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2017年10月

2017年10月31日 (火)

9.話しながら繰り返される「接近の動き」は、やる気や熱心さを伝える

こんにちは。

現在でもほとんど無視されている、コミュニケーションにおける、相手の身体の動き(しぐさ=身振り手振り)は、「ことば」よりもはるかに多くの情報と本音を表現しています。

あとは、私たちが相手の身体の動きが語る情報について知るだけなのです。

前回まで、(1)回転の動き4個と(2)上下の動きの4個を説明しました。

今回からは、(3)前後の動き4個を順番に説明していきます。

それでは、13種類の身体の動きの九つ目の⑨「接近の動き」について説明します。

⑨「接近の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。

 

Photo_2


手や身体を使って、前に向かってゆっくりと進む動きです。

そして、相手に対して積極的で前向きであることを表現する時の動きです。

このロボットのカット(静止画像)は、「接近の動き」を伴って、相手に名刺を差し出す一連の動きの一瞬をとらえたものです。

動きとは、上の静止画像のような瞬間的な身体の形態ではなく、「接近の動き」の開始から終了まで、つまり名刺を差し出す開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

実際の「接近の動き」は
こちらで確認してください。

あなたは、ビジネスにおいて様々な場所でいろいろな方々と「名刺交換」をされると思います。

ところが実際に、「名刺交換」を行う相手が、「接近の動き」を伴って、あなたに名刺を差し出してきたとしても、ほとんどの場合、あなたは相手の「接近の動き」に気づくことができません。

なぜならば、

「突然で申し訳ありません」
「いつもお世話になっております」
「○○会社の△△と申します」
「どうぞよろしくお願いいたします」

などの挨拶やお詫びやお礼や会社名や相手の氏名などを伝える「ことば」は聞こえますが、「接近の動き」は見えないからです。

そのために、あなたは、相手が表現している「動き」からではなく、相手が話す「ことば」によって相手の印象を決めたり理解したりしているのです。

ところが、名刺交換をした相手が具体的にはやる気や熱心さを感じさせる「ことば」を話してないにもかかわらず、相手のことをやる気があって熱心そうなイメージの人だと感じる場合があります。

それは、前にゆっくりと進む「接近の動き」を伴って、あなたに名刺を差し出し、その後も「接近の動き」を繰り返し伴いながら話をしたからなのです。

大変興味深いことに、多くの人は見えたり聞こえたりしているものよりも、見えないもの「人の身体の動き」(しぐさ=身振り手振り)の方にはるかに強い影響を受けているのです。

近い内に、あなたが名刺交換をする機会がありましたら、相手の話すことばよりも、相手の「前後の動き」に注意を払ってください。

果たして「接近の動き」をとらえることができるでしょうか?

次回は、⑩「突進の動き」について説明します。

※なお明日は、「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)の1986年版を更新します。


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3.注意不明の動き&65.店員の身体信号が客を呼ぶ決め手(実演販売・百貨店内)

4.不注意指示の動き&66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)

5.下に向かって力を入れた「うなずき」は、自信や責任感を感じさせる

6.上に向かって力を抜いた動き(協調の動き)を伴った「うなずき」は協調や賛同を表現する

7.上に向かって力を入れる動き(独断の動き)を伴った「うなずき」は威嚇や主張を表現する

  • 8.下に向かって力を抜く動き(虚脱の動き)を伴った「うなずき」は威嚇ややる気がなく攻撃性がないことを表現する
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    2017年10月30日 (月)

    68の(2).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時

    こんにちは。

    前回に続いてのお話です。

    店には、特定の店員と客のアクションが、客を引きつけたり遠ざけたりする
    戸板一枚の店の法則」が存在しています。

    具体的には次の(1)~(5)の店員と客のアクションが、客を引きつけたり遠ざけたりしているのです。


    (1)店員がじっと立って待っていると、客が遠ざかる。(24日説明済

    (2)店員が「いらっしゃいませ!」を言うと、客が遠ざかる。(26日説明済

    (3)店員が接客中だと、客が近づく。(28日説明済

    (4)店員が作業中だと、客が近づく。

    (5)「サクラパワー」が生じると、客がどんどん近づく。

    それでは店員はなぜ、「(4)店員が作業中だと客が近づくことを、十分には利用していないのでしょうか?

     

    Photo_2

    ①きちんとした姿勢で客を迎えなければいけない。

    ②客が来たら直ぐに接客を開始しなければいけない。

    ③作業しながら客を待ち受けるのは失礼になる。

    ④様々な作業は、開店前までに済まさなければいけない。

    ⑤作業中の店員のアクションが「なわばり」を解除して客を引きつけやすくなることを知らない。


    以上のような、店主や販売関係者らの考え方によって、店員はじっと立って客を待ったり、作業中に客が来ると直ぐに作業を中止して「いらっしゃいませ」などの声を掛けたりしては、客を遠ざけてしまうのです。

    非セルフサービス方式の店では、じっと立っていないで、店員が何らかの作業を続けていますが、その理由は、①店に活気を生み出すため ②何もしないでじっと立っているとサボっているように思われるから、と言うのが大半です。

    作業中の店員のアクションは、店の「なわばり」を解除して、冷やかし客が入りやすい店にするということを、はっきりと理解することが肝心です。

    なぜならば、声を掛けてきた客に接客を開始してからも、やはり「なわばり」を解除する接客方法が必要となるからです。(「なわばり」を解除する接客方法については後日説明します)


    さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「68の(2)理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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    68の(2)理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)
    ※1986年当時

    ◆広い店員空間こそが、店に活気を生みだす


    この店の広い店員空間の中には常時十人前後の店員がはいっています。

    そのうちの数人は接客にあたっており、他の何人かは包装作業を、残りの店員は商品を補充したり並べかえたりといった作業をしています。


    この店の中で最も特徴的なことを一つあげるとしたら、それは、店員が一時も静止せずに作業をし続けているということなのです。Img5661


    多くの店では、客がきたときには店員が動くので店が活気づきますが、客がいなくなるととたんに店員の動きも止まってしまいます。

    店員がじっと客待ちをしている店はなわばりが強いので、客はなかなか近づいてこられません。

    この結果、店にはますます活気がなくなってしまいます。

    この店が他店と違うところは、客の数が少なくなっても、店員が動きをやめないところです。

    店が活気を保っているかぎり、次の客をひきつけることは簡単です。


    店員空間が広いために、店員は包装やレジ作業のたびに店の中を大きく移動することになり、そのことがいっそうアクションを活発にしています。

    また、この店の店員は、商品を検討中の客に対して接客アプローチをしません。

    客が声をかけてくるまでは、作業を続けるか、あるいは「承っておりますでしょうか」と言いながら店内を移動していきます。


    この店では店員は決して客のなわばりをおかさないので、客は安心して商品を選ぶことができるのです。

    次回、「68の(3).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時」に続く。

     

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

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    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年
    当時


    64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

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    67の(2).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」

    68の(1).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時

     

     

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    2017年10月29日 (日)

    8.下に向かって力を抜く動き(虚脱の動き)を伴った「うなずき」は威嚇ややる気がなく攻撃性がないことを表現する

    こんにちは。

    相手に与える情報が異なる四種類の「うなずき」を紹介しつつ、13種類の身体の動きについてご説明しています。

    (1)下に向かって力を入れる「うなずき」(
    23日説明済
    (2)上に向かって力を抜く「うなずき」(
    25日説明済
    (3)上に向かって力を入れる「うなずき」(
    27日説明済
    (4)下に向かって力を抜く「うなずき」

    さて今回は、(4)下に向かって力を抜く「うなずき」について説明します。

    そのためには、13種類の身体の動きの内の八つ目の「虚脱の動き」を理解することが必要になります。

    ⑧「虚脱の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。


    Photo

    腕や頭や上半身を使って、上から下に向かって力を抜く動きのことです。

    相手に対して攻撃性がないことや、やる気がないことを表現する時の動きです。

    そして、「虚脱の動き」とは、このロボットの静止画のような瞬間的な身体の形態ではなく、「虚脱の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「虚脱の動き」は
    こちらで確認してください。

    さて、下に向かって力を抜いて頭を下げる「うなずき」は、この「虚脱の動き」を伴った「うなずき」です。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人らが、あなたの話に対してこの「うなずき」を使って返事や相づちを打ったとしても、あなたはなかなか気づくことができません。 

    なぜならば、

    「はい、ええ」
    「良いと思います」
    「賛成します」
    「直ぐにやります」

    などの相手の相づちや返事の「ことば」は聞こえますが、「虚脱の動き」を伴った「うなずき」は見えないからです。

    たとえ、相手の「うなずき」に気づいたとしても、大抵の人は下に向かって力を入れた「うなずき」なのか、下に向かって力を抜いた「うなずき」なのか、あるいは上に向かって力を入れた「うなずき」なのかの違いまでは見分けられずに、同じ「うなずき」をしたと解釈してしまいます。

    そのため、相手がはっきりと「うなずき」を伴って「直ぐにやります」と言ったにも関わらず、なかなか行動を開始せず、なかなかやる気を見せない相手のことを全く理解することができません。

    相手は、確かに「うなずき」を伴って「直ぐにやります」と返事をしましたが、「ことば」とは裏腹に、本当はあまりやる気がしないと言うことを「虚脱の動き」を伴った「うなずき」をして表現していたのです。

    相手の本心は、「ことば」ではなかなか分かりませんが、「動き」を使ってはっきりと表現されているのです。

    次回(明後日)は⑨「接近の動き」について説明します。

    ※なお明日は、「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)の1986年版を更新します。


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    3.注意不明の動き&65.店員の身体信号が客を呼ぶ決め手(実演販売・百貨店内)

    4.不注意指示の動き&66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)

    5.下に向かって力を入れた「うなずき」は、自信や責任感を感じさせる

    6.上に向かって力を抜いた動き(協調の動き)を伴った「うなずき」は協調や賛同を表現する

    7.上に向かって力を入れる動き(独断の動き)を伴った「うなずき」は威嚇や主張を表現する

     

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    2017年10月28日 (土)

    68の(1).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時

    こんにちは。

    前回に続いてのお話です。

    百貨店や駅ビルにある食品フロアや貴金属売り場や化粧品売り場の店は、ほとんどが「店員空間の狭い接触型店」で構成されています。

    そして、「店員空間の狭い接触型店」は、「戸板一枚の店」に最も近い店であることから、「戸板一枚の店の法則」を分かりやすく観察することができます。

    (1)店員がじっと立って待っていると、客が遠ざかる。(
    説明済

    (2)店員が「いらっしゃいませ!」を言うと、客が遠ざかる。(
    説明済

    (3)店員が接客中だと、客が近づく。

    (4)店員が作業中だと、客が近づく。

    (5)「サクラパワー」が生じると、客がどんどん近づく。

    それでは店員はなぜ、「(3)店員が接客中だと客が近づく」(戸板一枚の店の法則)ことを、十分には利用していないのでしょうか?

     

    Photo_2


    ①客は、他の客が接客中だと他の店に行く。

    ②客は直ぐに接客を開始しないと遠ざかってしまう。

    ③接客中に来た次の客には、売り逃さないように声を掛ける。

    ④接客中の店員のアクションが「なわばり」を解除して次の客を引きつけることを知らない。

    以上のような、店主や販売関係者らの考え方によって、店員は接客中に来た客にもすぐに「いらっしゃいませ」の声を掛けて遠ざけてしまうことになりやすいのです。

    しかし、「(3)店員が接客中だと客が近づく」理由は、店員が接客を行うことによって、店の「なわばり」が解除されるために、客を引きつけやすい状態になっているからなのです。

    さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「68の(1)理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時」をお読みください。


    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

     

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    68の(1)理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時

    この店は、東京・池袋駅東口にある西武百貨店地下一階の食品売り場にあります。

    この店は滋賀県大津市に本店をもつ贈答用和菓子店の支店の一つです。

    この店の支店だけで全国の菓子売り場の売り上げベストスリーを独占したこともあり、菓子業界の中では他の追随をゆるさないゆるぎない地位を築いています。

    ここでは、この売れる店の秘密を解明していくことにしましょう。



    Img5651

    この店の平面図を見て一番驚かされることは、店i員空間が非常に広いということです。

    一般に百貨店の中に出店する店は一店舗あたりの面積が小さいので、店員空間を広くとろうという発想がありません。

    商品空間の面積を広げるだけでも精一杯なので、ともすれば店員空間が犠牲になりがちです。

    しかし、店のなわばりを解除するためには、店員空間が広ければ広いほど有利なのです。

    この点だけを見ても、この店が他店とはまったく違う構造を持っていることがわかります。

    また、商品空間も、周囲の一般的な店に比べて約二倍の面様になっています。

    このことも販売をする際に非常に有利なことです。


    Img5652

    さらに、この店は百貨店の中にあるにもかかわらず、自分の店専用の客空間を持った、引き込み型店のレイアウトになっています。

    最近でこそ、百貨店の食品売り場の中に一~二軒の引き込み型店が見られるようになりましたが、まだまだ大半を占めるのは客空間を持たない接触型店です。

    この点からも、この店が他店とは非常に異なった店舗レイアウトになっていることが理解できます。

    この店が売り場に出現して以来周囲の競合店をまったく問題にせず、驚異的な売り上げをあげ続けてきた理由は、実はこの三空間の設計の中に隠されているのです。

    それではこれから、三つの空間がそれぞれどのように働いているのかを詳しく眺めてみることにしましょう。

    次回、「68の(2).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年
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    65.店員の身体信号が客を呼ぶ決め手(実演販売・百貨店内)※1986年当時

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    2017年10月27日 (金)

