57.急速に進む高齢化と店舗の減少が、「戸板一枚の店」的「移動スーパー」を急増させている
こんにちは。
昨日(9月25日)の日経MJ一面に『移動スーパー、国を動かす――道の駅、大手スーパー、コンビニも参入』と言う見出しで次のように報じられています。
『食品や日用品を満載したクルマで店舗のない地域を巡回する「移動スーパー」。
現状数百台とみられる車両数は今後数年のうちに2000台程度にまで増える勢いだ。
急速に進む高齢化と店舗の減少は小売り各社に参入を促し、中央省庁に規制緩和を迫る。
「移動スーパー元年」とされる2017年。地域社会を支える移動スーパーの今を探った』(詳しくは日経MJ9月25日)
ネットショップとセルフサービス方式の大型店の普及が、小型のリアル店舗を急速に減少させてゆきました。
その結果、身近なリアルショップを失って、日々の買い物に不便を感じている「買い物弱者」は、経済産業省が2014年に示した推計で700万人。
高齢化社会を背景に「買い物弱者」はますます増加の一途を辿っています。
そこに、彗星のごとく「移動スーパー」が登場し、新しい店舗として注目を集めているのです。
見知らぬ人々が大勢行き交う移動空間でこそありませんが、わが村やわが地域にやって来る移動店舗は、「戸板一枚の店」の性質を受け継ぎ、過疎化地域の住民や高齢者達に、便利な「買い物」と共に大きな楽しみを提供していくことが予測されます。
セルフサービス方式を採用した日本のスーパーは、セルフであるがゆえに本来の「店としての性質」を失いましたが、移動する「移動スーパー」となることによって、本来の「店として性質」を取り戻したことになります。
以上のことを考慮しつつ、今回の「57.店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店のアクション術②仕事中の雰囲気が客を落ち着かせる」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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57.店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店のアクション術
②仕事中の雰囲気が客を落ち着かせる
自分が商品をながめているそのすぐそばに店員が立っている これは客にとってはとても不安定な状況です。
しかもその店員が、客の一挙一動に注目し、ちょっとでも手を触れた商品があったらそれを勧めようと待ちかまえていたとしたら、とても落ち着いて商品をながめられるものではありません。
こういう居心地の悪い店では買い物をする気にならなくてもしかたがありません。
居心地のよい店を演出しようと思ったら、店員は客が声をかけてきたり店員をさがすような素振りをするまでは、できるだけ客をそっとしておかなければなりません。
そのためには店員が何かの仕事に気をとられて客には注意をむけていないというメッセージを送る必要があります。
商品を並べかえたり、商品を補充したり、ウインドーや棚をふいたり、こうした作業のアクションは店に活気を与えると同時に、店員のなわばりが解除されていることを示す強い信号です。
このようなアクションをしている限りは店内のどこにいてもたいてい大丈夫です。
ただし店内の通路や店の入り口をふさぐような立ち方や、客が見たがっている商品の前に立ちふさがってしまっては逆効果です。
作業アクションはあくまでも客に見せるためのものですから、できるだけ客のじゃまにならない位置に移動して行うべきです。
店が狭くて客が一人しかいないようなときには、客の動きにあわせて店員がその場所をあけるようにします。
そのときにあまりわざとらしくすると客に警戒されるので注意が必要です。
次回、「58.店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店のアクション術③大切な店員のアクション」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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