63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時
こんにちは。
リアルショップに客が望むことは、「なわばり」を解除してくれることです。
そして、客にとって一番の「なわばり」解除とは、店員が常に「見知らぬ客」として対応してくれることなのです。
人は、客となって、特に「見知らぬ客」となることによって初めて、解放感を獲得することができるのです。
店員が客の個人情報をできるだけ把握して、それに沿った接客をしようとすることなど、愚の骨頂です。
なぜなら、客は個人情報からは一切解放されて、可能な限りの散財をしたいという願望を持っているからです。
何度でも通ってくれる客に対して、いつも「見知らぬ客」として対応してあげることこそが、最高のサービスの提供なのです。
「見知らぬ客」として対応するための具体的な方法は、次のたった三つのアクションを提供し続けることです。
(1)挨拶や、お礼や、お詫びや、お願いのことばと共に、正しい「お辞儀アクション」を提供する。
(2)返事や協調や賛同のことばと共に、正しい「うなずきアクション」を提供する。
(3)説明をする場所や方向を指し示すことばと共に、正しい「案内アクション」を提供する。
店員が以上の三つのアクションを行うことによって、客は常に「見知らぬ客」として対応してくれていることを実感でき、大きな満足を感じることができるのです。
「見知らぬ客」と「お辞儀、うなずき、案内アクション」をどうぞお忘れなく…。
以上のことを考慮しつつ、「63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時
◆広い商品空間と工夫されたひやかし安全信号
この店は、百貨店の入り口側の半分強に贈答品を、奥のL型部分に生ケーキを陳列しています。
↓贈答品を置いてある入り口側のケース
そしてL型の最も奥まったところに生ケーキの実演場を置いています。
一般的には、持ち帰り品である生ケーキを入り口近くに置き、贈答品を店の奥の方に置くというのが商品特性にあった展開パターンですが、この店ではちょうど逆の方法をとっています。
それは、本来贈答品を販売していたこの店が、贈答品を買った客にケーキも買ってもらうことと、贈答シーズン以外の時期の売り上げを伸ばすために、補助的に生ケーキを導入してきたためと考えられます。
↓生ケーキを置いてある店の奥側のケース
生ケーキ部分だけを見ると、L字型ケースの前は急激に通行量が減るためそれほど客を集めません。
また、せっかくの実演場も人目につきにくく、客を引きつけるという本来の機能はほとんどはたされていません。
この店のメインはなんといっても贈答品ですから、その商品空間を見てみることにしましょう。
百貨店の入り口側からずらりと並んだケースのほとんどの部分が、贈答品にあてられています。
広い商品空間には、商品と商品以外のひやかし安全信号を組み込むための十分なスペースがあります。
ケースの中には、季節やその時々のテーマにあわせた人形や様々のディスプレイ物が上手にレイアウトされており、店イメージや商品イメージを盛りあげています。
さらに商品空間自体の面積が大きいことも、なわばり解除のために大きな役割をはたしています。
商品空間が広ければ、たとえ店員がなわばり主張をしたとしても、客にとって安全な空間が十分に残されているからです。
次回、「63の(3).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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