    7.上に向かって力を入れる動き(独断の動き)を伴った「うなずき」は威嚇や主張を表現する

    こんにちは。

    前回、「うなずき」には、相手に与える情報が異なる四種類の「うなずき」があるということをお話しました。

    (1)下に向かって力を入れる「うなずき」(
    23日説明済
    (2)上に向かって力を抜く「うなずき」(
    25日説明済
    (3)上に向かって力を入れる「うなずき」
    (4)下に向かって力を抜く「うなずき」

    さて今回は、(3)上に向かって力をいれる「うなずき」について説明します。

    そのためには、13種類の身体の動きの内の七つ目の「独断の動き」を理解することが必要になります。

    ⑦「独断の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。

     

    Photo

    腕や頭や上半身を使って、下から上に向かって力を入れる動きのことです。

    相手を威嚇したり、相手に対して主張を曲げないことを表現する時の動きです。

     

    そして、「独断の動き」とは、このロボットの静止画のような瞬間的な身体の形態ではなく、「独断の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「独断の動き」は
    こちらで確認してください。

    さて、上に向かって力を入れて頭を上げる「うなずき」は、この「独断の動き」を伴った「うなずき」です。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人らが、あなたに向かって話をしながら、この「独断の動き」を伴った「うなずき」を繰り返したり、あなたの話に対してこの「うなずき」を使って返事や相づちを打ったとしても、あなたはなかなか気づくことができません。

    なぜならば、

    「賛成できません」
    「方針は変えられません」
    「はい、はい」
    「なるほど、なるほど」

    といった考えや返事や相づちの「ことば」は聞こえますが、「独断の動き」を伴った「うなずき」は見えないからです。

    たとえ、相手の「うなずき」が見えたとしても、大抵の人は上に向かって力を入れる「うなずき」と、下に向かって力を入れる「うなずき」の違いまでは見分けられずに、同じ「うなずき」をしたと解釈してしまいます。

    そのため、相手がはっきりと「うなずき」をして相づちを打ったにも関わらず、自分に賛成している場合と反対している場合があるために、「うなずき」は不確かなものであると感じられてしまいます。

    しかし、下に向かって力を入れる「うなずき」(攻撃の動き)は、相手に対して賛同する「うなずき」ですが、上に向かって力を入れる「うなずき」(独断の動き)は、あくまでも自分本位な「うなずき」なので賛同しているとは限らないのです。

    次回(明後日)は⑧「虚脱の動き」について説明します。

    ※なお明日は、「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)の1986年版を更新します。


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    4.不注意指示の動き&66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)

    5.下に向かって力を入れた「うなずき」は、自信や責任感を感じさせる

    6.上に向かって力を抜いた動き(協調の動き)を伴った「うなずき」は協調や賛同を表現する

     

     

     

     

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    2017年10月26日 (木)

    67の(2).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」

    こんにちは。

    前回(10月24日)に続いてのお話です。

    百貨店や駅ビルにある食品フロアの店は、ほとんどが「
    店員空間の狭い接触型店」で構成されています。

    そして、「店員空間の狭い接触型店」は、「戸板一枚の店」に最も近い店であることから、次の「戸板一枚の店の法則」を分かりやすく観察することができます。

    (1)店員がじっと立って待っていると、客が遠ざかる。

    (2)店員が「いらっしゃいませ!」を言うと、客が遠ざかる。

    (3)店員が接客中だと、客が近づく。

    (4)店員が作業中だと、客が近づく。

    (5)「サクラパワー」が生じると、客がどんどん近づく。

    以上の「戸板一枚の店の法則」が働いているにも関わらず、なぜ店員は直ぐに「いらっしゃいませ!」と言うのでしょうか?
     

     

    Photo_6

     

    ①直ぐに声を掛けなければ、購入を促進できない。

    ②客がやって来たのだから、すぐに声を掛けないと失礼になる。

    ③店員は客が来たら「いらっしゃいませ!」を言うのは常識である。

    ④「いらっしゃいませ!」を言って遠ざかった客は、今日は買う気がなかった客。

    以上のような、店主や販売関係者らの考え方によって、店員は「すぐにいらっしゃいませを言う」ことになっているのです。

    しかし、店は店員と客のコミュニケーション現場であり、また店は店員の「なわばり」であるために、店員が「いらっしゃいませ!」を言うことによって、「戸板一枚の店の法則」通り、客を遠ざけるという結果を招いているのです。

    さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「67の(2).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」をお読みください。


    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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    67の(2)失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時

    また、この店は壁面を利用して大きな店名看板をとりつけたり、和風イメージを盛りあげるために様々なディスプレーをしたりしています。

    この店がこのような表現を通して、店の存在感や店の姿勢を強く訴えようとしていることはわかりますが、客にとっては店のなわばり主張が強く感じられるだけです。

    大きな看板や派手な装飾は、客の注意を商品からそらせるだけで、肝心のなわばり解除にはほとんど効果がありません。



    1


    この店の客空間は、本来は通路上に生じるはずですが、店員のなわばり主張が強いためにほとんど存在していません。

    また、買う気のある客がこの店の商品を選ぼうとしても、他の通行客に押されたりじやまされたりするために、なかなか安心して選び続けることができないのです。

    このように、店員空間の狭い接触型店は、贈答品店には不向きです。

    贈答品を買おうとする客は、商品を選ぶまでに長い時間を必要とします。

    そこでその間、店員や他の客にじゃまされずに商品を見ることのできる安全な客空間がどうしても必要になるからです。

    この店の例でもわかるように、販売する商品と店のレイアウトの間には密接な関係があるのです。

    次回、「68の(1).理想的な三空間設計が販売力を爆発させる(和菓子・叶匠寿庵)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

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    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    63の(1).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

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    64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

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    64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年
    当時


    64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

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    67の(1).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時

     

     

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    2017年10月25日 (水)

    6.上に向かって力を抜いた動き(協調の動き)を伴った「うなずき」は協調や賛同を表現する

    こんにちは。

    前回、「うなずき」には相手に与える情報が異なる四種類の「うなずき」があるということをお話しました。

    (1)下に向かって力を入れる「うなずき」(前回説明済)
    (2)上に向かって力を抜く「うなずき」
    (3)上に向かって力を入れる「うなずき」
    (4)下に向かって力を抜く「うなずき」

    さて今回は、(2)上に向かって力を抜く「うなずき」について説明します。

    そのためには、13種類の身体の動きの内の六つ目の「協調の動き」を理解することが必要になります。

    ⑥「協調の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。

     

    Photo_5 

     

    腕や頭や上半身を使って、下から上に向かって力を抜く動きのことです。

    相手に賛同し受け入れることを表現する時の動きです。

    そして、「協調の動き」とは、このロボットの静止画のような瞬間的な身体の形態ではなく、「協調の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「協調の動き」は
    こちらで確認してください。

    力を抜いて頭をゆっくりと上げ下げする「うなずき」は、この「協調の動き」を伴った「うなずき」です。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人らが、あなたに向かって話をしながら、この「協調の動き」を伴った「うなずき」を繰り返したとしても、あなたはなかなか気づくことができません。

    なぜならば、
    「なるほど」
    「はい、その通りです」
    「こちらでよろしいですか」
    「大変お似合いですよ」
    「本当にありがとうございました」

    などの返事や確認やお礼の「ことば」は聞こえますが、「協調の動き」を伴った「うなずき」は見えないからです。

    もしも、相手の「うなずき」が見えたとしても、どのような「うなずき」をしたかについては、ほとんどの人が気づいてはおりません。

    つまり、相手が自信なさそうな「うなずき」をしたのか、強い自信を持った「うなずき」したのかを、正確に見分けることができないのです。

    そのため、「あの時、ちゃんと了承したはずだが」とか、
    「あの時、反対していたしたはずなのに、なぜ急に賛成するのだろう」
    などといった誤解が生じてくるのです。

    あなたが、上司や部下や友人や知人との人間関係をうまくやってゆくためには、返事や確認の「ことば」は伝わるが、「うなずきアクション」は、ほとんどの人には伝わらないのだと認識しておくことが大切です。

    しかし、実際にはそうした「うなずきアクション」にはたくさんの情報が秘められています。

    したがって、もしもあなたが相手の四種類の「うなずき」を見抜くことができるとしたら、あなたは、相手の「うなずき」から、常に相手の本心を見抜くことができる人になることができるのです。

    次回(明後日)は⑦「独断の動き」について説明します。

    ※なお明日は、「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)の1986年版を更新の予定です。


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    5.
    下に向かって力を入れた「うなずき」は、自信や責任感を感じさせる

     

     

     

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    2017年10月24日 (火)

    67の(1).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時

    こんにちは。

    百貨店や駅ビルにある食品フロアの店は、ほとんどが「
    店員空間の狭い接触型店」で構成されています。

    「店員空間の狭い接触型店」は、「戸板一枚の店」に最も近い店であることから、「
    戸板一枚の店の法則」を分かりやすく観察することができます。

    (1)店員がじっと立って待っていると、客が遠ざかる。

    (2)店員が「いらっしゃいませ!」を言うと、客が遠ざかる。

    (3)店員が接客中だと、客が近づく。

    (4)店員が作業中だと、客が近づく。

    (5)「サクラパワー」が生じると、客がどんどん近づく。

    それではなぜ、店員は「じっと立って客を待つ」ことになったのでしょうか?

     

    Photo_4


    ①きちんとした姿勢でなければ、客に失礼である。

    ②きちんとした姿勢で販売しなければ、客に購入してもらえない。

    ③店も、学校や職場と同じように、礼儀作法を良くしなければいけない。

    ④遠ざかる客は、今日は買う予定がない客。

    以上のような店主や販売関係者らの考えによって、店員は「じっと立って客を待つ」ようになったのです。

    しかし、店は店員と客のコミュニケーション現場であり、また店は店員の「なわばり」であるために、「戸板一枚の店の法則」通り、客を遠ざける結果を招いているのです。

    さて、以上のことを考慮しつつ、今日は、「67の(1).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」をお読みください。


    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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    67の(1)失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時

    この店は、東京にある駅ビルの食品売り場にあります。

    銀座に本店のある贈答品店(和菓子)の支店の一つです。

    平面図を見ると、この店が店員空間の狭い接触型店であることがわかります。

    商品空間は比較的広いスペースを持っているのですが、店員空間が狭いためどうしても店員のなわばりが商品空間を侵略してくることになります。

    商品空間が店員のなわばりでがっちり抑えられてしまうと、客はなかなか商品に近づくことができません。

    しかも客が商品空間に近づくとすぐに店員の接客アプローチが始まるため、安全な客空間が生じにくい状況になっています。

    このような三空間を持つ店で贈答品を販売していくことはたいへんに難しいと考えられます。


    Img5631


    三空間の様子をもう少し詳しく見てみましょう。

    商品は贈答品としては完成度の高いパッケージに包まれて、豪華なケースの中に陳列されています。

    各種の高級和菓子のセットは、気のきいた装飾小物をあしらって、和風なイメージでディスプレーされています。

    十分ではありませんが、ひやかし安全信号もあるので、商品空間は多少客の目をひきつけます。

    ところが、この狭い店員空間にとじこめられた店員にはほとんど逃げ場がないうえに、なわばりを解除するための作業アクションを持っていないので、常に客の来るのを待ちうけていることになります。


    Img5632


    一般に贈答品店は持ち帰り品店に比べて客の数が少なく、接客の作業も途切れがちになります。

    いったんこの状況に落ち込むと、店員は仕事がないのでじっと客を待ち続けたり、近づいてきた客に早すぎるアプローチをしかけて追い払ったりをくり返し、ますます客が近づきにくい状況を作りだしてしまいます。

    次回、「67の(2).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    2017年10月23日 (月)

    5.下に向かって力を入れた動き(攻撃の動き)を伴った「うなずき」は、自信や責任感を感じさせる

    こんにちは。

    10月12日のニフティニュースで、『北海道大学は、うなずき、首振り動作を操作し、魅力、好ましさ、近づきやすさといった人物の印象を評価する実験を行った結果、うなずいた場合、好ましさと近づきやすさの評定値が、首振りや静止したままの場合に比べて30~40%上昇したと発表した』と報じられています。

    まだまだ「うなずき」の研究としては初期の段階ですが、やがては、「うなずき」の方向と圧力の違いによっては、全く異なる印象が伝わるということに関しての実験結果も発表される時期がやって来ると思います。

    今回から四回に分けて、「うなずき」には四つのタイプの「うなずき」が存在していて、全く異なる印象を相手に与えるということにも触れつつ、身体の「上下の動き」について説明していきます。

    人の「上下の動き」は、⑤攻撃の動き⑥協調の動き⑦独断の動き⑧虚脱の動き、以上の四つの動きに分類されます。

    それでは、全部で13種類の動きの内の五つ目のアクションである、⑤「攻撃の動き」について説明します。

    ⑤「攻撃の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。

    Photo

    腕や頭や上半身を使って、上から下に向かって力を入れる動きのことです。

    強い自信や主張を表現する時の動きです。

    このロボットのカット(静止画)は、一連の「攻撃の動き」の一瞬をとらえたものです。

    「攻撃の動き」とは、このような瞬間的な身体の形態ではなく、「攻撃の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「攻撃の動き」は
    こちらで確認してください。

    力強い「うなずき」や「お辞儀」や、机やモノを叩くような手の動きがこの「攻撃の動き」です。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人らが、あなたに向かって話をしながら、この「攻撃の動き」を頻繁に行ったとしても、あなたはなかなか気づくことができません。

    なぜならば、

    「はい」
    「その通りです」
    「違います」
    「お預かりします」
    「ありがとうございました」

    などの返事や相づちやお礼の「ことば」は聞こえますが、「攻撃の動き」は見えないからです。

    したがって、相手が賛成してうなずいたか、相手がお礼のお辞儀をしたかなどについては分かりますが、どのような「動き」の「うなずき」や「お辞儀」をしたかについては気づかないのです。

