36.店員空間が狭い(引き込み型店)場合のアクション術②早すぎる接客アプローチは失敗のもと」
こんにちは。
「戸板一枚の店」から、現在の店へと発展してきたのが、リアルショップの経緯です。
そして、「戸板一枚の店」の構造は、戸板一枚が「商品空間」、戸板一枚(商品空間)の向こう側が「店員空間」、手前の通路側が「客空間」になります。
デパ地下などに多く見られる「店員空間の狭い接触型店」は、ほとんどが「戸板一枚の店」と同じ構造の店となります。
さて、「商品空間」を店内に引き込んで、「商品空間」の前に「客空間」をつくり、後ろに狭い「店員空間」を作った店が「店員空間の狭い引き込み型店」です。(下図)
店は店員の「なわばり」なので、できるだけ「なわばり」主張のアクションは控えることが大切になります。
「店員空間の狭い接触型店」の場合は、狭い「店員空間」で店員がじっと立って客を待つと、「なわばり」主張のアクションとなって客を遠ざけることを、大抵の店員が実感することができます。
ところが、「店員空間の狭い引き込み型店」の場合は、店員はなかなかそのことを実感することができません。
なぜならば、「店員空間の狭い接触型店」の場合は、店員の位置から通行客の様子がよくわかりますが、「店員空間の狭い引き込み型店」の場合は、店の奥にいる店員からは通行客の様子がよくわからないからです。
そのために、一歩でも「客空間」に入って来た客に対して、直ぐに「いらっしゃいませ!」と声をかけて接客を開始してしまうことになります。
それは、客は購入するために「客空間」に入って来たのだと錯覚しやすいからです。
冷静に考えれば、ほとんどの客は、店内に入って来ても、商品を眺めなければ買うか買わないかが決まらないということがわかるはずですが、店の奥の狭い「店員空間」で待機していると、ついつい、やって来た客は直ぐに購入するのだと思いやすくなってしまうのです。
通行客が多い通路(道路)に面した店ほど高い売り上げを上げることができますが、通行客が多い分だけ、買わない客が大勢店内に入って来ることになります。
「店員空間の狭い引き込み型店」の店員は、大勢の冷かし客(買う気がない客)の中からできるだけ多くの購入客を生み出すことと併せて、いかにして多くのお客様の再来店を促すかという役割を担っています。
それには、狭い「店員空間」で、何とかして「なわばり」解除のアクションをやり続けることが必要になります。
意外にも、「店員空間の狭い引き込み型店」とは、非常に高度な店員のアクション(接客)が求められる店舗構造の店だったのです。
さて、以上のことを考慮して、「店員空間が狭い(引き込み型店)場合のアクション術②早すぎる接客アプローチは失敗のもと」を、お読みください。
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36.店員空間が狭い(引き込み型店)場合のアクション術
②早すぎる接客アプローチは失敗のもと
◆客追い踊りと客追い音頭
「店内にお客さんが足を踏みいれたその瞬間をねらって声をかけたのに、お客さんは店内にはいってこなかった。
声のかけかたが中途半端だったのだろうか。
もっと熱心にすすめたら、買い物をしてくれたかもしれないのに、残念なことをしてしまった」
ヤル気があるにもかかわらず、思うように売り上げを伸ばすことのできない店員の多くが、こんなふうに思った経験を持っています。
店員が失敗をくり返す大きな理由に、客の行動をまったく誤解していることがあげられます。
引き込み型店の場合、ついつい「店内にはいってきた」=「買う」というふうに考えがちですが、客のほうにしてみれば商品を見てもいないうちから買う決心がつくわけではありません。
客はしばらくの間、誰にもじゃまされずに商品が見たいのです。
そして気にいらなければそのまま出ていきたいのです。
店内にある客空間はいわば店員のなわばりですから、客はびくびくしながら中にはいってきます。
そこへすかさず声がかかると、それは強いなわばり主張の合図として客にうけとられます。
そこで客はその主張に反応して店を出てしまうのです。
客が店内にはいってきても、店員は平然とアクションを続けていればいいのです。
客がしばらく店内を見ていたにもかかわらず何も買わずに行ってしまっても、それは店員のせいではありません。
気にいらない商品を強引に買わせる接客技術など存在しないのです。
次回、「37.店員空間が広い(引き込み型店)場合のアクション術①動きの演出が客を引きつける」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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