著しいネットショップの普及が、セルフの店や大型店をも脅かし、小型化した駅ナカ駅ソトショップを生み出している
こんにちは。
1970年代にスーパーマーケットが、1980年代にコンビニエンスストアが、急激に全国各地に普及していったことによって、セルフサービス方式での買い物はごく一般的になっていきました。
そのことによって、「店」に対する多くの人の感じ方は、買わずには入りにくい店から、買う買わないに関係なく入りやすい店へと、大きく変化しました。
店はもともと、道路に面した「戸板一枚の店」であったと考えるならば、スーパーやコンビニなどの入りやすい店の登場は、店本来の性質や店の魅力を甦らせてくれたことになります。
やがて、時は流れて、スーパーやコンビニに限らず、ファッションや雑貨等の様々な業種におけるセルフサービス方式の店が登場してきました。
こうして、一旦はセルフサービス方式の店が主力になったのもつかの間、今度は彗星のようにネットショップが登場し、あっという間に誰でもどこでも気軽に利用できるネットショップが一大普及してしまったのです。
そして一時は、セルフサービス方式以外のリアルショップは、いよいよ、絶滅してしまうのではないかと思われました。
ところが、「店員空間のない引き込み・回遊型店」や「店員空間のない、接触・引き込み・回遊型店」のリアルショップが、駅ナカ・駅ソトショップとして、主要な交通機関の移動空間に次々と登場してきています。
大勢の見知らぬ人が行き交う境界に生まれた本来の「店」が持つ魅力をそのままに、同じように大勢の見知らぬ人が行き交う「駅ナカ・駅ソト」に、出現してきているのです。
「駅ナカ・駅ソトショップ」の始まりは、全国各地の商店街の店を凌駕していった、セルフサービス方式の店であったのだということを考慮しつつ、今回の「43.引き込み・回遊型店①店員空間がある場合のアクション術」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
星座の場所を
応援クリック
お願いいたします。
人気ブログランキングへ
43.引き込み・回遊型店
①店員空間がある場合のアクション術
◆接客アプローチは不必要
店員空間のある引き込み・回遊型の店では、接客アプローチは不必要です。
なぜなら、この店の構造そのものが「店員は客に商品をすすめません」というメッセージを発しているからです。
大型スーパーマーケットのように店そのものの規模が非常に大きい場合は、店員もこのことをよく理解しています。
ところが店がだんだん小さくなって、レジと客との距離が近づけば近づくほど、店員は客にアプローチしたくなってきます。
けれども、その店が、店員空間のある、引き込み・回遊型のレイアウトをとっていて、説明しなくてもよくわかる商品を扱っている限り、声をかける必要はありません。
必要があれば客側から声をかけてきます。
このタイプの店に来た客はたいていすぐにそのシステム(商品は自分が勝手に選んでレジへ持っていく)を理解するので、店員の接客に対しては期待していません。
むしろ誰もいない店内にはいってきた一人目の客に対して、不用意に「いらっしゃいませ」と声をかけると逃げてしまうことがあります。
このタイプの店の店員がしてはならないことは、あれこれ迷っている客をじっと見つめたり、イライラした様子で客がレジに来るのを待つようなことです。
このタイプの店の店員空間は狭いためあまり目立ちませんが、レジでの接客以外にも作業のアクションをすることは有効です。
店員のアクションは、やはり客を安心させるのに役立ちます。
次回、「44.引き込み・回遊型店②店員空間がない場合のアクション術」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
星座の場所を
応援クリック
お願いいたします。
人気ブログランキングへ
【関連記事】
1.売れる店にはアクションがある
2.客を引きつける店員のアクション(その1)
3.客を引きつける店員のアクション(その2)
4.客を遠ざける店員のアクション(その1)
5.客を遠ざける店員のアクション(その2)
6.なぜ客はアクションに反応するのか
7.アクションと身体信号
8.コミュニケーションにおける①「動作信号」とは?
9.水平面の動作とは?
10.垂直面の動作とは?
11.矢状面の動作とは?
12.コミュニケーションにおける②表情信号とは?
13.コミュニケーションにおける③視線信号とは?
14.コミュニケーションにおける④空間利用信号とは?
15.15.コミュニケーションにおける⑤話し言葉信号⑥音声信号とは?
16.コミュニケーションにおける⑦接触信号とは?
17.コミュニケーションにおける⑧性別年齢信号とは?
18.コミュニケーションにおける⑨容姿信号とは?
19.コミュニケーションにおける⑩におい信号とは?
20.店員が評価される身体信号10ポイント
21.店にはタイプがある ①店を構成する三つの空間
22.商品空間と店員空間と客空間の三空間からなる「店の四分類」
23.こういう店が接触型店(店員空間が狭い場合)
24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)
25.店員空間が狭い場合のアクション術(その1)
26.店員空間が狭い場合のアクション術(その2)」
27.店員空間が狭い場合のアクション術③店員の動きが客を呼ぶ
28.店員空間の狭い場合のアクション術④そ知らぬふりが成功の秘訣
29.店員空間が広い場合のアクション術①店員が並んでいては客がこない
30.店員空間が広い場合のアクション術・みんなで動けば活気が溢れる
31.客を集める商品空間づくり①商品空間のなわばり解除
32.客を集める商品空間づくり②ひやかし安全信号が客を呼ぶ
33.こういう店が引き込み型店①店員空間が狭い場合
34.こういう店が引き込み型店②店員空間が広い場合
35.店員空間が狭い(引き込み型店)場合のアクション術①待っているだけでは客がこない
36.店員空間が狭い(引き込み型店)場合のアクション術②早すぎる接客アプローチは失敗のもと」
37.店員空間が広い(引き込み型店)場合のアクション術①動きの演出が客を引きつける」
38.店員空間が広い(引き込み型店)場合のアクション術②広い店員空間は舞台である」
39.店員空間が広い(引き込み型店)場合のアクション術③広い店員空間を生かす店員のスタイル」
40.客をひきとめる商品空間つくり
41.こういう店が引き込み回遊型店①店員空間がある場合
42.こういう店が引き込み回遊型店②店員空間がない場合
| 固定リンク
« (28)ざっくり店舗観察 「ギンザシックスB2フーズフロアの店舗構造と店員と客のアクション(その12) | トップページ | (29)ざっくり店舗観察 「ギンザシックスB2フーズフロアの店舗構造と店員と客のアクション(その13) »
「◆86年版入りやすい店売れる店」カテゴリの記事
- 80.大人の街をつくる三空間設計(原宿・表参道)※1986年当時(2018.02.28)
- 79.若者はなわばり解除した空間に集まる(原宿・竹下通り)※1986年当時(2018.02.26)
- 78の(6).ひやかし安全信号を売る店に人が群がる(ファンシーショップ・ハッピードア)※1986年当時(2018.02.23)
- 78の(5).ひやかし安全信号を売る店に人が群がる(ファンシーショップ・ハッピードア)※1986年当時(2018.02.21)
- 78の(4).ひやかし安全信号を売る店に人が群がる(ファンシーショップ・ハッピードア)※1986年当時(2018.02.19)
コメント