    実は、返事や相づちやお礼の「ことば」に伴われる「うなずき」や「お辞儀」が、どのような「動き」であるかによって、「ことば」以上に多くの情報が表現されているのです。

    しかし、大抵の人は、見えない「攻撃の動き」の情報は無視して、聞こえる「ことば」の情報だけで、相手とのコミュニケーションを行っているのです。

    私たちの様々な人間関係を非常に悩ましいものにしている多くの誤解や勘違いが生じるのは、実はこの「動き」の情報が無視されていることに原因があるのです。

    ちなみに、攻撃の動きによる「うなずき」を行うと、自信や責任感が相手に伝わります。

    次回は⑥「協調の動き」について説明します。

    ※なお、本日より「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)の1986年版は、次回より隔日で更新していきます。ご了承ください。


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    2017年10月22日 (日)

    66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)※1986年当時

    こんにちは。

    従来から、「しぐさ=身振り手振り」は、コミュニケーションをうまく行うための補完的な要素だと考えられています。

    そのために大抵の人は、決してコミュニケーションの出来不出来を左右するものだとは考えていません。

    ところが、コミュニケーションの上手な人は、「しぐさ=身振り手振り」こそが、相手に与える重要な情報を発信していることに気づいています。

    なぜならば、「しぐさ=身振り手振り」とは、コミュニケーションにおいて一番大きな役割を担っている「動作信号」だからです。

    この「しぐさ=身振り手振り」(動作信号)のことを理解していただくために、13種類の人の動きをご紹介しています。

    さて今日は、四つ目の④「不注意指示の動き」について、ご説明します。

    ④「不注意指示の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。

     

    Photo_2

     

    手や指を使って、自分が向いていない方向(外側)を指し示す動きのことです。

    相手の注意をそらしたり、話を散らかしたりする時に行われる動きです。

    このロボットのカット(静止画)は、あくまでも一連の「不注意指示の動き」の一瞬をとらえたものです。

    「不注意指示の動き」とは、このような瞬間的な身体の形態ではなく、「不注意指示の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「不注意指示の動き」は
    こちらで確認してください。

    話の内容とは全く関係のない方向や場所を指し示して、話をはぐらかしたり散らかしたりするこの「不注意指示の動き」は、TVのバラエティ番組に出演している漫才師やお笑い芸人の得意芸となっています。

    笑いを取るためのボケたセリフは、この「不注意指示の動き」を同時に行うことによって、いっそう強調することができるからです。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人の中にも、この動きをする人は多く含まれています。

    いつも話があちらこちらに散らばって、ちっともまとまりのない話をする上司や、非常に行動的であるにもかかわらず、とんちんかんな結果を招きやすい部下や、話が当てにできない友人などがいるはずです。

    それらは、その人が行う「不注意指示の動き」が原因となって生じているのです。

    にもかかわらず、あなたは、ほとんど相手の「不注意指示の動き」に気づくことができません。

    なぜならば、

    「それは確か隣の部屋にあります」
    「それは次の角を右に曲がった左側です」
    「改札口の右側にポストがあります」
    「銀行に行った後で郵便局に行きます」

    などと話しながら、無関係な方向や場所を指し示しますが、話す「ことば」の内容さえ間違っていなければ、「不注意指示の動き」はなんら問題にはならないからです。

    ただ、「不注意指示の動き」を伴う人からは、何となく不自然なイメージが伝わるものです。

    以上、今回の④「不注意指示の動き」と、前回までの①「
    一点注意の動き」、②「全体注意の動き」、③「注意不明の動き」が四つの「回転の動き」です。

    人の身体の動きは、「回転の動き」と「上下の動き」と「前後の動き」に大別されますが、次回は「上下の動き」の内の⑤「攻撃の動き」について説明します。

    さて今日は、「66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)※1986年当時」をお読みください。


    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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    66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)※1986年当時

    この店は百貨店の食品売り場の中の惣菜コーナーにある店です。

    どこの百貨店の総菜コーナーにいっても、そこは様々な食品のにおいと店員のにぎやかなかけ声に溢れています。

    お目あての商品を探して回遊する客にとって、人で込み合う通路や店員の活気ある動きは、ショッピングをするときの一つの楽しみになっています。

    さて、そのような状況の中でも売り上げのあがる店とそうでない店があります。


    Souzai1

    惣菜を売る店は、ほとんどが接触型店です。

    しかも店員が客空間に出て販売することが多いので、店員がどのように行動するかということが、売り上げの決め手になります。

    この店の店員も客空間に出て、かけ声をかけながら客の注目をひきつけようとしています。

    このとき決して動きを止めて客を待つようなことはしません。

    商品を並べたり、包装の準備を整えたり、キビキビと働いています。

    おもしろいのは、客が商品を見に近くへ寄ってきてもその客に対して話しかけないことです。

    店員は客が商品を選んでいる間、その客を無視して客のいない方を向いて声をかけています。

    この店員のアクションはなわばりを解除するので、客は安心して商品をひやかしにやってきます。

    初めからひやかし客も寄よせつけない他の店に比べて、この店が売り上げをあげるのは当然のことでしょう。

    客は、自分の気のむくままに商品を検討できる安全な店が好きなのです。

    次回、「67の(1).失敗を招きやすい接触型の贈答品店(和菓子・駅ビル内)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

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    2017年10月21日 (土)

    65.店員の身体信号が客を呼ぶ決め手(実演販売・百貨店内)※1986年当時

    こんにちは。

    コミュニケーションは、ことば信号以外の様々な信号によって行われていますが、その中で一番大きな役割を果たしているのが、動作信号(人の身体の動き=アクション)です。

    動作信号(人の身体の動き=アクション)は、動きの軌跡であることから、確かに目には映っているに違いないのですが、容姿信号、表情信号、性別・年齢信号等のように、誰の目にも見える他の信号に比べて、非常に分かり難いものなのです。

    現在も、「お辞儀をする」「うなずく」「指をさす」「腕を組む」「足を組む」等が、動作信号として考えられていますが、いずれも動作の一瞬をとらえた身体の形態であり、動きの軌跡ではありません。

    そのために、現在のところは、動作信号がコミュニケーションにおいて、大きな役割を持っていることがなかなか受け入れられないのです。

    しかし、動作信号を「動きの軌跡」としてとらえると、お互いに「動きの軌跡」に大きな影響を受けながらコミュニケーションを交わしていることが分かります。

    さて今日は、13種類の「身体の動き=アクション」の内の三番目の③「注意不明の動き」について説明します。

    ③「注意不明の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。


    Photo

     

    手や指を使って、自分が向いている方向(内側)に、あいまいに指し示す動きのことです。

    ものごとをはっきりさせないで、あいまいに表現する場合の動きです。

    このロボットのカット(静止画)は、、「注意不明の動き」の一瞬をとらえたものなので、一見分かり難い動きとなっています。

    実際の「注意不明の動き」は
    こちらで確認してください。

    この動きは、相手に対して敢えてはっきりさせたくない場合や、相手に対して遠慮をしている場合などに行う動きです。

    TVのドラマなどでは、登場人物が相手にやんわりと指摘したり、自分をごまかしたりする演技としてよく使われています。

    また、あなたの上司や部下や友人や知人の中で、ものごとをはっきりと案内したり説明したりすることが苦手な人に、よく見られる動きです。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人らが、あなたに向かって話をしながら、この「注意不明の動き」を頻繁に行ったとしても、あなたはなかなか気づくことができません。

    なぜならば、
    「それはこちらだと思いますが…」
    「それはあちらだと思いますが…」
    「こちらの方をご覧ください」
    「あちらの方をご覧ください」

    など、おおよその方向や場所を伝える「ことば」は聞こえますが、「注意不明の動き」そのものはほとんど見えないからです。

    そのために、あなたは、相手が表現している「動き」からではなく、相手が話す「ことば」によって相手のことを理解していると感じているのです。

    ただ、「注意不明の動き」をする人は、何となくはっきりしない人だなと言うイメージを抱くと思います。

    そして、前回の「全体注意の動き」をする人は、何となく華やかなイメージがする人で、前々回の「一点注意の動き」をする人は、何となく地味なイメージがする人です。

    次回は、「回転の動き」の内の最後の四つ目の④不注意指示の動きについて説明します。

    さて今日は、「65.店員の身体信号が客を呼ぶ決め手(実演販売・百貨店内)※1986年当時」をお読みください。(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    65.店員の身体信号が客を呼ぶ決め手(実演販売・百貨店内)※1986年当時

     

    百貨店の家庭用品売り場にいくと、よく、実演をまじえながら商品を説明し、販売しているコーナーを見かけます。

    このイラストのコーナーも、やはりある百貨店の実演・説明販売の例で、油をひかなくても料理がこげつかないフライパンを販売しているところです。

     

    1

    この種の実演・説明販売をする店員の売り上げの差をつくる最大の要因は身体信号です。

    正しい身体信号を使って、あらかじめ作られている実演・説明のプログラムを実行できる店員が高い売り上げをあげます。

    通行客が十分いるにもかかわらず客があまり集まってこなかったり、客が大勢見にくるにもかかわらず売れ行きが悪い店員は、身体信号に正しくないところがあるのです。

    また、このタイプの店にとってはサクラパワーの活用が非常に大切です。

    店員にとって最も難しいのは、一人目の客をつけることです。

    店に一人も客がいない状態から五~六人の客を集めるまでは、まったくその店員個人の技術がものをいいます。

    いったん、客が集まりはじめると、客空間のなわばりは解除され、次々と新しい客をひきつけてサクラパワーをひき起こします。

    身体信号の正しい店員はそうでない店員に比べて、ずっと頻繁にサクラパワーを引き起こすことができ、またそれを長く持続することができます。

    客が大勢集まっているときはなわばりが解除され、商品も売れやすくなるのです。

    次回、「66.売れる店員はアクションを知っている(総菜販売・百貨店内)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

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    2017年10月20日 (金)

    64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    こんにちは。

    一見、複雑で取り止めがないように感じる「身体の動き=アクション」を、13種類に分類して説明しています。

    その二つ目、②「全体注意の動き」について説明します。

    ②「全体注意の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。

     

    Photo_3


    手や腕や身体を、内側から外側に大きく開く動きのことです。

    広く全体に注意を払ったり、大勢の人の注意を引きつけることができる動きです。

    このロボットのカット(静止画)は、前回の「一点注意の動き」と同様に、あくまでも一連の「全体注意の動き」の一瞬をとらえたものです。

    動きとは瞬間的な身体の形態ではなく、「全体注意の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「全体注意の動き」は
    こちらで確認してください。

    大勢の観客を前にして舞台で歌う歌手が、ファンの声援に応えながら行う動きがこの「全体注意の動き」です。

    そして、歌手やタレントだけではなく、あなたの上司や部下や友人や知人らの中にも、この動きを行う人は存在しています。

    結婚式などのパーティの席上で、堂々として華やかにスピーチを述べる人は、間違いなく「全体注意の動き」を得意とする人です。

    その人が常に、堂々としていて華やかなイメージがするのは、ロボット画像のように、姿勢よく立って、手や腕や身体を内側から外側に大きく開く動きを繰り返すからなのです。

    しかし、あなたの上司や部下や友人や知人らが、あなたに向かって話をしながら、この「全体注意の動き」を頻繁に行ったとしても、あなたはなかなか気づくことができません。

    なぜならば、
    「それはこちらです」
    「それはあちらです」
    「こちらをご覧ください」
    「あちらをご覧ください」

    などの方向や場所を伝える「ことば」は聞こえますが、「全体注意の動き」はなかなか見えないからです。

    そのために、あなたは、相手が表現している「動き」からではなく、相手が話す「ことば」によって理解したのだと感じてしまうのです。

    したがって、大抵の人は、相手が、前回の「一点注意の動き」を伴っているのか、今回の「全体注意の動き」を伴っているかについても、ほとんど気づいてはいません。

    ただ、「全体注意の動き」をする人は、一見、華やかなイメージがする人だと感じ、「一点注意の動き」をする人は何となく地味なイメージがする人だと感じています。

    前回の「一点注意の動き」と、今回の「全体注意の動き」の両方を行う人はほとんどいません。

    回転の動きには①一点注意の動きと②全体注意の動きの他に、③注意不明動きと④不注意指示の動きがあります。

    次回は③注意不明の動きについて説明します。

    さて今日は、「64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    ◆この店の販売パワーが、強いとき、弱いとき

    この店の広い店員空間の中で、十人を超える店員が一斉に接客やカルテの整理などのアクションを行っているとき、この店の販売パワーは最も強くなります。


    Photo


    店員の一人が接客作業を終わっても、カルテを整理したり商品を準備したりという作業が残っているうちは店には動きがあり、次の客をひきつける力を持っています。


    6


    ところが、客数が減ってくると店員の作業も次第に減少し、そのまま客がこない状態が続くと店員は手持ち無沙汰になってしまいます。

    するとどうしてもじっとしたまま客の来るのを待ち続けることになります。

     

    5_2


    いったんこの状況に陥った店員は、次に来た客に早すぎるアプローチをかけてしまいます。

    そうすると、ますます客が近づきにくくなり、店は動きがとれなくなってしまうのです。

    こうした状況に陥らないためには、常に店員がアクションを続けられるようなプログラムが必要です。

    今後、この店のカルテ方式を使って、アクションが途絶えないような配慮がなされた時、この店はさらに活気づくでしょう。

    次回、「65の(1).※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    2017年10月19日 (木)

