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2017年5月25日 (木)

(40)「後ろに下がるだけで控えめになる」

こんにちは。

人の「前後の動き」には、手や身体を使って、

①前に向かってゆっくりと進む「
接近の動き

②前に向かって勢いよく進む「
突進の動き

③後ろに向かって素早く引く「
機敏の動き

④後ろに向かってゆっくり進む「
退避の動き

⑤前後にほとんど動かない「
不動の動き

以上の五つの動きがありますが、その内の④後ろに向かってゆっくり進む「
退避の動き」は、消極的で慎重すぎるというマイナスのイメージを表現する動きです。

しかし、この「退避の動き」も、特定の人間関係においては、大変有効に働く場合があります。

例えば、他人と争いごとになった状況では、ほんの少し「退避の動き」を見せるだけで、争う意志がないことを相手に伝えることができます。

もしも、争いの場でしゃしゃり出てしまうと、一触即発の状態を生み出して、非常に危険な状況を招いてしまいます。

また、組織の中で、大変な労力を伴う役割の人を互いに選出する状況では、静かに後ずさりをしながら少し後方に控えるだけで、はっきりと言葉で断らなくても、自分の気持ちを周囲に伝えることができます。

積極的に多くのことばをしゃべった挙句、相手から誤解されたり非難されたりするよりも、一言もしゃべらないで、やる気がないことを相手や周囲に伝える方がはるかに得策ということもあります。

そっと逃げることによって、争い事や大きな困難をうまく回避することもまた、人間関係の知恵の一つなのです。

このように、身体の動きが表現するメッセージをうまく使いこなせるかどうかで、その人の人生は大きく変わってしまいます。

さて今日は、「後ろにゆっくり下がる動き」を行うだけで、重要な情報を相手に伝えることができるというお話です。


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(40)後ろに下がるだけで控えめになる

へりくだる方法の一つは、力を抜いて頭を下げ身体を小さく見せることですが、後ろに下がるという行為もへりくだることにつながります。

なぜなら、後ろに下がると姿が小さくなるので、それだけでも身を小さくしたという情報を発信することができるからです。


22_1_2

 

「控えめにする」「出しゃばらない」ということは、文字通り、身体を後ろに引いて前に出ないということなのです。

「三尺下がって師の影を踏まず」ということばもあるように、誰かの後ろに下がる動きをすることによって、その人を立てることができます。


22_2

さて、私たちは二人連れの相手と対面すると、無意識のうちに二人の様子から両者の力関係を読み取ろうとします。

二人のうちどちらが上位なのかを知らなければ、うっかり下位の人を厚遇してしまい、後で恨まれることにならないとも限らないからです。

このように、人は自分と相手の関係同様、相手側の二人の人間関係にも大変敏感です。

そこで、ビジネスの世界などでは、相手の混乱を防ぐためにも、肩書通りの上下関係であることを示すことが大切なのです。

 

22_3


例えば上司と一緒に営業に行ったとき、部下の仕事の大部分は上司を立てるということです。

たとえ上司がどんなに無能であっても、上司をないがしろにしていると相手に感じさせるのは、決してできる部下の姿ではありません。

まず、基本的に上司を前に出し、自分は後ろに立つようにします。

入り口の出入りも上司を先にし、自分は後からついていくようにします。

それだけで、他人から見ると十分に上司を立てており、また、上司を尊敬しているように感じられるのです。

上司のお供でついていっている場合には、主に相手と話をするのは上司です。

いくら上司が頼りないからといって、上司が話そうとするたびに口を挟むと、営業先の相手から二人が敵対関係にあるように思われてしまうので注意が必要です。

しかし、どうしても言っておかなければならないことがあるときには、そのことを話した後で、「出すぎたまねをいたしました」などと言って一歩後ろに下がります。

後ろに下がる動きには、行動が積極的すぎて相手に脅威を与えたと思われるときに、それを緩和する効果があるので、それによって上司と自分との優劣の関係を修復し、また、営業先の相手にも安定をもたらすことができるからです。

また、サービス業の場合には、相手に商品やおつりなどを手渡した後や、案内や説明をした後に、そっと一歩下がる動きを使うと、へりくだった印象を強めることができます。

次回の、(41)「相手を動かさないように自分が動くと下手になる」に続く。


(※以上の文章とイラストは、拙著「人は動きだ!」日本経済新聞社より抜粋したものです)

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