67の(1).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時
こんにちは。
百貨店や駅ビルにある食品フロアの店は、ほとんどが「店員空間の狭い接触型店」で構成されています。
「店員空間の狭い接触型店」は、「戸板一枚の店」に最も近い店であることから、「戸板一枚の店の法則」を分かりやすく観察することができます。
(1)店員がじっと立って待っていると、客が遠ざかる。
(2)店員が「いらっしゃいませ!」を言うと、客が遠ざかる。
(3)店員が接客中だと、客が近づく。
(4)店員が作業中だと、客が近づく。
(5)「サクラパワー」が生じると、客がどんどん近づく。
それではなぜ、店員は「じっと立って客を待つ」ことになったのでしょうか?
①きちんとした姿勢でなければ、客に失礼である。
②きちんとした姿勢で販売しなければ、客に購入してもらえない。
③店も、学校や職場と同じように、礼儀作法を良くしなければいけない。
④遠ざかる客は、今日は買う予定がない客。
以上のような店主や販売関係者らの考えによって、店員は「じっと立って客を待つ」ようになったのです。
しかし、店は店員と客のコミュニケーション現場であり、また店は店員の「なわばり」であるために、「戸板一枚の店の法則」通り、客を遠ざける結果を招いているのです。
さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「67の(1).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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67の(1)失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時
この店は、東京にある駅ビルの食品売り場にあります。
銀座に本店のある贈答品店(和菓子)の支店の一つです。
平面図を見ると、この店が店員空間の狭い接触型店であることがわかります。
商品空間は比較的広いスペースを持っているのですが、店員空間が狭いためどうしても店員のなわばりが商品空間を侵略してくることになります。
商品空間が店員のなわばりでがっちり抑えられてしまうと、客はなかなか商品に近づくことができません。
しかも客が商品空間に近づくとすぐに店員の接客アプローチが始まるため、安全な客空間が生じにくい状況になっています。
このような三空間を持つ店で贈答品を販売していくことはたいへんに難しいと考えられます。
三空間の様子をもう少し詳しく見てみましょう。
商品は贈答品としては完成度の高いパッケージに包まれて、豪華なケースの中に陳列されています。
各種の高級和菓子のセットは、気のきいた装飾小物をあしらって、和風なイメージでディスプレーされています。
十分ではありませんが、ひやかし安全信号もあるので、商品空間は多少客の目をひきつけます。
ところが、この狭い店員空間にとじこめられた店員にはほとんど逃げ場がないうえに、なわばりを解除するための作業アクションを持っていないので、常に客の来るのを待ちうけていることになります。
一般に贈答品店は持ち帰り品店に比べて客の数が少なく、接客の作業も途切れがちになります。
いったんこの状況に落ち込むと、店員は仕事がないのでじっと客を待ち続けたり、近づいてきた客に早すぎるアプローチをしかけて追い払ったりをくり返し、ますます客が近づきにくい状況を作りだしてしまいます。
次回、「67の(2).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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