« 61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時 | トップページ | 61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時 »

2017年10月 4日 (水)

61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

こんにちは。

1980年代とは、コンビニさえもまだまだあまり見当たらず、営業マンはまだケータイを持たずに、ポケベルで仕事をしていた時代です。

その頃に、駅ビルと有名百貨店をつなぐ地下通路の催事場に、期間限定で出店している食品関係の店で、一番売れるという店員さん(男性)をビデオで取材したときの話です。

その店員は、毎日、地下通路に並んで出店しているどの店よりも店の開店が遅れます。

他の店の店員は、開店時間の前からすっかり準備を整え、きちんとした姿勢で客を迎えます。

一方、一番売れるという店員は、他の店に客がつき始めた頃に、おもむろに一間半(約2.7メートル)の小さな店の準備を始めるのです。

ところが面白いことに、その店員が店の前に出たり、後ろに回ったりしながら作業をしているにも関わらず、次々と客がやって来ます。

店員は作業を中断して対応し、接客が終わると再び作業を続けます。

とっくに営業開始時間を過ぎているのも関わらず、商品のポスター張りや陳列の並び替えなど様々な作業が続きます。

細かく観察すると、店頭に客が近づいて来た時ほど、作業をどんどん始める様子です。

客は作業中の店員に構わず注文を投げ掛け、その都度店員は直ぐに対応します。

この店員は大体以上のことを開店から閉店まで繰り返し、作業をやり終えてきちんとした姿勢で客を待つ態勢になることはほとんどありませんでした。

そして、この店員は「近くに来たお客様には視線を逸らして、できるだけ積極的にはならないで、お客様の邪魔をしないこと」が大切だと話してくれました。

つまりこの店員さんは意識的に、「
店員空間の狭い接触型店」で、「なわばり」主張の店員のアクションをしないで、「なわばり」解除の店員のアクションをやり続け、「サクラパワー」を利用しながら、一番高い売り上げを上げていたのです。

以上のことを考慮しつつ、前回、前々回に引き続き「61の(3)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」をお読みください。

(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


星座の場所を
応援クリック
お願いいたします


人気ブログランキングへ

 

61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

◆ハカリ売りの店員のアクションが客をひきつける

この店の店員空間は店の真ん中にあるので、四方の客空間から店員はよく見えます。

特に、催事場のようなこの店には、店員が姿をかくせるような場所がありません。

それだけに、この店では店員のアクションが客をひきつける決め手になっているのです。


P94


この店の基本的な販売方法はハカリ売りです。

とはいっても、実際にはあらかじめいくつかの袋詰めを作っておき、特別な注文以外はそれを売っているのです。

そのため店員は手がすいたときを利用して、これらの袋詰めを作っておきます。

この作業こそが客をひきつけるための格好のアクションなのです。

商品の補充をしたり、袋詰めをしたりといった作業を五~六人の店員が一斉に行うと、店員のなわばりは大幅に解除されます。

こうした作業をしている店員が客にアプローチをすることはほとんどありません。

店員は客に声をかけられるとこうした作業の手を休め、接客作業を行います。

そして接客が終了すると、再び袋詰め作業にもどります。

このように店員のアクションが途切れずに続くときこの店は強い力で客をひきつけるのです。

次回、「61の(4)豊富な商品が冷やかし安全信号)(菓子・太子堂)※1986年当時」に続く。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


星座の場所を
応援クリック
お願いいたします

 
人気ブログランキングへ


関連記事】


51.感じが良い接客」と「感じが悪い接客」は個人の「動きの癖」が生み出す

52.外観はよく似た構造でも、売り方が全く違う二つの店

53.「いらっしゃいませ」のタイミングが全く異なる、常連接客と一見接客

54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている

58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

59.いつも前向きで熱心に対応する店員と、消極的でやる気を感じさせない店員は、個人が持つ「動きの癖」から生じています

60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

 

|

« 61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時 | トップページ | 61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時 »

◆86年版入りやすい店売れる店」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/119616/65864243

この記事へのトラックバック一覧です: 61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時:

« 61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時 | トップページ | 61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時 »