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2017年10月 3日 (火)

61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

こんにちは。

昨日(10月2日)の日経MJ二面の「消費を斬る」欄に、『郊外に広がる駅ビル・駅ナカ――背景に働く女性・地元志向』と言う見出しで次のように報じられています。

『駅の商業施設が増えている。2000年以降、首都圏の1都3県でオープンした駅ビルや駅ナカは170施設にのぼる。かつてはターミナル駅中心だったが、最近は郊外の駅にも相次ぎ開業。背景には働く女性やシニアの増加で「地元」で手軽に買い物をしたいというニーズの高まりがある。』

しかし、本当に、手軽に買い物がしたいという多くの働く女性のニーズだけが、郊外の駅ビル・駅ナカ(エキナカ・駅ソトショップ)に引きつけているのでしょうか?

手軽に買い物をするだけであれば、ネットショップの方がはるかに手軽な買い物ができるはずです。

それにもかかわらず、駅ビル・駅ナカに多くの人が集まるのは、地元とは言え見知らぬ人が大勢行き交う駅ビル・駅ナカのショップに行くことで、移動空間に存在する「リアルショップ感」や満足感が得られるからと言うのが、的を得た捉え方でしょう。

駅ビル・駅ナカ人気は、もともとはターミナル駅中心でしたが、それが郊外の駅ビル・駅ナカに広がっていき、そこでも大勢の客が引きつけられるという現象は、人が常に移動空間に存在するリアルショップを求めているということの証左です。

これは、かつてのリアルショップが、
「ネットショップ+無人化店舗」 VS 「移動空間に生まれた駅ナカ・駅ソトショップ」に二極化していくという、私たちの予測通りです。

すなわち、かつてのリアルショップの多くが「ネットショップ+無人化店舗」に飲み込まれていく一方で、それとは対極の店本来の性質を蘇らせたリアルショップが次々と登場してくるのです。

店本来の性質を蘇らせた店とは、非セルフサービス方式の店で、店員と客の「なわばり」の攻防を伴ったコミュニケーションが提供されている店のことです。

そのような店をつくるためには、移動空間となる立地が必要であり、その点、「駅」は格好の条件を備えていることになります。

従って、鉄道各社が不動産の有効活用を続ける限り、大勢の客にとって、ネットショップよりもあるいはネットショップにはない魅力を持ったリアルショップがますます各地に登場してくるはずです。

長年放置されてきた、鉄道各社の持つ不動産は、実は宝の山だったのです。

それでは、前回にの続き「61の(2)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」」をお読みください。

(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

◆豊富な商品がひやかし安全信号として働く

どんなタイプの店であっても、商品空間のなわばり解除は十分になされていなくてはなりません。

店員がいつも見張っているような商品空間には客はなかなか近づくことができませんし、商品空間からひやかし安全信号が出ていない場合にも客は近づきにくくなります。

特に接触型店では店員が商品の近くにいることが多いので、店員のなわばり主張が商品空間をおかしやすくなってしまいます。

それだけに、接触型店では商品空間から強いひやかし安全信号を出して、客をひきつける工夫をすることが大切になってきます。

それでは、この店の商品空間を見てみましょう。



P95

この店では販売ケ一人のようなものは使わず、商品は台の上にむき出しのまま山積みにされています。

そのため、この店の商品空間にはディスプレー物を陳列する場所がありません。

ところがこの商品空間からも、やはり強いひやかし安全信号が発せられているのです。

その秘密は商品空間の構造と、商品の種類と量にあります。

ぐるりと周囲をまわらなければすべての商品を見ることのできない構造は、買う商品を決めるまでには時間がかかってもしかたがないという情報を客に伝えます。

また、豊富な商品量と種類の多さも同様に、選ぶまでには長時間かけてよいというメッセージになります。

さらに、このハカリ売りという方式が加わると、「何を、どのくらい買ったらいいのか」ということを悩んでいる間は、店員が積極的にアプローチをしてくることはない、すなわち安全だということがよく客に伝わります。

接触・引き込み・回遊型の部分では、その販売のシステムと商品の陳列そのものがひやかし安全信号として働いています。

次回、「61の(3)豊富な商品が冷やかし安全信号)(菓子・太子堂)※1986年当時」に続く。


(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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