23.こういう店が接触型店(店員空間が狭い場合)
こんにちは。
駅ナカ・駅ソトショップや百貨店などの現在の店は、単純な「戸板一枚の店」の構造から規模が大きくなり、構造が複雑に変化していますが、「商品空間」と「客空間」と「店員空間」の三空間で構成されていることには全く変わりはありません。
そして、三空間がどのように構成された店であるかを基本にして、店は大きくは四分類され、さらに細かくは八分類されることに関しては、前回のblogでご説明いたしました。
これから、8回に渡って、それぞれの店の構造と、その構造の店での店員のアクション術についてご説明してまいります。
最初に説明する「接触型店」は、デパ地下で見られる、果てしなく「戸板一枚の店」に近い構造をした店のことです。
デパ地下が連日大勢の客が引きつけられるのは、決して、誰にとっても身近に感じられる「食品」を販売しているフロアだからではありません。
スーパーマーケットとデパ地下の決定的な違いは、スーパーマーケットはレジカウンターにしか店員がいないのに対して、デパ地下の方は、基本的に六尺ケース一台に店員が一人付いて対面販売をするということです。
つまり、デパ地下の店は、「戸板一枚」の空間=六尺ケース(1.8m)を挟んで店員と客が「なわばり」の攻防を伴いながら「売ったり買ったり」を取り交わす現場として、大勢の客を引きつけているのです。
以上の「接触型店」の構造と店員と客の関係を念頭に置いて、8種類の店の構造と店員のアクション術についてご説明してまいります。
さて今日は、「こういう店が接触型店(店員空間が狭い場合)」というお話です。
星座の場所を
応援クリック
お願いいたします。
人気ブログランキングへ
23.こういう店が接触型店(店員空間が狭い場合)
接触型店とは、通行客が往来する通路に面して、商品を陳列している店をいいます。
たいていの場合、少しでも通行客に近づけようとして、通路まではみ出して商品が陳列されています。
そこでこのタイプの店は、いわゆる持ち帰り品を売るのに適しています。
時間をかけて選ぶ必要のない値段の安い商品は、客の目にはいるかはいらないかで勝負が決まるのです。
また、接触型店は、店員空間の広さによって二種類に分けることができます。
それぞれの特徴を見てみましょう。
①店員空間が狭い場合
店員空間が狭い接触型店の典型的な例は、デパートの食品売り場にいけば簡単に見ることができます。
こういう店はたいてい商品空間も狭く、ケース一本か二本がせいぜいです。
店員空間はケースの向こう側ですが、そこには包装台やらレジ台やら商品ストックが所狭しと並んでおり、店員は立っているのがやっとという状況です。
また、お祭りに欠かせないのが縁日ですが、この縁日も店員空間の狭い接触型店に分類されます。
金魚すくい、わた菓子屋、風船屋、おでん屋、たこ焼き屋など、どれも、商品空間が通路に面しており、お客さんはあっちへ押されこっちへ押されしながら、目についた商品を買っていきます。
さらに、競馬や競輪の予想屋やデパートなどで行われる実演販売もこのタイプです。
予想屋や実演屋は通路に面したところで呼びかけるから人が集まってくるのです。
もし彼らが店の奥のほうから呼びかけたとしたら、客は警戒してなかなか中にはいってこないでしょう。
②店員空間が広い場合
※次回、「24.こういう店が接触型店(店員空間が広い場合)」に続く。
(※以上の文章とイラストは、拙著「入りやすい店売れる店」日本経済新聞社・1986年版より抜粋したものです)
星座の場所を
応援クリック
お願いいたします。
人気ブログランキングへ
【関連記事】
1.売れる店にはアクションがある
2.客を引きつける店員のアクション(その1)
3.客を引きつける店員のアクション(その2)
4.客を遠ざける店員のアクション(その1)
5.客を遠ざける店員のアクション(その2)
6.なぜ客はアクションに反応するのか
7.アクションと身体信号
8.コミュニケーションにおける①「動作信号」とは?
9.水平面の動作とは?
10.垂直面の動作とは?
11.矢状面の動作とは?
12.コミュニケーションにおける②表情信号とは?
13.コミュニケーションにおける③視線信号とは?
14.コミュニケーションにおける④空間利用信号とは?
15.15.コミュニケーションにおける⑤話し言葉信号⑥音声信号とは?
16.コミュニケーションにおける⑦接触信号とは?
17.コミュニケーションにおける⑧性別年齢信号とは?
18.コミュニケーションにおける⑨容姿信号とは?
19.コミュニケーションにおける⑩におい信号とは?
20.店員が評価される身体信号10ポイント
21.店にはタイプがある ①店を構成する三つの空間
22.商品空間と店員空間と客空間の三空間からなる「店の四分類」
| 固定リンク
« (13)ざっくり店舗観察 「ギンザシックス・5Fファッションの店舗構造と店員と客のアクション(その1)」 | トップページ | (14)ざっくり店舗観察「ギンザシックス・5Fファッションの店舗構造と店員と客のアクション(その2)」 »
「◆86年版入りやすい店売れる店」カテゴリの記事
- 1.売れる店にはアクションがある(入りやすい店売れる店 1986年版)(2021.11.08)
- 80.大人の街をつくる三空間設計(原宿・表参道)※1986年当時(2018.02.28)
- 79.若者はなわばり解除した空間に集まる(原宿・竹下通り)※1986年当時(2018.02.26)
- 78の(6).ひやかし安全信号を売る店に人が群がる(ファンシーショップ・ハッピードア)※1986年当時(2018.02.23)
- 78の(5).ひやかし安全信号を売る店に人が群がる(ファンシーショップ・ハッピードア)※1986年当時(2018.02.21)
コメント