商品が見やすい店だといくら店員が感じても、客にとっては店員の存在が気になる店
こんにちは。
「店員空間のない、引き込み・回遊型店」を改めてわかりやすく表現しますと、このようなイラストの店のことです。
このような店の構造に対して、店員(店側)の考え方と、客の感じ方には大きな違いがあります。
店側は、お客様が店内の商品を見たり検討したりしやすいために回遊通路をつくった店舗構造だと考えています。
一方、客は、店員のいる空間に入って、商品を見たり検討したりしなければいけない店舗構造だと感じています。
この両者の大きな「ズレ」は、「店は店員の『なわばり』である」ということに店員(店側)が気づいていないことから生じています。
「戸板一枚の店」が店の始まりの構造であることには、誰もが納得することができるはずです。
つまり、「店」は、「商品空間」(戸板一枚)を挟んで、店員と客がそれぞれの空間(なわばり)を保ちつつ、売り買いができる構造であることが基本なのです。
店員と客の垣根(商品空間)を取り払ってつくられた、「店員空間のない、引き込み・回遊型店」は、客が店員の「なわばり」に入って、大きなプレッシャーを感じながら買い物をしなければいけない店舗構造の店なのです。
かつて、日本経済の著しい発展を背景にして、我が世の春を謳歌した各地の商店街の店は、「店員空間のない、引き込み・回遊型店」であったことが、後々、停滞ないしは衰退を余儀なくされていった、大きな要因の一つでもあったのです。
以上のことを考慮しつつ、今回の「45.引き込み・回遊型店①店員空間がない場合のアクション術」をお読みください。(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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45.引き込み・回遊型店①店員空間がない場合のアクション術
◆店の真ん中にがんばっていては客がはいりにくい
引き込み・回遊型の店で、店員空間がなかったり、あっても店員がカウンター内にはいりっきりになれない店はたくさんあります。
こうした店の商品はたいてい高額で、選ぶときに店員の説明やアドバイスを必要とするので、客が勝手に商品をレジに持っていくというわけにはいきません。
そこで店員はすぐに接客できるように、客空間の中にはいっているのです。
引き込み・回遊型の店には店頭に商品が出ていません。
そのためこのタイプの店は客にとってはなかなかはいりにくい店です。
ですから、入店してくる客は非常に敏感な状態になっています。
店員が客空間の真ん中でじっと客が来るのを待っている …… こんな様子を見ながら、それをまったく気にしないで平気で店の中にはいってこられる客はごくわずかです。
このような店では、まず、客空間を開放しておかなければなりません。
客が自由に出入りできるように空間をあけておくことが必要なのです。
このタイプの店には内装等もシンプルなものが多く、商品量も少ないので、店内は奥まで見通せる状態です。
そこで店員がどこにいるのか、何をしているのかは一目瞭然です。
客が店の中をのぞいただけで次々に行ってしまうときには、商品には興味があるにもかかわらず、店員のなわばり主張にさえぎられて店内にはいれないという可能性があるので注意が必要です。
次回、「46.引き込み・回遊型店②店員空間がある場合のアクション術」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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