64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時
こんにちは。
リアルショップにおいて、店員は様々な「ことば」と「動き=アクション」を客に伝えていますが、客は店員の「動き=アクション」については、ほとんど気づいておりません。
例えば、店員が話す挨拶やお礼やお願いやお詫びの「ことば」は認識していますが、それぞれの「ことば」と共に表現される店員の手や指や頭の「動き=アクション」に関しては、ほとんどの客が認識をしていません。
店員が話す「ことば」は聞こえますが、店員の「動き=アクション」は見えないからです。
ところが、実際には、客は聞こえている「ことば」よりも、見えていないにもかかわらず、店員の「動き=アクション」に強い影響を受けて、店や店員に引きつけられたり、遠ざけられたりしているのです。
実は、このことについては、店側の店員や店長や接客指導者達も、気づいてはいないのが実情です。
そして、「挨拶」や「お礼」や「お願い」や「お詫び」の「ことば」と、形式的なお辞儀の仕方などが主に指導されています。
したがって、客を引きつけたり遠ざけたりして、売り上げに直結している店員のアクションの領域は、未だに手つかずのままになっているのです。
当然、同じ店で、同じ商品を、同じ条件で販売しているにもかかわらず、飛びぬけて売り上げの高い店員が、実は「感じが良いアクション」をしていることが一番の要因であるということは、ほとんどの販売関係者達に気づかれないままとなっているのです。
以上のことを考慮しつつ、「64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時
◆「仕事」の多い店員が客をひきつける
この店の店員は他店の店員に比べてはるかに仕事を持っています。
それは、この店がシステムとしてとっている「カルテ」の制作です。
この店では、すべての客に対して、スキンタイプや以前に販売した商品等をチェックしたカルテを制作しています。
店員は接客中にこのカルテを作っていきますが、接客後もその整理等の仕事があるため、他店に比べてずっと多くのアクションをします。
このことは店員のなわばりを解除するので、客をひきつけます。
また、この店には、接客時の店員のアクションを助けるための様々なツールがそろっています。
他店の店員が商品だけを道具にして説明していくのに対し、この店では、客のスキンタイプを分析するための「コンピューター」と呼ばれる説明パネルや、肌の機能を科学的に解説した資料等を使って、多くの動きをとりいれた説明を行っています。
このような道具を使って他の客に商品を説明している店員の姿は、新規客の興味を十分にひきつけます。
このような説明や、実際に化粧品を使っての客に対する指導は一種の実演場としての効果をもたらしています。
もちろん、一般の実演のように、そのまわりに集まってじろじろ見るというわけにはいきませんが、そこで行われる方法を、客はさりげなく見ることができるのです。
作業のなくなった店員は、店頭でパンフレットを配布することもあります。
こうした動きは、かつての化粧品店の前で行われていた積極的なアプローチ販売に似ているように思われますが、ここではパンフレットを配布するだけで強引な呼び込みは行いません。
そのため、店全体としての活気を高める動きの一つとしての効果をあげています。
次回、「64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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