62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時
こんにちは。
客にとって、店は大変楽しい空間です。
しかし、店は店員の「なわばり」であるために、客は店員の「なわばり」に入って、強いプレッシャーを感じながら買い物をしていることも事実なのです。
したがって、店員が「なわばり」を解除するアクションを行うと、店員が想像している以上に、客にとっては大変入りやすい店となります。
店員が「なわばり」を解除する具体的なアクションとは、接客中のアクションと作業中のアクションです。
しかし、客にとって店の「なわばり」がそれ以上に解除される状況があります。
それは、店に「サクラパワー」が生じた時なのです。
店で他の客が注文をしたり相談をしたりする姿はもちろんのこと、店頭や店内に一人でも回遊客(あるいは滞留客)の姿が存在することによって、「サクラパワー」は生まれます。
したがって、数人の客が店頭や店内の商品空間に立ち止まった場合には、非常に強力な「サクラパワー」が発揮されて、店の「なわばり」は完全に解除されてしまいます。
意外なことに、店においては、商品の魅力や店員のアクションもさることながら、それ以上に他の客の存在こそが、大勢の客を引きつけているのです。
このことは、客が感じる買い物の醍醐味が、見知らぬ店員に出会うことと同時に、見知らぬ大勢の客に接することであることを裏付けているのです。
以上のことを考慮しつつ、「62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)
◆サクラパワーが客をひきつける
この店の商品は持ち帰り品なので、本来は時間をかけて選ぶものではありません。
ところが、商品空間に強いひやかし安全信号を組みこんだために、客が店の前にいる時間が長くなっています。
※開店直前の店の様子↓
※サクラパワー現象が生じた場合の店の様子↓
客がついている商品空間は、なわばりが大幅に解除されているので、次の客がつきやすくなります。
この店をとり囲む通路はせまく、十分な客空間を提供できないのですが、そのことがかえって通路を一時的にせき止め、爆発的なサクラパワーを引き起こす結果を生みだしています。
この店の商品は季節商品なので売れ行きには変動がありますが、シーズンには店のまわりを客の行列がとり囲むということになるのです。
次回、「62の(5).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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