    64の(4)店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    こんにちは。

    いろいろな方向に、いろいろな圧力で、いろいろな速さで動く、様々な人の「身体の動き=アクション」は、13種類に分類することができます。

    その一つ目①「一点注意の動き」について説明します。

    ①「一点注意の動き」とは、次の映像ロボットが表現している動き(アクション)のことです。


    Photo_2

    手や指を使って、自分が向いている方向(内側)を、はっきりと指し示す動きのことです。

    自分や相手の注意を、指し示した一点に引きつけることができる動きです。

    このロボットのカット(静止画)は、あくまでも一連の「一点注意の動き」の一瞬をとらえたものです。

    動きとは瞬間的な身体の形態ではなく、「一点注意の動き」の開始から終了までの一連の連続した動きのことです。

    実際の「一点注意の動き」は
    こちらで確認してください。

    駅のホームで、電車の車掌が安全を確認するために、声を出しながら「指さし確認」をしている様子を見かけると思いますが、典型的な「一点注意の動き」です。

    ところが実際に、あなたの上司や部下や友人や知人が、あなたに向かって話をしながら、この「一点注意の動き」を何度も行ったとしても、ほとんどの場合、あなたは気づくことができません。

    なぜならば、

    「それはこちらです」
    「それはあちらです」
    「こちらをご覧ください」
    「あちらをご覧ください」

    などの方向や場所を伝える「ことば」は聞こえますが、「一点注意の動き」は見えません。

    そのために、あなたは、相手が表現している「動き」からではなく、相手が話す「ことば」によって理解したのだと感じるからです。

    どうぞ、「ことば」よりもむしろ、相手の「動き」に注意を払ってみてください。

    そうすることによって、相手の話す「ことば」以上に多くの情報が伝わってくるはずです。

    相手が伝える方向や場所だけでなく、相手があなたに伝えているもっと他の情報も、同時に伝わってくるはずです。

    「それはこちらです」と話す「ことば」と同時に、どのくらい「こちら」であるかと言った、周辺の情報が伝わってくるはずです。

    そして、大変興味深いことに、「ことば」が伝える情報よりも、「一点注意の動き」が伝える情報の方が、相手が伝えたい情報により近いことが多いのです。

    まずは、人の「一点注意の動き」の存在と、動きが発信している情報と、その動きが「ことば」に与えている影響力について理解して頂きたいのです。

    以上のことを考慮しつつ、「64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    ◆立ち止まっていられる安全な客空間

    化粧品コーナーへ行くと、たいていどこでも積極的なアプローチをかけてきます。

    そのため、客はなかなか安心して化粧品コーナーを見てまわることができません。


    7

    この店では、店員の作業が多いぶん、このアプローチが抑えられています。

    この結果、この店のまわりには比較的落ち着いて見ていられる客空間が生じます。

    店にひきつけられた客が店員の説明をうけはじめると、なわばりが解除され次の客はさらに近づきやすくなります。

    このことがくり返されると店の動きはいっそう活発になり、通行客が多いときにはサクラパワーを発揮します。

    次回、「64の(5).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    62の(4)小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    64に(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

     

     

     

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    2017年10月18日 (水)

    64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    こんにちは。

    このブログは、コミュニケーションにおいては、「身体の動き」が、一番大きな役割を担っているということを、少しでも多くの方々に気づいて頂きたいという願いを込めて、更新を続けています。

    そして、このブログのタイトルが、「入りやすい店売れる店」というかつての拙著のタイトルと同じであるのは、リアルショップの店員と客のコミュニケーションが、日本人のコミュニケーションに大きな影響力を与えているに違いない、と私たちが予感しているからです。

    しかし、繰り返しご説明していますように、コミュニケーションにおいて、間違いなく大きな影響力を与えている「身体の動き」に関しては、未だに多くの人たちが気付いてはいないのが現状です。

    人は確かに動いているが、「人の動き」が情報を発信したり、自分や相手に大きな影響力を及ぼしていることはないというのが、大抵の人達の考え方です。

    したがって、このブログでは、繰り返し「人の動き」の存在や、情報や、影響力について、ご説明してまいります。

    さて、初めに、人の身体の動きを大別すると、「回転の動き」と「上下の動き」と「前後の動き」と「不動の動き」(いずれにも動かないこと)に分かれます。↓


    Photo_4

    「回転の動き」と「上下の動き」と「前後の動き」は、更に細かく分かれます。そして人の動きは13種類の動きに分類されることになります。↓

    Photo_5

    大抵の人は、意識をすれば以上の全ての動きができますが、無意識の場合は、全ての動きを満遍なく行うということはなく、個人個人よって偏りが生じています。

    つまり、個人の「動きの癖」となって、常に同じような動きを繰り返すことになります。

    人は、知人を一瞬見かけただけで、誰であるかを判別しますが、この時、知人の「動きの癖」を見抜いていることになります。

    人は、ことばが聞こえなくても、顔が分からなくても、その人に違いないという「動きの癖」をお互いに見抜き合っているのです。

    人が見抜き合っている13種類の動きをご紹介します。

    (1)回転の動き

    ①一点注意の動き ②全体注意の動き ③不注意指示の動き ④注意不明の動き

    (2)上下の動き

    ⑤攻撃の動き ⑥協調の動き ⑦独断の動き ⑧虚脱の動き

    (3)前後の動き

    ⑨接近の動き ⑩機敏の動き ⑪突進の動き ⑫退避の動き

    (4)不動の動き(いずれにも動かないこと)

    ⑬不動の動き

    次回より、順番に身体の動きのご説明を続けてまいります。

    以上のことを考慮しつつ、「64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    ◆統一されたイメージを作る色彩とユニホーム

    初めにお話したとおり、この店の商品ケースそのものの構造は他店とさほど変わりありません。

    化粧品の場合、客が商品をゆっくりとながめることと買うこととは直接的には結びつきません。

    というのも、その化粧品の選び方や使い方が説明されてはじめて、客がその商品を買うかどうかを決めることになるからです。

    特に高額な商品ほどその傾向は強くなります。

     

    3


    この店の場合、商品はさほど高額ではありませんが、客のスキンタイプを分析し、それに合わせた化粧品を選んで販売するという方針をとっているので、どうしても説明のほうが重要になります。

    技術開発が進んだ現代の化粧品業界では、どのメーカーを選んでもそれほど品質が変わるわけではありません。

    客はむしろその店の雰囲気を買っているのです。

    一般に化粧品店のユニホームは非常に華やかですが、この店では白衣風のユニホームを使用しています。

    店舗全体の色彩も自を基調としたおとなしいものです。

    陳列ケースに設置されたライトの効果と合わせて、店全体が医療あるいは美容の研究室といったイメージをただよわせています。

    こうしたイメージは、客に説明したりアドバイスしたりする店員の行動を助ける役割をはたしています。

    次回、「64の(4).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    64に(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

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    2017年10月17日 (火)

    64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    こんにちは。

    リアルショップにおいて、店員は様々な「ことば」と「動き=アクション」を客に伝えていますが、客は店員の「動き=アクション」については、ほとんど気づいておりません。

    例えば、店員が話す挨拶やお礼やお願いやお詫びの「ことば」は認識していますが、それぞれの「ことば」と共に表現される店員の手や指や頭の「動き=アクション」に関しては、ほとんどの客が認識をしていません。

    店員が話す「ことば」は聞こえますが、店員の「動き=アクション」は見えないからです。

    ところが、実際には、客は聞こえている「ことば」よりも、見えていないにもかかわらず、店員の「動き=アクション」に強い影響を受けて、店や店員に引きつけられたり、遠ざけられたりしているのです。

    実は、このことについては、店側の店員や店長や接客指導者達も、気づいてはいないのが実情です。

    そして、「挨拶」や「お礼」や「お願い」や「お詫び」の「ことば」と、形式的なお辞儀の仕方などが主に指導されています。

    したがって、客を引きつけたり遠ざけたりして、売り上げに直結している店員のアクションの領域は、未だに手つかずのままになっているのです。

    当然、同じ店で、同じ商品を、同じ条件で販売しているにもかかわらず、飛びぬけて売り上げの高い店員が、実は「感じが良いアクション」をしていることが一番の要因であるということは、ほとんどの販売関係者達に気づかれないままとなっているのです。

    以上のことを考慮しつつ、「64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    ◆「仕事」の多い店員が客をひきつける

    この店の店員は他店の店員に比べてはるかに仕事を持っています。

    それは、この店がシステムとしてとっている「カルテ」の制作です。

    この店では、すべての客に対して、スキンタイプや以前に販売した商品等をチェックしたカルテを制作しています。

    店員は接客中にこのカルテを作っていきますが、接客後もその整理等の仕事があるため、他店に比べてずっと多くのアクションをします。


    4

    このことは店員のなわばりを解除するので、客をひきつけます。

    また、この店には、接客時の店員のアクションを助けるための様々なツールがそろっています。

    他店の店員が商品だけを道具にして説明していくのに対し、この店では、客のスキンタイプを分析するための「コンピューター」と呼ばれる説明パネルや、肌の機能を科学的に解説した資料等を使って、多くの動きをとりいれた説明を行っています。

    このような道具を使って他の客に商品を説明している店員の姿は、新規客の興味を十分にひきつけます。

    このような説明や、実際に化粧品を使っての客に対する指導は一種の実演場としての効果をもたらしています。

    もちろん、一般の実演のように、そのまわりに集まってじろじろ見るというわけにはいきませんが、そこで行われる方法を、客はさりげなく見ることができるのです。

    作業のなくなった店員は、店頭でパンフレットを配布することもあります。

    こうした動きは、かつての化粧品店の前で行われていた積極的なアプローチ販売に似ているように思われますが、ここではパンフレットを配布するだけで強引な呼び込みは行いません。

    そのため、店全体としての活気を高める動きの一つとしての効果をあげています。

    次回、「64の(3).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    2017年10月16日 (月)

    64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    こんにちは。

    前回、前々回に引き続き、具体的には目には見えないにも関わらず、客の行動や感情に大きな影響を与える店員のアクションについて説明しています。


    前々回の「お辞儀アクション」と前回の「うなずきアクション」と同じく、今回の「案内アクション」もまた、店員が客に大きな影響を与えるアクションです。

    店員は接客の際に、客に対して様々な「ことば」を使って、場所や方向を案内します。

    「それはこちらです」
    「こちらをご覧ください」
    「それはあちらです」
    「あちらをご覧ください」

    等の場所や方向を案内する際の「ことば」と共に、「案内アクション」を伴いますが、ほとんどの客はそのアクションには気づいておりません。

    ところが、「案内アクション」に気づいていないにもかかわらず、その時の店員の「ことば」に対して「感じが良い」あるいは「感じが悪い」という印象を抱きます。

    多くの客は、「ことば」の語尾や声の大小の違いなどからその印象が生まれているのだと思っていますが、本当は店員の「案内アクション」によって印象が違っているのです。

    (1)「感じが良い」案内だと判断される「案内アクション」

    ①手や指を使って、自分が向いている方向を、はっきりと指し示す案内アクション(きちんと指し示すのでわかりやすい)


    Photo_15

     

    (2)「感じが悪い」案内だと判断される「案内アクション」

     

    ①指し示した手や指を、直ぐに引っ込める案内アクション(何を指示したのかがわかりにくく不親切なイメージがする)

     

    Photo_16

    ②自分が向いていない方向を、指し示す案内アクション(混乱を生じやすくいい加減なイメージがする)

    Photo_17
    ③場所や方向を、あいまいに指し示す案内アクション(はっきりせず、無責任なイメージがする)

     

    Photo_18

    接客の際に、客の目の前で表現されている以上のような「案内アクション」は、ほとんどの客には見えてはいませんが、「感じが良い」案内や説明方法であるか、あるいは「感じが悪い」案内や説明方法であるかについては、はっきりと伝わってしまいます。

    そして、感じが良い「案内アクション」は、「なわばり」を解除し、感じが悪い「案内アクション」は、「なわばり」を主張するのです。

    以上のことを考慮しつつ、「64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時

    この店は、新宿伊勢丹百貨店一階の化粧品売り場にあります。

    百貨店の一階は、たいてい女性を対象とした、ハンドバッグ、靴、貴金属等のコーナーがあり、さらに必ずといっていいほどこの化粧品のコーナーがあります。

    百貨店の各コーナーには、それぞれ特有の雰囲気があるものですが、美しい化粧品が陳列された中に、個性的なメーキャップをした美しい美容コンサルタント(店員)が立ち並ぶ様子は、非常に華やかなながめです。


    Photo


    さて、この店は、化粧品コーナーと他のコーナーの境目にあって、しかも、この化粧品コーナーの中では最も広い面積を占めています。

    平面図で見るとおり、店は二つの部分に分かれており、それぞれ柱のまわりをとり囲むように店員空間があり、さらにその外側を商品空間がとり囲んでいます。

    つまりこの店は、店のまわりのどの方向からでも客が接触することのできる接触型店の構造をしています。

    2


    このコーナーの他の化粧品店もやはり接触型店ですが、柱をとり囲んだ一ブロックの面積を二店から四店で分けあうという規模の小さいものになっています。

    この店は他店に比べると五~六倍にも相当する大規模な接触型店ということになります。

    店員空間そのものの割りあても比率的には他店と変わらないのですが、店員が自分の店の空間を自由に移動できるため、結果的には広い店員空間を持っているのと同じような状況になっています。

