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2017年9月29日 (金)

60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候

こんにちは。

30数年前の東京大阪などの主要都市の百貨店の食品フロア(デパ地下)には、長い行列のできる店が必ず1~2店存在していました。

その内の1店は大抵が実演販売店でした。

音や香りなどによって消費者の五感を刺激し、それによって購買意欲を生じさせるシズル効果が、多くの客を引きつけるのだと、当時は解説されていました。

しかし、それだけでは、シズル効果のない繁盛店のことは解説することができませんでした。

そこで私たちは、店は店員の「なわばり」であり、「なわばり」解除の店員のアクションや客のアクションが、繁盛店を生み出しているという観点から分析いたしました。

それでは、31年前に分析しました「60の(1)職人のアクションが客をひきつける(今川焼・御座候)」をお読みください。

(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)


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60の(1). 職人のアクションが客をひきつける(今川焼・御座候)

この店は、神奈川・横浜駅西口の横浜高島屋百貨店地下食品売り場にある今川焼の実演販売店です。


P86
この種の実演販売店は、どこの百貨店にいっても、一店や二店は必ず見つけることができます。

もちろん、商品の内容や価格、あるいは店のある場所等によって売れゆきには違いがありますが、実演が休みなく続いている場合にはたいてい何人かの客がついています。

このように「実演」には客をひきつける力があるので、多くの店が実演場や実演商品を持ちたいと望んでいることは事実です。

ただし、実演商品や実演場を持っていても、それが実際に稼働しなければ大きなマイナスになってしまいます。

さて、この店の平面図をながめてみることにしましょう。

 

87



この店は接触型店ですから、店内には客空間がありません。

店は店員が商品を売るための店員空間と、職人が今川焼を製造している商品空間の二つから成り立ち、客空間は店外の通路上にできます。

この店の最大の特徴は、商品空間が広いということです。

店の構造そのものは、百貨店でよく見かける様々な実演販売店となんら変わりはないのですが、実演場(商品空間)のスペースは他店の三~四倍にもなっています。

商売をするときに、商品空間が他店に比べて群を抜いて広いということは、非常に有利な条件の一つです。

客はこの店の広い商品空間に注意をひきつけられ、その迫力に圧倒されてしまうのです。

次に客空間の様子を見てみましょう。

この店の客空間は、商品空間と店員空間をとり囲む形で、通路上に生じます。

この客空間が客にとってどのくらい居心地がいいかは、その店の場所や通路の広さなどによって大きな影響をうけます。

一般に、百貨店の通路は、客ができるだけ数多くの店の前を通るように様々な工夫をこらしていますが、実際には百貨店にはいった客がすべての店を回遊するわけではありません。

どうしても、客が回遊しやすい通路と回遊しにくい通路ができてしまいます。

そこで百貨店の関係者はこうした不公平をできるだけ少なくするために、客の動線調査を行い、頻繁に売り場移動を行っています。

百貨店に店を持つ経営者にとって、この売り場の移動は売り上げに直接響いてくる大切な問題なのです。

この店の場所は、その階の中の一番人通りのある通路に面しているわけではありませんが、比較的客が来る場所にあります。

さらに二つの通路の交差点にある角店なので、両方の通路を通ってくる客に接触することができるという利点を持っています。

二つの通路にまたがった商品空間は、そのまわりにかなり広い客空間をつくることができます。

従って、この店は接触型店にしては、客がゆっくり商品をながめやすい構造になっています。

次に店員空間を見てみましょう。

平面図からいうと結構広く感じられますが、実際には、店員空間のほとんどをパッケージと商品の置き場に使用しているので、店員一人が接客するといっぱいになってしまいます。

以上で、三空間の構造をごく簡単に説明しました。

それではこれから、この店で起こっていることを一つずつ分析していくことにしましょう。

次回、「60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時」に続く。


(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)

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