60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時
こんにちは。
前回に引き続き、30数年前のデパ地下で行列ができて賑わった実演現場を持つ店をご紹介しています。
わずか30数年前にも関わらず、パソコンもケータイも全く普及していない時代です。
現在は、パソコンやケータイから、いつでもどこでも簡単にネットショップで買い物ができる時代です。
果たして店は、パソコンやケータイの普及によって変化してしまったのでしょうか?
それとも、本来の店は、ネットショップや現在のリアルショップに隠れて、ひっそりと存在し続けてきたのでしょうか?
30数年前の繁盛店や衰退店を改めて観察分析することによって、「店」についてご一緒に考えてみませんか?
そのような思いから、31年前の拙著をご紹介しています。
それでは、前回にの続き「60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時」をお読みください。
(なお、本文は1986年初版の拙著「入りやすい店売れる店」の原文のままです)
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60の(2).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)
◆生きている商品空間が客の目をひきつける
店を三空間に分けるとき、実演場を店員空間と考えるか商品空間と考えるかは興味ある問題です。
たとえば屋台のように非常に小さい店では、自分で作って自分で売るのが普通ですから、職人(実演者)=店員(販売者)というわけで、商品のあるところだけが商品空間、職人のいるところが店員空間と考えることができます。
ところが、ここで紹介した店のように、その規模が大きくなってくると、職人は作る人、店員は売る人というように分業化されてきます。
つまり職人はものを売らないことがはっきりしてきますから、ここでいう店員ではないわけです。
職人は客にとっては面白いディスプレー物と同じように感じられます。
すなわち一種のひやかし安全信号になっているのです。
この店の最大の特徴は、実演場を非常に広くして、その中で常に三人の職人が忙しそうに今川焼を焼き続けていることにあります。
キビキビと働く職人の姿、次々とできあがっていく作りたての商品、さらにあたりに立ちこめるおいしそうなにおいは、総合して、生き生きと活気のある商品空間を作りだしています。
三人の職人によってなわばりを解除された商品空間は周囲の客を強くひきつけます。
他の実演販売店が持つ問題点は、客が途絶えるので実演を稼働し続けられないというところにあります。
実演中に客が途絶える→→実演を中止する→→商品空間の魅力がなくなる→→客が来なくなる。
この悪循環に落ちこまないことこそが、実演販売店を作るときのカギなのです。
この店は、商品空間のパワーを強力にすることによって良い循環を作りだしています。
次回、「60の(3).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候)※1986年当時」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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60の(1).職人のアクションが客を引きつける(今川焼・御座候
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