54.ネットショップに加えて無人のリアルショップの普及によって、「店」での見知らぬ同士のコミュニケーションが失われていく。
こんにちは。
セルフサービス方式のスーパーやコンビニエンスストアの激しい競争は、レジの無人化や自販機コンビニの進出や、やがては全く無人の店舗を登場させようとしています。
ネットショップに続いて、リアルショップにおいてさえも、店員と全く会話を交わすことなく買い物をする時代がすぐそこまで来ているのです。
そして、近い将来「店」は、全く「なわばり」感覚の存在しない、ネットショップと無人のリアルショップ、そしてもう一方では、果てしなく「戸板一枚の店」に近い小規模で「なわばり」感覚を残した「有人のリアルショップ」へと二極化していくことが予測されます。
気軽で便利な無人のリアルショップの普及は、従来までのコストを大きく削減し、労働者不足を一挙に解決すると共に、「見知らぬ店員」と「見知らぬ客」の間で交わされるひと時の魅力的なコミュニケーションさえも、消し去ってゆくことでしょう。
1970年代に「セルフサービス方式」のスーパーマーケットが、そしてそれを追うようにして1980年代にコンビニエンスストアが日本の各地に急激に普及してきましたが、今にして思えば、ネットショップと無人のリアルショップの台頭への始まりだったのです。
「店」は今、劇的な変化を見せているのです。
以上のことを考慮しつつ、今回の「54.店員空間のある、接触・引き込み・回遊型店のアクション術①レジ係に徹すると客が安心する」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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54.店員空間のある、接触・引き込み・回遊型店のアクション術
①レジ係に徹すると客が安心する
店自体が大規模で、カウンターが大きい場合には、店員がアクションについて迷うことはあまりありません。
商品を持ってきた客に対して接客をすればいいのです。
カウンターに客がいないときでも作業のアクションは続けたほうがいいでしょう。
どうしたらいいのか迷うのは、店の規模が小さくて、店員のすぐ目の前を、商品を決めかねた客がウロウロしている場合です。
店員としてはすぐそこに客がいると、ついつい声をかけたくなるものですが、狭い店内ではうっかり声をかけるとなわばり主張が強すぎて客を追い出すことになってしまいます。
店の構造がこのタイプで商品自体が説明の必要のないものなら、店員はレジ係に徹しているのが無難です。
このタイプの店が暗黙のうちに客に伝えるメッセージは、
「お客さんが商品をレジに持ってこない限り、買う意志があるとは思いません。店員は声をかけませんから自由にゆっくり選んで下ださい」
というものです。
客は店内の様子を見ればたいていすぐにこのルールを理解しますから、店員がすぐにあいさつしないからといって怒ることはめったにありません。
むしろ、店頭の商品の前に立ち止まったり、店内にはいってきたとたんに「いらっしゃいませ」と声をかけると、さっと逃げられてしまうことがあります。
このタイプの店では特に、店員があせったりイライラしたりすると店全体のメッセージをこわしてしまいます。
次回、「55.店員空間のある接触・引き込み・回遊型店のアクション術②客空間にはいったら客に声をかけない」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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