24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)
こんにちは。
デパ地下の店は、「接触型店」(店舗構造)で構成されています。
しかも、ほとんどの「接触型店」は店員空間に店員が立っているのがやっとという程度の、「店員空間の狭い接触型店」となっています。
デパ地下は、「戸板一枚の店」に近い「店員空間の狭い接触型店」が主流であるからこそ、多くの客を引きつける売り場なのです。
「戸板一枚の店」の構造を引き継いでいる「店員空間の狭い接触型店」は、実は、「客を引きつけたり遠ざけたりする性質」をも引き継いだ店なのです。
かつて、ほとんどの百貨店の販売関係者はそのこと気づいていませんでしたが、ごく一部の「達人店員」だけはそのことに気づいていて、狭い店員空間の中で、できるだけ客を遠ざけるアクションをしないで、できるだけ客を引きつけるアクションを行うことによって、高い売り上げをあげていました。
そんなデパ地下に、初めて「店員空間の広い接触型店」をオープンさせたのは、梅田の阪急百貨店の「叶匠寿庵(かのうしょうじゅあん)」でした(1970年代)。
デパ地下において、「店員空間の広い接触型店」は、従来からの「店員空間の狭い接触型店」に対して、圧倒的に有利でした。
なぜならば、「店員空間の狭い接触型店」では、「なわばり」主張の店員のアクションが生じやすいのに対して、「店員空間の広い接触型店」では、「なわばり」解除の店員のアクションが生じやすいからです。
近年のデパ地下は、昔に比べて、全体的に店員空間が広くなってきてはいます。
しかし、販売関係者の皆さんには、店員空間の狭い店は、店員空間の広い店に比べて、非常に不利な構造であるという理解はありません。
したがって、百貨店側は、ごく一部の店にだけ広い店員空間をつくれるスペースを提供して、大部分の店には、店員空間を広くつくれないスペースを割り振っているのが現状です。
よって、大富豪(大貧民)ゲームのように、店員空間の広い店は極めて有利で、店員空間の狭い店は極めて不利な条件が課せられたまま、商売を続けることになるのです。
このように、リアルショップの「店」は、店員が「なわばり」を主張するか解除するかによって、大きな業績差が生じているのです。
さて今日は、「こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)」というお話です。
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②店員空間が広い場合
一般に接触型店は、その特性上、通行客が非常に多い立地に作られます。
通行客の多い場所ほど地価が高いために、広い販売スペースを持った大きな店を出すことは難しく、自然と店の規模が小さくなります。
店が小さくなるほど店員空間を十分にとる余裕がないので、どうしても店員がなわばり主張をしてしまいがちな、不利なレイアウトをとることになってしまいます。
それでも、通行客が多いということは、売り上げをあげるために非常に有利な条件なのです。
このように、接触型の店では店員空間が狭いのが普通です。
けれども、中には、通行客が多い通路に面した接触型店で、店員空間の広い店も存在しています。
百貨店内の非常に通行客の多い通路に面していて、なおかつ広い店員空間を持っている店では、たいへん有利な販売方法が展開できます。
店員が広い店員空間を使ってアクションをすることによって、店全体のなわばりが解除され、客が非常に近づきやすい状況をつくり出すことができるからです。
そのため、このタイプの店はたいてい繁盛しています。
同じ条件の店でも、通行客が少ない立地では成功は難しいでしょう。
接触型店で売る商品そのものの特性からいって、どうしても通行客数が多いことが必要です。
※次回、「25.店員空間が狭い場合のアクション術(その1)」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
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