店で観察できる店員のアクションの全ては、客を遠ざける三つのアクションと客を引きつける二つのアクションに分類できる
こんにちは。
「店員空間のない、引き込み・回遊型店」とは下のイラストのような構造をしている店のことです。
この構造の店における店員のアクションは、次の五つのアクションに限定されます
つまり、店員が意識的であれ無意識的であれ、店内で行う全てのアクションは、五つのアクションに分類されるのです。
五つのアクションの内の次の三つのアクションは、「客を遠ざける店員のアクション」となります。
(1)店内で、じっと立つアクション
(2)店頭で、じっと立つアクション
(3)早過ぎる「いらっしゃいませ!」のアクション
そして、五つのアクションの内の次の二つのアクションは、「客を引きつける店員のアクション」となります。
(1)接客中のアクション
(2)作業中のアクション
以上のことからもわかるように、「店員空間のない、引き込み・回遊型店」の店が「売れる店」になる一番の要因は、「客を引きつける店員のアクション」が繰り返し行われることなのです。
逆に、「売れない店」になる一番の要因は、「客を遠ざける店員のアクション」が繰り返し行われることです。
通行客が少ない立地だったり、通行客に対して全くミスマッチな商品構成だったりしている場合はもちろん論外ですが…。
以上のことを、考慮しつつ今回の「46.引き込み・回遊型店②店員空間がない場合のアクション術」をお読みください。(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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46.引き込み・回遊型店②店員空間がない場合のアクション術
◆ゆったりしたアクションは客をおどかさない
引き込み・回遊型の店で、しかも店員空間が決められていない場合は、その店はいわば店員のお城です。
店の構造そのものも、公共のものというよりは個人の家のようなイメージを作りだしています。
そんな中で商品を見ている客は、実はすぐにも逃げてしまいたい気持ちと、もっと商品を見ていたい気持ちの板ばさみになっています。
客にとってこの店の環境は、店員が必ず声をかけてくるように思えてなかなか落ち着けないのです。
そこで店員は客を安心させるために「すぐには声をかけませんから安心して見ていって下ださい」というメッセージを送るようにしなければなりません。
そのためにはどうしても仕事中のアクションが必要です。
店員は客がひと回り店内を見て回っている間はアクションを続けていればいいのです。
客が一つの商品の前でちょっとぐらい立ち止まったからといって、あせって声をかけてもたいていは知らん顔をされてしまいます。
よほどのなじみ客でない限り、そっとしておくほうがいいのです。
必要なときには客のほうから声をかけてきます。
声をかけられたら、そこから先は店員の対応がすべてを握っています。
このタイプの店では一人の客に一人の店員がついて長時間接客するので、その店員に対する印象の良し悪しが、売れるか売れないかを決めるのです。
私たちのまわりには似たような商品を売っている店がたくさんあります。
その店の店員が嫌われたら、売り上げもいっしょに他店へ飛んでいってしまいます。
次回、「47.引き込み・回遊型店③店員空間がない場合のアクション術」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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