張は強い。

(3)「店員空間」の違い

前者の「店員空間」は、道路に面した「商品空間」の直ぐ後ろに位置するために、通行客に対して「なわばり」を主張しやすい。

後者の「店員空間」は、店の奥に位置するために、通行客に対する「なわばり」主張は弱いが、店内の「客空間」と「商品空間」に対する「なわばり」主張は強い。

総合的に見ると、「店員空間の狭い接触型店」は、「商品空間」を冷やかしやすいが、「店員空間の狭い引き込み型店」は、「商品空間」を冷やかしにくいということになります。

以上のことを背景にして、百貨店などでは「店員空間の狭い引き込み型店」はほとんど見られません。

わずかに見られる「店員空間の狭い引き込み型店」の成功例は、デパ地下の中でも一番通行量の多い場所や、他店よりもはるかに広いスペースを提供された店に限られています。

なぜなら、そのような好条件にある店の場合に限り、「店員空間の狭い引き込み型店」の短所が抑えられ、長所が生かされた三空間の店になることができるからです。

「店」は、本来は「商品空間」が道路に面しているものなので、「商品空間」を店内に引き込んだ時点で、すでに店本来の性質や魅力を失ってしまうのが一般的なのです。

さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「(1).接触型店から引き込み型店へ 贈答品店の改善(和菓子・とらや)※1986年当時」をお読みください。


(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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69の(1)接触型から引き込み型へ贈答品店の改善(和菓子・とらや)※1986年当時

 

Img5721

この店は、東京・渋谷駅東口、東横のれん街の食品売り場にあります。

東横のれん街は食品売り場としては珍しく一階にあって、乗降客の多い渋谷駅の地上通路に面しています。

このため、むかしから非常に集客力の強い売り場として有名です。

さて、従来は接触型店ばかりで構成されていた食品売り場も、最近では引き込み型店をとりいれるようになってきました。

この店も以前は接触型の店で贈答品を販売していましたが、売り場の移動にともなって、店全体の面積も広くなり、しかも接触型店から引き込み型店へと変貌をとげました。

それではこの店の新しい展開を見てみましょう。

平面図を見ると、この店の客空間が店内に広く引き込まれていることがわかります。


Img5722

その客空間には十分な広さがあり、客が贈答先の住所を書いたり、店員に相談をしたりするための椅子やテーブルも用意されています。

また、この客空間は、通路が交差する一角を利用しているため、二つの方向にむかって開放されています。

このことが、客がはいりやすく出やすい安全な客空間をつくっているのです。

また、この店の商品空間にも十分な広さがあります。

商品空間は広ければ広いほどいいのですが、他店に比べて特に広いわけではない、この店の商品空間も、この店が客空間を持っているということに助けられて十分な機能を果たしています。

店員空間は商品ケースの後ろにあって、店員は原則的にはこの中で接客します。

この店の店員空間そのものは商品空間と同じくらいのスペースで、これは他店の店員空間と変わりありません。

ところが、この店には店員空間の後方から店員が出入りできる商品収納所があり、のれんで仕切られています。

店員は販売時にその中に出はいりするので、実質的には他店よりもかなり広いイメージの店員空間を持っているといえます。

これがこの店の平面図による三空間の分析ですが、これだけを見ても、この店が他店とはまったく違う構造をもっていることがわかります。

この店のすぐまわりにある多くの贈答品店は、まったく客空間がなかったり、店員空間が狭すぎて十分な接客ができなかったりという不利な条件をたくさん抱えています。

そのような他店の悪条件が、相対的にこの店のパワーを強くし、この店に客を集める結果になっていることは十分に想像できます。

それではこれから、この店の三空間のそれぞれについて、具体的に分析してみましょう。

次回、「69の(2).接触型店から引き込み型店へ 贈答品店の改善(和菓子・とらや)※1986年当時」に続く。

 

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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