    商品空間のつくりそのものは、ほとんど他の店と変わりません。

    化粧品特有の、ガラスケースの中に商品がごく少量飾られているというディスプレー方式です。

    というのも化粧品そのものの性質上、客が店員にいろいろと相談して商品を買うことになるので、商品ケースそのものはさほど重要な役割をはたさないからです。

    この店は接触型店ですから、客空間は店外の通路上にできます。

    四方を通路で囲まれたこの店は広い客空間を生み出しやすい状況を備えています。

    さらにこの店は百貨店の幅広い主要通路に面しているために、その部分は特にゆったりした客空間が生じやすくなっているのです。

    また、細い通路に面したところには、客が腰かけてスキンケアの実施指導をうけられるカウンター席が六席用意されています。

    この店は、全体に華やかなイメージのただよう化粧品コーナーの中では、かなり特殊なイメージを打ち出しています。

    店員のユニホームは白衣に近いデザインになっており、店そのものも自を基調にしたシンプルなイメージです。

    商品ケースの上にはあちこちにシンプルなアーム付きのライトが置かれています。

    他店が豪華な店展開なのに対して、この店はずっとすっきりしています。

    それではこのユニークな化粧品店での出来事を、もっと詳しくながめてみることにしましょう。

    次回、「64の(2).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    2017年10月15日 (日)

    63の(5).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    こんにちは。

    リアルショップにおいて、接客の際に「なわばり」を解除する店員の代表的なアクションに、①お辞儀アクション②うなずきアクション③案内アクションがありますが、いずれのアクションもほとんどの客は気づいてはいないという説明を続けています。

    店員が「お辞儀」や「うなずき」や「案内」をしたことに関しては気づいていても、店員がどのような「お辞儀アクション」や「うなずきアクション」や「案内アクション」をしたかに関しては、ほとんどの客は気づいてはいないのです。

    しかし、客は、「感じが良い」お辞儀やうなずきや案内であるか、あるいは「感じが悪い」お辞儀やうなずきや案内であるかについては、直感的に判断を下しています。

    前回の「お辞儀アクション」に引き続いて、客が気付いていない「うなずきアクション」についてご説明します。

    (1)「感じが良い」うなずきだと判断される「うなずきアクション」

    ①力を入れずに、頭を上げる&頭を下げるうなずきアクション(きちんと聞いているという情報を出す)

    Photo_12

    ②力を入れて、頭を下げるうなずきアクション(責任感ややる気があるという情報を出す)
    Photo_13

    (2)「感じが悪い」うなずきだと判断される「うなずきアクション」

    ①力を入れて、頭を上げるうなずきアクション(横柄で生意気だという情報を出す)

    Photo_9

    ②力を抜いて、頭を下げるうなずきアクション(責任感ややる気がないという情報を出す)
    Photo_10

    以上のような「うなずきアクション」は、返事や相づちを行う場合に、次のような「ことば」と共に表現されます。

    ①「はい」
    ②「ええ」
    ③「その通りです」
    ④「間違いありません」
    ⑤「わかりました」

    このような返事や相づちの「ことば」は、はっきりと客に伝わっていますが、その際に伴われる「うなずきアクション」の仕方は、ほとんどの客に伝わってはいません。

    店員の返事や相づちの「ことば」を何となく不安に感じたり、逆に非常に自信があるように感じたりするのは、店員の「ことば」に伴われる「うなずきアクション」が原因しているのです。

    以上のことを考慮しつつ「63の(5).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    63の(5).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    ◆この店に勝つ方法はあるか

    以上のような好条件を持つこの店が今後売り上げを落とすとしたら、

    それはこの店の近くに同じ規模の接触型贈答品店か、

    あるいは同じくらいの店舗スペースを持つ引き込み型贈答品店が

    出現してきた場合が考えられます。

     

    6_2


    現状では他の店舗は三空間の設計の段階で

    すでに大きなハンディを背負っているだけに逆転は難しいでしょう。



    2_2


    他店がこの店と同レベルか、

    あるいはそれ以上の商品を持っているとしても、

    そのことを客に伝える信号を出すための三空間設計がなされなければ、

    商品の価値は低いものになってしまうのです。

    売れる店には、やはり売れる構造が存在しているということです。

    次回、「64の(1).店員の動きが客の安心感を高める(化粧品・クリニーク)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    2017年10月14日 (土)

    63の(4).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    こんにちは。

    店員が「なわばり」を解除した店には「サクラパワー」が生じ、その後は「サクラパワー」が次々と通行客を引きつけてくれます。

    やがて、客から注文や質問や相談の声がかかってきますが、店員はさらに「なわばり」を解除したアクションを提供しなければなりません。

    接客の際に「なわばり」を解除して、「感じが良い」接客を提供するためには、「お辞儀アクション」と「うなずきアクション」と「案内アクション」が不可欠になります。

    しかし、それぞれのアクションは、アクションの仕方を間違えると逆に「なわばり」主張のアクションとなって、客に「感じが悪い」イメージを与えてしまうことになります。

    客は具体的にはなぜそう感じるのかに気づいていないにもかかわらず、「感じが良い」か「感じが悪い」かというイメージだけはきちんと伝わってしまうのが、「アクション=身体の動き」なのです。

    (1)感じが悪い「お辞儀」とは、例えば次のような「お辞儀アクション」です。

    ①力を入れて頭を上げるお辞儀

     

    Photo_4


    ②力を抜いて頭を下げるお辞儀
    Photo_3

    (2)感じが良い「お辞儀」とは、例えば次のような「お辞儀アクション」です。

    ③力を入れずに、頭を下げて&頭を上げるお辞儀(浅いお辞儀の場合)

    Photo_5


    ④力を入れて頭を下げて、力を入れずに頭を上げるお辞儀(浅いお辞儀の場合)

     

    Photo_6


    以上のお辞儀アクションの違いは、ほとんどの人には分かりません。

    大抵の客は、「ありがとうございました」「申し訳ありませんでした」「よろしくお願いします」等のことばと共に、店員が「お辞儀」をしたかしないかには気づきますが、どのようにお「お辞儀」をしたかについてはほとんど気づくことはありません。

    にもかかわらず、直感的に、「感じが良い」か「感じが悪い」かのイメージを判断しているのです。

    そして「感じが良い」お辞儀は「なわばり」を解除し、「感じが悪い」お辞儀は「なわばり」を主張してしまうのです。

    具体的には目には見えない「なわばり」と、「店員のアクション」によって、客は、入りやすい店か入りにくい店かを判断しているのです。

    以上のことを考慮しつつ、「63の(4).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    63の(4).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    ◆立地と店の大きさが生みだす広い客空間

    初めにも説明したとおり、この店は百貨店の入り口という、非常に恵まれた立地にあります。

    6


    通行客の多さはもちろんですが、入り口の広い空間を客空間として利用できることは、この店にとってたいへん有利なことです。

    百貨店の食品売り場に出店している贈答品店が抱えている問題は、十分な客空間を提供できないというところにあります。

    普通、百貨店内の通路は狭いため、商品を選ばうとして客が立ち止まっても他の通行客に押されたりぶつかられたりして、なかなか落ち着ける雰囲気がありません。

    通行客のじやまにならないためには、陳列ケースに近づくしか方法がないのですが、そうするとこんどはその店の店員から接客アプローチを受けることになります。

    まだはっきりと買う意志の固まっていない客にとってはこのアプローチは強すぎるので、客は次第に居心地のいい店へと流れていくようになります。

    この結果、商品の品質が他店と同じくらいであれば、より買いやすい店の商品が売れていくことになるのです。

    この店の前の広い空間には、客がはじめは遠くからその商品をながめていても、あまりじゃまにならないだけの場所があります。

    そのことが、接触型のこの店を、贈答品販売に適した引き込み型店に近い環境にしているのです。

    次回、「63の(5).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    52.外観はよく似た構造でも、売り方が全く違う二つの店

    53.「いらっしゃいませ」のタイミングが全く異なる、常連接客と一見接客

    54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

    55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

    56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

    57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている

    58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

    59.いつも前向きで熱心に対応する店員と、消極的でやる気を感じさせない店員は、個人が持つ「動きの癖」から生じています

    60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(4)小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(5)小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    63の(1).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    63の(3).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

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    2017年10月13日 (金)

    63の(3).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    こんにちは。

    店は店員の「なわばり」なので、店が少しでも多くの客を引きつけるためには、とにかく「なわばり」を解除することが最優先課題です。

    そして、「なわばり」を解除するためには、「なわばり」解除の店員のアクションが不可欠であることをご説明してきました。

    さらに、具体的な「なわばり」解除の店員のアクションは、作業中と接客中の店員のアクションであることもご説明してきました。

    さて、以上の様にして客を店頭や店内に引きつけた後は、客自身が生み出すサクラパワーによって、さらに多くの客が引きつけられるのを待つことになります。

    やがて、客から注文や質問や相談の声がかかりますが、そこでいっそう「なわばり」解除の店員のアクションを提供することが大切になります。

    前回、①
    お辞儀アクション うなずきアクション 案内アクション を正しく行うことによって、「なわばり」解除の店員のアクションを提供できるということをご説明しました。

    正しい ①お辞儀アクション ②うなずきアクション ③案内アクション は客を上手(うわて)にして店員自身を下手(したて)にするアクションであるために、「なわばり」を解除することになるのです。

    ここで、「身体の動き=アクション」について大切なポイントがあります。

    それは、ほとんどの人は他人の「
    身体の動き=アクション」になかなか気づかないということです。

    つまり、ほとんどの客は店員の「身体の動き=アクション」に気づいていないのです。

    しかし、気づいていないにもかかわらず、実は店員の「身体の動き」に大変強い影響を受けています。

    むしろ、客は気づかないが故に、店員の「身体の動き」に無意識のうちに動かされてしまうとも言えるのです。

    そのため客は、店員の「身体の動き」に全く気づかないにもかかわらず、「感じが良い店員」か「感じが悪い店員」かをはっきりと判断してしまうのです。

    店員と客自身の直ぐ近くに存在し、なおかつ、お互いに強い影響を与えながらも、見える人にしか見えないモノ、それが「身体の動き=アクション」なのです。

    「見えない店員のなわばり」と「見えない店員の動き」が、「売れる店」か「売れない店」かを決定的に左右しているのです。

    以上のことを考慮しつつ、「63の(3).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    63の(3).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    ◆広い店員空間がなわばりを解除する

    店員空間が広い接触型店が最も力を発揮するのは、広い店員空間の中で店員が休みなくアクションを続けている場合です。

     

    3


    この店は贈答品販売が主体なので、客がいないときにしておかなければならない、特別な作業はありません。

    そのため、客がいないときには店員のアクションは止まってしまいます。

    ところがこの店は商品空間と店員空間が広いので、客にとってはまだまだなわばりが解除された状況があります。

    そこで一人目の客がつくと、店は再び動きはじめ、活気をとりもどします。

    この店には特別な包装台がないので、店員は陳列ケースの上で包装作業をしていますが、このアクションが意外に店を活気づける効果をあげています。

    もちろんこれは商品空間が広いからできることで、他店でこのようにすると店員のなわばりが強すぎて、かえって次の客がつかなくなってしまう場合があります。

    次回、「63の(4).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    62の(5)小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    63の(1).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

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    2017年10月12日 (木)

    63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    こんにちは。 

    リアルショップに客が望むことは、「なわばり」を解除してくれることです。

    そして、客にとって一番の「なわばり」解除とは、店員が常に「見知らぬ客」として対応してくれることなのです。

    人は、客となって、特に「見知らぬ客」となることによって初めて、解放感を獲得することができるのです。

    店員が客の個人情報をできるだけ把握して、それに沿った接客をしようとすることなど、愚の骨頂です。

    なぜなら、客は個人情報からは一切解放されて、可能な限りの散財をしたいという願望を持っているからです。

    何度でも通ってくれる客に対して、いつも「見知らぬ客」として対応してあげることこそが、最高のサービスの提供なのです。

    「見知らぬ客」として対応するための具体的な方法は、次のたった三つのアクションを提供し続けることです。

    (1)挨拶や、お礼や、お詫びや、お願いのことばと共に、正しい「
    お辞儀アクション」を提供する。

    (2)返事や協調や賛同のことばと共に、正しい「
    うなずきアクション」を提供する。

    (3)説明をする場所や方向を指し示すことばと共に、正しい「
    案内アクション」を提供する。

    店員が以上の三つのアクションを行うことによって、客は常に「見知らぬ客」として対応してくれていることを実感でき、大きな満足を感じることができるのです。

    「見知らぬ客」と「お辞儀、うなずき、案内アクション」をどうぞお忘れなく…。

    以上のことを考慮しつつ、「63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

     

    ◆広い商品空間と工夫されたひやかし安全信号

    この店は、百貨店の入り口側の半分強に贈答品を、奥のL型部分に生ケーキを陳列しています。

    ↓贈答品を置いてある入り口側のケース

    56_2


    そしてL型の最も奥まったところに生ケーキの実演場を置いています。

    一般的には、持ち帰り品である生ケーキを入り口近くに置き、贈答品を店の奥の方に置くというのが商品特性にあった展開パターンですが、この店ではちょうど逆の方法をとっています。

    それは、本来贈答品を販売していたこの店が、贈答品を買った客にケーキも買ってもらうことと、贈答シーズン以外の時期の売り上げを伸ばすために、補助的に生ケーキを導入してきたためと考えられます。

    ↓生ケーキを置いてある店の奥側のケース

     

    55_2


    生ケーキ部分だけを見ると、L字型ケースの前は急激に通行量が減るためそれほど客を集めません。

    また、せっかくの実演場も人目につきにくく、客を引きつけるという本来の機能はほとんどはたされていません。

    この店のメインはなんといっても贈答品ですから、その商品空間を見てみることにしましょう。

    百貨店の入り口側からずらりと並んだケースのほとんどの部分が、贈答品にあてられています。

    広い商品空間には、商品と商品以外のひやかし安全信号を組み込むための十分なスペースがあります。

    ケースの中には、季節やその時々のテーマにあわせた人形や様々のディスプレイ物が上手にレイアウトされており、店イメージや商品イメージを盛りあげています。

    さらに商品空間自体の面積が大きいことも、なわばり解除のために大きな役割をはたしています。

    商品空間が広ければ、たとえ店員がなわばり主張をしたとしても、客にとって安全な空間が十分に残されているからです。

    次回、「63の(3).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです 

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    55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

    56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

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    63の(1).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

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    2017年10月11日 (水)

    63の(1).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時

    こんにちは。

    家庭や地域や学校や職場などでの様々な人間関係と、店での店員と客との人間関係は全く異なります。

    前者はお互いが誰であるかということが明確になっているのに対して、後者はお互いが見知らぬ者同士の関係であることです。

    そして、店には、見知らぬ客に対して見知らぬ店員が、感じよく対応するための「ことば」と「アクション」が存在しています。

    (1)感じ良くするための「ことば」とは次のようなものです。

    ①いらっしゃいませ

    ②少々お待ちください(ませ)

    ③かしこまりました

    ④お待たせいたしました

    ⑤申し訳ありません(ございません)

    ⑥それはあちらです(こちらです)

    ⑦ありがとうございます

    (2)感じ良くするための「アクション」とは次のようなものです。

    お辞儀アクション

    うなずきアクション

    案内アクション

    店員が、以上のような「ことば」と「アクション」を提供することによって、大抵の客は「感じが良い」という印象を受けるために、再来店が期待できます。

    それでは、以上のような「ことば」と「アクション」は、なぜ「感じが良い」と客に思わせるのでしょうか?

