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2017年10月 5日 (木)

61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

こんにちは。

見知らぬ大勢の人が行き交う街道に発生した日本の「店(戸板一枚の店)」は、経済の発展と共に、商店街と百貨店という二種類の商業集積に変化することによって、新たな「店」の構造と売り方を確立しました。

商店街の店は地域に密着して、馴染み客を対象にした「店」となり、百貨店は館内を回遊する見知らぬ大勢の客を対象にした「店」となっていったのです。

やがて、スーパーマーケットやコンビニエンスストアや大型専門店が登場し、続いてディスカウントショップや100均ショップが登場して来て、それまでの「店」の構造と売り方は大きく変化しました。

そして、かつて隆盛した商店街と百貨店はすっかり衰退してしまいました。

その後、急激にパソコンとケータイが普及し、ネットインフラが整備されることによって、ネットショップが、あっという間に日本中を席巻したのです。

しかし、現在のネットショップの急激な発展だけを見て、「ネットショップは便利だから大勢の客に受け入れられた」と捉えるのは間違っています。

なぜならば、「戸板一枚の店」に始まった当初の「店」が、商店街&百貨店時代を経て現在の「店」に至る変遷をざっと振り返っただけでも、「店」が経済の発展に伴って、それぞれの時代に対応した構造と売り方になるように、その姿を自在に変化させてきたことが分かるからです。

そのような観点から見ると、あっという間に現代人にとってなくてはならない「店」となったネットショップは、商店街&百貨店へと発展する以前の「店」、つまり「戸板一枚の店」と、非常によく似ていることに気付きます。

すなわち、どちらも、「見知らぬ店員」と「見知らぬ客」の関係を背景にしている「店」なのです。

そして現在、都心のターミナル駅を中心に郊外駅にまで急激に登場してきている、「駅ナカ・駅ソトショップ」もまた、「見知らぬ店員」と「見知らぬ客」の関係を背景にした「店」なのです。

つまり、大勢の客を引きつけている「ネットショップ」も、駅ナカ・駅ソトの「リアルショップ」も、見知らぬ人同士のコミュニケーションの場を提供することで、大勢の客を引きつけているのです。

以上のことを考慮しつつ、「61の(4)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」をお読みください。

(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

◆店員を気にせず、自由に移動できる広い客空間

この店の客空間も、他の接触型店と同じように、店外の通路上にできます。

けれどもこの店の商品空間がたいへん広く、しかもその形がサークル状になっていることから、客空間も非常に広くゆったりしたものになっています。

客はゆっくりと商品空間をひやかして歩き、もしも欲しいものがなければ、何の抵抗もなく店から遠ざかっていくこともできるのです。

 

P9697

特に、この店はエスカレーターと階段に近い広い通路を利用しているので、客空間としてかなり広いスペースを使うことができます。

そのためこの店の客は、買い物をしている間、他の通行客に押されたり、ぶつかられたりすることもなく、ゆったりとショッビングを楽しむことができるのです。

もちろん、この客空間の居心地のよさの第一の理由は、店員が接客アプローチをしてこないところにあります。

客は誰にもじゃまされずに商品を選んでは、近くの店員に注文をすればよいのです。

◆よく似た店なのに、なぜ失敗するのか

この店とほとんど同じような商品をそろえ、同じような陳列をした店があります。

店名を確認しなければその差がよくわからないほど似ているのに、売り上げが全然違うとしたらこの差はどこにあるのでしょうか。

そちらの店では、商品がすべてはじめから袋詰めになっています。

店員の作業と人数を省力化するためにはたいへんすばらしいアイデアだったのですが、そのことが肝心の店員アクションまでも失わせる結果になってしまいました。

なわばり解除がおこらないので客が集まりにくく、少ない客に対して店員がアプローチをかけるという悪循環がはじまって、結局、売り上げがあがらないのです。

次回、「62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。

(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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51.感じが良い接客」と「感じが悪い接客」は個人の「動きの癖」が生み出す

52.外観はよく似た構造でも、売り方が全く違う二つの店

53.「いらっしゃいませ」のタイミングが全く異なる、常連接客と一見接客

54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

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58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

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