28.店員空間の狭い場合のアクション術④そ知らぬふりが成功の秘訣
こんにちは。
31年前の1986年に、拙著「入りやすい店売れる店」(日本経済新聞社)で、「店員空間の狭い接触型店」において、「店員がたとえきちんとした姿勢であっても、じっと立っていたり、積極的なアプローチをしたりすると客を遠ざける」ということを報告して、大きな反響を呼んだことについては、先にご紹介しました。
そしてまた、客が近づいて来ても、意識をして作業を続けたり、そ知らぬふりをしている方が、大勢の客を引きつけることができるということもご報告しましたが、多くの販売関係者の皆様にはなかなか受け入れられませんでした。
当時は、お客様が店に入って来たリ近づいて来たりすると、直ぐに積極的に接客を開始することが何よりも大切であるという店員教育が主流でした。
それから、随分と年月を経て、ケータイやパソコンが必需品となり、セルフの店やディスカウントショップが普及した現在に至っても、なおこのことはリアルショップで日々起きている店員と客の関係です。
実際に皆様が、デパ地下などの店を冷やかして歩いてみるだけで、十分にお分かりいただけることと思います。
店は店員の「なわばり」であるために、客は店員の「なわばり」に入って買い物をしていることは、現在の店も31年前のリアルショップと何ら変わることはありません。
過去の客も現在の客も、店員との「なわばり」の攻防を伴いつつ、買い物をするというところにこそ、リアルショップの醍醐味があることを、感覚的にはよく知っていることなのです。
そして、リアルショップは、誰もが手軽に見知らぬ人(店員や他の客)とコミュニケーションが楽しめる、掛け替えのない現場であることは間違いありません。
さて今日は、「店員空間が狭い場合のアクション術(その4) そしらぬふりが成功の秘訣」というお話です。
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28.店員空間が狭い場合のアクション術④そしらぬふりが成功の秘訣
一人も客がいないときこそ、店員は「仕事中」のアクションを続けなければなりません。
そうしているとやがて客が商品にひきつけられてやってきます。
「来た来た、お客さんがやって来たぞ!」
このとき思わず客の方を見たくなるのは、ごく自然な反応です。
けれども「売れる店員」になろうと思ったらここはぐっと我慢しなければなりません。
なぜなら客はびっくりするほど店員の動きに敏感で、ちょっとでも売る気を見せるとすぐに逃げていってしまうからです。
特に「まだ買うかどうかはわからないけれど、興味があるからもう少し見ていたい」という段階の客はなおさら、店員と目があっただけで、スーツといなくなってしまいます。
こういう人たちは店員に「商品に興味があることを見抜かれた」だけでも自分の安全をおぴやかされたように感じるのです。
「売れる店員」はそしらぬふりをしてタイミングをはかるのがとても上手です。
そして一度客から声をかけられたら、キビキビと対応するので客に怒られることも少ないのです。
このように、「売れる店員」たちは、明らかに客をひきつける方法を知っています。
ところが従来いわれてきた販売方法のほとんどが非常に論理的なものだったために、このような感覚的な方法は受けいれられませんでした。
また、客をひきつける方法を知っていた店員のほうも「そしらぬふりをする」などという失礼なことが売れるノウハウになるということに確信がもてなかったのです。
次回、「29.店員空間が広い場合のアクション術・店員が並んでいては客がこない」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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