    それは、店は店員の「なわばり」だからです。

    したがって、店は客を引きつけるために、できるだけ「なわばり」を解除しなければいけませんが、以上の「ことば」と「アクション」はいずれも「なわばり」を解除するためのものなのです。

    「なわばり」を解除する「ことば」と「アクション」を提供してくれる店員に対して、大抵の客は好感を抱くことになるのです。

    ところで、家庭や地域や学校や職場においては、相手に感じよく対応するための「ことば」と「アクション」に関しては、明確に指導されてはいないのが実情です。

    意外なことに、家庭や地域や学校や職場において、相手に感じよく対応するための具体的な仕方を学ぶには、リアルショップの客となって、密かに店員から学ぶことが非常に有効な方法なのです…。

    以上のことを考慮しつつ、「62の(5).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    63の(1).広い商品空間で売る接触型の贈答品店(洋菓子・ヨツクモック)※1986年当時

    この店は、東京・池袋駅東口にある西武百貨店の地下一階の食品売り場にあります。


    Photo


    西武百貨店の地下一階は、国鉄、私鉄、地下鉄の乗降客で一日中混雑している大地下通路に面しています。

    この店は、その大地下通路に面した入り口のすぐ左側に位置しています。

    この場所は地下一階の中では最も通行量の多いところで、非常に恵まれた立地条件をもっています。

    この店の平面図を見てみましょう。


    2

    構造そのものは、百貨店の中によくある一般的な接触型店とそう変わりありません。

    ところがこの店で非常に特徴的なことは、他の接触型店に比べて群を抜いて広い商品空間と店員空間を持っているということです。

    普通、このタイプの店の商品空間は、六尺(約一・八メートル)幅の販売ケースが二本、多くても三本です。

    けれどもこの店の場合、商品空間だけでも他店の三倍以上あります。

    商売をするうえで、他店に比べて商品空間が広いということは非常に有利な条件です。

    特に百貨店のように限られたスペースの中で数多くの店が競争するような状況では、他店よりも広い商品空間を持つことが客をひきつけることにつながってきます。

    広い商品空間は狭い商品空間に比べてなわばりが解除されやすいので、客はどうしても買いやすい店のほうへと流れてしまうからです。

    商品空間が狭い店は、たとえその商品の品質が優れていても、店そのものが客をひきつけにくいという理由で、なかなか売り上げを伸ばせません。

    「ケース一本」で出店した店が爆発的に売れて、徐々に広い店になっていくというサクセスストーリーの実現は難しいのです。

    次に店員空間を見ると、この店はその中央付近に奥まった店員空間を持ってはいますが、それを除けば、比率的には他の接触型店とほとんど変わりません。

    ところが商品空間とそれにともなう店員空間全体の面積が広いために、実質的に店員が移動できるスペースは非常に大きなものになります。

    店員空間が広いぶんだけ、店員の作業量が増し、このことがこの店に動きを与えているのです。

    この店は接触型店ですから、客空間は商品空間に沿って通路上にできます。

    この店のある場所は百貨店の入り口すぐのところなので、店の前には広い空間があって、その空間はこの店に十分な客空間を提供しています。

    そのため、この店の客は、他店の客のように通行客にぶつかられたり押し流されたりすることなしに、落ち着いて商品を選ぶことができるのです。

    この立地上の好条件が、この店が贈答品店でありながら接触型の展開をして成功している理由の一つになっています。

    このように、この店は、立地、店の大きさといった点で、他店をはるかにしのぐ好条件を持っています。

    こうした根本的な条件は、売り上げを伸ばしたいという希望があっても、簡単には得られるものではありません。

    けれども、売れるということの本質を探るためには、どうしても避けることのできない問題です。

    そこで、さらに詳しくこの店の様子を見ていくことにしましょう。

    次回、「63の(2).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

    55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

    56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

    57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている

    58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

    59.いつも前向きで熱心に対応する店員と、消極的でやる気を感じさせない店員は、個人が持つ「動きの癖」から生じています

    60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(4)小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(5)小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    2017年10月10日 (火)

    62の(5).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    こんにちは。

    店の前を行き交う通行客は、次の三つのタイプに分けられることを
    前々回にお話しました。

    ①買う気がない客
    ②迷っている客
    ③買う気がある客

    大勢の通行客があるとした場合、圧倒的に多いのは①買う気がない客です。

    どこの店にするか、どの商品にするか、今日買うか買わないかを②迷っている客は、次に多い客です。

    目的の店で目的の商品を③買う気がある客はごくわずかです。

    ところが、圧倒的に多い①買う気がない客の中には、「
    なわばり」が解除された店に対しては、引きつけられる客が大勢含まれています。

    また、次に多い②迷っている客のほとんどは、「なわばり」が解除された店に対しては、いっそう引きつけられます。

    したがって、駅ナカ・駅ソトショップ、あるいはそれに準ずるような立地にある店の場合は、「なわばり」を解除することによって、①買う気がない客と②迷っている客をたくさん引きつけることができるのです。

    「達人店員」と呼ばれる人の接客ノウハウは、①買う気がない客と②迷っている客を、できるだけたくさん引きつけることです。

    もちろん、買う気のない客を引きつけて、積極的に接客して買う気にさせるのではありません。

    買う気のない客をたくさん引きつけることによって、大勢の客が「
    サクラパワー」を発揮して、店の「なわばり」を解除してくれることを期待しているのです。

    サクラパワーによって「なわばり」が解除された店は、強力なマグネットのように、通行客を次々と引きつけます。

    店が店員の「なわばり」であるという観点に立てば、「売れる店」と「売れない店」の要因を新たに見つけ出すことができます。

    以上のことを考慮しつつ、「62の(5).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    62の(5).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)

    ◆この店の販売パワーが強いとき、 弱いとき

    店の規模が小さい接触型店には宿命的な弱点があります。

    それは、よほどの人気商品を販売している店か、一日中稼働する実演販売の店か、あるいはきわめて身体信号の正しい店員が販売をしている店でない限り、必ず店員のなわばり主張が商品空間をおかしてしまうということです。

    この店は、三つの店のいずれの条件にもあてはまらないのですが、商品空間そのものの強力ななわばり解除によって客をひきつけ、全体としては近づきやすい店になっています。


    7

    そこで、特別な店員行動のプログラムのないこの店の店員も、接客に追われて次々とアクションを続けることができます。

    けれども夏の間や贈答シーズンにはこの店に来る客が少なくなるので、店は動きを停止し、その結果、客を追い払うという悪循環に陥りやすくなります。

    こういう店が一年を通して売り上げを伸ばしていくためには、代表商品に次いで季節に応じて売れる商品の開発をしておくことがどうしても必要です。

    この店に限らず、店舗の面積の狭い店が売り上げを伸ばすためにしなければならないことは、商品空間のなわばり解除です。

    この店も、売れる要因が商品空間のなわばり解除やひやかし安全信号の創造にあるのだということを見失ったとき、売れるしかけをこわしてしまうことになるでしょう。

    商品空間が狭いことは、商売をするうえでは大きなハンディになります。その不利な条件の中でいかに客をひきつける店づくりをするかが、残された道なのです。

    次回、「63の(1).広い商品空間で売る接触型店の贈答品店(洋菓子・ヨックモック)※1986年当時」に続く。

     

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

    55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

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    60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    2017年10月 9日 (月)

    62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    こんにちは。

    客にとって、店は大変楽しい空間です。

    しかし、店は店員の「なわばり」であるために、客は店員の「なわばり」に入って、強いプレッシャーを感じながら買い物をしていることも事実なのです。

    したがって、店員が「なわばり」を解除するアクションを行うと、店員が想像している以上に、客にとっては大変入りやすい店となります。

    店員が「なわばり」を解除する具体的なアクションとは、接客中のアクションと作業中のアクションです。

    しかし、客にとって店の「なわばり」がそれ以上に解除される状況があります。

    それは、店に「
    サクラパワー」が生じた時なのです。

    店で他の客が注文をしたり相談をしたりする姿はもちろんのこと、店頭や店内に一人でも回遊客(あるいは滞留客)の姿が存在することによって、「サクラパワー」は生まれます。

    したがって、数人の客が店頭や店内の商品空間に立ち止まった場合には、非常に強力な「サクラパワー」が発揮されて、店の「なわばり」は完全に解除されてしまいます。

    意外なことに、店においては、商品の魅力や店員のアクションもさることながら、それ以上に他の客の存在こそが、大勢の客を引きつけているのです。

    このことは、客が感じる買い物の醍醐味が、見知らぬ店員に出会うことと同時に、見知らぬ大勢の客に接することであることを裏付けているのです。

    以上のことを考慮しつつ、「62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)

    ◆サクラパワーが客をひきつける

    この店の商品は持ち帰り品なので、本来は時間をかけて選ぶものではありません。

    ところが、商品空間に強いひやかし安全信号を組みこんだために、客が店の前にいる時間が長くなっています。

    ※開店直前の店の様子↓


    Photo_2

     


    ※サクラパワー現象が生じた場合の店の様子↓

     

    4

    客がついている商品空間は、なわばりが大幅に解除されているので、次の客がつきやすくなります。

    この店をとり囲む通路はせまく、十分な客空間を提供できないのですが、そのことがかえって通路を一時的にせき止め、爆発的なサクラパワーを引き起こす結果を生みだしています。

    この店の商品は季節商品なので売れ行きには変動がありますが、シーズンには店のまわりを客の行列がとり囲むということになるのです。

    次回、「62の(5).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    2017年10月 8日 (日)

    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    こんにちは。

    店には、買う気がある客だけがやって来るわけではありません。

    ①買う気がある客
    ②買う気がない客
    ③迷っている客
    の三タイプの客がやって来ます。

    ①買う気がある客を優先する店は、②買う気がない客と③迷っている客を遠ざけます。

    なぜならば、①買う気がある客を優先する店は、②買う気がない客と③迷っている客を優先する店よりも、接客のタイミングが早くなるからです。

    しかし、②買う気がない客と③迷っている客を優先する店は、①買う気がある客を遠ざけたりはしません。

    なぜならば、このような店は、①買う気がある客を優先している店よりも接客のタイミングが遅くなりますが、①買う気がある客は、自ら積極的に店員に声をかけるために、店員の接客のタイミングはほとんど気にならないからです。

    したがって、店は、①買う気がある客よりも、②買う気がない客と③迷っている客を優先することが大切なのです。

    ②買う気がない客と③迷っている客は、「なわばり」解除の店員のアクションを提供することによって、①買う気がある客に変化する可能性が十分にあるからです。

    全く買う気がなかったにもかかわらず、つい思わず買いたくなって、買ってしまったという経験がほとんどの人にあるはずです…。

    以上のことを考慮しつつ、「62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

     

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    62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)

    ◆狭い店員空間の中での店員のアクション


    7

     

    この店の商品ケースの中の商品がすべてサンプルであることは前に説明しました。

    本物の商品は店員空間の中にあるストック棚におさめられています。客から注文をうけると、店員はそのストック棚から商品を選んで包装します。

    一般にこのようなタイプの和菓子店では、商品ケースがストックケースの役割を兼ねています。

    注文を受けた店員は、しやがみこんで商品ケースの中から商品をとり出します。

    このためせっかくの店員のアクションがケースのかげに隠れて見えなくなってしまったり、商品を見ている他の客のなわばりをおかしてしまったりという不利な状況がおこっています。

    この点、この店ではストック棚の利用によって、ごく狭い店内でも店員のアクションが多く表現されるという効果をあげています。

    このように商品空間を変えることによって、店全体のシステムが、より、なわばり解除しやすい方向へと変化しているのです。

    次回、「62の(4).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

    57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている

    58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

    59.いつも前向きで熱心に対応する店員と、消極的でやる気を感じさせない店員は、個人が持つ「動きの癖」から生じています

    60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

     

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    2017年10月 7日 (土)

    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    こんにちは。

    「店員空間の狭い接触型店」は、下のイラストのような構造の店のことです。

     

    Photo

    この構造の店は、初めから購入することが決定している客にとっては、わかりやすい商品空間であり、なおかつ店員から直ぐに接客を受けやすい構造の店です。

    しかし、買う気がないが、いろいろな商品空間を眺めて楽しみたいとか、いろいろな店を比較検討してみたいと思う客にとっては、直ぐ目に前の店員が気になって、気軽にはひやかしにくい商品空間です。

