26.店員空間が狭い場合のアクション術(その2)」
こんにちは。
31年前の1986年に、拙著「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)で、「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」だということをご報告をして、全国の様々な多くの販売関係者の方々から、大きな反響を頂く結果となりました。
「いらっしゃいませ!」を言うとなぜ客が遠ざかるのか?
客が来たのになぜ「いらっしゃいませ!」と言ってはいけないのか?
以上の二つが、一番多く関心を持たれたテーマでした。
その二つの疑問に対する答えは、買わないで冷やかすだけの客や、買うか買わないかが決まっていない客にとっては、早過ぎる「いらっしゃいませ!」は「なわばり」を主張する店員のアクションになり、客が店から遠ざかってしまうから、というものでした。
このことは、当時の販売関係者の皆様には、大変新鮮な報告として受け入れられました。
しかし、スーパーマーケットが日本の各地に普及し、コンビニエンスストアがその後を追いかけるようにして普及してきたことによって、「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」だという考え方は、急速に忘れられていきました。
なぜならば、スーパーやコンビニは「セルフサービス方式」であるため、「いらっしゃいませ!」を言っても客を遠ざけない店だったからです。
その後ネットショップの時代を迎え、いよいよ、「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」だという考え方は、埋もれて行ってしまったのです。
しかし、電車や地下鉄などの交通機関の改札口の内外の移動空間に新しい商業集積が登場してくるにつれて、再び「いらっしゃいませ!は客を遠ざける店員のアクション」であることがスポットライトを浴び始めています。
なぜならば、大勢の見知らぬ人が行き交う移動空間に登場してきた店の大部分は、「セルフサービス方式」ではない店の構造と接客方法の店だからです。
そして、なによりも、店は店員の「なわばり」だからです。
さて今日は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その2) 積極的なアプローチは 客を追い払う」というお話です。
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26.店員空間が狭い場合のアクション術(その2)
②積極的なアプローチは 客を追い払う
◆客追い踊りと客追い音頭
このような狭い店で、特にしてはならないことは積極的なアプローチです。
普通、熱心でヤル気のある店員ほど「こんなに狭い店で売り上げを伸ばそうとするなら、とにかく積極的に売るしかない」と考えがちです。
けれども、それこそこんなに狭い店で、店員がなわばりを広げたら、客がよってくるスキがありません。
まだその商品を買うかどうか決めていない客はたいへんに憶病で店員の様子に非常に敏感です。
そのため客がまだ商品をひやかしている間に強いアプローチを受けると、さっさとよその店に行ってしまいます。
このようなアプローチをかける店員のアクションや店内を占領している様子を「客追い踊り」といいます。
さらにこのときに客にかける「いらっしゃいませ」、「何をお探しですか」等の声を「客追い音頭」といいます。
客にとっても感じが悪く、売り上げにも悪影響を及ぼすにもかかわらず、どうしてこの積極的アプローチが影をひそめないのでしょうか。
考えられる理由の第一は、そうして声をかけると中には買う人がいるということでしょう。
客はすでに何かを買おうと決心しているときには店員のアプローチにもたじろぎません。
あるいは一人の客にアプローチをしているすきに他の客が注文することもあるからです。
第二の理由はおそらくモラル上の問題でしょう。
客が近くに寄って来ているのに、店員があいさつもしないのは失礼だという考え方が、今日の店員教育の中にも根強く残っているのです。
※次回、「27.③店員の動きが客を呼ぶ」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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