68の(5).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時
こんにちは。
百貨店等の食品フロアや貴金属売り場や化粧品売り場に今も数多く見られる、「店員空間の狭い接触型店」は、なぜなかなかすたれて行かないのでしょうか?
それは「戸板一枚の店」が持つ、店本来の魅力を受け継いでいるからです。
「戸板一枚の店」は、「商品空間(戸板一枚)」と「店員空間(戸板の後方)」の二空間だけで構成された店です。
「客空間」は無く、客が商品を冷やかしたり買ったりする時に、店の前の通路上に客自身によって作られます。
そのために、この店を構成している「商品空間」と「店員空間」は店員の「なわばり」ですが、「客空間」は店の「なわばり」の外の空間となっています。
したがって、客は気軽に「商品空間」に近づくことができ、もしも商品や店員の態度が気に入らなければ、直ぐに店や店員から遠ざかることがきます。
ところで、客にとって、ショッピングの一番の醍醐味といえば、様々な店を冷やかしながら回遊することです。
その点、「店員空間の狭い接触型店」は非常に冷やかしやすい店舗構造であるために、多くの客を引きつけることができるので、現在の百貨店やSCに綿々と引き継がれているのです。
さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「68の(5)理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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68の(5)理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)
※1986年当時
◆この店の売れる理由はどのようにとらえられてきたか
この店がこの売り場に登場して以来(もちろんそれ以前に大阪梅田の阪急百貨店に出店したときにも)、多くの菓子販売の関係者や店舗設計の専門家たちが、この店の売れるノウハウを研究しました。
その結果、よく似た商品やパッケージ、あるいはよく似たディスプレーをとりいれた店が数多くあらわれましたが、どこもこの店のように売ることはできませんでした。
彼らが失敗したのは、この店が売れている根本的な理由を十分に分析することができないまま、目についた、どちらかといえば枝葉にあたる部分ばかりに注意を集中してしまったからです。
この店が売れる最大の秘密は、実は三空間設計の中にあったのです。
◆他店はこの店からいったい何を 学べばよいのか?
物が売れる本当の理由は何なのかということは、長い間謎に包まれていました。
そのような中に突然彗星のように現れたこの店はそれまでの常識を次々とくつがえしていったのです。
この店は、従来接触型店ばかりだった百貨店の食品売り場に、大規模な引き込み型店を作ったことで成功をおさめました。
この店が売れる理由をもう一度まとめてみましょう。
第一の理由は、店員空間が広く、しかも店員が常にアクションを続けているので、店員空間のなわばりが完全に解除されていることです。
第二の理由は、贈答品の販売にとって非常に大切な広い客空間を持っていることです。
第三の理由は、商品空間にひやかし安全信号が豊富にとりいれられていることです。
私たちがこの店から学ばなければならない最大のことは、以上の三空間設計が完成したときはじめて、爆発的な販売パワーを発揮できるということです。
多くの店で今すぐとりいれられるものは、店員が動き続けられるプログラムを作ることと商品空間のなわばり解除ですが、最終的には三空間設計の完成をめざすべきなのです。
次回、「69の(1).接触型店から引き込み型店へ 贈答品店の改善(和菓子・とらや)※1986年当時」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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