    少しでも多くの客に眺めたり検討したりして欲しいと願う店員(店側)は、多少でも注意や興味を引きつけそうな商品空間の陳列方法に趣向を凝らしています。

    つまり、客はできるだけ多くの店の商品空間を眺めて歩きたいと願い、店員(店側)もまたできるだけ多くの客に商品空間を眺めて欲しいと願っているのです。

    にもかかわらず、大抵の店の商品空間は、客にとって自由にひやかせる状況にはなっていません。

    店員がじっと立って待ち構えたり、直ぐに「いらっしゃいませ!」と声かけたりすることによって、「なわばり」主張の店員のアクションとなり、客を遠ざけているためです。

    できるだけ多くの客に商品空間をひやかしてもらうには、接客中か作業中の「なわばり」解除の店員のアクションが不可欠です。

    そして一人でも店頭にひやかし客が確保されると、その客が「サクラパワー」を発揮して、よりいっそうひやかしやすい商品空間となるのです。

    以上のことを考慮しつつ、「62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)

    ◆商品空間に集中した店づくりがなわばりを解く

    この店は、店名のとおり、だんごを主体とした和生菓子を中心に販売しています。

    一部に贈答品をおいていますが、これはあくまで補助的なものにすぎません。

    この店の商品は多くの人が古くから親しんできたもので、決して目新しいものではありませんし、事実、この売り場の他の店にも、同じような商品を扱っているところがあります。

    さて、この店の商品空間を見てみると、おもしろいことに気づきます。


    3


    この店のケースには棚が一段もはいっていません。

    たいていの店では、狭いスペースの中にできるだけ多くの商品を飾ろうとするため、ケースの中に棚をつけて、商品を二段から三段に並べています。

    ところがこの店のケースには棚がなく、商品は他店よりも奥行きが深いケースの床面に、平面的に並べてあります。

    ケースの上の面は広いガラスになっており、客がひじをついたり、のぞきこんだりできるようになっています。

    他店のケースが横から見るためのケースとするならば、この店のケースは真上から見るためのケースです。

    このケースの構造自体が「近くに来て、上から商品をながめて下さい」というメッセージを客に送っています。

    次にケース内の商品とひやかし安全信号を見ていきましょう。

    ケース内には、様々な種類の商品がそれぞれ違った容器に盛りつけられた状態で飾られています。

    ここに飾られている商品は実はすべてサンプルなのですが、瀬戸の容器に盛りつけられただんごや大福はいかにも本物らしく見えます。

    この、本物の商品を使ったのでは実現できない、本物以上に本物らしい商品は強い刺激となって客をひきつけます。

    さらにケースの中には季節にあわせた花や小物などが飾られ、ひやかし安全信号を発しています。

    この店では、それぞれの商品を好きなように組み合わせて買うことができます。

    そのため、どの商品をどれだけ買うかを決めるためには時間がかかります。

    客は、ケースのつくりや商品の並べかたといったものから、「ゆっくり時間をかけて商品を見て下さい」というひやかし安全信号をうけとるので、店員がいてもあまり気にせず商品を見ることができます。

    この店は非常に規模が小さいので、もとより店内装飾をする場所はあまりありません。

    けれども同規模の他店に比べると、看板も表札だけで、全体に地味なイメージになっています。

    このことは、客の注意を商品空間だけに集中させるためにはたいへん有効です。

    商品に気をとられている客は、店員が多少のなわばり主張をしても、あまり動揺せずに商品を選び続けることができるのです。

    次回、「62の(3).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

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    2017年10月 6日 (金)

    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時

    こんにちは。

    百貨店の中で、食品フロア(デパ地下)が大勢の客を引きつけ続ける理由は、いったい何なのでしょうか?

    毎日利用する様々な人気の食品を販売しているからではありません。

    店員と客が、「戸板一枚」(ショーケース)を挟んだだけの構造の店(
    店員空間の狭い接触型店)で構成されたフロアだからなのです。

    店員が立っているだけでやっとの狭い①「店員空間」と、幅1.8m(六尺)が単位の②「商品空間」と、その都度さほど広くはない通路に生まれる③「客空間」の三つの構造無くしてデパ地下は、決して大勢の客を引きつけることはできないのです。

    「店員空間の狭い接触型店」で構成された食品フロアは、今でも縁日や祭りの時だけに姿を現す露店商の店に最も近い販売現場なのです。

    フロア全体の内装やインテリアを必要以上に小綺麗にしたり、ショーケースを統一化したり、店名の看板を画一化したり、特別な店だけに破格のスペースを提供したりしているデパ地下の担当者は、これまでのデパ地下がなぜ客を引きつけてきたかを、未だに気付いてはいない人なのです。

    そして、「店員空間の狭い接触型店」は、その構造の魅力に合わせて、店員と客のアクションもまた魅力となっています。

    具体的には、①じっと立つ客待ち姿勢や②早すぎる「いらっしゃいませ!」の店員のアクションは「なわばり」を主張して客を遠ざけます。

    反対に、①接客中や②作業中の店員のアクションと、店頭に立つ客の姿が生み出す「サクラパワー」は、「なわばり」を解除して客を引きつけます。

    以上のような客を引きつけたり遠ざけたりする店員と客のアクションと「戸板一枚の店」の店舗構造の魅力が、百貨店の中の食品フロアが、最も大勢の客を引きつけている要因なのです。

    以上のことを考慮しつつ、「62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)

    この店は、東京・渋谷の東横のれん街にある和菓子店です。


    Photo


    最近、百貨店や駅ビル等の食品売り場にある和洋菓子店の構造が少しずつ変化しています。

    従来の接触型店ばかりだった売り場に、次第に引き込み型店が見られるようになってきました。

    けれども、やはり多くを占めるのは、六尺(約一・八メートル)ケースを一~三本並べた程度の小型の接触型店です。

    そこでここでは、店の大きさや構造は従来のままで、売り上げを伸ばす工夫をしている店を観察してみましょう。

    この店の平面図を見ると、ケースがL字型にまがってはいるものの、ごく小さい平凡な接触型店であることがわかります。


    Photo_2

    しいて特徴をあげれば、この規模の店にしてはケースの奥行きが広くとってあることでしょう。

    このため、商品空間は他店よりもやや広く、そのぶん店員空間は狭くなっています。

    この店員空間には店員が二人はいるのがやっとで、そのことからも店の規模が理解していただけると思います。

    商品空間が広いといっても、他店の二倍もあるわけではなく、奥行きでほんの十~二十センチ程度の差ですから、平面図的にはなんの変哲もない店といってよいでしょう。

    この店は接触型店なので、客空間は店外の通路上にできます。

    この店は二つの通路の交差点の一角にある角店ですが、両方の通路とも幅が狭く、ゆったりした客空間がとれるほどのスペースはありません。

    平面図から見る限りでは、この店は他店と比べて決定的に有利な条件を持っているわけではありません。

    だとしたらいったい何がこの店に客をひきつける要素なのでしょうか。

    この店の三空間をさらに詳しく見ていくことにしましょう。

    次回、「62の(2).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    52.外観はよく似た構造でも、売り方が全く違う二つの店

    53.「いらっしゃいませ」のタイミングが全く異なる、常連接客と一見接客

    54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

    55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

    56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

    57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている

    58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

    59.いつも前向きで熱心に対応する店員と、消極的でやる気を感じさせない店員は、個人が持つ「動きの癖」から生じています

    60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

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    2017年10月 5日 (木)

    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    こんにちは。

    見知らぬ大勢の人が行き交う街道に発生した日本の「店(戸板一枚の店)」は、経済の発展と共に、商店街と百貨店という二種類の商業集積に変化することによって、新たな「店」の構造と売り方を確立しました。

    商店街の店は地域に密着して、馴染み客を対象にした「店」となり、百貨店は館内を回遊する見知らぬ大勢の客を対象にした「店」となっていったのです。

    やがて、スーパーマーケットやコンビニエンスストアや大型専門店が登場し、続いてディスカウントショップや100均ショップが登場して来て、それまでの「店」の構造と売り方は大きく変化しました。

    そして、かつて隆盛した商店街と百貨店はすっかり衰退してしまいました。

    その後、急激にパソコンとケータイが普及し、ネットインフラが整備されることによって、ネットショップが、あっという間に日本中を席巻したのです。

    しかし、現在のネットショップの急激な発展だけを見て、「ネットショップは便利だから大勢の客に受け入れられた」と捉えるのは間違っています。

    なぜならば、「戸板一枚の店」に始まった当初の「店」が、商店街&百貨店時代を経て現在の「店」に至る変遷をざっと振り返っただけでも、「店」が経済の発展に伴って、それぞれの時代に対応した構造と売り方になるように、その姿を自在に変化させてきたことが分かるからです。

    そのような観点から見ると、あっという間に現代人にとってなくてはならない「店」となったネットショップは、商店街&百貨店へと発展する以前の「店」、つまり「戸板一枚の店」と、非常によく似ていることに気付きます。

    すなわち、どちらも、「見知らぬ店員」と「見知らぬ客」の関係を背景にしている「店」なのです。

    そして現在、都心のターミナル駅を中心に郊外駅にまで急激に登場してきている、「駅ナカ・駅ソトショップ」もまた、「見知らぬ店員」と「見知らぬ客」の関係を背景にした「店」なのです。

    つまり、大勢の客を引きつけている「ネットショップ」も、駅ナカ・駅ソトの「リアルショップ」も、見知らぬ人同士のコミュニケーションの場を提供することで、大勢の客を引きつけているのです。

    以上のことを考慮しつつ、「61の(4)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    61の(4).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    ◆店員を気にせず、自由に移動できる広い客空間

    この店の客空間も、他の接触型店と同じように、店外の通路上にできます。

    けれどもこの店の商品空間がたいへん広く、しかもその形がサークル状になっていることから、客空間も非常に広くゆったりしたものになっています。

    客はゆっくりと商品空間をひやかして歩き、もしも欲しいものがなければ、何の抵抗もなく店から遠ざかっていくこともできるのです。

     

    P9697

    特に、この店はエスカレーターと階段に近い広い通路を利用しているので、客空間としてかなり広いスペースを使うことができます。

    そのためこの店の客は、買い物をしている間、他の通行客に押されたり、ぶつかられたりすることもなく、ゆったりとショッビングを楽しむことができるのです。

    もちろん、この客空間の居心地のよさの第一の理由は、店員が接客アプローチをしてこないところにあります。

    客は誰にもじゃまされずに商品を選んでは、近くの店員に注文をすればよいのです。

    ◆よく似た店なのに、なぜ失敗するのか

    この店とほとんど同じような商品をそろえ、同じような陳列をした店があります。

    店名を確認しなければその差がよくわからないほど似ているのに、売り上げが全然違うとしたらこの差はどこにあるのでしょうか。

    そちらの店では、商品がすべてはじめから袋詰めになっています。

    店員の作業と人数を省力化するためにはたいへんすばらしいアイデアだったのですが、そのことが肝心の店員アクションまでも失わせる結果になってしまいました。

    なわばり解除がおこらないので客が集まりにくく、少ない客に対して店員がアプローチをかけるという悪循環がはじまって、結局、売り上げがあがらないのです。

    次回、「62の(1).小さな店でひやかしやすい商品空間を創造する(和菓子・追分だんご本舗)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

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    2017年10月 4日 (水)

    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    こんにちは。

    1980年代とは、コンビニさえもまだまだあまり見当たらず、営業マンはまだケータイを持たずに、ポケベルで仕事をしていた時代です。

    その頃に、駅ビルと有名百貨店をつなぐ地下通路の催事場に、期間限定で出店している食品関係の店で、一番売れるという店員さん(男性)をビデオで取材したときの話です。

    その店員は、毎日、地下通路に並んで出店しているどの店よりも店の開店が遅れます。

    他の店の店員は、開店時間の前からすっかり準備を整え、きちんとした姿勢で客を迎えます。

    一方、一番売れるという店員は、他の店に客がつき始めた頃に、おもむろに一間半(約2.7メートル)の小さな店の準備を始めるのです。

    ところが面白いことに、その店員が店の前に出たり、後ろに回ったりしながら作業をしているにも関わらず、次々と客がやって来ます。

    店員は作業を中断して対応し、接客が終わると再び作業を続けます。

    とっくに営業開始時間を過ぎているのも関わらず、商品のポスター張りや陳列の並び替えなど様々な作業が続きます。

    細かく観察すると、店頭に客が近づいて来た時ほど、作業をどんどん始める様子です。

    客は作業中の店員に構わず注文を投げ掛け、その都度店員は直ぐに対応します。

    この店員は大体以上のことを開店から閉店まで繰り返し、作業をやり終えてきちんとした姿勢で客を待つ態勢になることはほとんどありませんでした。

    そして、この店員は「近くに来たお客様には視線を逸らして、できるだけ積極的にはならないで、お客様の邪魔をしないこと」が大切だと話してくれました。

    つまりこの店員さんは意識的に、「
    店員空間の狭い接触型店」で、「なわばり」主張の店員のアクションをしないで、「なわばり」解除の店員のアクションをやり続け、「サクラパワー」を利用しながら、一番高い売り上げを上げていたのです。

    以上のことを考慮しつつ、前回、前々回に引き続き「61の(3)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    61の(3).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    ◆ハカリ売りの店員のアクションが客をひきつける

    この店の店員空間は店の真ん中にあるので、四方の客空間から店員はよく見えます。

    特に、催事場のようなこの店には、店員が姿をかくせるような場所がありません。

    それだけに、この店では店員のアクションが客をひきつける決め手になっているのです。


    P94


    この店の基本的な販売方法はハカリ売りです。

    とはいっても、実際にはあらかじめいくつかの袋詰めを作っておき、特別な注文以外はそれを売っているのです。

    そのため店員は手がすいたときを利用して、これらの袋詰めを作っておきます。

    この作業こそが客をひきつけるための格好のアクションなのです。

    商品の補充をしたり、袋詰めをしたりといった作業を五~六人の店員が一斉に行うと、店員のなわばりは大幅に解除されます。

    こうした作業をしている店員が客にアプローチをすることはほとんどありません。

    店員は客に声をかけられるとこうした作業の手を休め、接客作業を行います。

    そして接客が終了すると、再び袋詰め作業にもどります。

    このように店員のアクションが途切れずに続くときこの店は強い力で客をひきつけるのです。

    次回、「61の(4)豊富な商品が冷やかし安全信号)(菓子・太子堂)※1986年当時」に続く。

    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)


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    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    62の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

     

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    2017年10月 3日 (火)

    61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    こんにちは。

    昨日(10月2日)の日経MJ二面の「消費を斬る」欄に、『郊外に広がる駅ビル・駅ナカ――背景に働く女性・地元志向』と言う見出しで次のように報じられています。

    『駅の商業施設が増えている。2000年以降、首都圏の1都3県でオープンした駅ビルや駅ナカは170施設にのぼる。かつてはターミナル駅中心だったが、最近は郊外の駅にも相次ぎ開業。背景には働く女性やシニアの増加で「地元」で手軽に買い物をしたいというニーズの高まりがある。』

    しかし、本当に、手軽に買い物がしたいという多くの働く女性のニーズだけが、郊外の駅ビル・駅ナカ(エキナカ・駅ソトショップ)に引きつけているのでしょうか?

