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2016年7月21日 (木)

10.総合ディスカウントショップ「ロヂャース」が、1991年当時に提供した「一見接客」とは?

こんにちは。

このシリーズでは、約25年前(1991年当時)、お客様を「一見客・いちげんきゃく」(見知らぬ客)として迎え、「一見接客・いちげんせっきゃく」を提供することによって、大勢のお客様を引きつけた店、あるいは引きつけようとした店をご紹介しています。

さて今日は、当時(1991年)、埼玉の新大宮バイパスに面したボーリング場を、ごく簡単に改装しただけのディスカウントストア「ロヂャース」が、できるだけ接客を省略化したセルフサービス方式で販売し、大勢のお客様を引きつけた様子をご紹介いたします。

この店は、洗濯機や冷蔵庫などの豪華景品が当たるボーリング場として人気を呼んでいた「ロヂャースボウル」が、急激にボーリングブームが去ったことによって業績が悪化し、自ら「日本初のディスカウントストア」と名乗って、「安売り」専門の小売業に転換したものです。

この店は、ボーリング場の外装はそのままで、店内もレーンの上に床を張っただけというお金をかけない改装が、逆に大きな人気となって、大勢のお客様を引きつけました。

徹底して接客サービスを省いた「ロヂャース」が、お客様に提供した「一見接客」についてご説明いたします。

(以下のイラストは、「新しい客がどんどん来る店」・日本経済新聞社・1991年より抜粋したものです)


(1)「店員空間のある、引き込み・回遊型店」の構造をした総合ディスカウント店。

広いボーリング場をほとんどそのまま利用して、「商品空間」、「客空間」、「店員空間」がつくられていました。

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Photo_3※「店員空間のある、引き込み・回遊型店」

(2)店内外の改装費をできるだけカットしたことが、より安さを強調した。

床には、ボーリングレーンのスパット跡がはっきりと残っているほど、ほとんどリニューアルをしていない様子が、かえってお客様にとっては激安を強くイメージさせることになりました。

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(3)商品構成や激安価格が境界の店の魅力を提供した。

この店では、有名ブランドや無名ブランドの商品が、サイズや色も不揃いで在庫も不安定なままで構成されていましたが、全て大幅にディスカウントされていたことから、かつての境界の店のような非日常的な雰囲気がかもしだされていました。

また、一般の店のようにきちんと清掃がゆき届かないままの状態で営業されている店内の様子も、お客様に強い「境界性」を感じさせました。


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(4)徹底した接客サービスの省略。

当時の店内には、「店員は質問や相談にはお答えできません」という張り紙がはってありました。

実際に、店員は商品の補充や整理の作業に追われているために接客することはなく、作業に専念した「一見接客」が行われていました。


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(以上のイラストは、「新しい客がどんどん来る店」・日本経済新聞社・1991年より抜粋したものです。)


日本のディスカウントショップのほとんどは、経済の激しい変化やブームの突然の終息などのために立ちゆかなくなった一般の店が、在庫を処分して出直したり、閉店のために「在庫一掃処分セール」や「閉店セール」を行ったりしたことから生まれてきました。

これらの店は、背に腹は代えられないという状況に陥って初めて行った捨て身の行為によって、ディスカウントショップという新しい商売の仕方に気付き、ディスカウントショップになっていったのです。

日本のセルフサービス方式の食品スーパーは、在日アメリカ人の長時間の買い物に付き合って接客をしていたのでは全く採算が合わないと思った店主が、アメリカのスーパーマーケット方式つまり、「セルフサービス方式」を採用したことによって登場してきました(1953年・昭和28年)。

そのはるか後になって、商売が予測通りにゆかなくなった店主が、在庫を一掃して出直すためには、全く接客サービスを省いた「在庫一掃セール」しかできなかったことから採用された「セルフサービス方式」にも、実は共通の大きな背景があったのです。

それは、できるだけ「接客サービス」を提供したくないと考える店側と、購入が決定するまでは、できるだけ「接客サービス」を受けたくないというお客様の、両者のニーズが合致していたのです。


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