    手軽に買い物をするだけであれば、ネットショップの方がはるかに手軽な買い物ができるはずです。

    それにもかかわらず、駅ビル・駅ナカに多くの人が集まるのは、地元とは言え見知らぬ人が大勢行き交う駅ビル・駅ナカのショップに行くことで、移動空間に存在する「リアルショップ感」や満足感が得られるからと言うのが、的を得た捉え方でしょう。

    駅ビル・駅ナカ人気は、もともとはターミナル駅中心でしたが、それが郊外の駅ビル・駅ナカに広がっていき、そこでも大勢の客が引きつけられるという現象は、人が常に移動空間に存在するリアルショップを求めているということの証左です。

    これは、かつてのリアルショップが、
    「ネットショップ+無人化店舗」 VS 「移動空間に生まれた駅ナカ・駅ソトショップ」に二極化していくという、私たちの予測通りです。

    すなわち、かつてのリアルショップの多くが「ネットショップ+無人化店舗」に飲み込まれていく一方で、それとは対極の店本来の性質を蘇らせたリアルショップが次々と登場してくるのです。

    店本来の性質を蘇らせた店とは、非セルフサービス方式の店で、店員と客の「なわばり」の攻防を伴ったコミュニケーションが提供されている店のことです。

    そのような店をつくるためには、移動空間となる立地が必要であり、その点、「駅」は格好の条件を備えていることになります。

    従って、鉄道各社が不動産の有効活用を続ける限り、大勢の客にとって、ネットショップよりもあるいはネットショップにはない魅力を持ったリアルショップがますます各地に登場してくるはずです。

    長年放置されてきた、鉄道各社の持つ不動産は、実は宝の山だったのです。

    それでは、前回にの続き「61の(2)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)

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    61の(2).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    ◆豊富な商品がひやかし安全信号として働く

    どんなタイプの店であっても、商品空間のなわばり解除は十分になされていなくてはなりません。

    店員がいつも見張っているような商品空間には客はなかなか近づくことができませんし、商品空間からひやかし安全信号が出ていない場合にも客は近づきにくくなります。

    特に接触型店では店員が商品の近くにいることが多いので、店員のなわばり主張が商品空間をおかしやすくなってしまいます。

    それだけに、接触型店では商品空間から強いひやかし安全信号を出して、客をひきつける工夫をすることが大切になってきます。

    それでは、この店の商品空間を見てみましょう。



    P95

    この店では販売ケ一人のようなものは使わず、商品は台の上にむき出しのまま山積みにされています。

    そのため、この店の商品空間にはディスプレー物を陳列する場所がありません。

    ところがこの商品空間からも、やはり強いひやかし安全信号が発せられているのです。

    その秘密は商品空間の構造と、商品の種類と量にあります。

    ぐるりと周囲をまわらなければすべての商品を見ることのできない構造は、買う商品を決めるまでには時間がかかってもしかたがないという情報を客に伝えます。

    また、豊富な商品量と種類の多さも同様に、選ぶまでには長時間かけてよいというメッセージになります。

    さらに、このハカリ売りという方式が加わると、「何を、どのくらい買ったらいいのか」ということを悩んでいる間は、店員が積極的にアプローチをしてくることはない、すなわち安全だということがよく客に伝わります。

    接触・引き込み・回遊型の部分では、その販売のシステムと商品の陳列そのものがひやかし安全信号として働いています。

    次回、「61の(3)豊富な商品が冷やかし安全信号)(菓子・太子堂)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

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    2017年10月 2日 (月)

    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    こんにちは。

    「買い物はネットショップで」と言うのが常識となりつつ現在です。

    リアルショップはスーパーとコンビニとドラッグストアと100均ショップなどがメインで、いずれもセルフサービス方式の店となっています。

    かつては、店員とのコミュニケーションが客にとっては大きな楽しみの一つでしたが、どんどん店員と客の人間関係はリアルショップから消え去っています。

    そのために、感じが悪い店員の接客を我慢しながら買い物をする機会はなくなりましたが、感じが良い店員の接客に接して、癒されたり元気にされたりする機会も失っています。

    今後、ネットショップはより普及し続け、リアルショップはますます店員と客の人間関係が生じない店舗システムの開発を急いでいます。

    このように、リアルショップでの人間関係を失うことによってようやく、見知らぬ店員とのコミュニケーションの重要性が再認識されています。

    リアルショップから、「お辞儀アクション」と「うなずきアクション」と「案内アクション」(接客三大アクション)が提供されなくなってしまったら、いったい私たちは、どこで、見知らぬ人とのコミュニケーションの仕方を学べばよいのでしょうか?

    誰でもが、見知らぬ人(店員)と気軽にコミュニケーションを体験できる現場こそが、リアルショップだからです。

    今後も引き続き、コミュニケーションにおける「人の動き」の役割について、店員と客とのコミュニケーション現場を通して、ご紹介してまいります。

    それでは、前回にの続き「61の(1)豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時」」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    61の(1).豊富な商品が冷やかし安全信号(菓子・太子堂)※1986年当時

    この店は、東京・新宿駅ビルのマイシティの地下二階食品売り場にあります。


    P92
    私たちは、百貨店や駅ビルの食品売り場には、実に様々な食品を販売する店が数多く集まっていることを知っています。

    そしてそこに行けばいつでも、店員たちのにぎやかなかけ声や生き生きとした動きに触れられることを知っています。

    こうしたにぎわいは、食品売り場をひやかして歩く客にとっては大きな楽しみです。

    このにぎやかな食品売り場の店を観察してみると、一店一店の面積は非常に小さいことがわかります。

    百貨店の限られたスペースの中に数多くの店をいれようとすると、どうしても一店当たりの面積は少なくなってしまいます。


    93

    この店は、このように競争の激しい食品売り場の中では、かなり広いスペースを持っています。

    といっても、店の総面積からいえば、平面図にもあるとおりさほど大きくはないのですが、独特の店の構造が客に広さを感じさせてしまうのです。

    この店は、一部に接触・引き込み・回遊型のレイアウトをとりいれていますが、基本的には接触型の店です。

    つまり、客の通路に面して商品を並べ、できるだけ多くの客に商品に接触してもらおうとするタイプの店です。

    接触型店はその特徴として、店内には客空間を持っていません。

    この店の場合も一部を除いて、客空間は商品空間の外側にできます。

    平面図のように、この店の商品空間は店員空間をぐるりととり囲むような形に配置されています。

    そこで客はこの商品をながめるためには店の周囲をぐるぐるとまわらなければなりません。

    このときにできる客空間を含めて考えると、この店の規模は非常に大きなものになります。

    また、客が感じる店の大きさも他店に比べるとはるかに広いものになります。

    さらにこの店の一部が、接触・引き込み・回避型になっていることも商品空間を広くするのに役立っています。

    この店の接触型の部分では、様々な種類の菓子を山積みにしてハカリ売りをしています。

    この売り方は、持ち帰り品である商品の特性とうまくマッチしています。

    また、接触・引き込み・回遊型の部分では、パックにはいった菓子類を客が自由に手にとって選べるようになっており、この部分でも商品の特性と店のタイプが一致しています。

    この店の店員空間はちょうど店の真ん中にあるため、他店の壁を背にした店員空間や二店が背中あわせになった場合に比べると、はるかに広いスペースになっています。

    店員はこの中におよそ五~六人いて、周囲の客の注文にあわせて移動し、接客をします。

    この店には、店舗イメージをつ〈るための特別な店構えやディスプレー物がありません。

    あるのは商品を乗せる台と看板ぐらいです。

    このきわめて簡単な店づくりそのものが、反対に、食品売り場の催事場の雰囲気を強く打ち出す結果になっています。

    特別に目新しい商品があるわけでもなく、古い催事型の売り方をしているこの店を、客はどのように感じているのでしょうか。

    次回、「61の(2)豊富な商品が冷やかし安全信号)(菓子・太子堂)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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    52.外観はよく似た構造でも、売り方が全く違う二つの店

    53.「いらっしゃいませ」のタイミングが全く異なる、常連接客と一見接客

    54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。

    55.希薄な人間関係を背景にした本来の「店」には、店員(売り手)と客(買い手)がお互いに癒し合えるコミュニケーションが存在する

    56.ネットショップや無人コンビニ以外に、客が求めている店と接客がある

    57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている

    58.接客の上手下手は「ことば」ではなく、店員のアクションによって決まる

    59.いつも前向きで熱心に対応する店員と、消極的でやる気を感じさせない店員は、個人が持つ「動きの癖」から生じています

    60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

     

     

     

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    2017年10月 1日 (日)

    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時

    こんにちは。

    1986年の百貨店の食品フロアで、当時開店から閉店まで長い行列で賑わっていた、今川焼の店「御座候・ござそうろう」を、「なわばり」を解除する店員と客のアクションという観点から観察分析しましたものを、今回を含む3回シリーズでご紹介しました。

    開店から閉店まで、商品を作り続ける店員のアクションと、その様子を眺めながら順番を待つ客の長い行列が「
    サクラパワー」となって、「店員空間」と「商品空間」と「客空間」の「なわばり」が解除されることによって、更に次々と回遊客を引きつけていくことによって、繁盛店となっていたのです。

    稼働し続ける実演室(厨房)の店員のアクションと行列が、繁盛店の決め手だったのです。

    それでは、前回にの続き「60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時」をお読みください。

    (なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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    60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)

    ◆行列が行列を呼ぶ客空間

    百貨店の食品売り場の店は、大部分が接触型店です。

    接触型店の客空間は通路上にできるため、売り場がこみあう時間帯になると、通路は客で大変混雑してきます。

    これは、立ち止まって商品を買おうとする客と、通行客がぶつかりあってしまうためです。

    反対に通行客が少ない時間帯には、客は商品空間をはさんで店員とすぐ近くで接しなければなりません。

    こうした場合、一般に店員はすぐに客に声をかけてくるので、この場合の客空間は客にとっては決して安全なものではありません。

    ところがこの店の客空間は、職人が商品を作っている商品空間のまわりにあるので、店員からのアプローチをうけることなく、いつまでもながめていることができます。


    P9091


    実演場と客空間はガラスでさえぎられており、このことがますます客の安心感を高めています。

    このようになわばり解除の条件を多くそろえたこの店には、常に長い行列ができています。

    この店の職人が忙しく動く様子と行列が店をぐるりととり囲む様子は、遠くの客にもよく見え、何かおもしろいものがあるという情報を伝えます。

    人が人を呼ぶサクラパワーが働いて、店はますます客をひきつけます。

    そこで販売されている商品そのものは特別にめずらしいものというわけではないのですが、人はこぞってこの状況で物を買いたがるのです。

    その結果、この店の商品に対する評価が非常に高くなっていきます。

     

    P89


    ◆なわばりのない店員空間

    この店は商品空間のパワーがあまりにも強いため、店員のなわばり主張が起きる状況がありません。

    実際、この店の店員は、並んでいる客に対して、次々と接客作業を行っていくだけです。

    一方、客は店員からまったく開放された客空間で、実演作業をながめながら自分の番が来るのをおとなしく待っています。

    店員がフル稼働していることを知っているので文句をいわないのです。

    ◆この店のパワーが伸びるとき、落ちるとき

    横浜駅東口にある世界最大級といわれる百貨店、横浜そごうの食品売り場にも、実は同じ店が出店していますが、今回紹介した店のほうがはるかに売れています。

    この違いはなぜ生じるのでしょうか。

    もちろん通行量を考慮にいれなければなりませんが、店の構造そのものにも差があります。

    そごう店のほうは、職人が二人で、商品空間も狭いのであまり魅力がありません。

    そのため客の行列ができず、サクラパワーが生じてこないのです。

    このように、ごく近い地域にあって同じ商品を売っている二軒の店の、一方は非常に人気があり他方はあまり人気がないという事実は、私たちに多くのヒントを与えてくれるのです。

    次回、「61の(1)豊富な商品が冷やかし安全信号)(菓子・太子堂)※1986年当時」に続く。


    (※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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